リリカルHS 34話 |
レーゲン「おはよーございます。あれ?しきさん、どうしたんですか?酷いクマですよ?」
士希「……気のせいだ」
結局俺は、一睡もしないまま朝を迎えてしまった。あの三人のせいで…
プレシア「お腹空いたわぁ。あ、私は朝はトーストとコーヒー派だから」
アリシア「私はコーンフレークと牛乳!」
リニス「では、私はあえて白米と味噌汁という和風で!」
士希「せめて統一してくれ!」
レーゲン「うお!ど、どうしたんですか、しきさん?」
はぁ…なんで幽霊にもご飯作らにゃならんのだ。てか、霊体なのに食事って必要なのかよ
士希「はぁ…ほら出来たぞ。サンドウィッチとオムレツとサラダだ。好きに取り分けろ」
俺は出来た料理を並べて行く。三人はそれぞれサンドウィッチを手にし、食べ始めた
レーゲン「………え」
プレシア「美味しい。サンドウィッチって、こんなにも美味しいものなの?」
アリシア「オムレツも、ふわっとしてて凄い!」
リニス「うーん…コーヒーの良い香り。優雅な朝食って感じ」
レーゲンは自分の目が信じられなくなったのか、目をこすっていた。そりゃそうだろう。
俺には女三人が普通に食事を取っている光景が視えるが、レーゲンにはそうは映っていないはずだ。
恐らく、サンドウィッチが浮いて、それがちょっとずつ無くなっていってるのだろう。
視えない人にはホラーである
レーゲン「はっはぁ〜、しきさん、随分手の込んだイタズラですね。
一体どういう仕組みですか?」
レーゲンはこれが、俺の仕業だと思いたいらしい
士希「レーゲン、幽霊って、いるんだよ」
レーゲン「HAHAHA!そんなバカな!………ほんとですか?」
あ、リニスさんが悪い顔してレーゲンの後ろに行った
リニス「ふー」
レーゲン「ひゃーー!!なんか耳に生暖かい風がぁー!!」
士希「こらリニスさん、あんまりイタズラしないでください」
リニス「いやぁ、これもボーナスの為なのでー♪」
ボーナスって…そういや驚かすとそんなのが出るとか言ってたな
レーゲン「しきさーん!マジですか!?マジでいるんですか!?」
士希「マジでいまーす」
レーゲン「きゃー!」
レーゲンは女みたいな悲鳴を上げて部屋に帰って行った。これが視えない恐怖か
リニス「お!早速メールが…やった!しっかりボーナスゲット♪」
リニスさんがスマホっぽいものを操作し、画面を見て笑顔になった。
それが気になったのか、プレシアさんとアリシアちゃんも覗いた
プレシア「どれどれ…え?こんなに貰えるの?私も頑張らないと」
アリシア「士希さん、至急誰か連れて来て下さい!」
士希「呼べるか!」
士希「んで、お前ら手紙は書けたのか?」
朝食を取り終えた後、俺はゲームしている三人に話しかける。
てか、なんで普通にWiiしてんだよ!
レーゲン「………」
レーゲンもなんで冷や汗流しながら大乱闘してんだよ!どんだけゲーム好きだ!?
プレシア「もちろん書けたわよ。あ、リニス!あなたさっきから私ばっかり狙って!」
リニス「ふふ、プレシア、勝負の世界は無情なんですよ?あ、私も書きましたよ」
アリシア「キター!私のスネークの必殺技が火を吹くぜ!私も手紙書いたよー!
でも私達、外に出たら手紙持てなくなるから、代わりに届けて下さい!」
レーゲン「ねぇ、しきさん。幽霊さん、ゲーム異常に強いんですけど…
僕のリンクが瞬殺されたんですけど…」
幽霊組はゲーム強いようだ
俺は机に置いてあった三つの封筒を見つける。これが手紙だな?
