【真・恋姫†無双if】〜死を与えることなかれ〜2話
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〜雪蓮視点〜

 

 

急に突き飛ばされ身体が地へと投げ出された。振り返ると

 

そこには腕に矢が刺さっている一刀がおり膝をついていた。

 

 

「一刀!一刀!!」

 

 

大声を上げ直ぐに近づき一刀の容体を確認しようとした。

 

どうして、どうして、こんな事に…!!

 

 

「し、雪蓮!!前方の茂みから君を暗殺しようと狙っている!!

 俺の事はいい!!警戒しろ!!!!」

 

 

矢に刺された腕を押さえ必死の形相で訴える一刀。顔の毛穴と言う毛穴から

 

滝の様な汗が流れ呼吸が荒い。一刻も早く医師に診せなくては。

 

だが、敵が潜んでいる最中、何とか集中し警戒に移る。

 

 

―――――――ヒュン!!

 

 

風を切る音が耳に入る。前方から矢がこちらに向かってきた。

 

私は南海覇王を手に取り矢を弾く。しかし、弾くと同時に間断無く

 

次の矢を繰り出され防戦一方となった。一度に襲い掛かってくる矢の本数は三本、

 

最低でも三人が私達を狙っているのがわかる。

 

 

「―――――ちっ…!!」

 

 

苛立ちから舌打ちが出る。今は時間が惜しい。

 

どうにかして現状を打破しないと。

 

 

「…ぐっ!……雪蓮。俺を置いて逃げろ。足手纏いにはなりたくない」

 

「…次にそんな、ふざけた事を言ったら張っ倒すわよ。

 大丈夫。今はじっとしていなさい。直ぐにこの窮地を抜け出して一刀を助けるわ」

 

「…助ける、か。けど、ここで雪蓮が傷ついたら

 守った意味が無くなる。それに俺は…」

 

 

横目から一刀の表情を見ると、胸がチクリと痛み出してきた。

 

…どうして、どうしてそんな悲しい顔をしているのよ、一刀…!

 

 

「ぐああああぁぁぁ」

 

 

不意に敵が潜んでいる茂みから断末魔の様な声が響きわたった。

 

それに影響してか矢が次第に弱まり、すっかりと矢が止んだ。

 

 

「雪蓮!!そちらに一人、敵兵が向かった!!」

 

 

凛とした声が私に注意を促す。この声の主は冥琳。

 

おそらく、ここへ来る途中、状況を察し敵に気付かれぬ様、助太刀してくれたのだろう。

 

 

「孫伯符!覚悟ぉ!!」

 

 

裂帛の気合と共に一人の敵が剣を携え私に猛進してきた。覇気から察するに、

 

相当修練を積んできた者と窺える。だが、私の敵ではない。

 

 

「こんな、こんな奴に一刀がああぁぁ!!」

 

 

感情を爆発させ応戦する。そして、一閃、無慈悲に首を刎ねた。

 

切断した首の切り口から生々しい音を立てながら、鮮血が噴水のように流れ、

 

自身の胴体の一帯を紅く染めた。

 

 

「…良かった。雪蓮が無事で本当に……」

 

「一刀!!」

 

 

急いで一刀の元へと駆けつける、その様子は先程よりも衰弱し呼吸が荒い。

 

 

「無事か雪蓮!?」

 

「私は大丈夫!けど、一刀が…!」

 

 

こちらに駆けつけて来た冥琳に一刀の容態を伝え診てもらう。

 

医術の心得が多少ある冥琳だ。私より適切な応急処置が行える筈。

 

 

「北郷、お前…!!」

 

 

冥琳は険しい表情を浮かべながら一刀を見た。

 

しかし、何故か、一刀は首を横に振っていた。

 

 

「…冥琳。それよりも伝えなくていいのか?

