恋姫外史終章・いつまでも一刀第28と2/4話 |
「と言う事があったのです!聞いていますか詠殿!?」
「あ〜〜、聞いてるけど・・・・・・」
詠は何だかなあと言ったかんじで頷いた。
「恋殿はあの男に騙されているのです!早く何とかするべきなのです!」
「そう言われてもねえ・・・・・・」
「人事みたいに!月殿まであの男の毒牙にかかったらどうするのですか!?」
「チーッス!」
ねねがそこまで言ったところで、扉を開けて一刀が部屋に入ってきた。
「お、お前!何しに来たのですか!?」
「何しにって・・・頼まれてた報告書持ってきたんだけど?」
騒ぐねねを尻目に、一刀は詠に報告書を手渡した。
「ごくろうさま」
「おう。じゃ、俺はこれで・・・」
いそいそと部屋を出ようとする一刀の背に、ねねは声を叩きつけた。
「お前!よくも恋殿にあのような事を!」
「あ?食事作ったお礼に肩揉んでもらった事がそんなにいけない事か?」
「恋殿にそのような事をさせるなど!身の程を知るのです!!」
「させたんじゃなく、恋が自分からしてくれた事だ。俺を攻めるのは筋違いだ」
面倒くさそうに頭を掻く一刀。
「とにかく、今後恋殿に近付く事は許さないのです!詠殿も、月殿に近付かないよう言っておいた方が・・・・・・」
「そんなに恋を信じられないか?とんだ忠誠心だな」
一刀の一言が、ねねの言葉を遮った。
「恋を信じているなら、そこまで過剰反応する必要ないだろ?今回の事だって、恋からどうしてそんな事をしているのか?って理由聞いて、答えてもらったらそうだったのかで終わる話だろうに・・・」
「な、何を言って・・・・・・」
「ここまで来たらただのだだっこと変わらねえよ。それと、賈駆にも誘いをかけてたみたいだが、一応言っとくが、賈駆はお前とは違うぞ?」
「へえ・・・どう違うって言うの?」
一刀の発言を聞いて、詠も話に参加し始めた。
「う〜ん・・・一言で言えば、あんたと董卓は互いが互いの半身。つまり、対等な関係ってわけだ。そうだろ?」
「・・・そうね」
「で、恋とそこの陳宮の関係は、恋から見れば陳宮は友達、陳宮から見れば恋は崇拝の対象ってところだ」
「・・・・・・」
「つまり、賈駆は董卓の事を理解してるが陳宮は恋の事を理解していない。それが決定的な違いだ」
「でたらめを!ねねは恋殿の事を・・・・・・」
「常に上に見ている。だから対等の目線で物を見られず、恋が気にしないような事を騒ぎ立てる。反論があるなら感情論でなく、論理で示して見る事だな」
「ぐ・・・ぎぎ・・・・・・」
歯を食いしばり、一刀に憎悪の視線を向けるねね。
「ねね、下がりなさい」
「え、詠殿!」
「ここは騒ぐ所じゃないわ。他に用が無いなら出て行って」
「・・・・・・はい」
「じゃ、俺も」
「あんたは残って」
「・・・何で?」
「話があるから」
「お、おう・・・・・・」
「・・・・・・」
恨みがましい目で一刀を見つつ、ねねはその場を後にした・・・・・・
「随分言いたい放題言ってたわね?ねねが凄く睨んでたわよ?」
「いいかげん自覚したほうがいいだろ?」
「まあ、否定はしないけど。それにしても、僕達のことまで・・・良く見てるわね」
「まあな・・・・・・で?話って何だ?」
「そうそう、この際色々聞いておきたかったの。まず、例の書状の事だけど」
「ああ、予想してると思うが、ありゃ偽手紙だ」
堂々と言い放つ一刀。
「でしょうね」
「まあ、俺が調べた中で一番やりそうな人間をリストアップしたわけだから、全くのでたらめってわけでもないんだけどな・・・・・・」
「じゃあ、あんたは本当に曹操がやったと思ってるのね?」
「ああ」
「理由を聞かせてもらえる?」
「ある人の言葉を借りると、情報には必ずベクトルがかかってる。誘導しようとしてたり、願望が含まれてたり、その情報の発信者の利益をはかる方向性が付加されてるわけだ。で、それを差し引いていって該当した人物が・・・・・・」
「曹操だった・・・と言うわけ?」
「おたくらが処断されて得する人間なんて限られてるし、宮廷内の官僚たちが首謀者だったらもっと早い時期にやれただろうさ。曹操が野心を持ってる事くらい気づいてただろ?」
「・・・・・・」
