仮面ライダーディケイド 〜Road Of Precure〜 1話
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 ディケイド。

 

 それは、いくつもの世界を巡る者。

 それは、己の世界を探すもの。

 それは、仮面ライダー。

 

 

 

第1話「プリキュアの世界/ありえない二人」

 

 

「やれやれ、この世界でも厄介ごとに巻き込まれるとはな」

 

 門矢士はため息交じりで呟く。

 

 門矢士は仮面ライダーディケイドである。彼は自分の世界を探していくつもの世界をまわっているが、何故かいつも面倒ごとに巻き込まれる羽目になる。今回の世界でも例外ではなかったようだ。

 

「いいじゃないか、この世界の笑顔を護ることもできたし」

 

 人のいい笑顔を浮かべているのは小野寺ユウスケ。士と共に旅をする仲間の一人で仮面ライダークウガに返信することができる青年だ。士とは正反対に嬉しそうな笑顔を浮かべている。

 

「そうですよ士君、役に立ったんだからいいじゃないですか」

 

 ユウスケに同意するのは光夏海。ユウスケと同じく士と共に旅をする仲間である。彼女自身は過去に仮面ライダーとして変身した事はあるが、基本的には戦わない非戦闘員である。

 

 今日も今日とて世界を巡る彼らは、やはりその世界の厄介ごとに巻き込まれて解決してきたのだ。士も口では不平を述べているが、なんだかんだ言って放っておけずに手を出すのである。

 

 そんな彼らが、自分達の家である光写真館の扉を開けたとき、

 

「お待ちしてました、ディケイド」

 

 そこに広がっていたのはいつも彼らが知っている写真館ではなく、宇宙のような広大でただ広く暗い空間であった。そして、そこに立っている青年。―――そして、三人は彼に見覚えがあった。

 

「……お前は、紅渡!」

「お久しぶりです、ディケイド」

 

 かつて、ディケイドに9つのライダーの世界を巡ることを教え、そして道を外した彼を粛清するために襲い掛かってきた人物である。それにも、彼なりの理由があったわけだが、士からはいいイメージはない。

 

「なんの様だ。もうライダーの世界も救われたはずだろ」

「はい、あなたのお陰で世界は救われました」

 

 士はあからさまに嫌そうな顔を浮かべる。無理もない、その世界を救う方法と言うのがディケイドである士本人を倒すことであったのだから、いい気分ではない。

 

「だったらもう用はないだろ。とっと帰れ」

「そういうわけにはいきません」

 

 渡は首を横に振る。

 

「貴方に、救って欲しい世界があるのです」

「何?」

 

 睨み付ける士の眼差しを涼しい顔をして受け流し、渡は続ける。

 

「貴方はプリキュアというのを知ってますか?」

「プリキュア? なんだそれは」

「この世界には、仮面ライダーだけではなく、多くの世界を護る戦士がいます。ディケイド、貴方も仮面ライダーではない別の戦士に出会ったことがあるはずです」

 

 士には思いつく出来事があった。かつて、彼はシンケンジャーと呼ばれる仮面ライダーとはちがう戦士と出会ったことがあったのだ。あの世界では、仮面ライダーではなく彼らが世界を護っていた。

 

「シンケンジャーに代表される戦隊、宇宙刑事やメタルヒーローなど、世界には数多くの戦士がいます」

「プリキュアも、その一つだというのか」

「そうです」

 

 渡るの言葉に答えるように、広い闇の中に5つの球体――地球が浮かび上がる。

 

「この世界に、5つのプリキュアの世界が生まれました。しかし……」

 

 その地球に、闇が被さっていく。

 

「スーパーショッカー残党、彼らは僕らの追撃を逃れるためにプリキュアの世界へと逃げ込みました」

 

 その言葉に、士は冷めた視線を向ける。

 

「それが俺となんの関係がある。お前らの尻拭いはごめんだ」

「プリキュアの世界にいけるのは、世界を渡ることができるのはディケイド、貴方だけです」

 

