義輝記 別伝 その八 青州攻略編
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【 曹孟徳 大反撃 の件 】

 

? 曹操軍 本隊 にて ?

 

本隊四千が三方に分かれて、黄巾兵に攻め込む! ただ、違うのは一方の手に武器を! もう片方には『筵』を持ち、足は『草履』に履き替え泥水に近付く!

 

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? 曹操軍…二千 中央攻勢 にて ?

 

愛紗「それぞれ持っている筵を、泥の上に被せるんだ! 慌てず敷き忘れがないように、一枚ずつ確実に敷き詰めろ!!」

 

真桜「大丈夫! ウチらの隊長が、ウチらに嘘こいた事あるんか? ないやろぉ? なら、安心して行動せえぇ!!」

 

沙和「ウジ虫共! お前達は泥の中で、腰動かして疲れる軟弱野郎か!? ただのクソ虫共は、泥の中でへばっているの! もし、違うのなら、このクソ虫共をヒイヒイ言わせて、お前達ウジ虫の方が雄である事を沙和に見せてみろ!!」

 

パサッ! パサッ! ポチャン! ギュッギュッ!

 

曹兵「おぉ! 足が滑らない! それに、泥で足を取られる心配もない! 少しずつ攻めたてるぞ!!」

 

曹兵「どんどん筵を持って来い!! 敵が少しずつ距離を取っていきやがる!!」

 

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? 曹操軍…千 右岸攻勢 にて ?

 

霞「さーて、ウチらも行くでぇ!! 敵さんが弓を射てこようが、怖い事ありゃせんよぉ? 手に持っとる筵で、振り回すなり前に垂らせば、あんなヘナチョコ矢なんぞ───当たりゃせぇへんって!!」

 

春蘭「愛紗との対戦では良いモノを見せてもらった! 今度は、この夏侯元譲の武を刮目するがいい!!」

 

霞「へぇ〜! ウチの目は武に関して、めちゃこえとるでぇ? なんやて颯馬軍師率いるアノ軍勢を見てるぅさかいなぁ!!」

 

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? 曹操軍…千 左岸攻勢 にて ?

 

凪「心配する事はありません! 役割をしっかり果たして、曹操軍を勝利に導くのです! 私達の手で!!」

 

風「大丈夫ですからねぇ〜! 心配は不要ですよ〜? この戦い必ず勝ちますから〜!!」

 

★☆☆

 

? 閔純 本隊 にて ?

 

閔純「そんな、馬鹿な! 馬鹿な!! 我らが敗れる訳がぁ!? ハッ! う、後ろの部隊は!? 数十万の兵は!!!」

 

閔純は、後ろを振り返り、待機しているはずの部隊を見ると───

 

 

***   ***   ***

 

? 本隊後方 数十万待機場所 にて ?

 

??「ぶるるぅぅぅわあぁぁぁぁ──────!! 

 

誰ぇぇ──だれなのぉぉぉ────!! 私のお気に入りの下着を盗んだ人はぁ────────!!!!」

 

黄巾兵『か、神の怒りだぁ─────!』

 

黄巾兵『し、知らん! 俺は、コイツに脅迫されて………』

 

黄巾兵『俺も知らねぇぇ────!!』

 

??「早くぅ──! 私のぉ、お気に入りを返すのよぉ───!!」

 

 

謎の漢女が乱入し……『阿鼻叫喚の犯人』『跳梁跋扈する漢女』『喧々囂々たる黄巾兵士』となり、混乱・紛糾・驚愕・波乱・猥雑・混迷・動揺という二字熟語が並べられる程の状態に陥っていた。

 

 

***   ***   ***

 

閔純「は、はっはは……。 ハ─ッハッハッハッハ──! 

 

我ら、青州黄巾兵がぁ! この人数でぇ! 曹操軍の数十倍の人数で!!  ────負けると、負けると言うのかぁ!!!! 」

 

曹操軍を優に越える人数で、攻め込んだ筈の閔純だが………堅固な砦、奇抜な策、精悍な兵士により悉く阻まれて、今に至る。

 

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? 黄巾賊 左右別働隊 にて ?

