真・リリカルなのは 第十二章 非道なる報復編 第三十三話 最後の一手 |
戦いの場が静まり返る
誰もが驚きを隠せなかった
フェイトはミッド式を使う魔導師である……ベルカ式の騎士ではないのだ
それなのにも関わらず、フェイトはベルカ式の魔法を発動したのだ
ミッド式の魔導師がベルカの魔法を使う事は珍しいが、例がないわけではない
その逆も然りだ
しかし、ミッド式の魔導師が発動するベルカ式の魔法はたかが知れている
少なくともリトナの分身体の魔法を弾くのは難しいだろう
だが、問題なのはフェイトは純粋なミッド式の使用者なのだ
つまりベルカ式の魔法を全く使用しない…………その彼女が何故ベルカ式の魔法を?
……謎が深まるばかりだ
リトナ(今のはベルカ式の魔法!?)
カイト(ハラオウンの奴、ベルカ式を会得していたのか?)
レイン(ミッドの魔導師がベルカの騎士の魔法を使えるのか?)
3人はそれぞれの想いを抱く
フェイト「………………」
バルディッシュ【sir 今のは……】
バルディッシュも驚いている
つまり訓練して手に入れたというわけではない、恐らく初めて発動したのだろう
フェイト「っ!!!」
ライオットブレード(バルディッシュ)を振るう
すると、カイトと戦っていた分身体が2体共切り裂かれて、消え去る
分身「っ!!!」
残りの分身体がフェイトに襲い掛かるが、
フェイト「はぁ!」
一撃で葬り去る
リトナ(この女、何所にこんな力を………)
フェイトはリトナに負け、体中がボロボロだ……満身創痍と言ってもいい
そうとは見えないほどの強さを見せた フェイト
カイト「ハラオウン……貴様、ベルカ式を会得していたのか?」
カイトはフェイトに近づき、問い掛ける
しかし、フェイトは何も答えない
カイト「おいっ!?」
フェイトは気を失い、その場に倒れ込む……恐らく魔力切れと思われる
リトナ(今のは何だ?)
リトナはフェイトの魔法に疑問を持つ
リトナ(奴は間違いなくミッド式だった。だが今のベルカ式の魔法は生粋の騎士にも劣らないものだ)
ミッド式、ベルカ式の両方を使える魔導師も中には居る
しかし、やはりどちらかに傾いてしまう
ミッドが得意ならベルカが疎かとなり、ベルカが得意ならミッドが疎かになるのだ
フェイトの魔法はどちらも完璧なものだった
まるでカイトの禁忌のベルカのようだ…………
だが、それは特別な魔法である為、リトナが知るはずがなかった
リトナ(ああいう謎の魔法が一番の脅威だ…………消しておくに限る)
爆熱の魔力を刃にし、フェイトに切り掛かる
しかし、それをカイトが阻む
リトナの斬撃を弾き、腹を蹴り飛ばす
リトナ「チッ」
吹き飛んだリトナは上手く着地し、カイトを睨む
リトナ「面倒だな、貴様ごと消してやる」
真っ赤に燃え盛る魔力弾を打ち出そうとする リトナ
レイン「させるか!!!!!」
しかし、レインがリトナに体当たりし、彼をよろけさせる
カイト「っ!!」
今が好機と言わんばかりに、カイトはウィザード(槍)をリトナに向けて投げ飛ばす
リトナ「クッ」
ウィザードの魔力刃が突き刺さるが、リトナの鎧には傷は付かない
カイト「振動している刃でも斬れぬとは………」
リトナ「私の防御力を舐め過ぎだ」
ウィザードがリトナの手に渡ってしまう
レイン「これならどうだ!!!」
青い砲撃を放つ レイン
しかし、リトナはウィザードを使って弾く
レイン「畜生………」
リトナ「ここまでだな…………さて、消えてもらおうか」
リトナはウィザードでレインに切り掛かる
レイン「クッ」
ウィンタムブレードで防ぐが、高速振動する魔力刃はウィンタムブレードを切り裂いていく
レイン「マジか!?」
ウィンタムブレードが徐々に切断されていく
カイト「はぁっ!!!!」
魔力を流水に変換し、その水圧でリトナを吹き飛ばす
リトナ「グッ!」
運良くウィザードがリトナの手から離れる
リトナ「バカな!? 今のはミッド式!?」
カイト「フン、それがどうした?」
リトナ「貴様はベルカの騎士ではないのか!!!」
リトナとの戦いではベルカ式の魔法を主体として戦っていた
その為、リトナはカイトはベルカの騎士だと思い込んでいた
カイト「俺は一度でも騎士を名乗ったつもりはない」
リトナ「何っ!?」
リトナは驚くばかりだ
騎士では無いと言うならば、何故ここまでベルカ式の魔法を使いこなせるのか?