 一瞬、士と渡の視線が交じり合う。一泊を置いてから、士は鬱陶しそうに答える。

 

「どうせ俺が断ってもすでに行き先はそこになっているんだろう?」

 

 渡は、その言葉に笑顔で答える。

 

「それじゃあ、頼みましたよ……仮面ライダーディケイド」

 

 その微笑を浮かべたまま渡は消えていく。それと同時に、暗闇もはれていき、いつもの写真館の中へと戻っていく。最初に見えたのは、不思議そうにこちらを浮かべているユウスケと夏海。

 

「どうしたんだ士、ボーっとして」

「なんでもない、次の世界に行くぞ」

 

 ユウスケを押しのけるように写真館のホールへと入っていくと、

 

「あ、士君! 次の世界の壁紙が!」

 

 ホールにかけられているカーテン、それが次に向かう世界の絵が描かれているのだが、

 

 その絵には、どこにでもあるような町並みが描かれていた。だが、その空は分厚い雲に覆われており、不気味な雰囲気を生み出している。

 

 そして、中央には二人の少女が立っている。

 

 どちらも魔法少女を髣髴とさせるようなドレスを着ており、片方は茶色で短い髪、黒くヘソが出てる服。もう片方は長い黒髪を纏めた白い服を来ている。そしてその二人は、強く手を握り合っている。

 

「なんか、これまでとはちょっと違う雰囲気だな。何の世界だ?」

 

 ユウスケの言葉に、士はその絵から瞳をそらさずに言った。

 

「プリキュアの世界だ」

「プリ……キュア、ですか?」

 

 夏海の言葉に、士は答えることも、うなずくこともしない。

 

 新しい旅が、始まろうとしていた。

 

 

「若葉町?」

 

 例のごとく、光写真館ごと新しい世界へと移ってきた一行。町に出てみれば、そこにはごくごく普通の、都会の町並みが広がっている。

 

「特に、変わった様子はないですね……」

 

 周りをきょろきょろと見回してみても、特に変わった様子はない。平和そうな町並みに、行きかう人々。

 

「で、これがこの世界での俺の役目か」

 

 士の言葉に振り返る夏海とユウスケ、そこに立っていたのは……

 

「なんですか、その格好?」

「また、変わった格好だなぁ」

 

 マゼンタと黒の縞々のエプロンに、同じくマゼンタのバンダナを頭に巻いた……そう、タコヤキ屋のおっちゃんのような姿になった士の姿であった。

 

「お祭りにいるおじさんみたいですね」

「まったく、こんな格好、俺には似合わん」

 

 面白そうな夏海と、不貞腐れるような士の言葉。その姿をほほえましそう見ていたユウスケであったが、あることに気づく。

 

「おい、士」

「なんだユウスケ」

「おかしいぞ、町から人が消えてる」

「何?」

 

 ユウスケに言われて再び町並みを見返してみる。彼の言ったとおりに、先ほどまでいたはずの町の人々は消え、空は雲に覆われて薄暗くなっている。なのに、町につけられている街頭には光が灯らない。

 

「なんか、不気味ですね」

 

 夏海がそう言って不安そうに周りを見回した時、

 

「ザケンナー!!」

 

 大きな叫び声と共に、ビルが崩壊し、巨大な影が現れる。

 

「な、信号機のお化け?!」

 

 ユウスケが思わずそう叫んだのも無理がない。現れたのは、胸と瞳が赤、黄、青の三色のライト、両肩には工事現場で見かける赤いコーン、そしてその腕は電柱、体のいたるところには道路でよく見かけるもの道路標識がごちゃ混ぜに貼り付けら手いる、15mほどの怪人だからだ。

 

「なるほど、あれがこの世界で暴れている化け物か」

 

 士が、変身アイテム、ディケイドライバーを手に掴む。だが、それよりも先に声が響く、

 

「そこまでよ、ドツクゾーン!」

 

