バカとテストと召喚獣 五つの鎧を持つもの 第四十六話
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 優子が鋼牙を肩に担いできたことに皆は驚いたが優子は気にせず鋼牙にソファーに寝かせる。

「鋼牙君どうしたの?」

「あ、愛子。」

 工藤が優子に話しかけてくる。

「それについては俺が説明するぜ。」

 ザルバがありのまま起こった事を説明する。

「Cクラスの小山さんが・・・・・・・卑怯な手を使ってきたわね。」

「うん。でもなんでそんな手のこんだ方法を使うんだろう?」

「・・・・・わからない。」

 話を聞いていて霧島でさえも分からなかった。

「とにかく、根本を止める方法は今無い。出来ることは鋼牙の回復を待つことだ。」

「ねえザルバ。」

「なんだ?」

 優子がザルバに話しかける。

「私達でどうにか出来ないの?何か方法は無いかしら?」

「ないな。仮にお前たちがB組からの使者を食い止めたとしてもおそらく小山地震が何か手を打つだろう。今試召戦争中の代表に試召戦争をしていないクラスの誰かが手を出したらそこでそのクラスは試召戦争を挑めない。それにそんなことは鋼牙が許さないだろうしな。」

「そう・・・・」

 優子は力になれない自分の無力さを嘆く。

「心配するな。コイツが回復したらさっさと倒せばいい話だ。」

「・・・・・・簡単に言うわね。」

「俺はコイツを知っているからいえるんだ。コイツは昔からだれかを護るためなら自分が傷つくことなんてお構い無しの馬鹿だ。だがそれでこそコイツなんだ。」

 ザルバは知っていた。昔から誰かにでも優しく、護るためなら自分が傷つこうと戦う鋼牙のことを。

 

 鋼牙が起きたのは教室の時計が午後二時を指す前であった。

「ん・・・・・」

「起きた!」

 優子は鋼牙がおきたことに気付くと鋼牙にコーヒーを持ちながら歩み寄る。

「はい。」

「すまない。」

 鋼牙は優子から渡されたコーヒーを受け取り飲む。

「今AクラスはBクラスと試召戦争中よ。」

「そうか。」

 鋼牙はコーヒーを飲み干した。

「あっ!鋼牙君起きたんだ。」

 工藤が気づき鋼牙に歩み寄る。

「すまないな、寝かせてもらって。」

「ううん、鋼牙君なら大丈夫だよ。ここにCクラスの小山さんが一回来たんだけどその時鋼牙君が女子更衣室を覗いたって嘘言ってたよ。」

 凄い嘘をつくな。

「でも鋼牙君だからそれは絶対ありえないって思うよ。」

「どうしてそう言えるんだ?」

「だって最初のAクラスとの一騎打ちでね〜。」

 なんだそれは。そしてなんで皆も頷いていているんだ。

「でも二つの試召戦争が混じってたら間違ってFクラスかCクラスの人と試召戦争しそうだよ。」

 間違って・・・・・・・試召戦争・・・・・

「鋼牙君?」

 ・・・・・・・・まさか!

