戦国†恋姫〜新田七刀斎・戦国絵巻〜 第9幕
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第9幕 邂逅

 

 

 

 

 

 

 

 

長尾家老の1人宇佐美の隊5千が戦列に加わり、状況は拮抗となった。

ここで武田が撤退してくれれば、こちらも退くことができる。

 

しかし、相手方の動きは予測されたものとは違っていた。

 

「なんだ?急に攻撃をして来なくなったし、退きもしないぞ?」

「にらみ合いにして向こうの援軍を待つとか?」

 

美空の言うことは理に適っている。

その可能性は十分にあった。

 

「とにかく、こっちだけでも撤退の準備をしとこう。松葉と秋子さんにもそう伝えておいて」

「すっかり軍師気取りね」

「そうしろって言ったのは美空だろ。早くするよ」

「はいはい」

 

(とはいえ、まさか剣丞にこんな才能があったなんてね)

 

剣丞の指揮と作戦は大したものだ。

年も鑑みると、かなり優秀な部類に入るだろうと誰もが思うところだった。

 

「そういえば、柵の製作をしてくれてた隊は?もう合流したのかな」

「確かに、あれから知らせがまったく来ないわね」

 

帰還の準備をする彼らに、伝令の兵が近づく。

 

「報告!森で作業をしていた部隊が壊滅したとのことです!」

「なんだって!?」「なんですって!?」

 

突然の報告に驚きを隠せない2人。

 

「武田にやられたの?」

「いえ、作業中、急に化け物が襲い掛かって来たと瀕死の状態で帰って来た隊の者が」

「化け物・・・?」

 

化け物という単語に、顔が青くなる剣丞。

 

「その人は今どこにいるんだ?」

「その者は今の報告をして、もう・・・」

 

伝令は顔を俯かせることを事実として伝えた。

 

「クッ、その森はこっから西にすぐだったな!?」

「はっ、はい!」

「その馬貸してくれ!」

 

剣丞は美空の馬を降り、伝令兵に頼んで馬を借りた。

 

「ちょ、ちょっと剣丞!?」

「美空は先に撤退の準備を進めておいて!俺はその森の様子を見てくる!」

 

剣丞は美空の返事を聞かずに、1人森を目指し駆けて行った。

 

 

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一方武田勢は、一二三が帰ってこないことにより、進退窮まっていた。

 

「攻撃はしないで!武藤が帰ってきたらすぐに撤退します」

 

敵が合流した以上、これ以上の攻撃は無意味だ。

かえって、こちらの損害の方が大きくなるかもしれない。

 

だが一二三を置いて退くわけにもいかなかった。

 

(一二三ちゃん、どうしちゃったの・・・!?)

 

長尾からの攻撃が無いことが、幸いであった。

 

 

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 森

 

一二三は、今まで見たことがない文字通り化け物と対峙していた。

 

「なんだいこりゃあ、何かの夢かい?」

 

話しかけるも、向こうからは何の返事もない。

あるのは定期的に出される唸り声のみであった。

 

「ガウゥゥゥゥ」

 

(話が通じる相手じゃなさそうだね・・・連れてきた連中も多分全滅か)

 

一二三は知略での戦いが好きだとはいえ、武芸に通じていないわけではない。

しかし、目の前の化け物にそれが通用するかどうか。それが予測不能だった。

 

「ここは・・・逃げるに限るね!」

 

化け物に背を向けないよう、横走りで駆け出す一二三。

しかし、化け物は恐ろしいスピードで彼女の前に回り込んできた。

 

「なっ、見かけに似合わず随分な俊敏さじゃないか」

 

認めたくない焦りが額を濡らす。

気付けば化け物はその数を増やしていた。

 

(1、2、3・・・ざっと10体ってところかね。さて、どうするか)

 

対峙している化け物の後ろから次々と現れる他の化け物。

今のところ囲まれてはいないようだったが、勝てる見込みもなかった。

 

後ずさりし、木が背中にぶつかる。

20個の凶暴な光が、彼女を貫かんばかりに睨んでいた。

 