 士たちが声のしたほうへ向くと、そこには二人の少女が立っていた。ショートカットの茶色の髪の、活発そうな少女と、黒髪を長く伸ばした、ちょっと眉の太いおとなしそうな少女。どちらも、学校の制服に身につけている。そして、士たちは彼女たちに、見覚えがある。

 

「あの二人、さっきの絵の……!」

 

 さきほど見かけた絵に映っていた少女達の後ろの姿。どこか、その姿に似ている。

 

「いくよ、ほのか!」

「ええ、なぎさ!」

 

 彼女達は携帯のようなものを開くと、互いに手を繋ぎ、もう片方の手を空に上げて叫ぶ。

 

「デュアル、オーロラ、ウェーブ!」

 

 天から虹色の光が舞い降り、彼女達を包み込む。その光が止んだとき、彼女達は変身≠オていた。

 

 魔法少女を髣髴とさせるような、スカートの短いドレス。胸にはリボンがつけられており、一人は黒でもう一人は白。黒いほうの少女は腹部があらわになっており、ヘソが見えている。

 

 そして、彼女達は叫ぶ。

 

「光の使者、キュアブラック!」

「光の使者、キュアホワイト!」

「「ふたりはプリキュア!!」」

 

 その姿は先ほどの絵に描かれていた少女達の姿と同じであった。

 

「なるほど、あれがプリキュアとやらか」

「か、可愛い」

「……え?」

 

 思わずつぶやいた夏海の言葉に、怪訝そうな顔を向ける士。だが、そんな彼らを尻目にザケンナーと叫ぶ怪人と二人のプリキュアの戦いが始まった。

 

「ザケン、ナァー!」

 

 怪物は腕を振り上げると、肘の関節が伸びて二人へと襲い掛かる。二人は左右に回避すると、一気に怪物の懐へと襲い掛かる。

 

「こんのぉー!」

 

 黒いドレスの戦士、キュアブラックが懐に入ると同時に、その胸板へと向けて拳を振り上げ、打ち付ける。その華奢な腕からは想像できないような重厚な音と共に怪物の体へとめり込む拳。思わずよろける相手に向かって、

 

「でぇりゃー!」

 

 さらにもう片方の腕をたたきつける。耐え切れずに後ろへと下がる怪物を待っているのは白い戦士。

 

「はぁっ!」

 

 彼女の足が、怪物の後ろに下がろうとしていた足を蹴る。バランスを崩した怪物の体重を上手く利用してそのまま真後ろへと投げ飛ばす。アスファルトを砕き、粉塵を上げながら怪物は叩きつけられる。

 

「す、凄い……!」

 

 夏海が思わず呟いた。彼女とて、これまで多くの仮面ライダー達の戦いを見続けてきたが、自分よりも年下の女の子がライダーたちと同じように変身して戦う姿など始めてみたからだ。しかも、彼女がこれまで見てきたライダーたちと引けを取らない。

 

「なるほど、あれがプリキュアか」

 

 士たちが見つめている中、怪物はなおも立ち上がり、今度はその両手を伸ばして鞭のようにしならせながら二人へと叩きつけようとする。だが、

 

「「はぁあああああ!」」

 

 黒い少女は拳で、白い少女は蹴りで、その両腕をはじき返す。

 

「やれやれ、下手なライダーよりも男らしいじゃないか」

 

「ホワイト、決めるよ!」

「ええ!」

 

 士が感心する中、二人は互いに手を握り合う。

 

「ブラック、サンダー!」

「ホワイト、サンダー!」

 

 キュアブラックの腕に黒い稲妻が、ホワイトの腕に白い稲妻が集う。その光を身に纏い、虹色の光を放ちながら、二人は叫ぶ。

 

「プリキュアの、美しい魂が!」

「邪悪な心を、打ち砕く!」

 

 放たれるのは、必殺の一撃!