 

左右の舌状台地上を攻める黄巾隊も、本隊を救おうと動く様子を見せるが、泥状の平原に踏み入れるのに躊躇している。

 

確かに、入れば、中央奥に居る総大将を救うために、泥の中を進むしかない! だが、それを行えば、間違いなく左右の砦より射かけられ、倒されるのは明白。 泥の中では避けるのは、至難である。

 

それと同時に青州黄巾兵達から、閔純に対する疑惑が沸き起こっていた。

 

漢王朝が『北郷一刀=天の御遣い』を不定した事は、青州黄巾賊にも知れ渡っている。 だが、元々漢王朝に反旗を翻し、不定するために立ち上がった集団。

 

その教祖『張角』が亡くなった後、ただの盗賊集団になっていた青州黄巾賊を纏めて組織化したのが、閔純である。

 

新たな『神の御遣いの代理』を標榜した閔純が現れ、数々の不思議な出来事を披露し、人心を掌握せしめて、青州黄巾賊の長となる。

 

( ………不思議な出来事の一つに、拷問に近い事を行っても興奮状態になり、恍惚の表情を浮かべたそうであるが…… )

 

その閔純率いる集団が、自分達の信じる『神の御遣い』と殆ど同じ容貌、知らざる知識、そして限られた者しか知らない筈の『天の言葉』を知っている事実に、心底驚きを隠せない!

 

しかも、閔純しか会わないと言う『神の御遣い』と違い、『天の御遣い』北郷一刀は、姿を現して前線で一般兵士と共に戦う!

 

そのような魅力溢れる人物を、閔純は完全不定し討ち滅ぼすべしと命じる。 こちらの代理は、本隊に腰を据え、顎で黄巾兵を駒のように扱うのに………。

 

 

────果たして、どちらを信じるべきなのか?

 

 

これだけの器の差を魅せられば、反抗する意志も無くなるのも無理はない。 それに『天の御遣い』に、これ以上仇なす事を恐れた結果もある。 

 

そのため、表向きは『砦からも矢を射かけられている状態ゆえ、すぐに行動を移す事が出来なかったという理由』で、閔純救出には素早く動かなかったのである。

 

★★☆

 

? 曹操軍側 中央砦付近 にて ?

 

鈴々「ふぅ───! 酷い目にあったのだぁ!!」

 

季衣「なにおぅ! ボクが助けなきゃ、ちびっこがやられてたんだからな!! ボクに感謝して当然なんだのに、文句いうなよ!!!」

 

鈴々「にゃあー! 服が泥だらけなのだぁ〜! ────あれっ?」

 

季衣「───どうした? えっ? あ───っ! あの敵将!!」

 

鈴々「華琳お姉ちゃんに聞いた、敵で一番偉い将なのだぁ!!」

 

季衣「こらぁ! 華琳様と呼称を付けろ!! それより、早く捕らえなきゃ!! えーと、筵、筵……………」

 

鈴々「チビペタハルマキ! そんな所探しても無いのだぁ! ここから剥がして持ってくのが、早いぞぉ!!」

 

季衣「ハルマキ言うな! ──って、本隊砦で使用している筵じゃないか!? 壁を貼る間が無いから筵で誤魔化したって、兄ちゃん言ってたけど。 えっ? それを利用する気なのか!! 華琳様のお許し貰わなきゃ──!!」

 

鈴々「それじゃ逃げられるのだぁ!! 『兵は拙速を尊ぶ』と言うから、逃げるのも食べるのも、攻撃するのも早い方がいいのだぁ!!」

 

季衣「 (゚◇゚)ガーン …………ちびっこから正論を教えられた。 でも、そうだな! うん! すぐに取りに行こう!!!」

 

(───この戦い終了後、華琳より、その言葉の意味は違うと言われ、愛紗達と共に勉強を強行する事になった鈴々である。

 

孫子に曰わく『兵は拙速を聞くが、未だ巧久を睹ず』……『多少拙い戦い振りでも戦を早く終わらした話を聞いてるけど、長期に巧みな戦術使って勝ったよ!っと言う話は聞いたことないぜ!』が正解 )

 

◆◇◆

 

【 久秀、再び暗躍す の件 】

 

? 渤海 麗羽居城 司馬懿仲達私室 にて ?

