魔法少女リリカルなのは 〜空の英雄〜 第五話 猫の前触れ
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ネコ。

ネコ目ネコ科哺乳類。四足歩行で動き、柔軟性と瞬発力の高い能力を誇る。

足には鋭い爪があり、いつでも獲物を仕留められるように研いでいるという。

寿命はだいたい7年くらい。10年以上もいけば人間の80代くらいはいっているらしい。

 

人懐っこく、ペットとしては上位に余裕で入る動物だ。

歴史としてもネコは、信仰されている国があったりする。

それほどネコは世界中でも人気な生き物なのである。かの有名なアメリカ大統領だったリンカーンも、

彼が初めて猫を飼った際、大変可愛がったという。しかも道に猫が来たら自分はその道を譲るという、溺愛していたと言える。

ネコの習性というのは、なかなか厄介だ。

 

 

飼われるペットとしてイヌとは対をなすようになっている。

だいたい、ペットとして比較されるのがイヌかネコだろう。

イヌ派、ネコ派なんて派閥もできてきているほどだ。

ちなみに自分はイヌ派寄り。が、だからと言ってネコが嫌いというわけではない。

可愛いものはみんな好きなんだ。

 

イヌは主に従順であるが、ネコは主に従うことなく自由奔放、我が道を行く、という感じなのだ。

それも対をなしているといえる。

イヌは散歩をしたり、スキンシップをしていれば頭を触らせたり、仰向けになり腹を見せてくれたりと、これでもかってぐら動きまわって主人を喜ばせてなついてくれる。

が、ネコはそうではない。

すぐに触ろうとすると、怖がって逃げてしまう。

しかもたいていのネコの過ごし方は睡眠である。実に羨ましい。

 

なつくには、時間長く一緒にいることでゆっくりとスキンシップをとっていくしかない。

ネコのなつく証は、例に出すと人に巻き付いたり、顔をこすりつけたり、

好感度が上限にいけば、自分から近いづいてくれて一緒にいてくれるだろう。

死に場所も、懐いていれば飼い主のそばでずっと寄り添って息を引き取るらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、なんでこんな集団で僕にすり寄ってくんねん…」

 

 

 

自分の足には、色とりどりの猫たちが一斉に巻き付いている。正直言って怖い。

ここから出ようにも猫を踏んでしまいそうで出られない。踏んじゃったら、かの有名なピアノの曲どころじゃ済まない。笑えない。

 

 

 

「にゃはは…」

 

 

 

「ここまで来るとあんたのそれ相当気味悪いわね」

 

 

 

おい、失礼だろ。

 

 

 

 

「羨ましい…」

 

 

 

 

すずかさん、今すぐここ変わるから。

だからなんとか、してくれ…

ここの飼い主やろ…

 

 

日曜日である今日は、この4人ですずかの家で遊ぶことになったわけだが…

三人は優雅に紅茶を飲み、一人は猫の集団に取りつかれて遊ばれている。

一人のほうが僕だ。猫ってこんな動いたっけか?

あんまり元気にはしゃぐイメージが自分の中では想像できない。

 

 

 

 

 

 

 

 

長くなってしまったが、今日はそんなネコの不思議な話。まさかねぇ…ただの一匹の猫があんなことになるとは…

それは、数時間前まで遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

朝だ…

目覚まし時計を借りずに、自分の中にある体内時計で起きれるようになった。習慣づいたおかげである。

 

 

 

 

『にゃー…』

 

 

 

うーん…それにしちゃ…まだ、だるい?

しかもなんか下がベッドの感触が全くない。

ふわふわ、というよりふさふさしてる。

 

 

 

『!?』

 

 

 

意識が覚醒して大きく目を見開く、周りを見渡すと木、木、木…緑でいっぱいだった。

風がなびいて、自然の香りが鼻につく。森の中であるのか日差しは木に隠れてまだ薄暗い。

 

お、おい、何ここ…僕林の中で寝てたのか? というか玄関のドアを開けて、

翠屋を自分で抜けて、こんな未開の地まで彷徨っていたってこと!?