 

「プリキュア、マーブルスクリュー!!」

 

 放たれる黒と白の稲妻。それは互いに螺旋を描きながら一つの巨大な渦となって怪物へと襲い掛かる。

 

「ざ、ザケンナァー!」

 

 怪物は回避することもなく、その渦へと飲み込まれていく。そして、

 

「ゴメンナー!」

 

 小さな星型の粒となると、そう叫びながらあたりへと散っていく。

 

「なんか、凄いな。あれ、女の子だろ?」

「ああ。ひょっとすればお前よりも強いかもな」

 

 ユウスケも、その強さに感心する。彼らも自分達と同じ大きさの相手と戦ったことはあるが、自分よりも大きな相手に戦いなれている彼女達を素直に驚いたのだ。

 

「やれやれ、ようやく終わったよ。まだ学校の宿題も終わってなのに……」

「まぁまぁ、私が手伝ってあげるから」

「本当、ホワイト!」

 

 彼女達も、敵を倒したと安堵した。そのときだった。

 

「イーッ!」

「イーッ!」

「イーッ!」

 

 突然、奇声と共に全身黒尽くめの謎の男達が現れる。全身タイツを思わせるような服装には、骨を思わせるような白い模様が描かれている。そして、巻かれたベルトのバックルには、羽を広げている鳥のマーク。

 

「士、あれは!」

「ああ、ショッカー戦闘員……本当にこの世界に来てたんだな」

 

「ブラック、これは!」

「ああ、もう! またなの!」

 

「イーッヒッヒッヒ、お前らの好きにはさせないぜ、プリキュアァ〜!」

 

 それぞれがそれぞれの反応を見せる中、聞こえた声に全員が顔を向ける。そこには、まだ倒されていないビルの上に立つひとつの影があった。

 

「カメレオンロイド!」

 

 キュアブラックの言葉に、その影は下卑た笑いを返す。

 

 それは、おそらくは先ほどまでプリキュアたちが戦っていた怪物よりも異形であった。カメレオンを思わせる顔の口からは1mはありそうな舌が出ており、その全身はトカゲのよう、そしてその両腕だけが機械化されて万力のような手が付いている。

 

「流石は伝説の戦士プリキュアァ〜。今度は俺様と一緒に遊ぼうぜぇ〜!」

「イーッ!!」

 

 カメレオンロイドの声に答えるように、全身黒タイツの男達がいっせいに二人の戦士へと襲い掛かる。

 

「ああもう、なんでこうなるのよ!」

 

 キュアブラックは自分の顔を手で覆いながら悲嘆にくれる。だが、戦闘員たちはそんな彼女の声を無視して、

 

「イーッ!」

「イーッ!」

「イィーッ!」

 

「って、イーイーうるさいのよあんたらはぁ!」

 

 キュアブラックは大きく手を振りかぶると、それを地面へと叩きつける。重厚な音が響きアスファルトが砕けながら衝撃が、戦闘員たちへと走る。砕かれたアスファルトの鋭い突起がさらに戦闘員達を襲う。

 

「イーッ!」

「イーッ!」

 

「どきなさい!」

 

 なんとか、衝撃波を掻い潜ってきた戦闘員達を、こんどはホワイトが蹴り技で文字通りなぎ払う。戦闘員たち程度では、彼女たちを止めることはできない。

 だが、

 

「イーッヒッヒッヒ! 流石じゃないか、プリキュア」

「!!」

 

 突然、耳元で聞こえた声にキュアブラックは振り返る。だが、視界には迫り来る爪。とっさに腕を交差させて攻撃を受け止めるも、そのまま弾き飛ばされる。

 

「ブラック!!」

 

 キュアホワイトがすかさず、キュアブラックを受け止める。攻撃の当たった腕を抑えながら、彼女は突如現れたカメレオンロイドを睨み付ける。

 

「あんた、いつの間にそこに……!」

「ヘッヘッヘ、俺の名前を忘れたのかぁ? 俺様はカメレオンロイドだぜ?」

 