 

久秀「───そう。 分かったわ、下がりなさい!」ヒラヒラ

 

白装束「───────」スゥ──

 

順慶「どうしましたの? 『 些細な事よ……青州黄巾賊が壊滅の危機に陥っているんですって 』 ──まぁ、私はどうでも良いですけど、貴女が困るのでは無いですの?」

 

久秀「誰がぁ? あぁ……久秀の玩具の事を心配しているのねぇ?」

 

順慶「………貴女の耳は、聞こえが悪いようですのねぇ? 一人称に貴女を使ったのに、なんで『おのこ』の心配になるのですか?」

 

久秀「取るに足らぬ事を言うから、耳から抜けただけよ。 勝敗なんて二の次の次なんだからぁ〜」クスクス

 

順慶「久秀! 貴女は一体、何を狙いで手駒の兵を………」

 

久秀「クスクス……順慶如きに判断出来るか分からないけど……折角、話掛けてくれたんだもの。 説明をしてあげるわ……」

 

順慶「その高飛車な態度が気に入りませんが……分かるように説明して貰いましょう! もし、不十分な答えならば……殺しますよ!?」

  

久秀「────はいはい。 まず、黄巾賊の信仰の柱を張角より『神の御遣い』に替えた。 これは分かるわよね?」

 

順慶「私が役を演じたのですから、当然ですわよ? 貴女も、あの男に大道芸を少し教えたようですけど……………」

 

久秀「大多数の人は……自分が出来ない事を行える人物を尊ぶ、哀れで愛しい従属習性を持つ生き物。 中には認めない輩も居るけど、苦痛と快楽を相互に行えば、直ぐ素直に認めてくれるわ!」

 

順慶「貴女の調教哲学を聞いてる余裕はありませんのよ? 

 

それで、調教済みの手駒である青州黄巾賊を曹操軍にぶつけて、この状況ですけど、どうされるのですか?」

 

久秀「……選択は幾つか別れていたの。 

 

第一が『勝敗』、勝てれば曹操軍を壊滅させて、大陸統一直前まで行かせる。 だけど………この選択は、消えたわ。 

 

第二が『黄巾賊が、この後どうなるか』ね。 普通に殲滅すれば百万の軍勢ゆえ、怨嗟の声が周辺に広まるのは間違い無し。 そうすれば近隣の治安、新たな領地の民意が、素直に従うとは思えないけど…」

 

順慶「では、もし『賊達を取り込んだら』………?」

 

久秀「可能性としては高いわね。 麗羽との勢力差は圧倒的だし、挽回するには、精強で名高い青州黄巾賊が必要。 向こうに居る北郷一刀も、知識で知っている筈だもの…… 」

 

順慶「……………………」

 

久秀「………もちろん、そうなるように久秀が、お膳立てして上げた結果もあるのだけどね」クスクス

 

順慶「………フゥ」

 

(順慶は呆れて部屋を立ち去る…その途中……久秀が声をかける!)

 

久秀「待ちなさい! 貴女には大事な仕事があるのよ。 今から言う二人を攫ってきて! ○○○と◎◎をね………」

 

◇◆◇

 

【 鈴々の策 にて 】

 

? 閔純本隊 中央平原 にて ?

 

閔純「幾ら……苦しいのが……好きだと言っても、こんな敵に追われる……苦しみなど、嫌だああぁぁぁ───────!!」

 

閔純は、泥沼と化した平原を馬で逃げ惑う。 周辺には、自分が率いていた兵士が屯って(たむろって)いたが、お構いなしに跳ね飛ばす!

 

ドンドン! 「グハッ!」 「──び、閔純さまぁ!!」 グシャ!

 

閔純「俺は『神の遣いの代理を担う者』!! 俺が──死んだら、誰が、その役を担うんだぁ!? だからぁ! 俺は死んではならん! 味方が何百、何千、何万が死のうと、俺一人が遥かに尊い!!」

 

───途中で、馬が力尽き……それを打ち捨て、ひたすら泥の中を進む閔純! 全身泥だらけになるが、そんな事に構ってられない!

 

他の曹兵達が、捕らえようと筵を用意するが、馬で移動していた分、体力が残る閔純の逃げ足は早く、準備した分では足りない!

 

このまま行けば、逃げ切れると思いきや、そこに立ちふさがる二人の将が居た!!

