真・リリカルなのは 第十二章 非道なる報復編 最終話 救われた心
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破損したウィンタムブレード

 

最早レインに戦う術は無いと思われていた

 

しかし、彼には相棒が居た

 

師から譲り受けたマリッジデバイス シェリムが

 

新たなるシュヴェーレンモードを使い、リトナを魔力刃で貫いた

 

レインの手は震え、顔は涙で濡れているのがわかる

 

リトナ「う……あ……」

 

リトナは吐血し、その場に倒れる

 

カイトを襲っていたリトナの技も消え去り、シュヴェーレンモードも強制解除となる

 

リトナ「まさか………最強の防御力を誇る……私の鎧を……貫く……とは」

 

今まで全く傷つかなかったリトナのシュヴェーレンモード

 

しかし、レインの魔力刃はあっさりと貫いたのだった

 

それには秘密がある……とはいっても難しいものではない

 

リトナの鎧を凍らせ、そこに魔力刃を突きたてたのだ

 

凍らされた部分は防御力を失い、まるで鎧の意味を為さなかった

 

これがレインの新たなる力、対象を凍らせ、切断しやすくする

 

切断力を増すのではなく、相手の防御を無きにする力だ

 

リトナ「……まさか、お前に………倒されるとは」

 

レイン「………………」

 

レインは何も言わず、ウィンタムブレードを手放し、地面に両膝を付く

 

リトナ「フッ お前の言う通りだよ」

 

レイン「え?」

 

リトナはレインに語りかける

 

リトナ「私はお前を……弟子として育て、そこに情が芽生えつつあった」

 

レイン「…………………」

 

リトナ「だから、お前の元を去った………燃え滾る復讐の炎が鎮火される前にな」

 

そう、リトナは最初こそレインを利用するつもりで育てた

 

彼のレアスキルは間違いなく役に立つと

 

しかし、弟子としてレインを育てていく内に情が芽生えたのだ

 

そして、自分の心を疑い始めた…………今の自分は間違っているのではないかと

 

それが耐えられなかった

 

復讐と言う目的が無くなれば、自分は何を糧に生きればいいのかわからなかったからだ

 

このままでは復讐を挫折することになってしまうと感じた彼はレインを残し、1人で旅に出た

 

例え強い憎しみを抱いたとしても、人と触れ合う事でそれを忘れさせてくれるものだと実感した

 

だからこそ彼は人と触れ合うのを拒んだ

 

リトナに賛同し、共に管理局の滅亡を望んだメンバーもにも心を許していない

 

しかし、それは利用と同じなのではないかと改めて考えてしまった

 

レインの声を聞き、彼の叫びを感じ、彼の復讐心は少しずつ剥がされていったのだ

 

彼がレインを引き込もうとしたのは、敵として戦いたくなかったからだ

 

レインがそれを拒み、殺そうとしたのは、自分の決意を揺さぶるとわかっていたから

 

レインに貫かれる前、リトナは彼を殺そうとした

 

しかし、刃を振り下ろすのに時間がかかった

 

迷ったのだ……レインを殺す事を

 

この時、彼は悟った……自分はレインを殺せないと、いや、殺したくはないと

 

そして、それが隙となり、結果レインに刺されてしまうことになる

 

だが、これで良かったのかもしれないと彼は考える

 

レインに殺される事によって、彼の復讐劇は幕を閉じる

 

死んでしまえば悩まずに済む………そんな気がした

 

リトナ「レイン……済まなかった」

 

そして、最後にレインに詫びる

 

リトナ「私は自分の心を騙し…………そして、お前の心を傷つけてしまった」

 

レイン「師匠!!」

 

レインはリトナの手を取る

 

リトナ「私を……未だに師と呼ぶか?」

 

レイン「当たり前じゃねぇか……あんたは俺の……たった1人の師匠なんだからよ!!」

 

リトナ「そうか……」

 

リトナは目を閉じる…………すると、今までの自分の過去が一瞬して脳内に再生される

 

リトナ(確かに憎い管理局と同じ事をしてきたのだろうな)

 

リトナは己の行いを初めて見返す事が出来た

 

リトナ「犯罪者である私を……復讐者でしかない私を……師匠と呼んでくれて……ありがとう」

 

自分の精一杯の想いを口にする リトナ

 

そして、彼は息を引き取る

 

管理局に犯罪者扱いとされ、憎しみだけを糧として生き続けた彼の生涯は、嘗ての弟子によって終わらされるというあっけないものだった

 