 蜃気楼のように、カメレオンロイドの姿が揺れる。そして、周りになじんでいくかのように、その姿が掻き消える。あたりを見回す二人だが、

 

「だから、こんな芸当だって出来るんだぜ?」

 

 二人を嘲笑うかのように、カメレオンロイドは二人の背後を取ると、再び腕を振り上げ、叩きつける。

 

「きゃあっ!」

 

 吹き飛ばされる二人。なんとか受身を取るも、地面を数メートル滑る。

 

「ヘッヘッヘ……どうしたプリキュアァ〜。これからが本番だぜぇ?」

 

 人を不快にさせる笑い声を放ちながら、カメレオンロイドは再びその体を周りと馴染ませていく。再び姿の消えた相手に、二人の少女は悔しそうに唇を噛む。

 

「このままじゃあ、一方的に!」

「落ち着いてブラック、何か手があるはずよ!」

 

 だが、彼女達に姿を消す相手に対処できるような技はない。このまま、一方的に嬲られるだけ……かと思われたが。

 

「やれやれ、苦戦してるようだな……いくぞ、ユウスケ」

「おう!」

 

 彼らの相手をするに相応しい戦士が、ここにはいる。

 

 士が白い箱のようなもの、変身アイテムディケイドライバーを腰につけ、ユウスケが構えを取ると同じく変身アイテム、アークルが浮かび上がる。士はカードを、ユウスケは構えを取り、叫ぶ。

 

「「変身!!」」

 

 -Kamen Ride DECADE!!-

 

 士がベルトのバックルにカードを、ユウスケが構えを取ると同時に、二人の姿が変わる。黒とマゼンタの仮面ライダー、世界の破壊者『ディケイド』、そして赤と黒の仮面ライダー、リントの戦士『クウガ』。

 

「今助けるぞ! 二人とも!」

「あなたは?!」

「俺は小野寺ユウスケ。細かい話は省くけど、君達を助けに来た! ……来い、カメレオンロイド」

 

 熱血漢であるユウスケは颯爽と二人の少女を庇うように立ち、雄雄しく言い放つ……のだが。

 

「邪魔だ」

「うわぁ!」

 

 目の前に突然現れたカメレオンロイドの突然の攻撃に対処することが出来ずにあっさりと吹き飛ばされた。プリキュアたちの横へと転がるクウガに、

 

「だ、大丈夫ですか?」

「あ、ああ、なんとか」

「本当に大丈夫なのかなぁ……」

 

 キュアホワイトの言葉に何とか答えるクウガ。キュアブラックが思わず呟いてしまう。

 

「何やってんだお前は」

 

 そんな彼にあきれた言葉を放つのは、士こそディケイド。

 

『おやおや、これはディケイド……あなたまでこの世界に来ましたか』

「ディケイド……! あなたが!?」

 

 カメレオンロイドの言葉に反応し、驚くキュブラックとキュアホワイト。ディケイドは、そんな彼女達の反応をとりあえず無視して、

 

「そうだ。お前ら馬鹿ショッカーのせいでこの世界に来ることになったんだ」

『ご苦労なことだが、例えお前であろうともスーパーショッカーの力でパワーアップした俺様を捕らえることは不可能。ついでだ、お前達も一緒に葬ってあげましょう』

 

 余裕綽々の言葉を、ディケイドは鼻で笑う。

 

「お前程度の相手、この俺が相手をするまでもない……ユウスケ! お前の出番だ!!」

 

 ディケイドは腰につけられている本型カード収納ケース、ライドブッカーを取り出すと、銃型へと変形させる。それをアギトへと向けて放り投げる。

 

「これを使えユウスケ!」

「そうか! わかった、超変身!!」

 

 銃へと変形したライドブッカーをクウガが掴むと同時に、クウガの色が赤から緑へと変わっていく。同時に、ライドブッカーも弓と銃を合成したかのような武器へと姿を変える。

 

 クウガ、ペガサスフォーム。

 

 緑のアギトは手に持っている武器を正面に構えると動かない。

 

