バカとテストと召喚獣 五つの鎧を持つ者 第四十三話
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 鋼牙は数日前の体育大会を終えてから商店街で買い物をしていた。

「鋼牙、福引権があるがどうする?」

「ああ。今十枚あるが・・・・・正直この町のSAN値を知りたい。」

 鋼牙が見る先では福引の一等当選の鐘が鳴っていたが当たった本人は喜んでいなかった。

「おめでとうございます!四等賞、“鉄パイプ三千円分”大当たりです。」

 何故鉄パイプなのだ?ここは喧嘩が多いから喧嘩に役立つ物の鉄板として鉄パイプなのか?そんなわけないよな、うん。

 ちなみに五等は卯月温泉ペア宿泊券、六等が海の幸詰め合わせセット、七等がお買い物券一万円分。何故にそっちが豪華だ?もしかしてアレか?一等は辞退者が多いから何度でも再利用が可能ってか?

 そう思いながら鋼牙は福引権を係員に渡す。

「一・二・三・・・・・十枚ですね。では十回どうぞ。」

 今時十枚で一回が定番なのだが・・・・・・・・・細かいことは気にしなくて言いか。鋼牙はガラガラを回すと五回がティッシュ、四階は鉄パイプが来た。鉄パイプは当然返却。鋼牙はあと一回に何の思い入れも無く回した。すると水色の玉が零れ落ちた。

「おめでとうございます!六等賞、海の幸詰め合わせセット大当たりです!」

 おっ!それは嬉しいものをもらったな。

 鋼牙はそれを貰い、家に帰ろうとしていると突如後ろから声を掛けられた。

「鋼牙君?」

「ん?姫路か・・・・」

 声を掛けてきたのは姫路であった。姫路の手にも買い物袋が握られていた。

「そっちも買い物か?」

「はい。今両親が友達の結婚式でちょっと遠くに行っているので。」

「そうか。ん!というとは今は一人でいるのか?」

「はい。」

 その話を聞いてザルバが唐突にこんな提案を出した。

「どうだお嬢ちゃん、鋼牙の家で食事ってのは?」

「ええ!でもご迷惑じゃ・・・・・」

「鋼牙、迷惑か?」

「いや。大勢で食う方が上手いと聞くからな。雄二たちも呼ぶか?」

「は、はい!じゃあ美波ちゃんたちにも連絡しておきます。」

 そう言って姫路は携帯電話を取り出し連絡をし始めた。

「ザルバ、頼む。」

「あいよ。」

 鋼牙はザルバに頼んで雄二たちのケータイにメールを送った。

 

 数十分後

「邪魔するぞ、鋼牙。」

「お邪魔するぞい。」

「・・・・邪魔する。」

「邪魔するわよ、鋼牙。」

「・・・・お邪魔します。」

「お邪魔するわね、鋼牙君。」

「お邪魔するネ☆」

 雄二、秀吉、土屋、美波、霧島、優子、工藤が鋼牙の家にやって来た。勉強会依頼こんなに大人数で来られたのは久しぶりだな。

「それで・何をするんだ?

「大人数だから鍋にしようと思ったのだが・・・・・・何鍋にしようか思いつかない。」

 鋼牙のその言葉を聞いて皆がズッコケた。

「どうした?」

「何か決めてからにしろよ!」

 雄二がツッコミを入れる。そんな中、姫路が案を出してきた。

「じゃあ闇鍋なんてどうですか?」

「おもしろそうだな。」

 鋼牙はその言葉に賛同するが雄二たち嫌な予感しかしなかった。

(おいおい!闇鍋なんかやったらマズイだろ!)

