真・恋姫†無双(仮) |
〜韓当〜
それぞれ指示された場所へ向かい準備を整えている間、韓義公―――韓当は先程の少年について自分なりに考える。見慣れない服装に変わった名前、よく分からない単語も口にしていた。正直、かなり怪しい男だったのになぜあの男の策に乗って動いているのか韓当自身にも分からなかった。それでも理由を挙げるとするならばあの男の目だろう。韓当達になんとかすると言ったときのあの男の目は嘘なんて吐いていない真っ直ぐな目をしていた。
何の根拠もないが、それだけで韓当にとってあの男は信じるに値する人物といえた。
「これじゃあ、また怒られちゃうな」
自分達を仕えさせてくれた君主とその傍らにいる軍師を思い出し説教されている自分を思い描く。次はどんな罰があるのだろう。正座で一日お説教か、はたまた草むしりか。
今までは、怒られると思うと帰りたくなかったのに今は不思議とあのお説教が懐かしく思えて、早く帰りたいとさえ思う。そして、気付いた。そうか、自分はあの国が、呉が好きなんだ。そして、あの国にいる人たちが大好きなんだ。
だから、早く帰ろう。みんなで。誰一人欠けることなく。
韓当が準備を終え、気持ちを整理したところで前方から数人の足音と声が聞こえてくる。静かに目を閉じ呼吸を整え機を待つ。あの男の言うとおりならそろそろ…
「ぎゃあああああ!」
静寂の中で突如響き渡る悲鳴。それを聞くと韓当は声の方へ向かって飛び出した。距離はさほど離れておらず、すぐに悲鳴のあった場所にたどり着いた。そこには、
「いてぇよぉぉぉぉ!」
「なんだこりゃあ!」
「ぐああああああ」
うずくまり、叫んでいるものが数名とその周りで仲間の心配をしている者が数名。韓当達を追って来た山賊達だ。どうやら、あいつの策とやらは成功したらしい。
うずくまっている男達の足には地面から突き出した突起物が刺さり、足の裏から甲まで貫通し足元を真っ赤に染め上げている。その場に居る山賊達は何が起こったか分からずに足に刺さっている物を抜こうと必死になっていた。
(自分のやりかたじゃあないけど、みんなを守る為だ!)
物陰でその様子を見ていた韓当は次に与えられた策を実行するために山賊達の前に飛び出した。
「我が名は韓当!冥土の土産に自分の名を覚えておけ!」
山賊達は一斉に声の方向を向き韓当を見る。韓当も山賊の正面に立ち、その場にいる人数を正確に把握した。数は十人。そのうち動けない者が四人。予定ではもう少し楽な状況になるはずだったのだが仕方が無い。あとは、
「さあ、死にたい奴から前へ出ろ!」
思いっきり暴れるだけだ。
「これはてめぇらの仕業か!?」
韓当の姿を確認し、動ける山賊達が一斉に武器を構える。六対一。状況は圧倒的に不利ではあるが幹当は引くわけにはいかなかった。相手を睨みつけ腰を落とす。
「だったらどうする?」
「ぶっ殺してやる!」
山賊達が叫び声と共に韓当へ襲い掛かる。それとほぼ同時に韓当も前に出た。走りながら腕を真横に伸ばし力を込める。そして、
「自分流!((斧腕撃|ふわんげき))!!」
先頭の一人とのすれ違いざま、伸ばした腕をそのまま相手の首元に叩きつけた。
「ぐえっ」
首の骨が潰れる音と短い悲鳴があがり韓当の技を喰らった男は地面に叩きつけられ、しばらく痙攣した後に絶命した。
「なっ」
「次!」
驚愕している山賊の態勢が整う前に近くにいた相手の鳩尾に前蹴りを喰らわせ、前のめりになった相手の首を脇に抱え身体を垂直に持ち上げた。
「自分流!地獄落としぃぃぃ!!」
その状態のまま少しだけ飛び上がり自分の身体ごと相手の頭を地面へと落とした。
「がっ」
骨の砕ける音と共に男が倒れその場で息絶える。
「二人目!次は誰だ!」
山賊に向かって韓当が吼える。残りの四人はその声に怯みながらも武器を振るってきた。
「ちくしょぉ!」
迫る刃を自身の唯一の武器であり防具でもある篭手で受ける。そのまま相手の胴に手を廻しながら背後に回り
「自分流!背面落とし!」
自分の身体を仰け反らせるようにして相手の後頭部を地面に叩きつける。凄まじい音が響き渡る。技を喰らった男は白目を剥いて血の混じった泡を吹いている。
「あと三人!次はどいつだ!」
素早く体勢を整え構える。しかし、恐怖からか山賊達は後退りをしながら互いの顔色を窺っている。
「そっちから来ないなら自分から行くぞ!」
咆哮と共に山賊へ向かって駆け出し、数歩手前の位置で飛び上がり両の足を揃えて相手の頭目掛けて突き出す。
「自分流!((飛槍脚|ひそうきゃく))!!」
突き出した足が頭に命中し、男は後ろに吹っ飛ぶ。倒れた男は首が180度回っていた。息があるか確認するまでも無い。
次に傍に立っていた男の頭を鷲掴みにし、持ち上げる。
「自分流!((握砕撃|あくさいげき))!」
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
そのまま掴んでいた手に力を籠め頭を握りつぶす。悲鳴を上げながら抵抗していた男はだんだんと動きが鈍くなり、頭蓋の砕ける音が聞こえる頃には死んでいた。
「あと一人。まだやるか?」
既に屍となった男を最後の一人に投げつけ韓当は問いかける。息は荒くなっているが闘志は微塵も衰えていない。
「か、かんべんしてくれぇぇぇぇ!」
怒りよりも恐怖が勝ったのか男はまだ動けない仲間を見捨て引き返していく。それを静かに見送った幹当は深く息を吐き、
「とりあえずはこんなとこだろ」
そう呟いて、負傷兵が待つ場所へと戻る。蹲ったままの山賊達をその場に残して…
〜作者コメント〜
どうも作者です。
相変わらずの亀投稿ですがなんとか投稿できました^^;
さて、今回は韓当の戦闘パートだったんですが…
稚拙な文章ですいません(泣)
さらには戦闘パートとは名ばかりの韓当の技説明パートっぽくなってしまい恥ずかしいかぎりです。
とにかく、韓当のバトルは終わり、次回へと続きます。
次はどっちを先に出すかな〜…
追記
誤字の修正しました。
説明 | ||
どうも。 久々の投稿になります。 今回はバトルパートな感じになってます。 まだまだ未熟な作者ですが楽しんでいただけたら幸いです。 |
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コメント | ||
h995さん。ご指摘ありがとうございます。誤字はすぐに修正します。(jun) 作品の文頭に「幹当」の文字が目に入ったので、中身を読まずにそのまま書き込んでいます。なお、孫堅四天王の一人であるカントウは「韓当」です。もし史実の武将をお使いになろうと思いであれば、せめて恋姫以外の三国志関連の作品をしっかりとお読みになって、実在の人物の誤字がない様にして下さい。お願いします。 (h995) |
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