義輝記 蒼穹の章 その八
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【 星の覚悟 の件】

 

? 汝南付近 にて ?

 

春蘭「華琳様はまだか!! 秋蘭はどうした!? 季衣は大丈夫だろうか……? ああぁ───心配だぁぁぁ────!!!」

 

愛紗「静かに待てぇ! 心配しているのは、お主一人だけではないとしれぇ!!!」

 

桂花「…………………………」

 

鈴々「お姉ちゃんも……帰ってこない………」

 

流琉「………秋蘭様もですが……季衣もまだ…………」

 

斗詩「麗羽様…………」

 

バタバタバタバタバタバタ!!

 

曹兵「御報告します! 劉将軍、許将軍、御二人戻られました!!」

 

『──────────!』

 

ーーーーーーーーーー

 

春蘭「季衣!! 無事で良かった! 華琳様や秋蘭は?」

 

愛紗「姉上! ご無事で何よりでした! しかし、ご主人様のお姿が見えませんが………?」

 

桃香「まだ………後方で、敵の動きを抑えるんだって……」

 

季衣「大丈夫だよ! 華琳様も秋蘭様も凄く強いし、兄ちゃんやくるくる巻きのねえちゃんも頼りになるから!!」

 

雛里「…………しかし、相手は軍師の私達でも思い付かない策を編み出す『司馬仲逹』!! 何か嫌な予感が……するんです………」

 

星「それに……あの『筒井』まで仲間として参戦している。 全く……このところ、行動が裏目ばかり出ているようだ……」

 

ーーーーーーーーーー

 

鈴々「お兄ちゃん……………あっ!! 愛紗!!! お兄ちゃんが帰ってきたぁぁ!!! 華琳お姉ちゃん、秋蘭お姉ちゃん、麗羽お姉ちゃんもぉぉぉ!!!! 」

 

ドドドドドドドドドドッ!!!!

 

ドタッ!!  ドスン!! 

 

春蘭「か、華琳様!? 華琳様!!! 秋蘭! どうした!? お前が付いていながら───何があったというんだ!?」

 

猪々子「麗羽様! 顔が真っ青じゃないですかぁ!!」

 

斗詩「一体………何があったんです!?」

 

愛紗「ご主人様─────!!!」

 

星「一刀殿!! どうなされたのだ!?」

 

☆☆★

 

華琳「グッ………何とか……逃げ切れたようね……」

 

秋蘭「華琳様! 申し訳ありません!! 御守りする事が出来ず!」

 

麗羽「大丈夫ですか!! 我が君!」

 

一刀「だ、大丈夫だ…そ、それより……皆!! 早く逃げろ! 逃げるんだ! ここから急いで離れてくれ───!!!」

 

桂花「どうしたのよ一刀!? 兵や民は既に、橋を渡り切り対岸に移動したわ! 焦らなくても敵が大軍なら、ここまで一両日は掛かるわよ!? 華琳様も本格的な手当てが必要だし──!」

 

星「────もしや『筒井』が!?」

 

一刀「あぁ! 左校や大洪が…青州兵の皆が……犠牲になって止めてくれた! あの時、千載一遇の好機を逃さなければ──くそぉう!」

 

星「……一刀殿! 腐っている暇などありませんぞ!! 直ぐに皆を対岸に移らせなされ!! ──時間稼ぎは、私が行いますゆえ!!」

 

一刀「止めろぉ!! 相手は『化け物』だ! 俺達では……とても相手にならない!!!」

 

星「……だが、誰かが犠牲にならなければ、退却は不可!! 甘い考えでは、主のために犠牲になった青州兵が浮かばれせぬぞ!!!」

 

華琳「…………わかったわ。 星! 貴女に一任する! 私達は対岸に渡るわ! 一応、来るまで橋は残すつもりだけど、駄目と分かれば破壊させてもらうわ!! それで……いいのね!?」

 

星「構いませぬ!」

 

俺と星の会話を途中から聞いたらしく…春蘭に支えられ、こちらに向かう華琳。 桃香や愛紗、鈴々が物凄く心配顔で、星を見守る。

 

星「それに……奴と直接相手をした事があるのは…私だけ! 動ける者と限定すればですかな……。 初回の者では容姿に騙され、本領がが発揮出来ずにやられてしまう……恐れがありますので!!」

 

俺達が幾ら反対しても………星の決意、華琳の決断は揺るぎない!!