(ここまでか・・・いや)

 

一二三は1歩進み、化け物たちを見据えた。

 

「やってみなくちゃ、わからないさね!」

 

戦うつもりは毛頭ない。しかし逃げるつもりは大いにある。

しかし、再び見た化け物は自分とは違う方向を向いていた。

 

 

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馬を走らせること15分ほど、作業現場と思わしき場所に剣丞は着いていた。

 

「ひでぇ・・・」

 

辺りは血の海で、人の死体と人の形をしていない何かで埋め尽くされている。

 

「この殺し方・・・人間にできるものじゃない」

 

ならば、と考える。

答えは1つだけだった。

 

「生き残りがいるかもしれない・・・探そう」

 

剣丞は再び馬を走らせ、森の中を行った。

 

「誰かーッ!生き残りはいないのかーッ!?」

 

必死に声を張り上げる。

しかし、帰ってくるのは鳥の羽ばたきや動物の鳴き声だけであった。

 

伝令の来た時間から考えると、襲撃からかなりの時間が経っている。

しかも数百人の部隊が壊滅したほどの鬼となると相当の力か数があるだろう。

七刀斎なら喜びそうな状況だったが、剣丞はとても笑えなかった。

 

「ッ、あれは・・・?」

 

周囲に気を配りながら馬を走らせ、しばらくしてから少し前の方に座り込んでいる人影を見た。

 

「女の人・・・兵隊には見えないけど、旅人か?」

 

この場所に生きている人間がいる。

その事実を救いに、剣丞は馬を降り座り込む女性に近づいて行った。

 

「大丈夫ですか!?」

「・・・あ、あぁ」

 

見たところ女性に怪我の類は無い。

話せるということはそれだけ元気のである証だった。

 

しかし女性は剣丞を見ると、驚いたように目を見開いていた。

 

「き、君は・・・?」

「あぁ、怪しいですよね・・・こんな格好ですけど、俺は普通の人間です。名前は新田七刀斎と言います」

「そ、そうかい・・・私は一二三だよ」

 

一二三と名乗った女性は予想外の事が続いたことにより内心少しパニックになっていた。

 

(まさかさっき見てた仮面の男が目の前に現れるとはね・・・)

 

「この辺で武田と長尾の小競り合いがあったって聞いたんだけど、君はそのどちらかかい?」

 

戦の事に興味がある好奇心旺盛な旅人という設定を瞬時に作り出す。

剣丞はその巧みな話術にいつの間にか巻き込まれていた。

 

「ああ、俺は長尾の方についてるんだけど・・・この辺で味方が化け物にやられたらしいんです。何か知りませんか?」

 

化け物という単語が一二三の脳内を再び支配する。

 

「会ったよ・・・その化け物ってやつ」

「本当ですか!?それはいつ?」

 

一二三は幾分か余裕を取り戻し、自分も落ち着かせるためにゆっくりと話し始めた。

 

 

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 少し前

 

数えること10体の化け物が一二三から視線を外し、まったく別の方向を見ている。

 

(なんだ・・・?)

 

注意しながら化け物たちと同じ方向を見ると、草木を掻き分けて接近する1つの影に気が付いた。

 

(人?旅人か?まずい・・・ここは危険だ)

 

しかし、森の中を右往左往する旅人にしては異様にしっかりとした足取りで真っ直ぐこちらに向かってきている。

一二三はその近づいてくる影も危険人物だと判断し、2方向に気を配った。

 

やがて、真っ白なローブに身を包んだ人間がその場に姿を現した。

ローブのフード部分は顔全体を隠し、裾は足元まで下がっている。

中にいる人の容姿はまったく見えなかった。

 

「・・・誰だい?」

「・・・・・・英傑よ」

 

不思議な声だった。

男なのか女なのかわからない、脳内にただその情報を埋め込まれる声。

はたしてそれが声なのかどうか、一二三には判断しかねられた。

 

「この化け物、知ってるのかい?」

「・・・・・・英傑よ」

「駄目かこりゃ」

 