無論ベルカ式が騎士と決まった訳ではない、ベルカ式の魔導師も居る
だが、リトナが驚いたのはそこではない
今までベルカの魔法を使いこなしていた男が何故ミッド式までも使いこなしているのか?
リトナ(先ほどの女と言い、こいつといい…………どうなっている?)
徐々にリトナは焦り始める
カイト「俺はベルカ式を主体としている。だが、ミッド式も得意分野だ」
そう、カイトは自分の魔法の事を理解していない
自身が((禁忌|ザプリェット))ベルカ式である事を知らない
彼はミッド式をも使いこなせるのは才能だと思っているのだ
リトナ(コイツ………天才か)
そして、リトナも才能だと思うしかなかった
ミッド式、ベルカ式の両方を使いこなすなど、常識はずれもいい所だからだ
リトナ(あの女も! 奴も! ここで殺す! 私の邪魔になる魔導師は!!!)
鎧から火が噴き出す
リトナ「行くぞ!!」
カイト「フン、来い」
リトナ「フレイム・ケルベロス!!!!!」
炎の狼が出現する
魔力を爆熱に変換させたもので形作ったものであろう
リトナ「消えろ!!!!」
炎の狼はカイトに襲い掛かる
カイト「舐めるな!」
ウィザードを振るい、リトナの技を破ろうとするが…………
カイト「チッ」
魔力刃で切り裂こうとも、すぐさま再生する
カイト(面倒な技を使いやがって!!)
リトナ「さて、後は…………」
リトナの視線はレインに向く
レイン「っ!!」
レインのデバイスであるウィンタムブレードは損傷し、恐らく戦える状態では無い
リトナ「レイン…………残念だがお前もここで死ぬのだ」
魔力で剣を生み出し、レインに向けて歩き出す
レイン「クッ」
焦る レイン
ウィンタムブレードは破損し、戦える状態では無い
逃げる事も、守ることも、戦う事もできない
レイン(ここまでなのか? 俺は師匠を止められないのか?)
悔しさからか、拳を強く握る
リトナ(レイン………)
一方リトナは嘗て、弟子として可愛がっていたレインの事を思う
リトナの頭には嘗ての思い出が映像として再生される
リトナ(それでも私は為さねばならぬ…………管理局を滅す)
カイト「レイン!!!」
動かないレインに怒鳴る カイト
リトナ(終りだ………レイン)
魔力剣が振り下ろされる
そして、魔力の刃が貫く………………リトナの腹を
リトナ「っ!?」
レインの右手には剣の様な物が握られていた
刃は短く、ナイフに近いか
そこから魔力刃が発生していた
その魔力刃がリトナを貫いたのだ
レイン「………………」
リトナ「シュヴェーレンモードか………」
そう、ウィンタムブレードとシェリムが1つとなった姿
それが現在の剣なのだ
嘗ての師を刃で貫いた レイン
彼は何を思っているのだろうか?
そして、勝敗の行方は?
次回、いよいよ最終話
レインとリトナの運命は?
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