義輝記 蒼穹の章 その十
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【 策の始動 の件 】

 

? 益州 巴郡 にて ?

 

何進「暫し……別れだな……!」

 

颯馬「何進大将軍! 御武運を!!」

 

何進「おいおい……! 此方の方は、天城が全部お膳立てしてくれた『筋書きがある戦』だぞ!? 天城の方が遥かに大役なのに、なんで祈られなくてはならん! 敵は急速に勢力を拡大した『袁術』だぞ!!」

 

颯馬「ですが、何進大将軍の活躍がなければ……益州を落とす事、その後の展開に支障をきたします!! それに、何進大将軍には、大活躍される見所を用意してありますので! 期待しておりますよ!!」

 

何進「ほっ、本当かぁ!! 儂が大活躍……もしかすると……人生初のモテ期到来になる可能性が!?」

 

颯馬「はいっ!!」

 

何進「よしっ!! なら、頑張るかぁ!!!」

 

颯馬「ははは……! それでは、俺はこれで───!」

 

何進「天城──!!」

 

颯馬「────はい?」

 

何進「───大陸を平定しても、この国に居て欲しいんだ! 儂と皇帝陛下の願い……! 多分、月も詠……銀糸も……皆の思いは…同じはずだ!!」

 

颯馬「………努力はしてみますよ!! では!!」

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

何進「………もう少し早く出会いたかったものだ……。 天城颯馬!! いや、黄昏ている暇も無い!! 益州の攻略を早く行い、次の策に移らなくては!!」

 

董兵「大将軍閣下! 鳳舞なる人物が面会を求めておいでです!」

 

何進「わかった! 直ぐに会おう!!」

 

★☆☆

 

颯馬「さて、準備は出来ていいですか!? 道雪殿!!」

 

道雪「はい! 何時でも大丈夫です! 紹運も宗茂も良いですね?」

 

紹運「此方も大丈夫です。 策に使用する品物も準備してあります!」

 

宗茂「兄様! 何時出発しても遅れる事なぞ……ありません!」

 

ーーーーーーーーー

 

颯馬「政宗達も大丈夫か!? その銅鏡も要の一つだから!」

 

政宗「任された! こんな大舞台に参加出来るなど、伊達家の名誉だ! 必ず成功させるさ!! 独眼竜の名に掛けて!!」

 

景綱「………よくぞ南蛮の書物より見つけ出して、実行した物だ! その貪欲な知識には敬服するぞ……颯馬!!」

 

成美「伊達成美にどーんと任せて貰えば大丈夫!!」

 

元綱「ははは! 足を引っ張らないよう頑張るよ!!」

 

ーーーーーーーーー

 

颯馬「一存! 変な色気出して失敗するなよ!?」

 

一存「馬鹿にするな! 元々三好家は水軍が得意な家だ! それに、筏もガキの時によく遊んだんだ!! 失敗なんかするもんかよ!?」

 

長慶「大丈夫だ! 危ないところがあれば、操作は私が代わる!」

 

一存「ね、姉さんは汚れるからいいって!?」

 

長慶「皆が命懸けで行っているのに、衣服の汚れが怖くて出来るか!」

 

颯馬「姉さん! 一緒には行けませんが、『輸送』の件…お願いします!!」

 

長慶「うむ! 任しておけ!!」

 

ーーーーーーーーー

 

颯馬「え〜と、他は全員、別れたかな?」

 

▲▽▼  ▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲

 

赤壁参加

 

大友家(策担当)

 

立花道雪、高橋紹運、立花宗茂

 

伊達家(策担当)

 

伊達政宗、片倉景綱、伊達成美、鬼庭元綱

 

三好家(輸送、策担当)

 

三好長慶、十河一存

 

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天城颯馬、織田信長、山中鹿介、村上義清

 

山縣昌景、楽 文謙、本多忠勝、上杉謙信

 

武田信玄、武田信廉、百地三太夫

 

ーーーーーーーーー

 

益州攻め 

 

《 兵数……五万 》

 

総大将 何進

 

明智光秀、足利義輝、島津義久、島津義弘

 

島津歳久、島津家久、島 左近、風魔小太郎

 

ーーーーーーーーー

 

洛陽

 

《 兵数……四万 》

 

董仲穎、賈文和、張文遠、呂奉先

 

華雄、陳公台、馬孟起、馬岱

 

郭奉孝、程仲徳

 

◆◇◆

 

【 三人の助っ人 の件 】

 

? 益州 魚復 にて ?