 

俺達は、星を残して急いで……対岸を渡った!!

 

◆◇◆

 

【 順慶との死闘 の件 】

 

? 汝南付近 にて ?

 

 

それから、半刻(約一時間)が経過ーーー

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーー

ーーーーー

 

スタッ… スタッ… スタッ… スタッ…

 

順慶「かなり…遅くなったはずなのに、貴女が残っているなんて、思いもしませんでしたわ! 趙子竜!!」

 

星「誰かが待たなければ、寂しいかろうと思ってな。 しかし、私の名を覚えて頂いてくれたとは、光栄の極み……筒井順慶!」

 

順慶「もし、今の名前が『真名』だったら、貴女は殺されても文句は言えない……と言う事でしたわよね………?」ニコリ

 

星「天城殿達から聞いた事がある。 『天の国』では『真名』の概念など無いと。 普通に姓か名前を呼んで貰えば、それで良いとな!」

 

順慶「あら、引っかからなくて残念ですわ。 まぁ、貴女のような機転が利く英雄なら、見破る事など造作もないでしょうが。 しかし、私の強さを知りながら現れるなど、賢いとは到底いえませんわ!」

 

星「武人として、強き者に対するは無常の喜び!! それに、雪辱を果たすため、あれから……私も修業したのだ! おめおめ負けるような趙子竜と思うな!!!」

 

竜牙の穂先を下に向け、腰を落とし構える星。

 

その姿を見て笑いつつ、近付いて行く順慶。

 

順慶「私の速さを知っているのに……その鈍重な構え? 笑わせてくれますわ───!」

 

順慶は瞬足で一挙に距離を詰め、背後に回り込み手刀を振り上げる!

 

ヒュ──ン!! ガッ!! 

 

順慶「なっ!?」

 

急に槍の石突きが伸びてきて、順慶の顔に迫る! 趙子竜に向けていた手刀を、慌てて返して受け止める!!

 

星「………『ぶっつけ本番』だが、上手く反応出来たようだ……」

 

順慶「趙子竜……! 貴女は何を!?」

 

星「主が『天の国』の『座頭市』と言う武芸者の話をしたのだよ。 目を頼らない戦い方があると聞いてな。 なるほど……音や気配で感じて迎撃するか! これなら、速さに惑わされる事はない!」

 

順慶「────厄介な技を!!」

 

順慶は、それでも足を動かし瞬足を試みるが、そこは趙子竜! 穂先を数発、目にも止まらない早業で足を狙う!

 

ガガガガガガガッ! タンタン──タッ!

 

順慶「クッ─────!」

 

星「甘い!」 グル──ッ!! ブゥーン!!!

 

下に向けて放っていた穂先を旋回して、咄嗟に石突きの根元まで持ち替えて、最上段から振り落とす星!!

 

順慶「───────────!!」

 

クルクルクルクル バッ!!   ズシィーン!!

 

足での回避行動が取れないため、地面に転がり込んで急速に位置を変えて、星の強力な攻撃を避ける順慶!!

 

星「ふっ! 貰った!!」

 

順慶は、地面に伏せた状態。 得意な瞬足での動きは封じてある!

勝機はこの時と槍を真ん中に持ち替え、順慶に繰り出す星!!

 

順慶「…………油断大敵ですわよ!!」

 

順慶は、瞬時に体勢を直し、伏せた時に掴んだ小石を投げつけた!!

 

星「クッ!」 

 

ガッ!

 

槍を盾に咄嗟に避ける星! しかし、避けた後も更に二つ……頭と胸に向かってきた! 

 

ガキッ!!

 

重要な頭を守るため槍で守り、胸の部分は身体を捻り腕に当てる!

 

ドスッ!!

 

星「────痛っ!!!」

 

思いがけない打撃の重さに、顔をしかめる星!

 

そして、後ろに──────!