 

鈴々「筵は持ってきたのだぁ! こっちから攻めたてろぉ!!」

 

季衣「………理由は分からないけど、言うとおりに動けぇ!!」

 

鈴々と季衣は、多数の筵を用意して兵士に分け与えて、指示を出す。

 

    ある一帯に追い込みために───

 

閔純「ハァー ハァー! しつこい奴らだ───ああぁぁぁ!?」

 

 ドバァ────ンッ!!!  

 

閔純「ブハッ━━━━!!」

 

閔純は、急に足へ何か引っかかっり、泥沼へダイブする!!

 

閔純「な、なんだぁ!? 何が起こったんだぁ!?!?」

 

慌てて見れば、平原の草が……左右で結ばれアーチ状の罠が作られている!! 泥沼と化しているが、短時間のため草も根付きがよく、そう簡単には抜ける事はない!!

 

 

▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲

 

鈴々の奇計

 

《 ?泥草足刈の計? 》

 

▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲

 

 

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鈴々「街の子供達と遊んでいた時、教わった罠だのだぁ!!」

 

季衣「──────ちびっこ! 凄いじゃないかぁ!!!」

 

鈴々「お兄ちゃんの合図が来た時に、逃げれる準備していた物が、役に立ったのだぁ………。 ニャハハハハ────!!」

 

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閔純「おのれぇ──!! 童の遊び如きに引っかかるなんてぇ!」

 

  ガバッ!! ダッ!    ────グィ!! 

 

  

  ドバァ─────ンッ!!  

 

 

閔純「ガハッ───!!!」

 

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鈴々「そう簡単には、逃れないのだぁ!! 兵の皆に周辺一帯に結んでもらったから、無理だよ〜だぁ!!!」

 

季衣「えっ? 兵士達に? 何人に頼んだんよぉ〜!?」

 

鈴々「え〜とぉ、五百人で数回結んで貰って………」

 

季衣「ボクと流琉が伏せていた時か……って、それじゃ、あいつのとこまで、どうやって行けば………」

 

華琳「お手柄ね! 鈴々!! 」

 

季衣「華琳様〜! だけど、あいつを捕らえるのに、罠だらけじゃ此方も引っかかりますよぉ〜!!」

 

華琳「あら? 貴女達の筵は、そのために用意したのではないの? それを被せながら通れば、罠に掛からず取り押さえる事は可能よ?」

 

季衣「────あっ!?」

 

鈴々「華琳お姉ちゃん、頭いいのだぁ!!」

 

華琳「こんな機転も利かなきゃ、覇王なんて目指してないわよ! 

 

───兵士達よ! 曹孟徳が命じる! 敵将を捕らえよ!! 生きている者も救助せよ! 刃向かう者は容赦するなぁ───!!!」

 

曹兵『ははあぁぁぁ─────────!!!』

 

 

 

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結果

 

青州黄巾賊…………約百万

 

戦死………約一万五千  負傷者………約二万人

 

曹操軍………………約一万

 

戦死………約三千    負傷者………約二千

 

投降兵士及びその家族………約六十万

 

 

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【 戦後処理 の件 】

 

? 曹操軍 野営地点 にて ?

 

左校「どうかぁ! どうかぁぁぁ!! お願いしますよぉう!! 何卒、我々を………貴方様の配下の末席に入れて下さいぃぃ!!! 」

 

大洪「青州黄巾賊一同、貴方様に従いますぜぇ!! 旦那!」

 

一刀「……………どうすればいい、華琳?」 

 

華琳「ふん! 私から独立して青州で牧でもやってみる? 桃香達が大喜びするわよ!! 『おい、冗談でも───』 冗談じゃないわよ? 猛威を振るった青州黄巾賊達が、一刀に全員仕えたいって、どういう事なのよ!? 」

 

左校「我々は、貴方を『天の御遣い』として信じています!! あの未知な策、その風貌、そして……書かれた『天の文字』! 紛れもない御遣い様です! どうか、我々をお救い下さい!!」

 

一刀「いや、あれは教科書の知識………」

 

桂花「─────全く! アンタねぇ、私達に相談も無しに、変な策立てないでよ!! アンタの事…べ、別に心配する訳じゃないけど、段取りと言う物があるのよ! 段取りがぁぁ!!!」

 

雛里「ですが〜、私達の修正が幾つか入っているとはいえ、元は一刀さんの策ですから、関連の仕方は予測できません!! 変に弄くると策が変化して、私に被害が及ぶ可能性も………!」

 