 

??「どぉふふふふー! 私達を呼んだのにぃぃ無視するなんて……酷い酷い酷すぎるわぁぁぁよぉぉぉん!!!」

 

??「儂とダーリンの愛が合わされば、あのような軍勢……木っ端の如く壊滅させてやるわいぃぃぃ!!!」

 

華佗「久しぶりだな! 颯馬!! 元気そうで何よりだ!!」

 

颯馬「華佗! 本当に久しぶりだ!!」

 

??「何を華麗にぃぃスルーするのかしらぁぁぁん!! 『漢女の顔も三度まで』って言葉を知らないのぉぉぉ!!」

 

??「儂らを放置プレイで弄るなんてぇぇ儂の硝子のハートが鼓動で粉々になってしまうではないかぁぁぁ!!」

 

颯馬「あっ! 御免! 目が無意識に……二人を拒否していたようだ! 貂蝉! 卑弥呼!」

 

貂蝉「さすがぁぁ私の美貌はぁぁ、人としての認識を超えているという訳なのねえぇぇぇん!! 怖いわ、怖いわ、この美貌が怖いぃぃぃ!!」

 

卑弥呼「儂の美貌が貂蝉に劣るだとぉぉぉ!? まだまだ、輝きを増しているわぁいぃぃ!!」

 

颯馬「その『美貌に勝る』二人に……今回頼みたい事がある!!」

 

貂蝉「あらぁん!? 頼み事なんてぇ珍しいわねぇん?」

 

卑弥呼「聞くだけ……聞いてやろう!!」

 

颯馬「……実は…………」

 

────────────────

───────────

────────

 

貂蝉「いいわよん! 私達もぉ〜偶には…こんなキャスティングをやったて良いはずよお〜ん!! 腕がなるわぁぁぁん!!」

 

卑弥呼「ダーリィィン! 他のオノコ達に……儂の柔肌を……見つめられてしまうがぁぁ、良いのかぁぁダーリィィン!!」

 

華佗「あぁ! その健康体を見せて貰えば、皆が目標にしてくれるだろう!」

 

卑弥呼「儂を独り占めにしないダーリンにぃ〜く・びっ・たっ・け? ──うむっ! ダーリンより許可が出たぁぁ! 儂も参戦してやるぞぉぉぉ!!」

 

颯馬「言ってる意味合いが、よくわからないけど………頼む!!」

 

 

◆◇◆

 

【 大騒動 の件 】

 

? 江東 孫伯符居城 謁見の間 にて ?

 

雪蓮「そう………。 敵の遅延工作は成功したけど、千の兵が討たれのは……少し痛いわね」

 

穏「すいません〜! 雪蓮様、冥琳様、祭様、蓮華様!」グスグス

 

祭「穏よ! 思春より聞いたが……策で兵を失ったという事で、敵に単身で突っ込む気であったそうだな?」

 

『────────!』

 

穏「………この不始末は、我が身で決裁をと思いまして〜」

 

祭「この馬鹿『 穏の馬鹿!! 』も──!?」

 

蓮華「兵を失った事は確かに痛いわ! だけど、だけどねぇ!! 戦いの要になる軍師が……策を破られて被害にあって責任を取るのが……死ぬなんて、短絡過ぎない!? 」

 

亞莎「穏様! 僭越ながら申し上げます! 孫子軍形編に曰わく『勝は知るべくして、なすべからず』……勝ちを予測する事は出来ますが、必ず勝てるとは限りません!! 早急に結果を求めず……この戦に貢献し勝利して、償うべきだと……お、思い………ます!!」