 

順慶「………当に『刮目して相待すべし』 ですか……」

 

星「!!!」

 

シュルッ!! グッ!! ギュッ!!

 

後ろから左腕で星の首を締め、右手で星の右手首を掴む。

 

順慶「これで、完全に勝負は決まりましたわね!!」

 

星「うぐぅーーー!!!」ブンブン!

 

順慶「暴れても無駄ですわ! 首、手首を完全に決め、左腕も使い物にならないでしょう!! 私が投げる際に『氣』を込めて、ぶつけたのですから。 当たれば、その部分の氣の乱れが生じ、当分動かなくなりますのよ!?」

 

星「お、おのれぇぇ────!!」

 

順慶「諦めなさい!! 貴女は勝負に負けたのです! そして、わたしの胸の中で、後悔に苛(さいな)まれながら逝きなさい!!!」

 

じたばた暴れていた星が……観念して動きを止めた。

 

星「……残念ながら……貴様の言うとおりだ。 自分の武運拙く捕縛され、主の恩に報いる事も出来ずに、この有り様とは…………」

 

順慶「やっと観念しましたか。 だけど、安心なさい……私を此ほどまで手こずらせた将。 一思いに殺して差し上げます!」

 

星「その前に頼む!! 敗将最後の願いだ! 私の懐に入っているメンマを……どうか食べさせてくれ!!!」

 

順慶「メンマ……ですか? まぁ、人の好みにケチを付ける気はありませんが、食べさせるのは……御免被りますわ!! メンマの匂いが手に染み込んでしまい、颯馬様に嫌われてしまうかも!!」

 

星「……………………」

 

順慶「………ですから、貴女が自分で取り出し、メンマに御自分で顔を寄せて食して下さいまし! 左手も取り出す事ぐらい出来るはずですし、首も力を加減して差し上げますから……」

 

星「では、早速……よっ……とっ──!」

 

星は、辛うじて動く左手を動かし、懐よりメンマ壺を取り出した! 

 

星「……せめて、壺の蓋だけでも………」

 

順慶「手を離せば、貴女は逃走するおつもりでしょう!! その手は乗りませんわよ!」

 

星「………………チッ」

 

やむを得ず、口でメンマ壺の紐を解き、蓋を外す!!

 

星「───人生最悪な場面で食すメンマとは、またいかに!! 色といい形といい艶といい……何とも極上品だ!! 少し辛子が多いように思えるが………そう思わないか? 筒井順慶……?」

 

 

順慶「………私は…このような物、興味などありません!」 

 

星「………確か……天城殿に、このようなメンマを差し上げたら、非常に喜ばれたぞ!?」

 

 

順慶「────! それを早く仰りなさい!! 颯馬様の好物『メンマ』の極上品を知らなけば!!」

 

 

順慶が星の頭より少しずれて………メンマを覗き込む!

 

 

────!!

 

その時、星が動いた!!

 

左手の掌に載せたメンマ壺。 その状態の中、星は左足を使い左手に膝蹴りを食らわす!!! そして、掌のメンマ壺は、膝蹴りの威力に押され順慶の顔に──────!!!

 

ビッチャッッッ────ア!!

 

順慶「キャアアァァァ───!! 顔が!! 目が!!! 痛い! 痛い痛い痛い痛いーーーーーーーー!!!!!!」

 

メンマ壺を被った順慶は、拘束していた星の身体を突き飛ばし、顔を一生懸命に擦るが、痛みは余計に酷くなる!!!

 

星「………愛紗め、とんでもない激辛メンマを仕掛けてくれたものだ。 口の中が、まだヒリヒリするぞ………。 たが、コレで助かるのは我がメンマへの愛故にだ!! 急いで皆の元へ戻ろう!!」

 

急いで、橋まで来て見れば─────橋は既に半壊状態!!

 

一刀「星! 早く来るんだ!! 華琳が橋を破壊すると言うの頼み込んで、落ちる一歩手前の状態に残したんだよ!」

 

星「感謝する! 一刀殿!!」

 

ギシギシ ガクッガクッン! 

 

スッスッ───!  タン──ッ!!

