語られし者たちとIS 世界樹大戦 第38話 世界樹大戦参加者への交渉 |
世界樹大戦のことが判明した次の日の放課後
様々な場所で、交渉が始まっていた。世界樹大戦の参加権を譲ってもらうためだ
セシリアは自室にメイドのチェルシーと先輩のダリルを呼びだす
「さっそくお願いがあります。世界樹大戦の参加資格を譲っていただけないでしょうか?」
二人から参加資格をもらおうとしているセシリアに対して少々呆れ気味のチェルシー
ダリルはやれやれと言う感じになっている
「……お嬢様、お忘れかもしれませんが世界樹大戦では、パートナーと組まなければいけません。ですが、お嬢様は男性の方と組む気はあるのですか?」
「……そんなことは大丈夫ですわ」
「おいおい、無理していますって顔に書いてあるように見えるが?」
「誰が見てもわかるな」
セシリアの返事に対してダリルと姿を現したリッドは指摘する
「チェルシーに聞いたが、君はあまり男性に対していい印象をもっていないのだろう? そんな君が本当に世界樹大戦で戦えるのか?」
「そ、それは……ですから我慢しますわ!」
姿を見せたリーガルの言葉に声を荒げるセシリア
その様子を見ていたチェルシーは、ため息をついていた
彼女は、セシリアが世界樹大戦に参加するということがどういうことなのか理解していないのだろうと思っている
「……我慢……ですか、お嬢様は勘違いなさっていますね」
「勘違い……?」
「そうだな、パートナーと組むって言うのに我慢とかそういうのはありえないからな」
「ありえない?」
参加者である二人の言葉にセシリアは疑問を持つ
「お嬢様、私たちはパートナーと協力して戦いを勝ち抜こうとしています。それを我慢するなど、相手の方に失礼なのではありませんか?」
「そうだな。何よりあんた、多分この二人と相性が悪そうだな。それだと絶対にこれから先勝ち抜いていけない」
ダリルの言葉にリッドとリーガルは頷いた
「確かにダリル殿の言う通りかもしれない。我らは男性だ。それに加え私は罪人だ。そんな私と組みたいとは思えない」
「俺もそんな気がするぜ。俺はダリルくらいの緩さが合っている気がするからな。仮にあんたに組んでもうまくいかない気がする」
セシリアは彼らの言葉を否定できなかった
リーガルが自分のことを罪人と聞いた時に、確かに組む気を一瞬なくした
またダリルの緩さについては聞いたことがあった。代表候補生として実力は充分なのにやる気がないらしい
セシリア自身、ダリルにはもっとしっかりしてほしいと思っていた
しかしその緩さと相性がいいと言われてしまうと自分との相性が良くないと思ってしまう
(……何故でしょうか? 何か言うことがあるのかもしれません。ですが、いくら何を言っても彼らと組める気がしなくなって気がしましたわ)
ただ自分が何を言っても通じない。その考えもあったのだが、何よりチェルシーとリーガル、ダリルとリッドを見ているとそれぞれのつながりを断ち切ることはできない
セシリアはそう感じていた
「……分かりました……諦めますわ」
同日、同時刻
アリーナにはシャルロットとラウラ、虚とナターシャがいる
そこで、ラウラと虚が戦っていた。アリーナの使用許可と審判はナターシャがやっている
事の始まりはラウラが世界樹大戦に参加しようと考えたことである
自身の力を示せればよいのではないかと思い、参加者と戦うことにした
それを昼食時に食堂で、呟いていたためシャルロットには勿論、たまたま近くにいた虚とナターシャに聞かれた
ナターシャと虚の提案で、放課後にアリーナでラウラの実力を見せてもらうこととなった
ラウラはシャルロットと戦うものだと考えていたが、虚と戦うことになった
虚も訓練用のISを装着し、ラウラと戦ったが、すぐに決着がつく
ラウラが敗北し、あおむけで倒れるという結果で
「バカな……いくら学園の先輩と言え、専用機持ちでない相手に負けるなんて」
「確かに専用機は持っていません。ですが、対策くらい考えています。軍人と言えど負けるつもりはありません」
虚の言葉にショックを受ける。油断はしていたわけではない。だが、圧倒的に負けてしまった
「世界樹大戦に参加している参加者の力がわかったかな?」
シャルロットはラウラに近づきながら話す
「確かに強さは分かった……だが、今から参加したとしても」
「ボーデヴィッヒさん、今からでは、今後の試合に勝つことは不可能です」
ラウラの言葉をナターシャが否定する
「どういうことだ!?」
「簡単な話です、鍛える時間がないからですよ。私たちのようにここまで戦えるようになるまでどんなに才能があっても2ヶ月以上必要になります」