 曹操の大軍勢が迫っているんだろう」

 

「一刀が言ってる事は本当なの冥琳!?」

 

「あ、ああ。つい先程、密偵から報告があった。曹操自らが軍勢を率い

 我らの地に進軍していると。しかし、北郷。何故、知っているんだ…!?」

 

「…詳しくは言えないが今の俺にはわかるんだ。…っつ!!」

 

「一刀!!…冥琳。一刀を城に戻した後、急いで陣営で評定を開くわ。

 それまで、頼めるかしら」

 

「了解した。雪蓮が来るまでに可能な限り軍備を整えておく」

 

「…決まりね。直ぐにここを発ちましょう」

 

「待ってくれないか…」

 

 

事が決まり早速、移動しようとしたら、一刀が口を開いた。

 

身体から異様な雰囲気を醸し出し、普段の一刀とは全くと言っていいほど、

 

別人に見えた。

 

 

「俺も戦場に赴く」

 

「なっ!?馬鹿を言わないで!!自分がどういう状態かわかってるでしょ!!」

 

 

思わず大声で叱責してしまう。一刀に無理をして欲しくない。

 

それに、一刀にもしもの事があれば私は………

 

 

「…心配してくれて、ありがとう雪蓮。けど曹操との戦、

 俺はこれを見届けなければならないんだ。…変わるその全てを」

 

「けど『雪蓮』」

 

「北郷の言、聞いてやるとしよう」

 

「…本気で言ってるの、冥琳!?」

 

「ああ、知っているだろう。

 こうなったら何をしても意思を曲げん事を」

 

「雪蓮!!…頼む。最初で―――((最期|・・))のお願いだ」

 

 

今、一刀を見透かさなくても痛みに堪えてるのがわかる。

 

正直、首を縦に振りたくない。けど、一刀は私が断ったとしても、

 

無理矢理、戦場に赴いてしまうだろう。

 

 

「わかったわ。でも、これだけは約束して。曹操との戦が終わったら

 安静にするって。それと((最後|・・))だなんて言わないで、…縁起が悪いわ」

 

「………約束する」

 

 

言質を取った後、急いで冥琳が用意した馬に一刀と共に騎乗した。

 

そして、城へ帰還する際、私を襲った刺客はつい最近、曹操に帰順した

 

許貢の手の者であると冥琳から伝えられた。

 

曹操、貴女の覇道はこんな汚いやり方だったのね。許さない…!!

 

私を狙った結果、大切な人に傷を負わせた事、

 

貴女の死を持って償ってもらうわ。

 

だが、それと同時に一刀の、あの悲哀に満ちた表情が忘れられなかった。

 

私の勘がとてつもなく最悪の方向へと進んでいるような気がする。

 

そして、この勘が後に当たる事となるのを、この時の私はまだ気付いてなかった。

 

永遠の別れが、もう足元まで迫っていた……

 

 

 

 

説明
こちらは真・恋姫†無双の二次創作でございます。
大変遅くなりました、二話目でございます。
何とかペースアップしたいのですが、中々、時間が取れない…
次もなるべく早めに投稿できるよう努力しますが、
気長に待ち下さい。
最後に、稚拙な文章、口調がおかしい所があるかもしれません。
それでも、暇な時間に読んで頂けたら嬉しいです。
よろしくお願いします。
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コメント
雪馬さん>早く投稿できるように頑張ります。コメントありがとうございます!!(南無さん)
げんぶさん>なるべく早めに投稿しますね!それと、速く睡眠を取るんだwコメントありがとうございます〜(南無さん)
本郷 刃さん>覚悟を決めた男は強いのです!!コメントありがとうございます〜(南無さん)
次作楽しく待ってます(雪馬)
一刀の肉体を蝕む毒、迫る死神の鎌・・・それでも戦場へと赴こうとする一刀さんがカッコ良く、しかし涙が止まらない!(本郷 刃)
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真・恋姫†無双 恋姫†無双 北郷一刀 雪蓮 冥琳 孫呉 if 

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