恋姫英雄譚 鎮魂の修羅6 |
???「・・・・・ふぅ、この案件はこれでおしまい」
幽州?郡の城の東屋にて、竹簡と格闘するポニーテールの少女が一人
???「次は・・・・・」
「伯珪様!!また新たな案件です!!」
???「ああ、そこに置いといてくれ・・・・・」
「伯珪様!!こちらもお願いします!!」
???「ああ、そこに・・・・・」
「伯珪様!!こちらの竹簡に印を!!」
???「・・・・・・・・・・」
「伯珪様お早く!!」
「伯珪様!!」
「伯珪様!!」
???「って!!?お前らも少しは頭を使え〜〜〜!!!私の体は一つしかないんだぞ〜〜〜!!!」
城のあちこちから竹簡を持った文官達が集まり、彼女の周りはあっという間に竹簡で埋め尽くされていく
「まだまだこちらにありますぞ!!伯珪様!!」
???「誰か私を助けてくれ〜〜〜〜!!!」
幽州は慢性的な人材不足で、彼女自身が決済しなくてはならないことが相当多い
そのため、一日の大半はこの様に竹簡と格闘しなければならないのだ
???「こうなったら文官、武官の募集をするぞ!!手配しろ!!」
愛紗「・・・・・しかしどうするのですか?我々もこの幽州に来て1月程になりますが、そろそろ新しいことをしなければ何も進展しません」
鈴々「そうなのだ、山賊や賞金首を捕まえてばかりじゃなにも変わらないのだ」
?郡城下町の宿屋で一刀達は今後の方針を話し合っていた
美花「でも、お金はかなり貯まりましたね♪」
桃香「うんうん♪これなら豪邸の一つでも建てられそう♪」
三人だった頃よりも遥かに効率よく賊や賞金首を捕まえることができているため、一同の懐はかなり潤っていた
愛紗「桃香様、我々の理想をお忘れですか・・・・・」
桃香「それはそうだけど・・・・・こんな大金見たらそんな気持ちにもなっちゃうよ〜」
鈴々「まったく、桃香お姉ちゃんらしいのだ」
劉備の父親といえば州郡の官吏を勤めたが、劉備がまだ幼い頃に死んでしまった、そのために小豪族の身分でありながら劉備の家は貧しくなり、母と共に筵を織って生活していた
だからこんな大金は見たことがないのだろう
一刀「桃香の気持ちもわかるが、これはまた別のことに使えるだろうし、取っておこう」
桃香「え〜〜、ぶーぶー」
愛紗「桃香様、我々は今でも十分な生活を送れているではありませんか・・・・・」
華佗「そうだぞ、ここ最近野宿なんてしたことがないし、風呂にだって毎日入れているんだ、そんなことを言っていたらバチが当たるぞ」
桃香「あう・・・・・そうでしたぁ〜〜」
一刀「それよりも今後の方針を決めないとな・・・・・この?郡の太守は・・・・・」
美花「公孫賛様ですね」
桃香「公孫賛・・・・・あっ!そういえば白蓮ちゃんが幽州に赴任するって言っていた!そうか〜♪白蓮ちゃん太守様になったんだ〜♪」
星「?・・・・・桃香殿は公孫賛殿とお知り合いなのですか?」
桃香「私と白蓮ちゃんはね、同じ私塾で学んだんだ♪」
一刀「・・・・・その公孫賛とはどんな間柄だったんだ?」
桃香「うん♪席が同じになったこともある親友だよ♪」
一刀「ということは二人は、盧植子幹の弟子だったということか?」
桃香「ええ!!?ご主人様、風鈴先生を知っているの!!?」
一刀「いや、会ったことはないが・・・・・って、どさくさに紛れてご主人様って呼ぶな!」
桃香「あうぅ〜〜〜・・・・・」
一刀「そうか、公孫賛は桃香の親友か・・・・・いっそのこと、その公孫賛に会いに行ってみるか」
愛紗「では、桃香様の名を出せば面会の場を設けて頂けるのではないですか?」
華佗「友人だからといって、太守がいちいち会ってくれるはずがないと思うが」