ため息をつく。

目の前にいる人物は間違いなく人だ。

人のはずだ。

 

「英傑よ、鬼を畏れなさい」

「鬼?」

 

ようやっと会話らしい会話ができた。

鬼というのは、恐らく今対峙している化け物の事だろう。

 

「鬼というのは、その後ろで従えてる化け物のことかい?」

「是」

 

ならば仇だ。

供についてきた者たちの無念は晴らさねばならないだろう。

 

「何故ここに?」

「・・・・・・英傑よ」

 

少しキレそうだった。

これが普通の人間であるなら「ナメているのか」くらいは言えるが、相手は鬼を従えている。

迂闊な罵倒は避けたかった。

 

一二三は今求められる最大の疑問を見つけ出す。

 

「これだけは答えてほしいね、あんたたちは何者なんだい」

「・・・・・・」

 

英傑などとわけのわからない言葉が飛んでこない代わりに、返答までの時間が長い。

痺れを切らしかけた時、またあの『声』が聞こえてきた。

 

「我々は、調律者」

「なんだって?」

「そして我が名は、ザビエル」

 

 

「フランシスコ・ザビエル」

 

 

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「そう言ってその白い奴は鬼とかいうのを引き連れて森の奥へ行ってしまったよ」

 

うまく旅人が鬼に遭遇してそのボスっぽい輩と出会い助けられたという感じに説明する。

しかし起こったことは全て包み隠さず伝えていた。

 

「ザビエル・・・!」

 

剣丞の頭の中で、合点がいく。

 

「そいつらはあっちに行ったんですね!?」

「あ、ああ・・・そうだよ」

「わかりました。あなたは早く近くの町に行った方がいい。ここは危険だからね」

 

剣丞は立ち上がり、馬を呼び寄せた。

 

「この馬あげますから、頑張ってください。じゃ!」

 

そう残し剣丞は森の奥へと走って行った。

 

 

「あれが越後の新しい牙か・・・」

 

一二三はありがたく剣丞が置いていった馬に跨がる。

仮面に7本の刀という恐ろしい風貌からは想像もつかないほどの優しさ。

 

強く興味の湧く男だった。

 

「まぁ、いつかまた会えるさね。鬼とやらのことといい新田という男のことといい、お屋形様に伝えることはたくさんあるね〜」

 

一二三は真っ直ぐ、武田の部隊へと戻って行った。

 

 

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更に森の奥に行き、周囲を確認する。

がむしゃらに走ってきたが、元来た道はわかるつもりだ。

だが、これから身一つで敵の真っただ中に突っ込むと思うと少しばかり足が竦む。

 

『オレはやんねぇぞ。たかだか10匹の鬼なんざ』

「最初から頼む気なんて無い」

 

せめてザビエルの姿だけでも確認できれば良いと思いながら更に森の奥へ奥へと進んでいく。

 

 

やがて剣丞は木の途切れた、広場のような場所に出た。

木漏れ日しかなかった場所から一気に日が降り注ぐ場所は少し暑い。

上を見ると既に太陽は真上を通り過ぎ傾いていた。

 

そして、彼らはそこにいた。

 

(あれは・・・鬼!?)

 

広場の真ん中に佇む1本の大木。

その周りを囲うように鬼たちが座っていた。

 

そして、その中に鬼よりも小柄な、白いローブを確認する。

 

(あれがザビエル・・・このまま行っていいのか?)