 

穏「蓮華様〜! 亞莎ちゃん〜!」グスグス

 

祭「ふ〜う……まぁ、そういうことじゃ! 策殿? 冥琳? なんか申す事はありますかな?」

 

雪蓮「妹に出番を譲ってあげたから、私は無いわよ?」

 

冥琳「私も無い……いや、一つ言わせて貰うか!」

 

穏「…………………」

 

冥琳「……我ら軍師は、皆の希望、最後の要だ! 簡単に自分の命で償うなよ? 償うなら勝利を君主に捧げてからにしろ!!」

 

穏「は、はぁい〜!!」

 

ーーーーーーーーーーー

 

華琳「さてと……雪蓮様、この戦どうします? 敵は我が軍の二倍、敵将の軍師は一筋縄では行かない『司馬懿』! 第三者の援軍も期待出来ず!!」

 

雪蓮「……………」

 

桂花「敵は荊州も併呑して、唯一の弱点『水軍』も手に入れました!」

 

亞莎「…………………」

 

朱里「ですので………方法は一つだけ……」

 

冥琳「………これだな……………」

 

(近くに置いてあった筆を取り………掌に文字を書く!!)

 

バッ!  《《 火 》》

 

雛里「コクコク───」

 

穏「………ですが、風向きが………」

 

一刀「数日後に東南の風が吹くんだろう?」

 

雪蓮「よく知ってるわね! ……親しい漁師のお爺ちゃんから、昨日教えて貰ったばかりなのよ!?」

 

麗羽「流石です! 我が君!」

 

星「だが………問題は……残るな………」

 

秋蘭「うむ……火計を行うのには……敵の間近に行かねば無理だろう……!」

 

祭「…………なら、儂が裏切りと投降役をしようでないか!!」

 

雪蓮「祭!? 何を考えているの!?!?」

 

冥琳「───祭殿! ………止めても……無駄なのですね!」

 

蓮華「駄目よ! そんな事………許可できない!!!」

 

祭「しかし……誰かが……行わなければ、火計など出来ませんぞ!」

 

『……………………………』

 

孫兵「も、申し上げます! 孫伯符様に客人が参られました!!」

 

雪蓮「客!? こんな時に……誰なの?」

 

孫兵「洛陽の『神情魔謀の天人』様です!!」

 

雪蓮「颯馬が───────!? すぐに通して!!」

 

『━━━━━━━━━━!』

 

孫兵「はっ、はいっ!!!」

 

雪蓮「………冥琳。 確か…報告では益州攻めに出てるって……?」

 

冥琳「………間違いない。 洛陽の報告、益州での報告には洛陽軍の『何』の牙門旗、大将軍何進の姿を見た……とある」

 

朱里「………二面作戦? でも、益州は要害な地! 五万の攻略でも、かなりの日数が掛かりますよ? 『蜀道の険』が大軍を阻みますから!!」

 

雛里「それに……益州州牧劉焉は、外で決戦を行う覇気ある者でありませんが、城に籠もりて守りを固める守勢の巧者……! それを、どうするつもりなのでしょうか? 」

 

桂花「……州牧は、変態幼女趣味の亀野郎だけど、臣下には名将と呼ばれる者が幾人もいるのに………あぁ! 全然分かんないじゃない!!!」

 

華琳「………颯馬が、この地に居る理由。 即ち、益州攻略の目処が……出来ていると言うこと……そうじゃなくて? ────『人越の謀将』殿?」

 

ガチャ── スッ!  