桃香「・・・・・あそうだ!このお金を持っていけば通してくれるんじゃないかな!?」
一刀「おいおい、桃香の理想ってのはそんなもんなのか」
桃香「え?」
華佗「一刀の言う通りだぞ、いくら今の漢王朝が腐敗しているからって、俺達庶民まで賄賂に走っていたら、いつまで経ってもそういった汚職はこの国から無くならないし、減りもしないんだぞ」
桃香「あうぅ〜〜・・・・・そうだよね・・・・・」
愛紗「では、どのようにして公孫賛殿に面会をするのですか?」
鈴々「余計なこと考えてないで、正面から行けばいいのだ♪」
星「門前払いが関の山だな」
一刀「う〜〜〜〜〜ん・・・・・せめて向こうが求めているものを知ることができればいいんだけどな」
美花「求めているものですか?」
一刀「ああ、向こうは国を運営している役人だ、最近は賊の数も増えてきてその対応に追われているはずだから、そのうち武官や文官の募集をするはずだ」
桃香「あそうか、その時に申し込めばいいんだね♪」
一刀「ただ・・・・・それがいつなのかが問題なんだが・・・・・ん?」
がやがやがやがや
二階の窓から下を覗いてみると、人が忙しく動いている様子が目に入ってきた
愛紗「なにやら騒がしいですね」
桃香「何かあったのかな?」
星「面白そうですな、行ってみましょうか」
美花「これは、すごい人混みですね」
桃香「なにがあったんだろう?あっちってお城の城門の方だよね」
野次馬が多くて前の方が見えなく何をしているのかわからない
「静粛に、皆の衆静粛に!!これから公孫賛様からのお言葉を伝える!!」
聴こえてくる文官の声に野次馬達は黙って耳を傾ける
「予定していた周期より若干早いが、再び文官武官の取立て試験を執り行なう事となった!!」
一刀「おいおいマジかよ」
桃香「やったぁ♪」
美花「噂をすればなんとやらですね♪」
「腕に覚えのある者、または自分の智謀に自信がある者は振るって参加して欲しい!!今回の試験は明日の明朝に行う!!以上!!」
その言葉を最後に文官は城の前に設置してある看板に張り紙を張り、城内に戻っていき、野次馬達も解散していった
華佗「・・・・・こんな事があるんだな」
鈴々「ちょうど良かったのだ♪」
星「ふむ、余計な時間を潰さずに済みましたな」
愛紗「それでは、明日の朝まで何をしていましょうか?」
美花「あまり遠出をして何かあってもいけませんし、今日は宿で英気を養われてはいかがですか?」
星「ふむ、そちらの方がいいだろう」
華佗「ああ、賊を捕まえに行って、本番でへばってしまっていたら最悪だからな」
鈴々「む〜〜〜〜、まだお昼だから鈴々は退屈なのだ・・・・・」
華佗「別に遠出がいけないのであって、街の中で何かをするぐらいだったらいいんだぞ・・・・・一刀はどうする?一緒に薬の材料でも探しに行くか?」
一刀「・・・・・・・・・・」
華佗「?・・・・・どうしたんだ?」
手を口元に沿え物思いに耽る一刀に、華佗は頭に?マークを浮かべた
一刀「・・・・・俺は、明日の試験は文官の試験を受けようと思う」
桃香「ええ!!?」
愛紗「そんな!!?いきなり何を言い出すのですか!!?」
鈴々「お兄ちゃんすごく強いのに、もったいないのだ!!」
美花「一刀様は、智の方に自信がおありなのですか?」
一刀「ああ、俺はもともと武闘派じゃないんだ、こういった知識を使った仕事の方が性に合っている」
星「風や稟も一刀殿の智謀は高く評価していましたが・・・・・ここの文官までもが同じ評価をしてくれるとは限りませんぞ」