ちゃんと、フェイト・テスタロッサ・ハラオウン様へ、って日本語で書いてある。
こいつらミッド出身なのに、なんで日本語書けるんだよ
士希「じゃあちょっと行ってくる。お前らどうする?」
アリシア「あ、私は行く!」
リニス「無論、私もです!」
プレシア「しょうがないわね。二人が行くなら、私も行くわよ」
幽霊組はついてくるようだ。レーゲンは…
士希「レーゲン、幽霊組はついてくるが、お前どうする?」
レーゲン「え?じゃ、じゃあ、僕は待ってます…」
まだ怖いらしい
士希「わかった。ならレーゲン、タナトスとプロメテウスを具現化しろ」
俺がレーゲンに頼むと、黒い鎌と刀が出現し、さらにそれを持った男が二人現れた
タナトス「おやマスター、何用ですかな?」
プロメテウス「我が主よ、何なりと聞こうではないか」
この二人の具現化には、今となってはマスターである俺の魔力が必要になる。
魔力量だけは妙に多い俺には、うってつけの能力だろう
士希「ちょっと家を出る。帰るまでこの家とレーゲンを護ってやってくれ」
タナトス・プロメテウス「御意」
そして二人は、レーゲンの隣に行き、ゲームに興じ始めた
プレシア「なにあれ?デバイス?具現化するなんて聞いたことないんだけど」
リニス「融合騎、とも違いますね」
アリシア「ちょっと常識外れだねー」
あんた達が一番常識外れなんだけどねー
家を出て、ふと、あることに気付く。そういえば俺…
士希「フェイトの家、どこか知らないぞ。お前らは知ってるんだよな?」
現在フェイトは仕事中なので連絡が取れなかった。本当についてないな
リニス「知らない事もないんですけどー…」
アリシア「私達、この辺がどの辺りなのかは全くわからないんだよね」
プレシア「わかってたら、あなたのところにお邪魔なんてしないわよ」
なんて計画性のない…
士希「チッ…ならまず、フェイトの家、知ってそうな奴のとこ行くぞ」
向かったのは目の前の家、八神家だ。
今日ははやて、仕事でミッドにいるらしいが、誰かしら家にいるだろう
俺はインターホンを鳴らす。程なくして、八神家の玄関が開いた。ザフィーラと…
ザフィーラ「ん?士希か。どうしたのだ?」
ザフィーラは何てことない様子で話しかけて来たが、俺の視界にはもう一人いた
リイン(大)「む、お前、今私と目が合ったな。視えるのか?」
ずいぶん大きくなったリインフォースちゃんがいた。そしてどういう訳か、こいつも霊体である
士希「な、なぁザフィーラ。お前の後ろに、大きくなったリインちゃんがいないか?」
ザフィーラ「ん?リインフォースなら仕事でいないが、どうしたのだ?」
やはりザフィーラにも視えていないらしい
リイン(大)「おや、プレシアにリニスにアリシアではないか。何故このような地に?」
プレシア「あら、リインフォースじゃない。
そっか、そういえばあなたのマスターは八神だったわね」
知り合いかよ!
ザフィーラ「お、おい士希。大丈夫か?顔色が悪いぞ」
士希「大丈夫…ただの心労です…」
どうやらテスタロッサ家とリインフォース・アインスさん、
通称初代リインさんは、あの世で知り合った幽霊友達らしい。
もともとリインさんは、はやてが持つ夜天の書の管制人格だったらしく、
とある理由で消滅後、あの世でテスタロッサ家に修復され、
以降は個人として活動できるようになったんだとか。
デバイスも死んだらあの世に行くなんて、ちょっと、いやかなりぶっ飛んだ話である
ザフィーラ「士希、今日はどうしたのだ?ずいぶんと奇行が目立つぞ?」
ザフィーラには視えていないが、俺の周りは幽霊四人に囲まれてしまっている。
そしてはたから見れば、俺は独り言を言っている危ない人間なのだろう
士希「まぁその、今日の事は忘れてくれるとありがたい…」
俺は消え入りそうな声で言った。するとザフィーラは戸惑いながらも…
ザフィーラ「……なにか、あるのだな。今日見たことは忘れよう。
それと、辛いことがあるなら、相談くらいは乗るぞ」
優しくされてしまった。やばい、泣きそう…
士希「あぁそうだ。ザフィーラ、フェイトの家って知ってるか?」
俺は泣くのを堪え、本来の目的を思い出す。
ザフィーラなら、フェイトの家くらい知ってるだろう
ザフィーラ「知らない事はないが、なにかあったのか?」
ビンゴ!