 

とうとう僕は疲れすぎて浮遊病になってしまったか…精神的に疲れてるのか。

頭の中おかしすぎて逆に何も考えられない。

真っ白だ、頭の中…

 

 

だ、誰か…助けを馳せ参じてくれませんかねぇ…

 

 

 

『……』

 

 

 

 

 

ヒーロー参上! という声も、人すら通る気配がない。

30秒ぐらい沈黙のまま、何が起こったのかを頭の中で整理中…

 

 

 

『にゃ?』

 

 

 

にゃ? 猫の鳴き声なんて…ネコがそばにいるのか?

だが周りを見渡してもいくつかの木が葉を揺らしている景色だけ。誰かいる気配はない。

 

ふと、毛むくじゃらな足が見えて下を見る。

 

 

 

『!?』

 

 

 

灰、色? この獣っぽい足…

ふぅ…

そうだよ、これ夢じゃん。何で現実だということを前提に考えたんだ。早とちりしやがって。

 

はっはー、とりあえず夢であることを確認するために、あのベターなやり方があるじゃないか。

 

 

 

 

そう、自分の頬を引っ張ることだ。痛いなら本物、痛みを感じないのなら夢だ。

さて、早速自分の手で試して…

 

 

 

手を顔に近づける、グサッ。

 

 

嫌な音がした、ナイフで刺されたような…そんな音が。

それにさっきから頬をつねようとしてるんだが、中々に引っ張りづらい。指の感覚がどうも違う。

というか今嫌な音がしたんだが。結構近く、いや近いなんてもんじゃない。すぐ横だ。

そしてつねようとして引っ張った手を見る。

なぜか血がついていた。

そしてなにこれ、肉球?

というかさぁ、さっきから顔がヒリヒリとさぁ…

 

 

 

 

『にゃああぁあぁぁあ!!(いってぇぇぇええええぇぇ!!)』

 

 

 

すごく…痛いです…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

猫になってしまった、ようだ。というかさっき痛すぎてそれどころではなかった。

これは夢、夢…

なのに痛かった、つねるより痛かった。何せ自分の顔を獣の切り裂く鋭利な爪で引っ掻いたんだからな。

流石にもう血は止まっているけども。

今の自分の姿がどうなっているのか見てみたい気もする。だけど見たら見たで後悔しそうだ。

 

一先ず自分の位置を確認するためにどこか広い場所へ森の中をとぼとぼと歩いていくのだった。

 

四足歩行のぎこちない歩きで、時間をかけながらゆっくりと進む。人ならさっさと森を抜けて助けを呼ぶんだが、猫だからな…

どうして猫になんか生まれ変わったのさ…

どうせなら鳥とかで自由に空を飛べるようになりたかった…

 

死ぬ気の炎でも飛べるけどあれはどっちかっていうと浮いてるっていうほうが正しいな。

あまり飛びすぎると炎を噴出しすぎて疲れるし、まだ僕の身体じゃ燃費が悪い。

 

 

まぁ今はいい、猫の身体でできることは…

木に登れば、高いところから見渡して、どこかの建物があるならそこに避難できそうだが残念ながら、

人だった奴が猫の姿で木に登るという芸当は絶対できない。

四本の足で登れるなんて無理や、手掴めないし。

 

落ちたらたまったもんじゃない。

猫って絶対そういうところから落ちてもうまく着地するっていうけど、人だった奴が(略

 

まぁ落ちたらその勢いでもしかしたら現実にその衝撃で起きられるかもしれないが、

なんとなく…それはないと思った。

何だろう、野生の勘というやつなのだろうか。

元からある直感か…

なんとなく、それだけじゃ夢は覚めないと思った。

まぁぶっちゃけ、本当は痛いのが嫌だし、

このまま誰にも知られずに死ぬなんてもっと嫌だし。死んでも死にきれねぇ。

 

 

 

 

 

 

はぁ、進んでも進んでも全然景色が変わらないことに、だんだん嫌気が差してきたが、我慢して進むと。

 

 

 