華佗「ああ、俺も一刀の知識量には驚かされる事があるが、一刀は時々的外れなことを言う時がある、後できっちり説明してくれればこちらも理解できるが、この大陸の常識と照らし合わせると一刀が合格できる可能性はかなり低いと思うぞ・・・・・」
一刀「・・・・・・・・・・」
良く言えば画期的、悪く言えば世間知らず
優れた知識、政策も時代を先取りし過ぎていては、人々に理解されるはずもない
もしこれが曹操の陣営であれば無条件で受け入れられそうであるが、今回はそうはいかない
美花「では、一刀様は愛紗様と鈴々様と星様と一緒に武官の試験を受けてください、私と桃香様は文官の試験を受けますので」
一刀「それじゃあ俺は、あくまで武官として士官することになると思うんだが」
美花「後で武官兼文官として取り立ててもらえるように手配してもらえばそれでいいと思いますよ」
一刀「・・・・・それしかないか、華佗はどうする?」
華佗「俺は仕官するつもりはないから、付添ということでいいか?」
一刀「分かった・・・・・それじゃあ今日は各自自由行動、明日は早いから早めに宿に戻ってくるように」
桃香「うん分かったよ♪」
愛紗「分かりました」
鈴々「明日頑張ろうなのだ♪」
美花「はい、頑張りましょうね♪」
星「さて、至宝のメンマを探しに行くとしましょうか」
華佗「俺達はどうする?一刀?」
一刀「・・・・・・・・・・」
華佗「?・・・・・またどうしたんだ?一刀」
その視線の先には、看板の前に一人佇んでいる銀髪の長髪の娘がいた
一刀「(あれは・・・・・只者じゃないな)」
その娘の佇まい、そして背中に納められている二振りの大斧
どう考えても、一角の武人の雰囲気を匂わせる
華佗「なんだ?一目惚れでもしたのか?」
一刀「いや、そういうわけじゃないんだが・・・・・」
華佗「別に気にすることでもないだろう、かなり綺麗な娘だったし、一刀もそんな年頃だろう」
一刀「それを言ってしまったら華佗だって同じだろ?」
華佗「・・・・・こりゃ一本取られたな」
そして翌朝、試験会場
前日言っていた通りエントリーを済ませ、一刀、愛紗、鈴々、星は武官の試験を、桃香と美花は文官の試験を受ける
武官の試験は公孫賛軍の中で上位に入る武官達がそれぞれ一人ずつ手合わせをする形
文官の試験は筆記試験だった
鈴々「にゃーーーーーーーーー!!」
ガキーーーーーーン!!!
「ぐあああああ!!!」
「勝者、張飛益徳!!」
鈴々「軽いのだ♪」
愛紗「はあああっ!!」
ガアン!!
「ぐはあっ!!」
愛紗「ふん、これでは肩慣らしにもならん」
星「余裕であったな」
鈴々と愛紗と星は、いともあっさり合格してしまっていた
愛紗「一刀殿は、どうなのだ?」
星「まだ名前が呼ばれていないということは、順番が回ってきていないのではないか?」
鈴々「見に行くのだ♪」
「アダダダダダダダ!!!降参!!!降参だ!!!」
そこには、一刀に腕拉十字固めを極められ、悶え苦しんでいる武官の姿があった
愛紗「なんと・・・・・」
星「一刀殿は、関節技もできたのか」
鈴々「にゃ〜〜、お兄ちゃん本当になんでも出来るのだ〜〜」
「勝者、北郷一刀!!」
愛紗「お疲れ様です」
一刀「そっちも終わったみたいだな」
星「お見事でしたな」
一刀「一対一じゃないと出来ない芸当だけどな」
多対一でいちいち関節を極めていては隙が出来過ぎる
一瞬で極め折れる技ならいいが、こういった寝技関係は戦場ではなかなか出来ない
星「ふむ、あっちの寝技の方はいかがでございましょうか♪」
一刀「?・・・・・あっち?」
愛紗「っ!////////////」
鈴々「にゃ?あっちってどっちなのだ?」
そんな他愛もない話をしていると
ガキーーーーーーーン!!!