 

壊れないように、最小限の足裁きで橋を渡る星。

 

『お待ちなさ─────い!!!』

 

声をする方を振り向けば……目を真っ赤に腫らした順慶が、怒りの形相で立っていた。

 

順慶「……こんな、こんな馬鹿げた……やられ方をしたままでは…久秀に何を言われるか……わかりませんわ!! 趙子竜!! 私の本気の本気を受けな──『ガッーン!!』──エッ!? エェッ!!」

 

順慶が再戦を申し込んでいる途中、星は竜牙の石突きを橋に叩きつけた! グラグラグラッと橋が崩壊始める…………。

 

星「…………私一人なら、考えてやらなくてもないが、今は待ち人が大勢いるのだ! お主の都合に付き合う事情など無い!!!」

 

『ハーッハッハッハッ!』と一人高笑いした後、振り返り一言残して心配している皆の元に────戻った。

 

『………まぁ、考えても再戦なんぞ……二度と御免だ!!』

 

順慶は橋を強引に渡るつもりで動くが、崩壊は止まらず……黙って見ているしかなかった………………。

 

順慶「覚えていなさい……。 私に屈辱と怒りと……メンマ塗れにした憎き将『趙雲』!! この借りは、必ず─────!!」

 

去っていた方向に向かい吼え、復讐の念を強くするのであった。

 

◆◇◆

 

【 颯馬の動き の件 】

 

? 洛陽 宮廷内 颯馬私室 にて ?

 

小太郎「颯馬様! 曹操を監視している配下より連絡がありました!」

 

俺が、部屋で書き物をしていると、風魔小太郎が急に現れて、報告を告げる。 しっかり者のいい子なんだが………状況確認にもう少し注意して貰えれば……と呟く。

 

この前も、俺が下着一枚で着替えていた最中、急に現れたと思えば俺の姿を見て顔を赤らめる! そんな時に入り口から光秀が入り、その光景を見て……しばし唖然! その後、正座で説教を食らう羽目に。

 

小太郎は、散々俺には謝るが……光秀には何故か対抗意識があるらしく、プンスカと頬を膨らませていた。 当の光秀は、何となく察しているようだが………肝心な事は教えてくれない。

 

『颯馬自身で気付かなければ……あの子が可哀想だ』と言って。

 

おっと、余談が過ぎた! 小太郎の報告は華琳の行方だった!

 

『曹操、官渡と汝南間の街道にて、袁家追討軍と遭遇! 多数の犠牲を出しながらも戦場離脱に成功! 汝南を越え孫策に迎えられる!』

 

俺の知ってる史実とは……完全に離れた。 

 

官渡の戦いで曹孟徳が負け、孫伯符に取り込まれる。 しかも、劉玄徳が曹孟徳に加わり孫伯符の下に着くなんて………。

 

そうなると、代わりに台頭してきた勢力『袁家』が気になる。 周辺諸国からの情報では、袁家の当主は『袁公路』、補佐役は『司馬仲逹』だと聞いている。

 

あの『司馬仲達』が袁家に居る時点おかしいのだが……不思議な件がまだある。

 

攫われ袁公路、張勲が何故『袁家』に居るのだという。 しかも当主で袁本初と代替わりしていると聞いている。

 

もちろん、そんな話を聞けば、真実を確かめたくなるは、当然の事。

 

それが、この世界でも、最高峰の域に達する『忍び』の者逹でも、調査ができない。 いや、送ったのだが……無事に戻って来た者がいないと言う事実が……俺を苛立たせる! 

 

だが、逆に考えれば、忍びを排除する事が出来る者がいると言う事だ。 即ち………俺逹の関係者か、于吉とか言う導師か………?

 

益州の攻略も……早めに攻略しなけばならないところだが、袁公路と雪蓮達による『赤壁の戦い』と似た戦が、発生する可能性も高い。

 

どちらの事も対応出来るように、あの者逹の協力を要請しよう。 

 

ーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー━

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

前作では、支援数を多く入れていただき、大変感謝いたします!

 

華琳逹の逃走………後半戦になります。

 

前半のシリアスが、大部薄れたものになりました。

 

それから……恐縮なら連絡を一つ。

 

戦極姫『筒井順慶』の原画を書いていらしゃる方!