オーバーリミッツまたはそれに似ている技術を習得するだけでも1か月以上かかる。基本的な技術のため、本戦に出るためには、必須と言ってもいい
更にパートナーによって様々な力の使い方を学ばなければいけない
力にもよるが会得するのにも時間はかかる
彼女たちには本戦が始まる前に鍛え始めているため、まだ何とかなった
だが、すでに試合が始まっている。基礎を鍛えている時間はほとんどない
恐らく今のラウラでは、ギガントモンスターを倒すことすらできないだろう
「……学園祭の日、魔物たちが出てきたな。あれを簡単には倒せなかった。その程度の力では無理ということか」
「そうだね、正直に言うとすでに僕たちはあれ以上の力を持つ魔物と戦っている」
シャルロットの言葉を聞き、ラウラは確信した
今誰かと代わって世界樹大戦に参加しても確実に敗北する
それが分かっていて参加するのは愚か者のする事
「……シャルロット、世界樹大戦は諦めよう。だが、良かったら私を鍛えてほしい」
ラウラの言葉にシャルロットは優しく頷く
それを見ていた虚とナターシャも安心そうな表情をしていた
「ようやく来たか、待っていた」
「見当は付くけど一体何の用?」
箒の自室
ここに鈴と本音、蘭がいる。箒が呼びだしたのだ
鈴の言葉は後の二人も言いたいことである
「ならば話が早い、私に世界樹大戦の参加権を譲ってくれ」
「いやよ」
「お断りします」
「ごめんね」
箒の言葉を聞いた瞬間、すぐに答えを出す。勿論、断りの返事である
「ふん、お前たちに言っても意味はないか。ならば、パートナーとやらを呼んでくれ。彼らを説得する」
すぐに鈴たちは自分のパートナーを呼ぶ
彼女たちは確信している。箒にはパートナーを説得することなどできないと
「いいか? 私は、専用機を持っている。少なくともそれだけで、本音や蘭よりも強いということが分かるだろう? そして私の使っているISは第4世代型、鈴の機体よりも進んでいる。それはここにいる者たちよりも強いということだ」
箒は自信満々に説明する。世界樹大戦に勝つには、強い人をパートナーにするべき
箒はそう考えている
しかし彼らの答えは違った
「箒って言ったっけ? 僕が鈴と組んでいるのはISの性能が理由じゃないヨ。鈴はフォルスを持っているから一緒に戦う上で有利なんだよ」
「な、なら私がフォルスというやつを使えれば……」
「君はフォルスを使えないよ。だって見えてないでしょ? 僕の手の上にある球体が?」
マオが両手で何かを持つようにしている
箒は見る事が出来ない。だが、ここでいいえというつもりはないらしい
「……いや、球体が見えて……」
「あれあれ? 本当は立方体なんですけど」
「な! 騙したのか?」
「だって本当に見えているならそんなこと言わないでしょ? これではっきりしたけど君にはフォルス能力はない。これから能力が開花する可能性も万が一あるかもしれない。けどそれはいつになるのかわからないから却下、だから僕が君と組むことはないヨ」
マオはバイバイと言いながら姿を消した
箒はすぐに次の相手、ガイに近づき話しかけようとしたが避けられた
「……すまない、俺は女性が苦手なんだ。あまり近づかないでほしい」
「そうか、注意しよう。では世界樹大戦について……」
「悪いが俺も断らせてもらう。蘭は、第七音素が扱えるという特殊な才能がある。俺はそんな彼女と戦うと決めている」
箒はガイの言葉を聞いただけで理解した。蘭もまた自分が持っていない特別な力があるということを
「だが、先ほども話したが私は専用機を持っている。蘭はIS操縦者としての経験はほとんどない。それならば……」
「君が専用機を手に入れたのは、2ヶ月くらい前のはずだ。経験だけで言ってしまえば、蘭と差を感じないように思える。それに俺は専用機を持っているという理由だけで、人を変えるつもりはない」
「な!?」
「この前の魔物の襲撃の際、俺と蘭も討伐に参加していた時に簪と君が戦っているのを見させてもらった。ISの性能に振り回されている感じがしたな。正直、蘭の方が強いぞ。ISなしで君が戦った魔物と同じ奴の相手をしていた。君は自分の力を過信しすぎだ」
箒が文句を言う前にガイは彼女の実力について指摘する
彼女はいくら何でも蘭よりも弱いということはないと思っていた
しかしISなしで魔物と戦っていたという事実を聞いて驚いた
何も言えず、箒は黙った。
そんな彼女にリオンが話しかける
「追い打ちをかけるようだが、僕もパートナーを変える気はない。こう見えても本音はお前よりも実力がある。何より、こいつの声を聴く事が出来るからな」