『おやおや、せっかくフォームチェンジしたってのに何もしないのですかぁ? だったらぁ!』

 

 まったく動かないクウガへと、カメレオンロイドが透明のまま襲い掛かる。だが、

 

「そこだ!」

 

 瞬間、クウガの武器の銃口が見えないはずのカメレオンロイドを捕らえる。同時に、放たれる弾丸は寸分の狂いもなくカメレオンロイドの肩口へと食らいつく。吹き上がる火花と、透明状態が解除されて吹き飛ばされる異形の者。

 

「ば、馬鹿な?!」

「たとえどんなにお前のステルスが完璧でも、足音までは消せない!」

 

 ペガサスフォームは超感覚により敵を捕らえることが出来るフォームだ。たとえ、カメレオンロイド自身が見えなくても、彼が動くことによって起こる些細な音を、決して聞き逃さない。

 

「今だ、士!!」

 

 -Final Attack Ride!-

 

「!!」

 

 体勢を整えたカメレオンロイドの目の前に現れる、金色のカード模様。そして、飛び上がるディケイドの姿。

 

 -DeDeDe,DECADE!-

 

「うおおおおおお!!」

 

 迫る繰る、ディケイドの姿。避ける暇もなく、カメレオンロイドの体を貫く!

 

「ギャアアアアアアア?!」

 

 断末魔の叫びと共に、爆発四散するカメレオンロイド。その炎を背に、手を数回叩くように払うディケイド。

 

「所詮は下っ端。雑魚だな」

 

 はき捨てるように言うと、彼はプリキュアたちへと顔を向ける。そして、彼女たちへと言葉を言おうと口をあけるが、

 

「あなたが……ディケイド」

「本当に、私達の世界にくるなんて!」

 

 キュアブラックとキュアホワイト、二人は彼に向けて敵意丸出しの言葉と共に、構えを取る。そこから放たれるのは、感謝などではなく明確な敵対心。

 

「ちょっと待て、助けてもらっておいてその反応はないんじゃないか?」

「聞いてるわ、ディケイド。多くの異世界をめぐり、世界を破壊していく悪魔!」

 

 キュアホワイトの言葉に、頭が痛くなるディケイド。その言葉は、少し前まで彼が多くの者から言われた言葉だからだ。

 

「どこのどいつから聞いたのかは理解できそうだが……とりあえず、俺の話を聞け!」

 

 だが、キュアブラックとキュアホワイトは、厳しい顔つきのままディケイドと対峙する。

 

「世界の破壊者、ディケイド!」

「あなたの好きには、させないわ!」

 

 

 

 その光景を、嬉しそうに見つめているものがいた。

 

「……ふふふ、いいざまだよ、ディケイド」

 

 その男の名前は、鳴滝。これまで、ディケイドの行き先で多くの妨害をしてきた彼の宿敵とも言える存在だ。

 

「貴様に、この世界は破壊させんぞ……この、プリキュアのせかいだはな!」

 

 

 続く。

 

 

 思わぬ誤解が生んだ戦い。だが、ディケイドのたびは思わぬ方向へと向かっていく。

 

「僕の狙いは勿論、お宝のプリズムホービッシュさ」

 

 ドツクゾーンに協力するディエンド

 

「ホワイト!!」

「ブラック!!」

 

「士!」

「ユウスケ!?」

 

 ドツグゾーンの策略により、さらわれるキュアホワイトとアギト。

 最大の仲間を失い、くじけそうになるブラック。

 闇にとらわれ、希望を失うホワイト。

 そんな二人に、ディケイドとクウガは

 そして、放たれる必殺技。

 

 -Final Attack Ride! HUTARI HA PRECURE!!-

 

二話「最強の絆/ふたりはプリキュア!!」

説明
pixivに投稿しているものです。
ディケイドとプリキュアのクロスオーバーものです。
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ディケイド クロスオーバー プリキュア 仮面ライダーディケイド 

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