「ぐおおおおおおお!!!??」
星「ほう、我々の他にも合格者が出たようですな」
「勝者、徐晃公明!!!」
一刀「っ!!!?」
人混みから聞こえてくる審判の発する言葉に一刀は度肝を抜く
一刀「(おいおい、どうなってるんだ?なんで徐晃が幽州に仕官するんだ!?)」
徐晃といえば、夏候惇や夏候淵にも匹敵する武を持つ魏の大将軍のはずなのに
鈴々「どんな奴なんだろうな」
人混みを進み、試験会場に顔を出す一同
一刀「(・・・・・やっぱりな)」
そこには、昨日一刀が見た銀髪の女性がいた
星「ふむ、なかなかできそうであるな」
愛紗「うむ、あれは只者ではない」
鈴々「あのお姉ちゃん、強いのだ〜〜」
一刀「・・・・・・・・・・」
美花「あ、皆さんお疲れ様です」
星「おお、ご苦労だったな、そっちの首尾はどうだ?」
美花「はい、私も桃香様も合格です♪」
桃香「うぅ〜〜〜、結構ギリギリだったよ〜〜〜」
愛紗「桃香様・・・・・」
鈴々「にゃ〜〜〜、危なっかしいのだ〜〜〜・・・・・そういえば、華佗お兄ちゃんはどこ行ったのだ?」
星「そうだな、姿が見えないが・・・・・」
華佗「元気になあれえええええええええええ!!!」
ピシャーーーーーーーーーーーン!!
「・・・・・・・・・・」
一同が顔を向けると、そこには気合一声で傷付いた武官や参加者を次々と癒している華佗の姿があった
「それまで!!では、今回の合格者を発表する!!名を呼ばれた者は前に出よ!!・・・・・趙雲子龍!!張飛益徳!!関羽雲長!!北郷一刀!!徐晃公明!!」
その他にも様々な人の名前が読み上げられ合格発表は終わった
「では、今呼ばれた者達は、玉座の間に通す!!ついて参れ!!」
星「これで、第一関門は突破ですな」
華佗「ああ、後は桃香次第だ」
桃香「うん、大丈夫だよ♪私と白蓮ちゃんは大の仲良しだもん♪」
文官の後をついていき、廊下を通る一同
そんな中
一刀「・・・・・・・・・・」(じ〜〜〜〜〜〜〜)
???「・・・・・・・・・・」(モジモジ)
一刀「・・・・・・・・・・」(じ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜)
???「(うぅ、そんなに見ないでください)」
一刀「・・・・・・・・・・」(じ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜)
???「(うぅぅぅ・・・・・私、この人に何かしたんでしょうか?凄く怖いです)」
徐晃は、一刀から見て前を歩いているが、後ろからでも分かるくらいの痛い視線が向けられる
本人は睨んでいるつもりはないが、視線を感じている徐晃は居た堪れない気分になってくる
桃香「あの、一刀さん・・・・・そんなに見ると失礼ですよ」
一刀「え?何がだ?」
愛紗「一刀殿、なにやら徐晃殿をずっと見ているようですが、彼女がどうかしたのですか?」
一刀「いや、そうというわけじゃないけど・・・・・」
星「ふむ、どうやら徐晃殿は一刀殿に一目惚れをさせてしまったようですな♪」
愛紗「なっ!!?///////////」
桃香「ええ!!?そうなの!!?///////////」
???「(そそそそそんな!?わわわわ私、心の準備が全然!)/////////////////」
一刀「そうじゃない、彼女の事が気になるのは否定しないけど、そういうことじゃないから」
星「なんだ、つまらない」
???「///////////////」(モジモジモジモジ)
そして、更に居た堪れない気分になるのだった
そして、玉座の間
白蓮「おお、桃香じゃないか!!久しぶりだな〜♪」
桃香「白蓮ちゃん♪きゃ〜、久しぶりだね〜♪」
白蓮「合格者の中に桃香の名前があったから、同姓同名の別人かと思っていたら、本当に桃香だったのか♪風鈴先生のところを卒業して以来だから、もう三年ぶりか〜、元気そうでなによりだ♪」
桃香「白蓮ちゃんこそ元気そうだね♪それにいつの間にか太守様になっちゃって、流石秀才の白蓮ちゃんだ〜♪」