 

颯馬「………すまない。 立ち聞きするつもりは無かったのだが……」

 

☆★☆  ☆★☆  ☆★☆  ☆★☆

 

天城颯馬、織田信長、山中鹿介、村上義清

 

山縣昌景、楽 文謙、上杉謙信、伊達政宗

 

武田信玄、武田信廉

 

☆★☆  ☆★☆  ☆★☆  ☆★☆

 

蓮華「無礼者!! ここは重要な軍議を行う部屋だ!! 如何に華琳や姉様の知り合いとは言え不作法にも程がある!!!」

 

信玄「……盗み聞きした事を糊塗するつもりはありません! 謝罪致します……」ペコリ

 

謙信「私も謝罪する!」ペコリ

 

颯馬「ご無礼した! 『天城颯馬』……謹んでお詫びさせて戴く!」

 

ザワザワ ザワザワ

 

雪蓮「………皆は、大体知ってると思うけど、反董卓連合で……煮え湯を飲ましてくれた『神速の相方 天城颯馬』よ!!」

 

颯馬「待てぇ! なんで──ここで、この場所で、水知らぬ人達にも、誤解を与える二つ名を出すんだ!?」

 

雪蓮「──ほらねぇ! (^▽^)V 」

 

颯馬「うぐっ!」

 

流琉「えっ……………!?」

 

季衣「……あの………兄ちゃんが……?」

 

猪々子「……斗詩! 心配するな! アタイが守ってやるからよ!」

 

斗詩「……私より……苦労していそう………」

 

冥琳「まぁ……謝罪は受け入れさせて貰う……が、幾人か見慣れぬ将がいるが……新手の『天の御遣い』殿達か?」

 

政宗「お初にお目にかかる! 伊達政宗と──」

 

ザワッ────!!!

 

春蘭「おぉ───! 私と同じ片目の将か!?」

 

桂花「アンタと違って……頭の回転は早いわよ?」

 

沙和「あの衣装の水玉模様……斬新なの!!」

 

真桜「こない風変わりな衣装………見んのは、初めてや!」

 

華琳「貴女が……かの『独眼竜』と恐れられた!?」

 

政宗「そうだが……人に名を問う前に、貴公から名乗られるものだろう?」

 

華琳「失礼した! 我が名は姓は曹、名は操、字は孟徳!」

 

政宗「──『魏』の曹孟徳!! なんで呉にいるんだぁ!?」

 

華琳「ふぅん……私が国を建国する時に付けようとした、最有力の『魏』を付けて呼ぶなんて、まさしく『天の御遣い」のようね?」

 

政宗「うぅむ……確かにおなごだが……覇気の強さ、気品、品格…………偽り無さそうだな」

 

パンパン!

 

颯馬「時間が惜しいので話をさせてくれ! この戦──董卓軍配下『伏竜の軍勢』が加勢したい!! 雪蓮! どうか頼む!!」

 

蓮華「姉様! 我が軍を……反董卓連合軍を散々謀った敵軍師です! 信用してはなりません!」

 

桂花「そうです! か、かかか華琳さんや雪蓮……様にも、多大な被害を被ったはずです!! コイツが性悪鬼畜な謀を企み、我が軍を阻めなければ……こんな、こんな惨めな思い……しなかったのに!!!」

 

華琳「私は……加勢に賛成! 敵軍師『司馬懿』の知謀は、颯馬並み……いえ、それ以上のモノがあるわ! これまでの戦いで、裏をかかれるばかりの状況を変え、今度こそ勝機として繋げたい!!」

 

星「私も賛成だ! 反董卓連合自体……裏で操る何者かの仕業である事は、洛陽での尋問で明白! 大体、天城殿は我らを翻弄し、新たに現れた敵を葬る名軍師! 此度、我らの力になって貰えるのは、僥倖と言えるだろう!」

 

雪蓮「…………他に意見は無い?」

 

一刀「俺も賛成だ!! 是非、天城様の力を借りたい!! 」

 

愛紗「──天城颯馬殿!! 私は……まだ……貴方の事が信用できません! 無礼を承知で願います!! この関雲長と一手……交えて戴きたく……お願いしたいのです!!」

 

凪「───関雲長殿!! 失礼ですよ!!! 天城様は! 天城様は……!」

 

颯馬「いや、此方こそ……謹んでお相手仕ろう! よろしいかな? 関雲長殿!!」

 

凪「天城様───!?」

 

颯馬「心配させて……すまない! だけど、俺を……『天城颯馬』を……皆を信用して貰うために……どうしても………必要な事なんだ!!」

 

愛紗「…………………!」ギュッ!