リオンはそう言いながら剣を取り出した
(そうですね、いつもはのんびりしていますが戦う時にはいい実力ですよ)
「えへへ、シャルティエさんありがとう」
本音が照れながらお礼を言う。しかし一体誰に言っているのか、箒を含め鈴と蘭も疑問に思う
「僕が持っているのはソーディアンと呼ばれる人の意志が宿っている剣だ。素質がある人間にしか声を聴く事が出来ないここまで言えばわかるな? マオとガイが話していたことと同じ理由だ」
リオンはバッサリと切り捨てる
「才能が……そんなに大事か!?」
そんなリオンに対して箒は怒り、声を荒げる。いきなりのことで本音と蘭は驚く
リオンは呆れながら話し始める
「当たり前だ。先ほどお前、自分は第4世代のISを持っているから自分の方が強いと言っていたが、それはお前自身の才能を現しているわけではない。そのISを本音や蘭が使えば、お前と同じように戦えるのではないか?」
「そうなれば、お前と本音たちとの差がなくなる。いや、それどころかこちらは今まで修行してきた時間がある。差が開く一方だ」
リオンの厳しい言葉が続く
「僕は正直に言ってお前のことが嫌いだ。お前のように一夏と一緒にいたいという理由だけで戦いに入ろうとしていたからな」
最後にリオンはそう吐き捨て、姿を消した
「そうね、その点は私も同意するわ」
「なんとなく思っていましたけど……」
「それはちょっと……」
鈴も蘭も本音も箒の参加動機には否定的な感じだった
そんな3人を見て、箒は戸惑う。本音はともかく後の二人は自分と同じ理由だと思っていた
だが、今のやり取りから違うということは箒には理解できた
「もうお前たちには頼まない……出て行ってくれ」
やけになり、呼んだ3人を追い出した。
箒は悔しながらこれからどうするべきかを考える。そして、携帯に手を伸ばす
「……こうなったら……」
職員室
簪は日直のため、楯無は提出物を届けるために職員室にいる
二人は用事が終わり、帰ろうとした時
「更識姉妹、話がある。ついてきてもらおうか」
彼女たちは千冬に呼び止められた
他の教員がいるため、断ることもできず、千冬についていく
千冬は職員室の奥にある部屋に二人を連れて行く
すでにその部屋には真耶がいた
これだけで更識姉妹と真耶は千冬が何を離そうとしているかを理解した
「単刀直入に言おう、私に世界樹大戦の参加権利をよこせ」
「「「お断りします」」」
千冬の命令を三人は断る
同時に参加者のパートナーも出てくる
「お前たち、私はこいつらよりも強い。世界最強と呼ばれていたことがある。世界樹大戦に勝つには私と組むべきだ! それが分からないわけがないだろう?」
「生憎、私は自分の嫌いな人とパートナーになる気はないわ。そんな人と組んでも勝てる気がしないわ」
アンジュはそもそも千冬を嫌っているため、パートナーになりたくないとはっきりという
「世界最強ですか……それはつまらないですね。成長する喜びがないですから。そして何より、あなたの自信はどこから出てくるのでしょうか? 世界樹大戦について何も知らない人が……そのような人とは私も組みたくはありません」
ローエンは諭すように、だがはっきりと断っている
「あなた、人の心についてもっと学んだ方がいいと思いますよ? そんな脅しで信頼関係が気づけるとでも? そして、僕たちのきずなを舐めてもらっては困ります。そんな命令で断ち切れると思っていましたか? 僕もあなたのような人と組むのはお断りです」
ヒューバートも切り捨てるように断る
しかし千冬は諦めるつもりはなく、次の手を出す
「今ここでお前たちと戦って倒してもいいんだぞ? これが最後だ。私に参加権をよこせ」
本気で脅しにかかる
「織斑先生、あなたにそんな事が出来る権限があると思っているのですか? 仮にここで戦うとして私たちが怪我した場合、どのような言い訳を考えているのですか?」
楯無の言葉を聞いて、簪はポケットからレコーダーを取り出して見せる
「今までの会話は……録音しておきました。もし戦うつもりならこれを……学園長に提出します」
「……失望しましたよ、千冬さん。そんな風に出るなんて……」
真耶は千冬に対して呆れたような態度をとる
「いい加減にしろ! 私はIS学園では」
「IS学園の中で、あなたに与えられている権力は有事の際の指揮です。それ以外では、ただの教師と変わりませんよ」
「いえ、確か周りから未だに副担任が必要な教師とも言われていたかしら」
「なるほど、確かに簪の担任には副担任がいませんね。教員としての実力はその程度というわけですか」