(確実に面白半分で皆入れてくる。)

(ここはくじ運とまともに喰えるものにするのが得策じゃぞい。)

 隠して闇鍋大会が幕をあけた。

 

 夕方頃になり鋼牙達はリビングにいた。電気を消し、カーテンを閉め明かりを一切入れないように。鍋を囲むように鋼牙達は座っている。

「じゃあ火を付けるぞ。」

 鋼牙は鍋の火をつける。

「おお、本当に暗い中で唯一手元を照らしてくれるものだな。」

「そうですね。」

 鋼牙の言葉に姫路が相槌を打つ。

「さ。食べましょ。」

 美波がそう言うと愛子、優子、霧島が鍋に箸を伸ばし、器に一旦取った食べ物を置いて口に運んだ。

『すごい、これおいしい。』

「翔子!頭の中に響くように聞こえてくるんだが魂はちゃんとその身体の中に入っているんか!」

「ぎゃー!」

「うぎゃー!」

「うぷっ・・・・」

 四者四様の反応を見せてきた。流石にこの後で食うのはSAN値が下がるような気が・・・・・

「凄い味だったわ・・・・・」

「アタシたち適当に調味を入れたんだけど・・・・」

「まさかこんな味になるとはね〜。」

「・・・・・SAN値が下がった。」

 地獄だったようだな。うん。

「さ、鋼牙たちも食べなさいよ。」

「そうね。秀吉、食べなさい。」

「ムッツリーニ君も食べてね。」

 予想外の展開だな。しかし逃げたいのが本心だ。

「悪い用事が!」

「右に同じなのじゃ!」

「・・・・さらば!」

 雄二、秀吉、土屋が逃げようとするが逃げようとする三人を美波たちが捕まえて口に運ばせる。俺も諦めて食うか。

『ぎゃ―――――――!』

 三人の断末摩の声が聞こえた。ん!まあマズイが喰えなくはないな。

 鋼牙は何も問題ないようにパクパクと食べていった。

 

 闇鍋大会が終わり、皆は食後の休息を取っていた。

「しかし凄いのを口にしたな。」

「そうじゃのう。」

「・・・・・闇鍋はこりごり。」

「そうか?俺は面白かったが。」

 闇鍋がトラウマになっている雄二たちとは違い鋼牙は未体験故に面白かった。鋼牙はふとテレビを点けてみる。

〈次のニュースです。◇△国の○×国際空港でストが発生しました。待遇の不満を聞き入れない本社に対し社員が労働条件の改善を求める動きは依然止まる気配を見せません暴動などの不安はないようですが――――〉

 そのニュースが流れると同時に姫路の携帯電話に着信が入った。

「すみません。」

 姫路はそう言うと部屋の隅の方に歩いた。

「もしもし、お母さん?結婚式どうだった?こっち?こっちはなんともねいけど――――え?そ、そうなの?大丈夫なの?うん・・・うん・・・・」

『?』

 姫路が電話を終えるとこちらに戻ってきた。

「どうした姫路?」

「それがその・・・・・・私の両親がそのニュースのストで足止めをを喰らっているそうです。」

「そうなると結構マズイな。」

 姫路の言葉にザルバが口を開いた。

「女の子がひとりで家にいるのは危なくて仕方がないな。どうだ?鋼牙の家にしばらく居候しないか?」

『え!?』

 ザルバの言葉に鋼牙以外の皆が驚いた。

「なんでそうなるのよ!」

 美波がザルバの言葉に口出しをする。

「よく考えてみろ。坂本の家は霧島が許さない、霧島の家は坂本が許さない。秀吉達の家は両親が共働き、もちろんお前さんもな。土屋は言うまでも無く、工藤はまぁ・・・・・・手を出しかねんからな。それにこいつが手を出すように見えるか?」

 ザルバがそう言うと皆して鋼牙を見る。

『いや、全然。』

「じゃあ問題な。」

『うん・・・・・あれ?』

 ザルバに上手く言いくるめられた雄二たち。こうして鋼牙の家に姫路は居候することになったがどうなることやら。

 

説明
ヒサシブリノコウシンデシツレイスルゼ。イッシュノスランプダッタンダ。ダガサイカイシハジメタカラミテクレ。
「闇鍋」
イッカイデコリゴリダヨナ。
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