 

信廉「颯馬ぁ──! 何を考えているのです!? 貴方の身体は──!」

 

昌景「信廉様! お願い致します!! どうか、どうか…お控え下され!」

 

信廉「姉上! 姉上も──『静かになさい……信廉!』……姉…う…え?」

 

謙信「信廉殿! 私からも頼む! 颯馬の戦いを……見守ってくれ……」

 

信玄「……………………」

 

信長「………………颯馬」

 

義清「………兄者………」プルプル

 

鹿介「七難八苦……とはいえ……某……」ギュッ

 

雪蓮「分かったわ! ここじゃなんだから……庭で勝負よ!!」

 

☆☆★

 

? 江東 孫伯符居城 庭 にて ?

 

雪蓮を真ん中に、側に冥琳、蓮華。 左右にそれぞれが並ぶ。

 

愛紗には模造の戟、颯馬には模造の剣を預けられる。

 

祭「……両者、いいな? 危険と判断すれば、即中止!! ────では、始め『お待ちを──!! 是非、天城颯馬殿と話をしたい!』……!!」

 

雪蓮「……いいわよ!」

 

愛紗「感謝します!! では─────」

 

愛紗は、模造の戟を構えながら問う!

 

愛紗「天城殿! 貴方は何故……ご主人様と同じ時期に……しかも、別々の地に降り立ったのだ!! 貴方が、貴方達が居なければ……ご主人様は、天の御遣いとして……迎えられたはず!」

 

颯馬「それは違う! 北郷殿は、天から降り立った我らと同じ人! 色眼鏡で神格化させた……貴女達の間違いと、何故気付かぬ!!」

 

愛紗「ご主人様は、貴方達と違う!! 豊富な知識による改革、民や私達を気遣う優しさ、何より戦を嫌い、平和を愛する志に感じ入ったからだ!!」

 

颯馬「……北郷殿や我らは、この大陸の者であらず。 

 

先の世に生を受けた………時を渡りし者だ。 

 

思想や知識が違う事は当然! 民と笑い、将と共に苦楽を迎える事も、二度と争乱など起こしたくないと考える事も、我らも同じ……!!! 」

 

愛紗「では、何故……虎牢関で万人を惨い火計で葬るのだ! 兵達の中にも生活はある! 帰りを待つ家族、友人、愛する者も居よう! それを、あのような凄惨なやり方で苦しめ、嘲笑い、好む者が…ご主人様と同じだと! 

 

───────笑わせるな!!!」

 

颯馬「貴女の……守りたい者は、自分の味方だけ充分なのか! 関羽!!」

 

愛紗「何を────────!?」

 

颯馬「俺は軍師だ! 敵と対すれば謀を張り巡らし、相手を騙し陥れる事が本業! だが……それでも、俺だって人として生まれ育ち、こうして……ここに存在する者だ!! 

 

だからこそ、人一人でさえ……殺めれば、罪の意識に苛まれるというのに、数万人を謀殺して、心が痛まないと思うのか!! 

 

俺は……殺め無いために、話合いの門戸を開けたのに関わらず、無視して攻めてきたのは────貴女達ではないのか!!」

 

愛紗「私達は、自分の信念に基づいて動き、賛同した兵がついて来てくれる!

その者達を守るために信念を曲げたとあれば、賛同する者など居ないぞ!」

 

颯馬「そこまで言うのあれば……関雲長ご自慢の武で証明してみせよ!! 俺は、軍師の覚悟で応対させてもらう!」

 

祭「それでは、始めえぇい!!」

 

愛紗「天城颯馬! よろしいか!! ご主人様……北郷一刀を守護する武! これが……私自身の誇りというものだ───!!」

 

シュ──! シュ──! シュ───!

 

愛紗は、重い戟を軽々左右に振り回す! 