 

色々とんでもない扱いをして、すいません!

 

それでも、最後まで書かせて貰いますので。

 

 

 

 

また、よろしければ、読んで下さい。

 

 

 

 

ついでに、話を考えていたら……こんなのが出来ましたので、おまけで投稿です。

 

 

◆◇◆

 

【 異説 石兵八陣 の件 】

 

? 官渡から汝南間 にて ?

 

雛里「朱里ちゃん!! はや、はや、早く!!」

 

朱里「雛里ちゃん! 待って! まだ荷物が上手く結べないよぉ!」

 

久秀の策により逃走するハメになった華琳達!!

 

許昌より合流し協議の末、民と将兵に分けて逃走を開始した。

 

民逹と一緒に逃げれば、足手纏いとなり行軍が遅くなる! 民達を庇いながら戦えない! と、民を邪魔者扱いしているように一見………そう思えるのだが。

 

実は……自分達に付いてくれば、撒き沿いを喰らう羽目になると言う優しさの裏返し………………のはずである。 

 

桂花「アンタ達! 何をしているのよ!! 敵が追撃して来るわよ!!! 早くなさい!!!」

 

朱里「はわわわわ!! い、行こう! 雛里ちゃん!!!」

 

雛里「しゅ、朱里ちゃん!! 自分の荷物は自分で持ってよ!!」

 

☆☆★

 

順慶「……敵は二手に別れましたわね?」

 

久秀「クスクスクス……こちらの兵を二手に分けて、兵力差を縮めさせようなんて、なかなか残酷な事を考えてくれるじゃない? でも、そんな面白くない策に乗る久秀じゃないのよ……。 

 

全軍! 曹操達を追撃なさい!!!」

 

順慶「痩せた羊を殺すより、手負いの狼達を追い詰めた方が、面白みがありますもの! 私達も行きますわよ!!」

 

十数万の敵兵が華琳達に追撃をかけた!!

 

☆★★

 

華琳「敵の追撃が執拗だわ!! 何とか足止めをしたいのだけど…」

 

春蘭「私が迎え討ちましょう! その隙に!!」

 

秋蘭「姉者! 馬鹿な真似は止めろ! 姉者一人だけでは何にも成らない!! 寧ろ我らの軍が弱体化する!!」

 

春蘭「………むうぅ! よく分からんが、秋蘭が反対するなら止めておこう………」

 

桂花「でも、方法が無ければ………私達は…………!」

 

朱里「ハァー、ハァー、ハァー…………(シュルリ~ パサパサッ!!) あーっ!!!!」

 

(朱里が背負っていた多数の筵が、止めていた紐が外れ……風に吹かれ………後ろに飛び広がる!!!)

 

 

雛里「あぁぁ───っ!! 朱里ちゃんの『筵』がぁぁー!!」

 

パサパサッ! パサパサッ! 

 

───ガシィ!!

 

順慶「あらっ? 前から何か飛んできましたわ────!!!」

 

(何気なく飛んで来た筵を反射的に掴み、広げて見た。 そこには───!? )

 

順慶「まぁ!! まぁ!!! まあ──っ!! 颯馬様! 颯馬様がぁ!! 久秀! 久秀ぇ──!! 」

 

久秀「…………聞こえているわよ! 何を……そんなに興奮しているのよ? 私達は曹操達を追撃している事、忘れていない!?」

 

順慶「そんな事より、これをご覧なさい!!」バッ!

 

久秀「一体何をそんなに興奮──────!!」

 

(そこに描かれていたのは天城颯馬………と北郷一刀の絡み合いの絵姿………。 あんな姿やこんな姿……八百一好きなら思い浮かぶ妄想全開の絵が載っていた………)

 

順慶「────まだ、何枚か飛んだ物がありましたわね! 全軍停止!! 新たに命令を出します!!」

 

久秀「な、何を勝手に命じているの!? 順慶!!!」

 

順慶「颯馬様のこのような姿!! 全部私が頂く……コホン……いえ、他のおなごに渡る事が無いよう……回収させて貰いますわ!! 