「ま、確たる証拠は無いわけだからこれ以上は追求しないほうがいいだろな・・・・・・今は」
「そうね。じゃあ、もう一つ質問があるんだけど」
「おお」
「何で僕達を助けに来たの?あんな事までしてもらうほど、僕も月もあんたと親交は無いんだけど・・・・・・」
「俺が助けたかったから。そもそも美少女が冤罪で処断されるのを救うのに、理由がいるのか?」
「・・・・・・本気で言ってる?」
「半分は本当だ。もう半分は内緒だけどな」
「・・・・・・」
「もう質問はないか?」
「そうね、今の所は」
「そうか。そんじゃな」
手をひらひら振りつつ、一刀は部屋を出て行った・・・・・・
その夜、ねねは悔し涙で枕を濡らしていた。
不覚だった。
最初から感情論を口にしていた時点で自分は負けていたのだ。
敗北感にさいなまれるねねだったが、それ以上にショックだったのは自分が恋の事を信じていないと言われたことだった。
部屋を出た直後は一刀に対する怒りで深く考えはしなかった。
恋と自分の事を何一つ知らないくせに!・・・と。
しかし、頭が冷えてくると考える余裕も生まれてくる。
今まで、自分が恋とどのように付き合ってきたか。
恋が自分にどのように接してきてくれたか。
それを思い返した時、答えは出てしまった。
自分が過剰反応していた本当の理由は
恋の事が心配だったからではなく
恋が自分から離れていってしまうのが不安だったからなのだと・・・・・・
夢を見ていた。
夢の中で、ねねは膝をかかえて塞ぎこんでいた。
自分がどれほど未熟だったか思い知ったあの日、もう生きる気力すらなかった。
恋の顔を見る事も出来ず、何も考えたくもなかった。
そんな時、あの男が現れた。
「引き篭もって現実逃避か?情けねえなあお前。それで恋の横にいられんのか?」
「役に立たないなら立てるようにすればいい、それだけの話だろうが」
さんざん言いたい事を言うあの男。
しかし、その男のおかげで立ち直る事が出来た。
あの時言ったありがとうは、不器用だったけれど確かな感謝を込めたものだった。
(何故忘れていたのでしょう。忘れてはいけない事だったのに・・・・・・)
その光景が確かなビジョンとして浮かんだ時、
パキィンと
ねねは何かが弾ける音を聞いたのだった・・・・・・
翌日
「北郷一刀!」
「ん?何だ?」
一刀はいきなりねねに呼び止められた。
ねねの横には恋もいる。
「街に出て恋殿と昼食を取りに行くのですが、お前も付き合うのです」
「い、いいけど・・・・・・お前から誘うなんてどういう風の吹き回しだ?」
「で、ですから・・・・・・」
ねねは顔を伏せ、もじもじしている。
「?」
「れ、恋殿と二人だけでいようとする事に慣れすぎてしまったので・・・あと、恋殿はもっと大人数の方が楽しいと思って・・・・・・」
「・・・・・・ねね、えらい」
「全くだ。見直したぜ」
恋と一刀は二人してねねの頭を撫で始めた。
「や、やめるので・・・いえ、恋殿は・・・じゃなくてその・・・・・・」
あわあわと慌てふためくねねだったが
険の取れたその表情は
つい撫でたくなるような可愛らしさに溢れていたのであった・・・・・・
どうも、アキナスです。
二番目の主役はねねでした。
恋からねねとは、正直芸が無いなあと思ったりしたのですが・・・・・・(汗)
次は誰にしましょうかね?
では、次回に・・・・・・
「ザムディン!!」
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そ、それは俺の爺さんの名前・・・!!なぜ知っている・・・!!(真・飛鳥) アーバックスさん:楽しんでいただけたなら何より(アキナス) 本郷 刃さん:真では桂花と並んであれでしたからね・・・・・・(アキナス) 観珪さん:ねねのラブイベントも書きたいですね〜〜(アキナス) ふぃ〜。ようやく時間が取れたので読めました〜。続き楽しみにしていますね〜。(アーバックス) 音々ちゃんのデレ期か・・・やっぱりいいな〜ww(本郷 刃) ねねたそhshs これでねねにデレ期がおとずれる!(神余 雛) |
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