白蓮「それより桃香の方はどうしていたんだ?全然連絡が取れなかったから心配していたんだぞ」
桃香「んとね、あちこちでいろんな人を助けてた!」
白蓮「ほおほお、それで?」
桃香「それでって?それだけだよ」
白蓮「・・・・・はぁーーーーーーーーーーーーーー!!!??」
桃香「ひゃんっ!!?」
いきなり玉座の間を揺るがす疑問形に桃香は背を強ばらせた
白蓮「ちょっと待て桃香!お前風鈴先生から将来を嘱望されていたのに、そんなことばっかりやっていたのか!?」
桃香「う、うん・・・・・」
白蓮「どうして!?桃香ぐらいの能力があれば、どこでも文官として仕官できただろうに!」
桃香「そうかもしれないけど・・・・・私、どこかの県に所属してその周辺の人達しか助けることが出来ないの、イヤだったの・・・・・」
白蓮「だからって、お前一人が頑張ったところで、高が知れているだろうに・・・・・」
一刀「(・・・・・これが、公孫賛)」
なんというか・・・・・普通だ
史実の公孫賛といえば、腹黒さ全開で野心の塊のような人物であるが、目の前の公孫賛からはそういった陰湿な雰囲気は一切感じられない
桃香「そんなことないよ、私にはすっごい仲間達がいるんだもん♪」
白蓮「仲間って・・・・・あ!?」
それまでずっと桃香と話しっぱなしだった白蓮がようやく他の合格者のことに気付いた
白蓮「おっとすまない、この劉備は、私と私塾が同じでな、久しぶりだったんでついつい話し込んでしまった!」
桃香「んとね、右から関雲長、張益徳、趙子龍、孫公祐、華佗元化さん、そして天の御遣い、北郷一刀さん♪」
???「(え?天の御遣い?)」
白蓮「華佗・・・・・北郷一刀・・・・・ああ!ということは、最近この辺の賊や賞金首を捕まえまくっている一団て、桃香達のことだったのか!!?」
桃香「ええ!?知っていたの!?」
白蓮「知っているもなにも、天の御遣いの次に噂になっているぞ!山賊や賞金首をどっさり捕まえて懐が熱くなりすぎて豪邸を建てた集団がいるって!」
桃香「あぅ、建てたいと思ってはいるんだけど、実際には建てていないんだけど・・・・・」
白蓮「・・・・・そうか、お前が天の御遣いか・・・・・」
そう言われて白蓮は一刀のつま先から頭のてっぺんまでジロジロ見つめた
こういったことは、この大陸に来て初めてではないので一刀は大分慣れてしまっていた
白蓮「・・・・・うん、確かに只者じゃないな」
彼女も武人の一人なので、一刀の強さは肌に伝わったようだ
桃香「でしょでしょ♪一刀さんって、天の御遣いでもあって、すごく強いんだから♪」
一刀「はぁ〜〜〜、またそれかよ・・・・・分かった、もう天の御遣いでいいよ・・・・・」
ここまで散々に言われれば、例え神仏でも諦めるのではないか、むしろ今までよく否定し続けていたくらいだ
白蓮「そうか、桃香が真名を許したのならば、その人柄は確かなものなんだろう・・・・・私のことも白蓮で良い、友の友なら私にとっても友だからな・・・・・で、そちらの人物が・・・・・徐晃公明か」
事前に渡されていた合格者の紙を見て、白蓮は尋ねた
???「あ、はい・・・・・私は徐晃、字は公明です」
白蓮「徐晃は、桃香達の仲間じゃないのか?」
桃香「あ、うん、徐晃さんは私達とは別に仕官してるから」
白蓮「そうか、うちの上位の武官をあっさり倒したと書いてあるから、その実力は本物なのだろう・・・・・徐晃、私の事は白蓮と呼んでいいぞ」
???「あ、はい・・・・では私も、真名は菖蒲です、どうぞお手柔らかにお願いします・・・・・」
少しだけオドオドした雰囲気で菖蒲は自己紹介した
菖蒲「それと、天の御遣い様とその従者の皆様」
一刀「ん?」
菖蒲「私のことは菖蒲とお呼び下さい、どうぞよろしくお願いします」
愛紗「なっ!!?私達は一刀殿の従者ではないぞ!!」
菖蒲「え!?」
鈴々「そうなのだ、鈴々達はまだなっていないのだ」
星「ふむ、我らは天の御遣い様の従者か、なかなか悪くない響きではないか」