 

風切り音が断続的に鳴り響き、その速さが尋常では無い事を物語る。

 

シュ────ン! 

 

模造の戟は、重さも忘れ愛紗に自在に操られ、愛紗の頭上に天に突くように構える。 それは、主……北郷一刀の得意とする『トンボの構え』に酷似していた。

 

愛紗「いざ、覚悟─────!!!」

 

颯馬「───────!」

 

颯馬の頭上へ……戟 を閃かせ……打ち下ろす愛紗!!

 

ブウゥゥ──────ン!  

 

嫌な音を響かせながら、颯馬の頭に落雷の如く落ちる──!

 

そのとき───颯馬は、模造の剣を手放し腰を落としながら……愛紗に真正面に近付き、腕を十字に組む!! 

 

しかし、戟 の重量はかなりの物(約18キロ)、愛紗は軽々扱うが、決して軽い物ではない!!

 

愛紗(例え…近付いて受けても、戟 の重さと速さで負けは確実! )

 

そう思いながら……更に力を込める!! 

 

その瞬間、颯馬の顔が見え……目があった。 決して勝負を諦めない生気溢れる目! 数々の悲しみを見てきた静かで深い澄んだ目! 

 

刹那の刻の中……愛紗は考えた……『この男…ご主人様に……』

 

だが……次の瞬間、愛紗の身体が……急な衝撃と共に……宙を舞う!!

 

颯馬「……く、『空手奪槍───』!!」

 

▲▽▼   ▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲

 

相手が上から棒状の物を打ち下ろす。 その時、棒の手元まで潜り込みつつ、十字受けで受け止める。 受け止めたまま腰を落とし、足で相手の腹を蹴りつつ、巴投げのように投げ飛ばす!!

 

▲▽▼   ▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲

 

 

ズシィィ────ン!!! バタン!!

 

 

愛紗「うぐっ───!」

 

祭「───勝負あり!! 勝者! 天城颯馬!!!」

 

愛紗が慌て起き上がり……見たものは……倒れたまま…意識を失った天城颯馬と心配して駆けつける『天の御遣い』達………!!

 

信廉「颯馬! 颯馬──!! しっかりして下さい!!」

 

信長「頭を動かすな! 静かに運べぇ!!」

 

義清「謙信殿!! 兄者がぁ!!!」

 

謙信「──────軍師殿!」

 

 

★★☆

 

? 江東 孫伯符居城 謁見の間 にて ?

 

( 颯馬は、客室に運ばれ……冥琳の診察を行うために待っていた、華佗の治療を受けている。 それでも、意識は戻らず……何人か看護に入り、颯馬の代わりにと武田信玄、護衛に山中鹿介が説明をしていた! )

 

信玄「天城颯馬が…このような事態のため、私…『武田信玄』が成り代わり話をさせて貰います! よろしいですか、孫伯符殿…?」

 

雪蓮「え、えぇ………いいわ!」

 

颯馬の件で苛立つ信玄の周りから……抑えきれない覇気が……流れ出る。

 

蓮華「…………………くっ!」ブルブル

 

桃香「な、なんか……敵意が、皆より強く……感じる………」ブルブル

 

朱里「…………はわわわ!」ブルブル

 

雛里「…………あわわわ!」ブルブル

 

信玄「私達は、この国を救いたい! 大陸の平和を乱す『袁術』いえ『司馬懿』を打倒するために来ているのです!! 他の件で疑われるのは心外!!」

 

桂花「だ、だけど……洛陽勢も益州を攻めて地盤を固めているじゃない!!」

 

信玄「……貴女達のように、口車に乗せられて反逆を起こす者がいても、直ぐに制圧出来るように、力をつけているだけです! 益州は元々漢王朝の物、それを劉焉が争奪したから返して貰うのですから……とやかく言われる筋合いはありません!!!」

 

桂花「………………!!」

 

冥琳「参戦してくれるのは、私は賛成だ! しかし、敵の兵力差を覆すには策も必要だが……兵力も当然欲しい! だが、肝心要の兵が居ない。 これはどういう事だ?」

 