朱里「一刀さん!! 是非、あの策を教えて下さい! 元を知れば更なる進化した策を作り出せると思いますので!! 鈴々ちゃんだって、あんな凄い策を立てられたら──軍師としての立場が!!」

 

一刀「え、え──と ………これらの策の元は………」

 

 

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☆芥川流 蜘蛛糸の計……『現国』に書いてあった物語より。 

 

仏の慈悲である蜘蛛の糸を、己自身だけで助かろと願い使用して切れた哀れな男の話より。

 

 

★墨俣、石垣 一夜二城の計……『歴史』に記載。

 

ある天下人の『足掛かり』と『とどめ』となった陣地造り。

 

 

☆莚返しの計 火炎莚の計……天の国で見た隠し芸及び料理から。 

 

年末年始でよく見た大道芸(テーブルクロスを引いて上の品を残す)、筵じゃないけど、何かを巻いて焼いて調理したのを参考。

 

 

★赤坂、千早城の謀計……『歴史』に書いたあった策。

 

とある忠臣の華麗なる戦い振りを書いてあったのを拝借。

 

 

☆唐人凧 の計……『地理』に書いてあった策。 

 

『天の国』にある童の遊び。 『顔』は、ある場所の民芸品から。

 

 

★火遁 灰神楽の術……『忍び』の本より使用。 

 

『囲炉裏』で使用したと記載があったのを、大規模に!!

 

 

☆泥枷遅速の計……『歴史』の本から。 

 

上杉対徳川の戦いで考案された策。 

 

(実際の戦いでは、徳川が途中方向転換して、使用されず)

 

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───────と説明をする一刀。

 

『やはり、天の御遣い様だ──────!!』と叫び、飛び付く左校と大洪。 ちなみに……二人共……男性である。 

 

桂花「どう考えれば、そんな策を『物語』から編み出せるのよ! この加虐思考妄想家、猟奇趣味的非現実主義者、脳内暴虐発想転換変態男!!!!」

 

春蘭「おおぉぉ────っ!? 秋蘭! 桂花の罵倒って何と言っているのだぁ!?」

 

秋蘭「フッ、余程………一刀、鈴々の策に嫉妬しているのだろう」

 

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? 同じく野営地 別場所 にて ?

 

桃香「……………愛紗ちゃん。 黄巾賊の家族の人達って見た?」

 

愛紗「───はい、この目で見ました。 私達の守る民達と何も変わりは………ありませんでした。 ここの賊達が精強な理由……それは『守るべき家族』が居たためだったからかも……しれませんね? 」

 

桃香「一刀さんを『御旗』として、あの時…頑張ってきたけど……私達は、敵対する人達と話をした事ってあったのかな…………?」

 

愛紗「…………………………」

 

星「……私が知る限りは、一度もありませんでしたぞ? 『桃香様』」

 

桃香「あはは……、久しぶりに様付けで呼ばれるね、星ちゃん?」

 

星「……今の桃香様は、君主の顔をしていた為、呼称を付けさせて戴いたまで。 それに、華琳様の目も無いもので………」

 

桃香「………私は、忘れていたのかな? 『周りの人を笑顔にしたい!』と願って立ち上がったのに…………私に刃向かう者を容赦なく討伐して、いい気になっていたかも知れないね………」

 

愛紗「そんな事は………!」

 

星「あるだろう? 黄巾賊討伐戦で董卓軍を悪者と名指し、水関で敵将に叩かれて、涙目になって座り込んでいたのは……どこの誰かさんは、忘れてしまったのかな?」

 

愛紗「〜〜〜〜〜〜〜!!」

 

星「董仲穎様や天城颯馬殿は、決して暗愚でも野心家でもありますまい。 もしかすると、漢の忠臣しかもしれませんぞ?」

 

桃香「だけど………私や華琳様に、様々な仕打ちを………」

 

星「 ───今一度考えられよ。 我々を壊滅させる時が、何度もあった筈だが……何もせず、このように自由にさせている。 これを不思議に思わんか? 桃香様、愛紗よ?」

 

愛紗「だが! 今回のこれは、どうだ!? 一万対百万……どう考えても勝てる要素はなかったぞ? ご主人様の活躍が無ければ……!」

 

星「確かに主の活躍は認める。 

 

だが、一番重要な情報を調査したのは、お主が毛嫌いしている『天城颯馬』配下のおかげと知っておくがいい。 

 

しかも、主が危ない時に、張文遠殿と凪が少数の奇襲を仕掛けて、相手を混乱させたと聞いているぞ? 