 鋼牙は小山の策に気付きソファーから立ち上がった。

「ど、どうしたの鋼牙君!?」

「小山の狙いが分かったんだ!」

「それってどういう意味?」

 優子も工藤もわからなかった。

「試召戦争でもし他のクラスに試召戦争を挑まれそれを受諾した場合、受諾した者は共生的に失格になる!」

『っ!?』

「世話になった!」

 鋼牙はそう言うとAクラスの扉を勢い強く開け走り出した。

「ザルバ!」

「わかっている。嬢ちゃんは屋上に繋がる階段、三階のほうにいる。真上にはあいつのいる。」

「わかった!」

 鋼牙は姫路の下へと走り出す。その時Bクラスの連中に鋼牙の姿が映った。

「冴島がいたぞ!」

「ここで押さえろ!」

『試獣召喚!』

「二年Fクラス 冴島鋼牙 VS 二年Bクラス生徒×十人

 数学    3215点     平均154点    」

「退け!邪魔だ!」

 鋼牙は鎧を召喚し牙狼になると轟天を召喚し敵を斬り。轟天で蹴り飛ばす。

「先生!上に来てください!」

 Bクラスの生徒が先生に声を掛け先生はその指示に従うように階段を登る。上の階から邪魔するようにBクラスの生徒の伏兵が姿を表す。

『試獣召喚!』

「二年Fクラス 冴島鋼牙 VS 二年Bクラス生徒×二十人

 数学    3215点     平均165点     」

 Bクラスの召喚獣が轟天の四脚を狙い攻撃をしてくる。号店はその攻撃に耐えられずバランスを崩し倒れる。号店が倒れると同時に牙狼は轟天から落馬する。牙狼に向かいBクラスの召喚獣が突いてくる。牙狼は牙狼剣に魔導火を纏わせると横に一回転し魔導火の刃を振るう。その攻撃にBクラスの召喚獣は消滅する。鋼牙は上へ目指そうとするも立ちはだかるBクラスの召喚獣が邪魔で前に出れない。

(もっと・・・・・・・もっと早く!もっと早く!)

 そう鋼牙が思った瞬間牙狼が黄金に輝き背中に大きな刃の翼が生えた。

「これは・・・・・・」

 鋼牙も驚いた。

 希望を象徴するものが天へと羽ばたく姿、牙狼・翼人である。

「いける!」

 牙狼は空を飛びながらBクラスの召喚獣を斬り、羽で試召フィールド外まで弾く。

 鋼牙は階段を掛け走る。それに付いて行くかのように牙狼も空を飛ぶ。目の前に姫路の姿が見えたすぐ近くにはBクラスの生徒が姫路に試召戦争を申し込もうとしていた。

「瑞希!」

 鋼牙は思わず名前を叫んだ。その声が聞こえたのか姫路は鋼牙のほうを向く。

「鋼牙君!」

 鋼牙は姫路を背にBクラスの生徒の前に立ちはだかった。

「瑞希、絶対にBクラスからの試召戦争を受けるな!」

「え?え?」

「受ければお前が即失格になる!」

「っ!わかりました!」

「俺は小山とケリをつけに行く。ここで待っていろ!」

「は、はいっ!」

 鋼牙の言葉に従い姫路は返事をした。そして鋼牙は屋上に上り小山と対面する。

「小山!」

「っ!冴島鋼牙君・・・・・どうやら生きていたようね。」

「生憎な。二年Fクラス冴島鋼牙!C組代表小山、及びその護衛についているCクラス生徒に試召戦争を挑む!」

『試獣召喚!』

「二年Fクラス 冴島鋼牙 VS 二年Cクラス生徒×2

  化学   4527点      平均175点

                代表小山友香

                    234点    」

「貴様の陰我、俺が絶ち斬る!」

 鋼牙の召喚獣は剣を天に向けると円描いた。あがかれた円からは眩い光が漏れ鋼牙の召喚獣を照らす。そして牙狼の鎧が召喚された。牙狼は左手に鞘に収められた牙狼剣を手に小山に向かい歩み寄る。

「そんな遅い動きじゃすぐにお陀仏だぜ!」

「死ねや!」

 二体の召喚獣が牙狼の正面から武器を振るってくるが牙狼は牙狼剣を前に突き出し二体の召喚獣を弾く。

「小山!何か言い残す言葉があるなら言っておけ!」

「な、なんでアンタたちバカに私達が負けるのよ!」

「貴様が馬鹿と思っているヤツらにも個性があり、良い面も悪い面もある。たとえ頭が悪くても、あいつらにはお前に無いものがある!頭が偉い者のみを好み、自分の力で敵を倒そうとしない奴は卑怯者以外の何者でもない!」

 鋼牙は小山にそう言うと牙狼剣を抜刀。瞬時に小山の召喚獣の懐に入り小山の召喚獣を蹴り上げると上に跳び小山の召喚獣を咆哮を上げながら斬った。

 牙狼が地面に着地し牙狼剣を鞘に収めると小山の召喚獣は消滅した。

 こうしてFクラスが勝利した。

 

説明
フカデヲオッタコウガ。ソンナナカBクラスガAクラスニシショウセンソウヲイドンデキタ。アノジョウチャンガアブナイゾコウガ!
「翼人」
ハバタケ!
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