桃香「そうなって欲しいって何度も頼み込んでいるけど、全部断られちゃってるし・・・・・」
一刀「あ、あのさ、この五人は俺と華佗が旅をしていて偶然出会ってその後旅を共にしているから、従者でも何でもないんだよ」
菖蒲「しししし失礼いたしました!!」
美花「うふふふ♪よろしくお願いしますね、菖蒲様♪」
そして、一通り自己紹介と真名を預け合った一同
白蓮「今回の武官の合格者は一四人、文官の合格者は五人か・・・・・どちらかというと文官の方が欲しかったんだけど・・・・・」
一刀「それなら心配ないと思う、俺は武官兼文官で仕官するつもりだったからな」
白蓮「心配ないって、北郷一人で何ができるって言うんだ?」
一刀「確かに最初のうちは、仕事のやり方を学んでいかないといけないとは思うけど、その内きっと役に立つようになってみせるさ」
星「安心してくだされ、一刀殿はかなり要領がいいので政務のやり方はすぐに覚えるかと」
桃香「うんうん、私達の旅の間の生活なんて殆ど一人で管理していたくらいだしね♪」
美花「私もしっかり補助をしますので長い目で見てください」
愛紗「私もこれから色々学ばせていただきたいと思っています」
鈴々「鈴々は、武官一筋なのだ」
白蓮「そりゃあ、私だって最初の頃はそんな感じだったから人のことは言えないけど・・・・・」
桃香「それじゃあ、文官は私と一刀さんと愛紗ちゃんと美花ちゃんでいいね♪」
星「武官は、主に私と鈴々と愛紗と一刀殿と菖蒲殿・・・・・華佗殿は・・・・・」
華佗「俺はあくまで客将という立場でここにいるが、武官兼文官として動けると思う、きっと主に医療班として動くと思うがな」
一刀「それじゃあ、白蓮が今困っていることは何だ?武官文官の募集の周期を早くしたということは、きっと急いでそうしなきゃならない理由があったと思うんだが」
白蓮「その通りだ、ここ最近は烏丸などの異民族は大人しくて、賊は・・・・・多分桃香達のおかげもあるんだろうけど少ない方だ、その代わり内政がてんてこ舞いな忙しさなんだ、私に力を貸して欲しい」
桃香「うん、もっちろん♪私、たっくさん頑張っちゃうもんね♪」
白蓮「異民族が大人しいからといってこの幽州は防衛の要であることを忘れないでくれ、兵の調練ができる者はそっちの方も頼む」
星「では、私はそちらの方を」
鈴々「鈴々がバシバシ鍛えてやるのだ♪」
一刀「俺は、とりあえず政務のやり方を学んで行きたいな」
美花「私も一刀様とご主人様を補佐しますので」
菖蒲「あ、あの・・・・・白蓮様」
白蓮「ん?なんだ?菖蒲」
菖蒲「あの・・・・・私も武官兼文官ということにして頂けませんか?」
愛紗「菖蒲殿は、智の方にも自信がお有りなのか?」
菖蒲「あ、はい・・・・・最初は一刀様と愛紗さんと同じようにやり方を学んでいかねばならないと思いますが」
一刀「え?なんで様付きなんだ?」
菖蒲「それは、一刀様は天からこの乱世を鎮めるために舞い降りた御遣い様です、そうお呼びするのは当然かと」
一刀「俺はそんな堅苦しい呼び方はしなくてもいいんだけどな」
菖蒲「しかし、私がそう呼びたいんです・・・・・駄目でしょうか?」(モジモジモジモジ)
一刀「・・・・・わ、分かった、好きなように呼んでくれていいよ」
菖蒲「ありがとうございます、一刀様」
手を交差させ、モジモジしながら上目遣いでせがまれては一刀に断る術はない
桃香「それじゃあ、私達もご主人様って呼ぶね♪」
一刀「それは断る」
桃香「え〜〜〜〜なんで〜〜〜〜!!?菖蒲さんばっかりずるくない〜〜〜!!?」
一刀「何度も言っているが、それとこれとは話が別だ」
桃香「ぶ〜〜ぶ〜〜」
こうして、白蓮の陣営に留まる事になった一刀達
鈴々、星は其々の兵を与えられ、調練に没頭する
一刀、愛紗、菖蒲は部隊の訓練をしながらも政務のやり方を覚えていく
桃香は最初はかなり頼りない所が目立っていたが、美花の補佐を受けてなんとか踏みとどまっていた
そんな中で一刀は・・・・・