『にゃ?』

 

 

 

ん? と言おうとしたが猫の声が出てしまう。

まずいな、気を付けよう…

 

真っ直ぐ森を進むと、そこには白い壁があった。人工的に作られた建物なのは間違いない。窓がついているがどこも閉まっていて中に入れ

そうな感じではなかった。

少し高いが、猫のジャンプ力ならなんとかなる。という安直な考えが浮かぶが、何せこの姿になっておそらく30分ぐらいだと思う。

まず、無理だ。落ちるの確定。

 

 

うーむ…どうしようか。

考えた末、ひとまず壁をつたって行くことにした。はぁ、いつ目を覚ますんだ…

頼む、早く覚めてくれ。

 

グルル…

うっ、腹も減ってきた。何も飲まず食わずの状態で歩きっぱなしじゃ全く力が入らない。

木の実がなっているところがあって、おいしそうに見えてしまった。猫だからだろうか…だが無理だ。

 

木に生えてるのだ。はい無理だね〜。

レベル高すぎて取れるはずがないだろ。というか人でも危うい。

小学校の頃はよく木に登る小学生とかいたが、そんなの足がすくむし、絶対に登れる運動能力など、はなからなかった。よくあんなに登れるよな…

今どきの小学生はどうだか知らないけど。

 

 

 

そしてようやく違う景色を見ることができた。

人工的な建物だった。

ようやく希望が見えてきた気がする。白い壁がそびえたち、大きい建物ようだ。

そして右と左を見るとそれぞれ角になっていて、その先は壁はない。つまりはここは建物の端。

そして奥には光が差し込んでいた。

それに向こうからなんとなく人と猫の匂いがする。

猫になったおかげで鼻が効くようになったのか…ちっとも嬉しくないが。

 

 

ぎこちない走りで、曲がった鉄砲玉のように光に向かう。この悪夢かもわからない夢から、早く目覚めたいのだ。

歩きでさえ情けないのに、走りなんてもうめちゃくちゃだ。どう動いたら早くなるとか、そんなの考えない。ただひたすら…あの光に向かって…

 

薄暗いところにいたため、おそらく太陽の光だろうか。その光に目がくらみ目の前が真っ白になる。

前が見えなくなったため、下手くそな四足走行に余計に走れなくなる。

そして必然かのごとく、自分の足と足がぶつかりやわらかい草原に転んだ。

痛みはあまり感じない、だが起きると少しフラフラして足がおぼつかない。

と、そこに自分に近づく足音があった。草と靴のすれる音、これは人の足音だ。

近づいてくる気配がある。自分のそばに立っている。

 

 

 

『…だい……ぶ?』

 

 

 

急に意識が遠のいていく。頭がぼーっとして…

それに…

 

 

 

『ぁ…ふらつい……手……しな…』

 

 

 

聞いたことのある声だ。

声の主は、後ろの太陽の光で反射し、顔が影になっており、表情も見えない。

その人は僕を赤ん坊のように抱くと、温もりを感じ、あまりの心地よさに力が抜けていき、猫の瞳を閉じた。

 

 

 

 

 

 

もう、声は聞こえない。

―――これで、やっと

 

 

 

 

 

 

 

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『う、うーん…』

 

 

 

朝だ。カーテンの隙間から漏れる光をまぶしく、日陰に身体を寝転がりながら動く。

 

ゆっくりと背伸びをして、血の巡りをよくする。まだ少し眠い……何か変な夢を見た気がするが、全然ヒトカケラも思い出せない。

なんかざわざわする…なぜか非常に落ち着かなくなった。

と思ったが。

 

 

 

『まいいや、寝よ』

 

 

 

睡眠のほうが大事だなと判断し、もう一度目を閉じる。

今は一時の睡眠も大事なのだよ。

それにせっかくの休日なんだ。働いてるお父さん方はこういう気持ちなのだな、と安易に考えた。こんなので理解できるわけないか。

今日はさすがに休ませて…

毛布を掛けようとした瞬間。

 

『勇太くーん! 起きて!』

 

 

 