信玄「私達の兵は……ありません。 今は……」

 

祭「今は………か。 刻が経てば……兵力はあると?」

 

信玄「当然、用意はしています! だけど、今は……必要ありません! 颯馬の策が……それを補うでしょうから!!」

 

鹿介「………信玄殿、某も問いただしたい事があるが、よろしいかな?」

 

信玄「相互の理解のため、こちらから問いただす権利は、当然あります!」

 

鹿介「では、関雲長よ! 答えられい!! 何故、颯馬殿に試合を申し込んだ!! 颯馬殿は二度と戦う事が、出来ない身体と知っての企みか!? 」

 

 

『────────────!!』

 

 

愛紗「な、何だとおぉ!! そんな話は全く知らん! 武人ゆえ武で語った方が確か! それだけ────!?

 

《…………俺は、軍師の覚悟で応対させてもらう!》

 

愛紗「…………そうか、そうだったのか!」 

 

愛紗は、隣の一刀に頭を下げる。

 

愛紗「ご主人様、私は……負けました。 武も心も………完全に敗北を……して……しまいました!! 天城颯馬……その心構え、人望、覚悟……身を持って思いしらされた次第。 私も……わだかまりを捨て…天城颯馬殿に協力

する所存です!! 」

 

一刀「愛紗………その謝罪を受けるのは……俺じゃ無いよ。 天城様であり、その仲間の皆さんだ! 鹿介様、信玄様! 申し訳ありません!」

 

愛紗「………誠に……申し訳ない………」

 

鹿介「……………ならば、颯馬殿にも直接声を掛け、謝罪されよ!! 某達も颯馬殿の思いを止めれなかった……負い目がある。 

 

……月に願って幾数年、尼子家再興の為、我に七難八苦を与えるよう…頼んだ某だが……この恨みも耐えよと、月よりの啓示……なのか……!」

 

信玄「孫伯符殿! 私達の参戦は、これで認められるという事で、よろしいですか!?」

 

雪蓮「結論を申し渡す! 天城颯馬率いる『天の御遣い達』を我が陣営に加える事───認める! 我が真名『雪蓮』に掛けて!!!」

 

『─────はっ!!』

 

ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

愛紗と颯馬の関係を修築する物語を入れてみましたが、意外に難しくて

難産でした。 上手く書けたのか……もの凄く不安なんですが……考えても直しようがないため、投稿しました。

 

技に興味のある方へ……颯馬の使用した技は、確かこんな技を見た覚えがあるという事で載せたんですが、本当に空手奪槍にこの技が、あるか知りません。空手奪刀には、あるんじゃないか? と詳しい友人が申しております。

 

次回に『苦肉の計』を出す予定ですので、よろしければ、また読んで下さい。

 