 

全軍に告げます!! この付近で筵を拾い集め私に預けなさい!! 但し、中身は見ない事!! もし、見たら…殺しますわよ…!!!」

 

『はっ、はい!!!』

 

★★★

 

桂花「………敵の進撃が……止まった?」

 

一刀「朱里? あの筵ってなんなんだ? あの執拗な敵が停止しているなんて……なんかの策なのか?」

 

朱里「………そ、それは………」

 

星「一刀殿、あれこそは、かの有名な『石兵八陣』と言う術! 筵に描かれた絵図を観ると、敵が石のように固まてしまう…世にも恐ろしい術なのです!!」

 

一刀「あれが石兵八陣!? 凄いじゃないか!! あっ、石兵は分かったけど、八陣は………何の意味を示すんだ?」

 

雛里「八百……」

 

華琳「八陣? あぁ……成る程。 八枚の筵に『魔法陣』が描かれていて、それにより発動した術なのね!! 皆の者! この朱里の働きを無駄にするな!! 急ぎ逃走を開始せよ!!」

 

 

 

朱里「(星さぁぁぁん!! 何を胡散臭い事を言い出すんですかぁ!!)」

 

星「(ほうぅ? それでは……皆に話すか? 筵に八百一を描きました………と皆に言ってみるか?)」

 

朱里「(──────!)」

 

 

 

桂花「(華琳様…………どうも……朱里の慌てようからして、この行いが狙ったものでは無い事……明白なのですが………)」

 

華琳「(いいのよ! このような神秘的事象が起これば、人の心は高揚して疲れを忘れる! 

 

今、必要なのは行為の真偽では無く、如何に人智を超えた現象の加護が我らにあるのか、認識させる事こそ肝要なのよ!!)」

 

 

 

一刀「…………実際……こうやって目に出来るなんて……感激だな……雛里!!」

 

雛里「………………………………」

 

 

★☆★

 

久秀「…やるわね。 筵にあのような絵を仕込み、偶然を装い最高の場面で最大の効果を狙うなんて……面白い事してくれるじゃない!!

 

───いいわ! 貴女から受けた屈辱……久秀への宣戦布告と受け止めましょう!! 覚悟なさい! 諸葛孔明!!!!」

 

 

 

 

朱里「────はわわわわ!! 何か物凄い誤解と敵意を煽り、最悪な事態を引き起こしてしまった気がぁぁぁ───!!!」

 

説明
義輝記の続編です。 支援入れていただいた方 お礼申し上げます。 よろしければ読んで下さい!
おまけの最後、若干修正しました。
6/23 順慶と星の会話、ちょっと修正を。
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コメント
禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! 朱里からの報告ですと……予想外の反響で在庫不足なようです。 仕事の合間に作成していたとの事。 速やかに華琳様へ報告致しました。(いた)
星が活躍が朱里に喰われました、腐ってやがるw と言いたいが敢えて言おう戦場に何を持って来ている袁紹戦の遠征の時から?仕事場にもリラックス/リフレは必要だろうが切羽詰ってる状況下で不用品を大事にするとかないわ〜。↓腐れ軍師だろう混じりっ気なし腐れ軍師だろうが、連合の頃の予感的中です、こっち見るなwww(禁玉⇒金球)
天龍焔様 コメントありがとうございます! 朱里「…………焔しゃんが慰めてくれても、他の人は腐れ軍師とか思ってるんです!」(`ヘ´) プンプン(いた)
mokiti1976-2010様 コメントありがとうございます! 本人も知らずに発動しちゃた『孔明の罠』です。 この後の話は……何も考えていませんw(いた)
なるほど…これが所謂『孔明の罠』というやつですね。久秀をも惑わすとはさすが諸葛孔明というべきか!(mokiti1976-2010)
的確ですね、正にその通りだと。 そのうち何人か入って規模が拡大するんですよ。 鼻血軍師、猫耳軍師とか。 (いた)
naku様 コメントありがとうございます! 投稿するとコメント欄を見るのが結構ドキドキなんですよ。 孫子に情けが深すぎるととダメとか記載があった気が。 星はシリアスとお笑い両方書けて星の魅力が出る気がします。(いた)
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