これである。さっき階段を駆け上がってく音がズドンズドンと立てて床が地響きしてたし。

怪獣が走ったらこんなに地面がグラグラ揺れるのか、と安易に考えた。

 

 

 

『…なに…?今日は日曜日じゃん。

今日ぐらい寝かせても…』

 

 

 

 

少し不機嫌になりながら、なのはをジト目で見る。

 

 

 

『はぁ、もう。今日はすずかちゃんの家に行くって約束だったでしょ?』

 

 

 

今9時ちょうどだよ? と、なのはは時刻を教えてくれた。へ? もう九時…

いや、まだ九時か。

 

 

 

「言い直さなくていいの。

もう九時なの」

 

 

 

 

というかそんな約束したっけ?

もしかしたら、眠くて話を聞いてるふりして生返事をしていたのかもしれない。いや、絶対そうだ。

 

 

 

あれから、僕となのはが初めてジュエルシードと戦ってから、一週間がたった。

事件後、どうやら事件の残骸が残っていたため、海鳴市では大騒ぎになった。

朝のニュースではそれが持ちきり…やれミステリーだの、やれ都市伝説だの、憶測がそこら中飛び交ったが今はもう、

事件のほとぼりは完全にとは言わないが、ほとんど覚めていってるようだ。

ちなみに当のジュエルシードはというと、一週間の間、いくつも反応を見せた。

休む暇もなしに。特に夜に起こるのは勘弁してほしい。

退屈な学校から帰ってきても不安でしょうがない。が、現実は非情である。

 

 

であるからして、肉体的にも精神的にもつらいため機嫌が悪い。

 

 

 

 

 

 

『…僕はいいや。キャンセルで』

 

 

 

『ダァメ!』

 

 

 

毛布を取り上げられ、パジャマ姿の自分が晒される。いやん。

 

 

 

『…早くして』

 

 

 

『…はい』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんななのはの恐喝…ではなく、催促によりなんとか自分の身体を起こし、

身支度を済ませた。リビングで朝ごはんを作っていた桃子さんに遅くまで寝ていたことを

心配されたが、大丈夫な素振りを見せてすずかの家に向かった。

 

しかし、終始士郎さんはこちらに目を向けては一言も発さず、僕を凝視していた。

いや、そんな生易しいものじゃない。獲物を見ているような、

睨まれてたっていうのが正しい。すごい怖かった。

 

恭也さんも用があるらしく、三人で向かった。

バスに揺られながら、僕は景色を見ずに当たり前のように眠った。

 

そしてまた、なのはに叩き起こされバス停に降りると、メイド服を着た女性が立っていた。

彼女はノエルさん。いかにも冷静沈着、そして容姿端麗、

家事もこなせるかっこいい女性である。

彼女がここまで運転したであろう黒いリムジンが後ろに止まっていた。

ここから先はあの車で行く。

車のソファーが気持ちよすぎてまた首が傾いたが、とっさになのはが頬をつねて起こされた。

 

しかもなのはのつね方が本気であるため、普通に痛い…頬赤くなってるんじゃないか?

 

そしてとある森を抜けると、そこには庭園が広がっており、豪邸らしき建物が見える。

といってもここに来たのは初めてではない。

その時に来たのは僕だけだったが。その話はまた今度だ。

 

ひとまずノエルさんの案内で、大きな部屋に着いた。すでにアリサはいるらしく、

二人とも外につながるバルコニーの近くにあるテーブルを囲って座っていた。

椅子はちゃんと二つ空いていた。外では猫たちがじゃれついて遊んでいたり、のんびり寝ている奴もいる。

 

 

ちなみに一緒にいた恭也さんとは別行動で、すずかの姉、月村忍という、

すずかとは違った魅力的な女性だ。

 

 

 

『あら、見ない間に勇太君おっきくなったね』

 

 

 

『そうですか? あまり自覚ないです』

 

 

 

『しかも男前になりつつあるねぇ…

これは将来楽しみだ』

 

 

 

忍さんは頭を撫でて、そんなことを口にした。

すずかはそれを見て口を膨らませた。

 

 

 

『姉さん!』

 

 

 

すずかが怒って忍さんははいはい、と受け流し手を離す。

そして耳元で、小声で話す。

 

 

 

『…ごめんね、すずかがこんな調子で』

 

 

 

『…い、いえ』

 

 

 

『勇太君!』

 

 

 

『は、はいっ!』

 

 

 

な、何?