 

愛紗「確かに、張文遠や凪の活躍は知っているし、感謝している。 しかし、情報を得るために、奴らからの手を借りたのか!? 」

 

星「 雛里の話から聞いたが、かなり悩んでいたそうだ……あの覇王様がな。 『黄巾賊』と名の賊徒だと思っていたが、向こうも『天の知識』を流用して、情報を遮断していたらしい…………」

 

愛紗「なら、天城達の罠ではないか!? これらの戦いは自作自演で我々を滅ぼすことも、恩を着せる事も自由自在! あやつらの手の上で踊っていたに過ぎぬのかぁぁ!!!」

 

星「………今、捕らえた敵将と主に取り入ろうとしている将達の話からして、教えたのは『金髪、白い服装の女』だ!」

 

愛紗「天城の仲間は急に増える! 別に不思議では無かろう!!」

 

星「………いや、思い当たる節がある。 天城殿達と敵対する『御遣い』が一人いてな? 危なく命を落としそうになった………」

 

愛紗、桃香「「なっ───────!!」」

 

星「孫策軍の周幼平殿に救われ、共闘して何とか対峙できた武人がいる。 最終的に天城殿配下の者に救われ、無様に逃げて来たがな…」

 

桃香「…………その事を知ってる人って居るの?」

 

星「……私以外に朱里、真桜、沙和の三人。 強いて言えば、共闘してくれた周幼平殿となります」

 

愛紗「だが…………黄巾賊に知恵を授けた者が、その者かどうかなど………わかる筈が…………」

 

星「はぁ……疑り深い馬鹿姉殿だ。 そう思って敵の将『閔純』と申したか、あやつに会いに行き、鎌をかけて同一人物か確かめてみたのだ!」

 

***   ***   ***

 

星『────お前達の御遣い様も捕らえたぞ! ほれ! 頭に付けていた装飾具《 白いリボン 》だ! 洗いざらい吐いてしまえ!』

 

閔純『馬鹿め! あの御遣い様がお前達に捕らえられるハズがない!! ほれ、その証拠に……御遣い様の頭の装飾具は、黒とお決まりになっている! 下手な虚言を─────!!』

 

***   ***   ***

 

星「………と暴露してくれた。 他にも顔立ちや体型、性格も同じようにしたら、実に素直に話してくれたよ。 

 

結果は、間違いなく──あの御遣いだったがな。

 

フッ……お主も、あれくらい単純なら助かるのだが。

 

いや、失敬……そのくらい疑り深ければ、弄り甲斐があるというものか」クククク……

 

愛紗「分かった! それ以上喋るな!!」

 

星「……後、これだけは言わせてくれ! 

 

私と雛里は共に、董仲穎様と天城颯馬殿が主と会見した場に居たのだ。 その分、人柄も分かる……私見で言えば、あの御仁達の目指している場所は、我らより高いぞ!! 」

 

桃香「一刀さん……は? 一刀さんは、董仲穎様や天城…様をどう思っているの!?」

 

星「………今までの行動を省みれば、申し上げるまでもないでしょう!!!」

 

桃香、愛紗「───────────!」

 

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? 曹操軍 野営地 にて ?

 

稟「『天の国の教科書』と言う軍略書。 読んで妄想すれば……軍師の勉強が出来るという素晴らしさ……。 そして、それを読む私のすぐ傍に何進様と颯馬殿が左右より近付き、私の耳元に…そっと息を吹きかけて……そのまま寝台に………… 」

 

風「稟ちゃーん、北郷のお兄さんの服を、紅白模様に変える気ですか? 祝いの席にピッタリですが…血生臭いのは…ちょっと…勘弁して下さいねー?」

 

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? 同じく ?

 

鈴々「お兄ちゃん!! 鈴々ねぇ! 鈴々ねぇ!! 大活躍したのだぁ!! 誉めて誉めてぇ!!!」

 

雛里「……はぅ! 落ち込むますよぉ…落ち込んじゃいますょぉ…」

 

朱里「……鈴々ちゃんまで……あんな策を準備………してたんだもん……私だって……落ち込んじゃうよ」ガクッ

 

季衣「ボクだって、ちびっこ助けたり大活躍したのにぃ──! あれっ? 流琉……顔が赤いけど……………?」

 

流琉「う、うん! 大丈夫! 大丈夫だから!!」

 

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? 同じく ?