「北郷様!!こちらの竹簡をお願いします!!」
一刀「ああ、そこに置いといてくれ」
「北郷様!!こちらをお願いします!!」
一刀「こっちは終わったから、この書類を今すぐ遼東に届けてくれ」
「分かりました、行ってきます!!」
この陣営に留まって一ヶ月、一刀はいきなり文官の筆頭にまで成り上がっていた
「北郷様、前に北郷様が新しく考案された楽市制は、着々と幽州に浸透しつつあります」
一刀「書類を見せてくれ」
「はっ、これです」
一刀「・・・・・・・・・・」
渡された書類をパラパラとめくり目を通していく
そう、一刀は速読の達人なのである
一刀「・・・・・よし、何度も言うがいきなり関所をいっきに減らしたりするなよ、まずは治安第一なんだからな」
「はい、失礼します」
「北郷様、代郡の治安の書簡が届きました」
一刀「そこに置いておいてくれ」
「北郷様!!烏丸民族との貿易の交渉が成立いたしました!!明日にでも貿易を始められます!!」
一刀「よし、これで余程のことがない限り烏丸がこの国に攻め込んでくることはないはずだ、ご苦労だった、休んでくれ」
「はっ、失礼します」
一刀「次だ」
そして、両手に筆を持ち竹簡に物凄い勢いで字を刻んでいった
桃香「・・・・・一刀さん、凄い・・・・・」
愛紗「はい、たった一月で文官達の信用を掴んでしまっています」
鈴々「にゃにゃ〜〜〜、お兄ちゃん両利きだったのか〜〜〜」
美花「ああ、どうしましょう、素敵過ぎて、私・・・・・困ってしまいます??///////////」
もともと聖フランチェスカ学園にいた時から何ヶ国語も話せていた一刀
今までの旅で日常的に行なっていた賊の情報収集で、文字の読み書きについては最初から問題はなかった
あとは、聖フランチェスカ学園特進科の中でも三本の指に入る頭脳を駆使し仕事にあたるのみ
白蓮「凄い凄いぞ一刀♪ここのところ市が物凄く賑わってるし、賊もかなり少なくなってきたし、わたしも仕事が楽になって、まさに言うことなしだ♪本当にお前は天の御遣いだったんだな♪」
桃香「白蓮ちゃん、一刀さん様様だね♪」
コンコン
その時扉のノックの音が聞こえてきた
一刀「入ってくれ」
「北郷様、趙雲将軍と華佗様がご帰還なされました」
華佗「一刀!帰ったぞ!」
星「ただ今戻りました」
兵士と共に元気な声で華佗と星が入ってきた
一刀「おかえり、漁陽の疫病はどうなったんだ?」
華佗「ああ、情報が入るのが早かったから素早く処置出来たぜ!」
星「一刀殿が早くから導入した楽市制によるものですな」
一刀「俺はあくまで制度の導入を進言しただけだよ」
白蓮「そんなことないぞ一刀♪こんな画期的で大胆な政策、私にはとても思いつかなかったぞ♪」
菖蒲「そうですね、関所や交通税の廃止によって人々の動きが円滑になり、情報が入りやすくなって、税収もかなり良くなってきていますからね」
一刀「関所や通行税は、俺がいた所ではあまりに時代遅れだからな・・・・・それにこの政策は、千五百年ほど時代を先取りしているし」
白蓮「は?千五百年てなんだ?」
一刀「あいや、なんでもない」
白蓮「これは、一刀の地位昇進も考えておかないといけないな♪」
桃香「あは♪また一刀さん昇進しちゃうんだ♪」
星「それには納得であるな、これだけの働きをすれば誰しもが一刀殿の昇進を願うであろう」
菖蒲「おめでとうございます、一刀様、これからもお仕えします♪」
そんなこんなで、一刀達の頑張りもあり、幽州はこの大陸でもトップ3に入るほどの商業国となっていったのであった
はいどうも、Seigouです
たぶん早い方なのではないかと思いますが、菖蒲が出て来ました
今回の菖蒲は、公式の徐晃である香風(シャンフー)ちゃんの性格を取り入れていこうと思います
もともと苛められっ子だった菖蒲なので、香風ちゃんの性格は割とよくマッチすると思っています
まだ本元のゲームが発売されていないので何とも言えませんが、なんとか菖蒲を仕上げていきたいと思います
ではでは・・・・・待て!!!次回!!!