説明
義輝記の続編です。 よろしければ読んで下さい。
何進の台詞を少しいじりました。
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コメント
naku様 再コメントありがとうございます! 次回が苦肉の計。 名前は一緒ですが……颯馬が仕掛けた第一の策。 読んでる方に、なるべく見破られないように……頑張ってみます。(いた)
星さえも……もて余しているところもある分……本当になりそうで怖いです。 頑固過ぎるのも考えもの。 柔軟な思考を持たないと人は成長しません。 次回も早めに投稿しようかなと思っています。 お休みいただいたし。 (いた)
naku様 コメントお待ちしていました! ありがとうございます! 今回……いつもコメント戴ける皆さんや新たに御意見戴ける方も参加していただき……本当、嬉しい悲鳴……ですね。 昨年の書き初めた時には、思いもしませんでしたよ。  (いた)
h995様 再コメントありがとうございます! この物語の愛紗は、元は恋姫ですが……中身は三国志や民間伝承の関羽の性格が混じりあっているせいか、原作よりも頑固になったようです。 本当に居たら嫌われますよね。(いた)
そもそも、演義においても関羽には劉備以外には従わないという劉備絶対主義とも言うべき所があるので、それを一刀に置き換えると今回の一連の行動は納得できるものがあります。あくまで物語としてであって、人としては到底納得のいくものではありませんが。(h995)
mokiti1976-2010様 コメントありがとうございます! まだ、心からの反省がなっていないようです。 今後の戦いで変わらなければ、久秀に調教の依頼でも……(いた)
まぁ……星は、からかいが多い故に信用される事が少ないとも言えます。 しかし、視野が狭いのは……武人としても、人としても……まだ未熟ですので、一刀と共に学んで貰いたいものです。 (いた)
謝罪で済む話とは思えませんがね、関羽さん?反省はされてるのでしょうが、白々しく聞こえるような気が…。(mokiti1976-2010)
Jack TIam様 コメントありがとうございます! 頑固で真面目、一度信じれば…とことん尽くすが彼女の性格では、と作者は思っております。 軍師としての大局的見解と将としての極地的見解も……ありますね。  (いた)
仲間であり、一流の武人である星の言葉を信じないというのも頂けなかったですね。武人としてという以前に、人として、相手の誇りを受け止められない度量の狭さをこれでもかとばかりに露呈してしまっていると思います。何度も申しますが、彼女の性格上、それは致し方のない事なのでしょうね……(Jack Tlam)
彼女の性格上仕方のないことかもしれませんが、信念を曲げてでも犠牲を出さないようにするのが人としての務めではないでしょうかね……本当に平和を愛する心に共感したのなら、乱世を逃げ道にして物事を力で解決しようとするその在り方を改めるべきで、それができない者に颯馬を責めることはできないでしょう。(Jack Tlam)
禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! まぁ……関羽に呆れていたという事もあります。 星の話を聞いても信用しないものですから。 関羽の提案に颯馬が納得して受けた事、他国に颯馬が武の達人である噂がある事が、止めなかった理由になります。(いた)
舌戦にもなってない、まず決闘ありきでやってたでしょう武人(笑)のルールで(禁玉⇒金球)
久秀とウチの関羽と仲良くすると……颯馬弄りが惨くなりそうですね。 桃香が順慶と仲良くなっても……別の怖い話ができそうです。 本作だけで充分ですので、やりませんが。 (いた)
禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! もっと簡単に終わる予定の二人の対決が…白熱?の舌戦、ガチンコ対決になった今回です。 『漢関』……パンダの名前と同じでは……パンダに失礼ですので別の明記を。(いた)
作者様の関羽はきっと久秀様となら仲良くやれると思うと確信してます(^▽^)V、礼儀がなってないし本能で動くからなぁ…でも久秀様になら踏まれても良い(禁玉⇒金球)
関羽は『夏桀殷紂』に準え『漢関』と称されるが良い、張 譲でも裸足で逃げる位に醜悪極まれり。抑々彼女が神聖視する一刀の言行は結構な下種なのだが羅列しましょうか?関羽さん貴女の謝罪は無意味だがこれから口塞いで頑張って下さい。貂蝉叔母様に一滴の安らぎを感じてしまうわ、(禁玉⇒金球)
雪風様 コメントありがとうございます! 為信はいいそうですね。 ……雪斎も。 賛否両論あるのでしょうが。(いた)
「美髭公・・・・あなた様は文武両道で素晴らしいお方と信じてたのに」by津軽為信・「確かに軍師は時には冷徹にそして常に冷静に・・影は影らしく・・ですね・・」by大原雪斎(雪風)
h995様 コメントと情報ありがとうございます! 確かに仰る通りの描写になってる! 新陰流だから石舟斎かな。 作者が見たのは書籍でしたから、何とも言い切れないのが残念ですが、友人に自慢してやる事にします! ありがとうございます!  (いた)
柳生新陰流を題材にした大河ドラマで使われていた無刀取りが今回颯馬がやった様な感じだったような記憶があります。確か手首を交差させた状態で敵の刀の柄を抑える事で斬撃を止め、更に手首を取って合気の要領で投げると同時に刀を奪っていた筈です。(h995)
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