千冬が何かを言う前にローエン達が千冬の立場を指摘した
「貴様ら……!」
以前、ジュディスに殴りかかろうとした時と同じようなことをする
勿論、かわされるが
「やれやれ、暴力に訴えますか。帰りましょう、簪。これ以上ここにいても何も得ません」
「そうね、真耶。仕事に戻るわよ。他の教員に頼んで、千冬から守ってもらいましょうか」
「楯無さんも行きましょう。生徒会の仕事が残っていますから」
三人の言葉に参加者たちは頷き、部屋を出る
千冬は呼び止めようと声をかけるが、誰もその声に耳を傾けることはなかった
「……こうなったらあいつに……」
携帯を取り出し、ある番号にかけた
ディスプレイには篠ノ之束という文字が表示されていた
束への交渉
何処かにある研究所
束はIS学園にハッキングして、監視カメラを見ていた
「……そろそろかな?」
彼女が呟いた瞬間、携帯が鳴る
「もすもす? ちーちゃん、何の用事?」
「束、お前は世界樹大戦について知っているか」
(ああ、やっぱり私の所に来たか。ごめんね、ちーちゃん)
「何それ? おとぎ話かな?」
「……実際の話だ。そう言う戦いが実際にある。私はそれに参加しなければいけない」
「まさか、参加方法を調べろとでも? やだな、ちーちゃん、そんなの無理に決まっているよ。だっていくら私みたいな天才でもおとぎ話について実際にできないって」
「……束、何か隠していないか?」
(相変わらずだな)
「ごめんね、ちょっと用事があるからもう切るね」
千冬が何か言おうとしていたのを無視して電話を切る
(次は……)
もう一度、携帯が鳴る。今度は箒だ
(同じ話をするのは面倒だな……)
そう思いながらも自分の妹からの電話。無視することもできず出る
「ヤッホー、箒ちゃん。どうしたの? 世界樹大戦とかいうおとぎ話のことだったら私には出来ないから」
「……姉さんでも無理なのか?」
「ごめんね、束さんは天才だけど神様じゃないから」
そう言って再び、電源を切った
(ふう、私には無理だよ……無理矢理参加者を変える方法をやるのは……できないことはなかったけど、予選が終了した今では不可能だね)
束も一応考えてはいたようだ。しかしそれを実施するつもりはないらしい
(そんなことする意味はないからね。そもそもちーちゃんや箒ちゃんに参加してもらうつもりはないし)
そんなことを考えながら束はクロエの下に向かった
ようやく投稿できました。仕事が忙しくなかなかできませんでした。申し訳ありません。
お待たせいたしました。
次回こそ早く投稿できるように頑張りたいです……
何時かやりたい番外編がありますが、どっちを先にやった方がいいでしょうか?
1.ifの世界 箒たちが世界樹大戦の参加者になった場合
2.歴代シリーズの衣装の話
感想・指摘等あればよろしくお願いいたします。
説明 | ||
更新がだいぶ遅れてしまって申し訳ありませんでした。 交渉編です。 |
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コメント | ||
感想ありがとうございます。kiritさん>2ですね。頑張ります。(しゅーろう) 2でお願いします。(kirit) 感想ありがとうございます。グッチ2さん>束はクンツァイトと関わったから成長しています。それでも他人への関心はまだ少ないですが……(しゅーろう) 感想ありがとうございます。慈恩堂さん>これはバッドエンドを書けということなのでしょうか?(笑)(しゅーろう) 感想ありがとうございます。biohaza-dさん>続きを頑張っていきます。(しゅーろう) 感想ありがとうございます。竜羽さん>悪夢しかないですか……パートナーによっては救いはありますよ。バッドもありますが……今の参加者の実力ですと7巻に出てきたゴーレム3を一人で倒せると思います。(しゅーろう) 感想ありがとうございます。ロックオンさん>水着回ですか……考えてみます。(しゅーろう) 二番を希望します。竜羽さんのいうとおり一番はバッドエンド以外のオチが見えません。(慈恩堂) 2でお願いします。続きをこれからも楽しみにしてます!(biohaza-d) 1は悪夢しかない気がします。2ですね。あとローエンさんの成長という言葉に、参加者たちは原作と比べてどれくらい強くなったのか気になります(竜羽) 更新待ってました〜アンケはAで^^水着回希望ですww(ロックオン) |
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