 

向こうも既にこちらを確認しているようで、剣丞はローブから来る視線をひしひしと感じていた。

だが、鬼はまるで電池が切れたかのようにその場からピクリとも動かない。

 

(このまま引き換えしゃ見逃してくれそうだな・・・まぁそういう訳にもいかないんだけど)

 

剣丞がザビエルらしき人物へと歩みを進める。

両者の間が10mになったほどのところで、白いローブの下の口がゆっくりと開いた。

 

「・・・・・・北郷か」

「北郷?」

 

一二三の言う通り、発せられた声は声ともつかない、頭の中に直接その情報を埋め込まれるかのような。まるで『データの塊』であった。

それに加えて今目の前にいる人物が発した単語が、剣丞の警戒心を煽っていた。

 

(なんで伯父さんの名前が・・・)

 

「否・・・新田剣丞」

「あ、ああそうだ。お前がザビエルか?」

「是」

 

剣丞は警戒から身構えているが、ザビエルはまったくと言っていいほど動かない。そこに立ちすくんだままだ。

 

「お前が鬼を操っているのか?」

「是」

「なんのために・・・!」

 

鬼が悪事をはたらくところを実際見たことはない。

だが双葉を襲っていたあの鬼は間違いなくエーリカのいう悪鬼そのものであった。

 

「外史のため」

「外史・・・?」

 

慣れない単語に、オウム返しに聞くことしかできない。

 

「我々は調律者。乱れた流れを、元の姿に・・・」

 

ザビエルはひとり勝手に話を進め始めた。

剣丞はわけがわからなくなり、会話の流れを戻そうとする。

 

「あぁストップストップ!どういう意味なんだよ、外史だの流れだの」

「・・・・・・新田剣丞よ」

 

あぁ駄目だ、と察する。

一二三が感じたであろう理不尽さを剣丞も感じていた。

 

「我らの同志となれ」

「はぁ?」

 

ザビエルがローブの間から手を差し伸べる。

意外なことにその手は白く細い、女性のような手であった。

 

「いきなり何を・・・」

「本来の流れを、定められた運命を」

 

剣丞は手を見つめたまま、何も言えなかった。

 

「外史の延命、より良い世界を」

『駄目だ・・・ここで頷くな』

 

七刀斎が珍しく制するような声を上げる。

 

(七刀斎?)

『・・・・・・』

 

その言葉がスゥッと入っていき、剣丞は意を決したように刀を抜いた。

 

「悪いが、断る」

 

切っ先を向ける。

しかしザビエルに動きはなかった。

 

「・・・時期尚早か」

 

ザビエルが剣丞を指さす。

それと同時に鬼も立ち上がり、ザビエルを囲うように立ちはだかった。

 

「クッ!」

「また会おう新田剣丞・・・北郷に連なる者よ」

 

ザビエルの手から何か白い光のようなものが発せられる。

それを見た剣丞はまるで眠るように瞼を閉じ、その場に倒れ込んだ。

 

 

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 長尾勢

 

武田勢が退いたことを確認し、長尾も撤退を始めた。

 

柘榴と松葉は軍の指揮を、秋子は取り残された農民たちの説得を行っている。

各々の役割が定められている中、総大将である美空の姿はこの中に存在しなかった。

 

「御大将、1人で行かせて大丈夫だったんすかねー?」

「言って聞くようなら初めからしない」

「そうっすよねー・・・まぁ御大将なら大丈夫だと思うっすけど」

「柘榴、楽観すぎ」

「これくらい抜いといた方が丁度いいんすよー」

 

 

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「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ――――」

 

美空は森の中で馬を走らせていた。

武田が退却したのは四半刻前。

もう半刻前に隊列を抜けた剣丞はまだ帰ってきていなかったのだ。

 

「あの、バカッ!」

 

森は広い。

 

だが、美空はある足跡を発見していた。

 

「さっきのたくさんの足跡・・・剣丞はその向こうにいるのかしら」

 

伝令の化け物という単語を聞いてから剣丞の顔色が変わったのは知っていた。

 

「まだ私に隠し事してるのは知ってるんだから!早く見つけられなさいよあのバカ」

 

美空は森の中を更に速度を上げて駆け抜けた。

 

 

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 ???