 

霞「北郷一刀かぁ……凪っちは、勿論知ってるな? どんな男や

? 宗茂が佩刀を切られたと言うて、道雪はんと紹運はんにドえらい勢いで叱られ、ベソかいてたがぁ───」

 

凪「私は……その時、颯馬様に背負っていた……だいて……その、気絶して……たので、詳しい状態が分かりません! でも、『天の国の武術』を嗜んでいるという事で、私も教えていただきました」

 

霞「ふ〜ん、結構強くて、ウチらが知らんやり方で攻め寄るかぁ? ───おもろいなぁ!! ウチも相手して貰おっと!!!」

 

凪「………やれやれ………」

 

 

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    『 曹孟徳、青州黄巾賊を下す! 』

 

 

 

その報、大陸各地を巡り、他の軍閥は警戒を露わにする。

 

この後、陳留に帰還した後、青州黄巾賊を取り込んだ曹孟徳は、その中から三十万の精兵を選びだし、『青州兵』と名付け軍の要と据えた。

 

ただ、青州兵側と約定が結ばれ、『 我らが忠義を尽くすのは、《 北郷一刀 》のみ! 北郷一刀が亡き後、我らは元の青州農民に帰す事とする! 』とした。

 

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曹孟徳の臣下達は、北郷一刀の謀反やら独立の恐れを訴え、約定を許可しないようにと曹孟徳に諫言したが…………

 

『一刀が私を見限るのなら、天が私を見限ったのと同じ事。 それなら甘んじて受けねば、覇王として、曹孟徳としての矜持が許さない!! 

 

………それに、あの戦いの功績は、あのバカのお陰なのに、相変わらず自分の功績を認めないのよ。 

 

《 自分は戦えない分、知恵を出した! 真の功労者は、俺じゃなくて実際に命掛けで命令に従ってくれた兵士の皆だ!! 》って。

 

だから、伝え聞いた兵士達が感涙するわ、北郷様に褒美を!と署名集めて挙げてくるわで、大騒ぎ!! これくらいしなきゃ収まり着かないのよ……。 少しは……私の事も考えてくれてもいいのに… 』

 

と、気のせいか……ちょっと頬を膨らませて、諫言を却下したと云う。 

 

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そして、体制を整えた後日、青州へ曹操軍、徐州に旧劉備軍が進行!

 

青州は、曹操軍に刃向かう者は制裁を下し、臣下に下る者は心よく迎え入れ軍を強化。 

 

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徐州は、旧劉備軍が戦を好まず、まず話し合いから行い説得、有無を言わせず戦いを挑む者は打ち倒し、徐州牧『陶謙』の居城へと向かう。 

 

『陶謙』は、今の世を自分のような古き者が、国の舵取りしても良くないと考え、劉玄徳の説得に応じて対談。 その人柄を探っていた…………。

 

劉玄徳は、陶謙の顔をジッと見つめながら、徐州に侵攻した事の意味を話す。 

 

桃香「青州黄巾賊を曹孟徳様が討伐しましたが、これで平和になった訳ではありません! いつどこで、青州黄巾賊並みの兵団が現れるかなんて、殆どの人が………わからない事ですから!!

 

ですが、私達は漢王朝の臣です。 民の為に、命を捨て守らなければならない義務があります! 

 

しかし、現実に漢王朝へ進言し手助けを待っていても、助けてくれるまで何日もかかり、待つ間に多数の被害を被る事になるでしょう!! 