士希「ちょっとフェイト宛に手紙があってな。届けたいんだ」
ザフィーラ「ふむ、わかった。少々待っていろ」
ザフィーラは簡単な地図を書いてくれた。
簡単と言っても、結構わかりやすく、詳細に描かれていた。意外な才能である
士希「サンキューザフィーラ。また今度、飯でも奢るよ」
ザフィーラ「気にするな」
そして俺は八神家を後にした。場所はわかった。後は向かうだけだな
士希「で、なんで初代リインさんもいるんですか?」
フェイト宅へ向かう道。
俺、プレシアさん、リニスさん、アリシアちゃんの他に、何故かリインさんもついて来た
アインス「主はやては不在だし、盾の守護獣とも意思の疎通を図れないのでな。暇なのだよ」
ようは暇潰しって訳か。まぁ別にいいけど
士希「っと、地図によるとこの辺か?」
俺たちは目当ての場所までやってきた。なるほど、翠屋から近いあたり、流石はフェイトだな
リニス「そうですそうです!この建物です!」
アリシア「無事に着いてよかったぁ」
プレシア「でもフェイトいないのよねぇ。残念だわ」
士希「ならここでずっと張ってろ。そうすりゃそのうち会えるだろ。俺は手紙渡してくるからな」
そして俺はフェイト宅へ向かった。すると扉が開かれ、女性が出てきた。この人は…
士希「こんにちはエイミィさん」
エイミィ「あれー?士希君だ。やっほー!どうしたのこんなところで?」
好都合だ。エイミィさんに手紙渡しとこう
士希「実はフェイト宛に手紙を持ってきまして。
これなんですけど、フェイトに渡しといてもらえません?」
俺は三通の手紙を手渡す。するとエイミィさんは笑顔で了承してくれた
エイミィ「いいよー!でもどうして士希君が?まさかラブレターとか?」
士希「なのは、っていう最強の恋人がいるのに、手を出すわけないじゃないですか」
それに俺には…
エイミィ「だよねー。それに士希君が好きな人は、はやてちゃんだろうし」
何故わかった?心の中でも読めんのか
士希「……なんで俺がはやてを?」
エイミィ「ん?乙女の勘?」
怖ぇな乙女の勘
アインス「お前、主はやてに好意を寄せているのか。良いセンスだが、そう簡単には認めんぞ」
何故お前の許可がいる?こいつはシグナム系の人間か
エイミィ「ふふ、まぁ頑張ってねー!手紙はしっかり渡しとくよー!」
そう言ってエイミィさんは何処かへ行ってしまった。はぁ…これでひと段落だな
士希「さて、幽霊組はこの後どうする?」
できればここで解散してほしい
プレシア「そうね、私はここに残ろうかしら。やっぱり一目見ておきたいし」
リニス「そうですね。名残惜しいですが、士希とはここでお別れです」
アリシア「フェイト、早く帰ってくるといいな」
よっしゃぁぁぁ!!心の中でガッツポーズ!
士希「そうか。じゃあ俺は行くよ。熱中症には気をつけろよ」
幽霊が熱中症になるとは思えないがな。とりあえずこれで解放されるんだ。
帰って寝よう。かなり疲れた
そう思うやいなや、俺は真っ直ぐ帰路についた。そんな俺の隣には…
アインス「ふむふむ、去年はここにコンビニは無かったな。新しくできたのか」
何故か初代リインさんがいた…
士希「ねぇ、なんでいるの?」
俺はリインさんに尋ねてみる。するとリインさんは腕を組み…
アインス「なに、次は私のお願いを聞いて欲しくてな。
せっかく幽霊の存在を視認できる、生きた人間に出会えたのだ。これも何かの縁だろう。
テスタロッサ家を助けたのだ。私も一つくらい良いだろ?」
表情の乏しいリインさんだが、なんとなくキリッとした顔で言ったように見えた
そしてこの瞬間、俺は睡眠タイムが遠のいた事を悟った…
あぁ、倒れたりしねぇよな?
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こんにちは 前回の続きです。受難な士希君 |
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士希に同情してしまうわこれは(へたれ) 次はアインスが手紙を書く番か…手髪をもらう側としてはやっぱ泣くかな?(黒鉄 刃) リインまで出て来るとは……(ohatiyo) |
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