 

燃えている。

 

何もかもが。

 

壁も、柱も。

 

≪剣丞ぇぇぇーーーーーッ!≫

 

燃えている。

 

障子も仏像も。

 

≪いくぞ・・・≫

 

燃えている。

 

横にいる女性と共に刀を構える。

 

切っ先は前。

 

≪決めるぞ≫

≪ああ≫

 

燃えている。

 

≪――――――――!!≫

 

貫く。

 

感触は無い。

 

≪よかった・・・≫

 

消えていく。

 

光になって消えていく。

 

≪終わったな・・・≫

 

焼け落ちる本堂を走って脱出する。

 

≪次に会う時は、そのままの君で・・・≫

 

 

「――ッ!――けッ!」

 

(ここは、どこだ・・・)

 

意識は、深い闇の中だ。

 

「――丞!」

 

(うるさいなぁ・・・)

 

頭上に光が見える。

 

(・・・掴みたい)

 

光に、手を伸ばした。

 

「剣丞ッ!!」

 

 

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 森

 

「う、うぅ・・・」

「剣丞!」

「・・・美空?」

 

瞼を開けると、目の前には心配そうな顔をした少女の姿があった。

 

「はぁーもう心配させて!」

「ここは・・・」

 

辺りを見回すと、先程ザビエルと対峙していた広場のようだった。

だが意識を失う前まで頭上にあった太陽は半分ほどその姿を隠し、空の色を変えていた。

 

「あんた、ここで倒れてたのよ」

「そうか・・・」

 

まだ意識が安定しない。

 

(あの光を見てから意識が・・・ッ)

「そうだ、ザビエルは!?」

「ざ、ざびえる?」

「ここに誰かいなかったか!?」

 

剣丞の剣幕に美空は少したじろいだ。

 

「お、落ち着きなさいよ。ここにはあんた以外誰もいなかったわよ」

「そ、そうか・・・」

 

一気に脱力する。

すると、剣丞の頭には予想された草と土の感触ではなく、それよりも柔らかく暖かい感触が与えられた。

 

「あれ、これって」

「・・・ふ、フンッ!」

 

美空がそっぽを向く。

 

「あぁ、膝枕・・・ありがとう、美空」

「べ、別に好きでやってるわけじゃないわ!地面に寝かせておくのも哀れだと思っただけよ!」

 

目を合わせようとしない美空に対して微笑むと、剣丞はしばらくそのままでいようと思った。

 

「皆は?」

「武田が撤退したから、私たちも帰るのよ。皆指揮に回ってる」

「美空は指揮しないの?」

「あんたを探すために必死だったのよ!膝枕やめるわよ!?」

 

言うと同時に立ち上がろうとする美空。

剣丞も笑いながら慌てて立ち上がった。

 

「なんだ、元気そうじゃない」

「なんにもされなかったからね」

「そう・・・」

 

美空は近くにつないでいた馬を連れてくると、手慣れた動作で飛び乗った。

 

「ほら、行くわよ」

 

差し出された手。

一瞬ちらとザビエルの手と被ったが、今度はしっかりと掴んだ。

 

「ねぇ、あんた化け物について何かしってるの?」

「ッ・・・」

 

元来た道を走り抜けていく。

 

「・・・話したくないならいいけど」

「いや、話すよ・・・」

 

その日美空は、日の本を蝕む悪鬼の存在を知った。

 

 

 

 

 

説明
どうも、たちつてとです
ナンバリングは9話ですが、GWのこの時期に無事10本目を投稿することができました!
いつもご愛読(していただいているか不安ですが)いただきありがとうございます。
これからも本作品をどうぞよろしくお願いします

このような節目なのですが、今回はあまり盛り上がらない?かもです(ストーリー的には重要!のはず)。ご了承ください


※いつも支援・コメント本当にありがとうございます
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コメント
>>本郷 刃様 なんとなく本編をやっているとザビエルさんの行動がそれっぽく思えたので調律が似合うかなぁ?と思ってみました(立津てと)
>>naku様 この作品は大友家はまるで出てきません!(立津てと)
>>mokiti1976-2010様 どの人なんでしょうねぇ・・・(立津てと)
否定派である左慈や于吉とも違い、ザビエルはあくまでも調律者と名乗りますか・・・まぁ管理者に違いはありませんね(本郷 刃)
ザビエル…やっぱりあの人なのか?(mokiti1976-2010)
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