しかし、彼は最後の最後で人としての感情を、心を取り戻した

 

曇っていた空は急に晴れ、眩い太陽の光がリトナを照らしていた

 

 《全く、漸く終わったわね》

 

 《誰だ?》

 

 《私の顔を忘れたの? 最高のパートナーである私の顔を》

 

 《フッ まさか私を迎えに来たのですか?》

 

 《そうよ》

 

 《私の事など放っておけばよかったのに》

 

 《バカな事は言わない。助け合うからこそ、ベストパートナーなのよ?》

 

 《ええ、そうですね………》

 

 《お疲れ様。最後まで頑張ったわね》

 

 《いえ、結局何の為に生きたかわかりませんよ》

 

 《胸を張りなさい。あなたのお陰で弟子が成長したでしょ?》

 

 《そうですね………レイン、私はお前を見守っているぞ》

 

彼の魂は空へと導かれていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜レイン視点〜

 

カイト「よくやったな、レイン」

 

旦那が俺の所まで歩いてくる

 

レイン「俺は結局……師匠を救えなかった」

 

自分が殺されると思った時、体が反応して、逆に師匠を…………

 

カイト「……救えたはずだ」

 

けど、旦那は救えたと言ってくる

 

レイン「何で……そう思うんすか?」

 

俺は旦那に聞いた、聞かずには居られなかった

 

カイト「復讐に飲まれた男は最後の最後で心を取り戻した……それで十分ではないのか?」

 

俺が師匠の心を取り戻した? 俺は正直意味がわからなかった

 

カイト「先の攻撃、奴は躊躇した。その隙のお陰で貴様は助かった」

 

ああ、そうか………最後の最後で師匠は躊躇したのか

 

レイン「だったら尚更、殺したくはなかった」

 

いや、こんなもんはいい訳だな

 

俺は怖いんだ、師匠を殺しちまった事を背負うのが

 

カイト「レイン、前を向いて歩け……それが師から受け継げれるものだ」

 

レイン「え?」

 

カイト「奴の道は間違っていたのかもしれん。だが、自分を信じて突き進んでいた。そこだけは評価してやってもいい」

 

レイン「そっか……師匠は自分を信じてたんだな」

 

カイト「ああ。最後は情に負けたがな。そうでなけば、躊躇はしなかった」

 

レイン(師匠……俺は……)

 

カイト「迷ってもいい。人は迷えば新たな道を築く為に強くなろうとする生き物だ」

 

レイン「そうっすね…………俺は強くなります。今よりもずっと」

 

レインは新たな決意を胸に空を見上げる

 

 《期待してるぞ、レイン》

 

そんな声が聞こえた様な気がした

 

カイト「……………………」

 

レイン(旦那?)

 

……何か旦那の様子が変に感じた

 

カイト(奴もまた、管理局によって人生を変えられた者だった。やはり管理局は………)

 

カイトの旦那は去って行く…………その背中には何か変な感じがした

 

カイト(俺には今以上の力が必要だ………管理局を改める為に)

 

言葉では言い表せないなにかが………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜1週間後〜

 

リトナは死亡し、彼に賛同した者たちは牢獄に入れられた

 

彼が起こした事件は上層部によりもみ消された

 

反管理局の勢いづけになる事を恐れたのだ

 

そして、カイト達にも強く口封じが求められた

 

戦いで負傷したフェイトはミッドの病院で入院

 

回復したアリサとすずかはそのまま何時も通り地球で過ごすこととなった

 

因みに左近は無事にアリサの手元に戻った

 

また、口止料としてフレイムアイズ、スノーホワイトの修復が施された

 

しかし、1つだけ問題があった

 

リトナのケルベロスを含め、リトナに賛同した者たちのマリッジデバイスだ

 

それらは全て上層部が回収した…………これが吉と出る事は恐らくないだろう

 

後味悪く終結した今回の事件

 

しかし、この事件を切っ掛けにナカジマ姉妹の絆はより深いものになった

 

更に、なのはの体調も大分回復に向かっているようだ

 

そして、カイトは何かを考え始める…………その答えとは?

 

フェイトが発動したベルカ式の魔法の真相は?

 

それらがわかるのは、まだまだ先の話のようだ

 

第十二章 非道なる報復編………………………完

 

 

 

 

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リリカルなのは あくまで主役はなのは・・・・・・と思う 内容はオリジナル 

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