説明 | ||
多忙の修羅 | ||
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コメント | ||
どらさんへ、こちらでも誤字報告ありがとうございます(Seigou) 誤字報告 ×竹管 ○竹簡 古代紙代わりで使われたものはこう書きます。(どら) rameさんへ、今まで勘違いしていましたね、まったく見分けが付きませんでした、ご指摘ありがとうございます(Seigou) 前の投稿でしたので指摘するのもどうかと思いましたが、一応。三国志に出てくる民族は『鳥』丸ではなく『烏』丸かと・・・。(rame) 一刀さんがデレた…だと…!?ヽ(゚Д゚)ノこれはあれか?何かが起こるのか!?(sugerless777) 再コメ。桃香のやり方は外堀から埋めていって最終的には逃げ道を奪う周到なやり方。一刀が天の御遣いであるということを既成事実とするための行動。対国家戦略としては中々エグい方法ですが、対人戦略としては有効性云々を議論する以前に倫理的に駄目。まして曲がりなりにも仁徳の理想を掲げるなら、桃香がやってはいけない行為。(Jack Tlam) 白蓮の所でやっていくのかな?一刀が性能がぱねぇw速読に両利きとは!(nao) 菖蒲のは尊敬を意味しての“一刀様”であるからいいとしても、桃香のは自分たちの指導者としての“ご主人様”ですからね・・・そりゃこの一刀からすればご主人様は嫌でしょうね(本郷 刃) このまま白蓮の所に居着くのかな?……それは無いな(黒鉄 刃) 菖蒲登場か。これだと、前作のオリキャラ全員が出る感じだな。(ガリ眼鏡) 2828さんへ、誤字指摘ありがとうなのです(Seigou) 武官兼武官 文官入ってないよw(2828) 劉備は早く諦めろよ。まぁ、無理っぽいですが・・・・。はぁー。本当に疫病神ですね。これは、一度、コテンパンにのしたほうがいいかと・・・・。本当に、劉備軍は、一度、出なおしたほうがいいね。劉備の頭は桃色なのね。気持ち悪いな。ケケケケケ(Kyogo2012) 一刀が仕官したのか、さて幽州を豊かにしていっているけど、戦争とかが始まったら、どうするのだろう?それとも、それすらも未然に防ぐのかな?・・・・ではでは、続き楽しみに待ってます。(一丸) Jack Tlamへ、そうですね、調べてみると自分が参考にしている地図が間違っているみたいですね、ご指摘ありがとうございました(Seigou) 幽州が発展したようで何より。文官やってる方が一刀の性に合ってるでしょう(原作でもドン引きレベルで仕事しかしてないですし)。常山は冀州だったような…?…それはともかく。桃香はいい加減諦めたらいいと思うのです。ずるいとかそういう問題じゃなくて、依頼する立場ならまず相手の意思を尊重するべき。対人関係の基本がなってない。(Jack Tlam) |
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