otherside 超次元の外れ者 |
『Mypride』
ハイマ
「ハッ…!ハッ…!」
嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!
私は家から飛び出し、月明かりの中只々走る
違う!違う!違う!違う!違う!
真実を受け入れられずにひたすら走る
そうだ…そんな筈はない
私の((目標|イキガイ))を…((一族|ワタシタチ))の((日常|クラシ))を…
卑劣な手を使って壊したアイツが父親だなんて…そんな筈はない!あってはならない!
ハイマ
「はっ…はぁ…けほっけほっ……」
走って走って立ち止まり、咳き込む
辺りを見渡してみる…木々が生い茂っているが、足元を見ると道が出来ていた
確か人間の村を襲う為に、一族が使っていた道があると聞いたことがあるが…ここはその一つだろうか
あの先にはまだ人間がいるんだっけ…ん?人間?
その時私はハッとした
……そうだ、私は吸血種なんだ
例え人間の血を引いてようが、奴の血を引こうが、そんな事関係ない
人を襲い、血を啜り、殺して殺して殺して殺して殺して
喰らって喰らって喰らって喰らって喰らって
返り血で真っ赤に染まってしまえばもう…そんな事どうでも―――
人狼A
「お・嬢さん♪お・止めなさいっ…てな」
人間の部分を捨てようと決意した私の前に、見覚えのある一匹の人狼が立ちふさがった。
あの人狼は確か…そうだ、純正種でありながら、人が作った法に縛られているあの人狼だ
ハイマ
「…何の用だ」
人狼A
「単刀直入に言えば嬢ちゃんを止めに来た」
ハイマ
「何の為に」
人狼A
「人間の部分を捨てさせん為にだよ」
ハイマ
「あんなちっぽけなモノの部分に何の利がある」
人狼A
「…やっぱわからんか」
そう言って人狼は拳を握って構える。
ハイマ
「…((血染纏|チゾメマトイ))…」
私は己の血の力を解放させ、一気に懐に入り手刀を作り、突き上げる
未熟な私じゃ血の力で発せられる気による身体強化しか出来ない…ならば何かを殺すと決めた、私の覚悟で補えば良い!
コイツを殺して人間どもを手に掛ければ、吸血種として生きる決意を持てば、きっと―――
人狼A
「弱い」
ドッ
ハイマ
「ッ――ガ!?」
――何だ
―――――何が起きた
――――――私の腹に何か重く、堅い鈍器のようなものがぶつかったような…突き刺さったような……
倒れる瞬間、私は自分の腹に何があったのかを見た
突き刺さっていた…人狼の肘が、私の腹を確かに突いていた
人狼A
「ふぃぃ…終わった終わった」
そのまま私は倒れる
私は倒れる
倒れる………
倒れ…ない!
終わってはいけない!
終わったら駄目だ!ここで終わったら私は負けた事になる…
虐げられる運命に負けた事になる!
種族の誇りを棄てる事になる!
それだけは…それだけは絶対に嫌だ!
私は負けない、もっと強くなって証明するんだ、己の存在を!価値を!誇りを!意地を!覚悟を!
こんな所で足踏みなんてしてられない!!!
膝を離して構えなおしている隙を、戻す動作の隙を突く為の布石にする…只じゃ倒れない
倒れ切る寸前に右手と左腕と左膝を突く
突いた左膝を軸に身体を捻り回し、右脚で人狼の右足が地面に突く前に…今立っている左脚を蹴り払う!
人狼A
「おっ!?」
バランスを崩し、後ろに倒れようとする
私はそこですかさず払った右足を地面に付け、左手を突いたまま右膝を曲げて前に屈む
そして人狼が後ろに倒れる所を合わせて……さっきのお返しとばかりに右肘を一発お見舞いする!
ゴッ……!!
クリーンヒット!すかさず追撃を―――――――
人狼A
「流石はワーカーさんの実子だけあって…しぶといな」
ドォォォウンッッッ…………
ハイマ
「……!」
瞬間、何が起きたのか分からなかった
腕を捕まれたかと思えば目の前が回りだし、激しい音と共に後頭部を地面に叩き付けられた。
そしてそのまま目の前が真っ暗になり、同時に意識も薄れていって――――――――
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