小説7 |
諸田は自分の交際者のことを決して堂々と公表しようとはしなかった、それはなんらかの不満が相手にあるのに違いないと同時に、もしその話をすれば、今利用しようと思っている相手が自分に心を開かなくなり、完全な利用を成功させるのが無理になると思うからだった。
不満があるとしたら、交際者がそれほど自分の理想ではないことが大きな原因だろう。だけど周囲からの勧めも大変強かったのでくっつけばきっと大きなメリットがあると思ったのだがそれも最初のうちだけだったのだった。
最初は、自分も好きな音楽の仕事を増やすために仕事を回してくれそうな人物やスポンサー関係者に接待をススンデしていたり、もちろん、ゆう子にもその接待の手伝いをさせていてとても順調だったのだが、最初にも話したとおり接待係りが二人では、手が足りず、二人ともめぼしい仕事関係者を全て一周してしまい、これ以上仕事を得るとしたら、過去の交際者に頼るしかないどん底の状態に陥っていたのだった。
正に四面楚歌の状態だ。
自分のために働かせているゆう子には食費や衣類の費用、仕事の雑費など全てを負担させていい気になっていたが、ゆう子の財力ももはや昔のような裕福な状態ではなくなっていて、貧窮の危機にさらされていたのだった。
それで一か八か拒否をされるかもしれない覚悟で昔の交際者の近辺に突然引っ越し、様子を伺って接近を図りさらなる貢相手を確保しようとしていたのだった。それほど家計は苦しい状態に陥っていたのだった。
10年以上前なら、まだネットもなく、情報が現在ほどハイスピードの流れなかったので、誰と付き合おうとその情報がすぐ漏れる心配もなかった、でも今はそれが無理になったのだ。そのためアリバイを借りまくる意味もあり突然の転居を決断したのだった。
そして、そのことにより、過去の駄目になった交際者との再会も過去交際者のアリバイを拝借しながら実現させようと躍起になっている最中なのだった。
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