 

ですから、曹孟徳傘下に入って下さい!! そうすれば、曹孟徳配下の優秀な将軍が時間を置かずに助けてくれます! 統治に関しても、近隣にも噂は流れてるほど良好ですから! どうか、民への被害が及ぶ前に、是非、お願いしたいのです!!」

 

陶謙は考えている。 曹孟徳の治世は、目に見張るものがあるのは事実! 人材も多いため将来も有望だ。 

 

それに、徐州侵入に武力を率いながら、あえて使わず、各地の城を数人の家臣と共に、説得に当たる様子を聞いていたため、好意的に捉えていた。

 

『──噂に聞き及んでいた優柔不断さは確かに見える。 しかし、目の奥に光る決意の意志は、他の若者には見えぬものだ。 背後に、あの曹孟徳がいる事だしな。 間違いを起こす事は………少なかろう! うむ!! 』

 

陶謙は、総合的に判断して劉玄徳を信じる気になり、徐州牧の印を渡し、徐州牧を譲り渡す事になった。

 

────────────────

 

洛陽側は、帰ってきた稟、風達より報告を受け、新たな州牧任命の勅命を発行し使者を出す。

 

古き秩序を潰し、有能な者を残す『蠱毒の計』を実行する颯馬。

 

果たして、結末は如何に…………

 

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あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

これで、青州攻略編終了となります。

 

次回から『官渡の戦い』を準備したいと思います。

 

颯馬達の話も、多少入れたいとは思いますが。

 

また、宜しければ読んで下さい。

説明
義輝記の続編です。 宜しければ読んで下さい! 4/30誤字、文章の修正をしました。
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コメント
理由を言うと、ネタバレになれますので一つだけ。 この外史には『長坂の戦い』があります。 誰が逃げるのか? ………これが久秀の策、最終段階になり、何故巨大化したかの答えです。(いた)
禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! 確かに漢王朝の命令との明記は入れてありません。 颯馬の意図として黙認状態の事を『雷雨の章』最後の話に『颯馬の意図』と言う事で、三者の勢力拡大を勧めて最後の群雄を倒す旨を書いてあります。 わかりにくくてすいません。(いた)
颯馬の言葉で重圧から解放されキャンデー〇の様に普通の男の子の戻れた一刀君、ですが今度は無責任に流民(黄巾賊)から天の御遣いとされかけてる、巨大に膨れ上がった民意は時に巨悪だ。どうするのか心配です頑張り過ぎる傾向があります故。久秀様が…来る。(禁玉⇒金球)
理解を示した桃香が徐州侵略し仕事をこなした、利と理に言葉と暴力は共存しないと話し合いにも持って行けないのです話し合いの解決とはそういう物なのです。所で質問が、徐州侵略は拙いのではと思いまして漢王朝のお墨付きでしたか?、読み落としがあったら申し訳ありません。(禁玉⇒金球)
雪風様 コメントありがとうございます! 専業軍師でしたら、策を破られば第二、第三の策を準備しますが、一刀は借りた策ですので、次の策が浮かびません。 忠告感謝です。 計略も地力あってこそ生かせるモノと考えてます! (いた)
本物軍師(颯馬)と、ある意味模写軍師の一刀・敵対せねばならぬ時こそ真価が問われる・・・。そしていつも策は万能でないことをお忘れなきように・・(雪風)
次回から、官渡の戦いに移行しますが、久秀が……この時、動きます。 史実通りの勝敗にならないと、それだけ報告いたします。(いた)
naku様 コメントありがとうございます! 良いですねぇ、その台詞。 思いつけば良かったなー。 最初に接触したのはメンマとあわわでしたのでこうなりました。(いた)
教科書の知識も見方を変えると、策になるという話です。 ある漫画の台詞で『教科書を記憶して、テストで百点連発するのは天才ではない。 記憶して、知識を有利に運用できる者が天才だ!』と言うよな事を。 一刀も機知の運用に関して天才だったのでしょう。(いた)
Jack TIam様 嬉しいコメントありがとうございます! 桃香の成長と言うか、如何に物事を気付かせるかと悩んだ結果、このようになりました。 星は、こんな一面もあると示したかったので、説得役に回ってもらいましたが、基本メンマ大事なの人です。 愛紗も時間は掛かりますが、理解してくれるでしょう。(いた)
続き 一刀の策、惚れ惚れするほど見事でした。何事も勉強ですね。思わぬところで思わぬものから策の原案を見出すこともあるようで…機転は無印時代から一刀の強力な武器でしたし。学業成績とは別の頭の良さを感じますね。(Jack Tlam)
桃香はようやく気付いたのですね。自分達がどういう存在であったか。でも愛紗はまだ颯馬達を悪党にしたいのか…自分達に敵対する者はすべて悪、という強迫観念じみた考えでも持っているんでしょうかね。星の冷静さが光りますね。(Jack Tlam)
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