すずかの一喝にピンッと直立し、気を付けのポーズをする。

 

 

 

『早く来てッ!』

 

 

 

『イエス、マムッ!』

 

 

逆らった瞬間、何されるかわからないので

素直に敬礼。

行こうとした瞬間、小声でごめんね、こんな妹だけどよろしくね、と忍さんはお姉さんらしい言葉を言うと去って行った。

 

少し笑ってしまった。忍さんも素直に言えばいいと思うのだが。

自分も兄弟、弟がいたので何となくわかる気がした。

 

 

 

…というかさっきから終始恭也さんの視線が怖かったんだが…

恭也さんは彼女に用があるとか。

二人で別室に向かっていった。あぁそういう関係…実にうらやまけしからん。

 

こいつはするぜぇ、リア充の匂いがプンプンと…!

 

 

 

『おーい、何ボーっとしてるの?

こっちよ!』

 

 

 

アリサに呼ばれて、空いている椅子に座った。

席順は時計回りにアリサ、なのは、僕、すずかだ。

そして、話に混ざろうにも混ざることができない。

なぜかって?

 

 

 

『いいなぁ、お姉ちゃん。

あぁいう守ってくれる人がほしいなぁ』

 

 

 

『憧れちゃうよね…』

 

 

 

『あはは、でもわたしには身近にいるからいいかな』

 

 

 

『えー、誰よそれ?』

 

 

 

これである。所謂ガールズトークだ。

混ざったら空気が読めない奴と思われるだろう。自分は紳士である故、彼女たちを見守りことにしよう。

でないとアリサあたりに、うっさいわね! って一蹴りされそう。いや、される。

 

ただ、自分がこのままいたら、この空気の重圧に押しつぶされてしまう。

 

 

 

『そんな重苦しいもんじゃないよね…』

 

 

 

男一人に女三人、この圧倒的女子率の中で気長に話せるやつとか見てみたいね。

尊敬するよ、一瞬だけだがな…!

 

 

落ち着かない僕は、飲み物を飲みながら外をチラ見する。そそくさと中庭に出て、猫に戯れることにした。

中庭に出て行くと、僕はそこで一瞬立ち止まった。

 

 

 

『……?』

 

 

 

『…? どうしたの勇太?』

 

 

 

あれ…ここ、見たことある。夢…?

以前来たときは、ここまで中には入ってないし入口ですぐ引き返したしな。

この既視感というか、なんというか…

ケルディオに心配されたが何でもないと返し、止まっていた足を動かした。

 

 

 

『おぉ…こんなにいるのか…』

 

 

 

外に出れば、中からは見えない猫たちも見える。

鳴き声が飛び交い、それぞれ大きさや色の違う猫たちが僕が近づいてるのを見て、一斉に警戒しているように見える。

 

おぉ…こんなに猫に注目されるのは初めてだ。

 

 

 

『僕動物で猫はあまり好きじゃないな。

なんか言うこと聞いてくれなさそうだし』

 

 

 

そりゃあ猫がしつけされてるところなんて見たことないしな。

ああやって自由気ままに生きてる時が猫の一番落ち着ける時間だろうし。

というかそんなのは誰しもそう思うだろう。

 

 

 

『人は時間に縛られるけれど、猫は関係ないしな』

 

 

 

いつでも休める、寝れる。そういうところは羨ましい、チクショー。

 

 

 

『勇太は動物で表すとナマケモノだね』

 

 

 

『…じゃあお前はユニコーンか?』

 

 

 

架空の動物なんだし、実際にいるやつでないとコメントしづらいから困る。

 

 

 

『そうだよ』

 

 

 

もう声でドヤいてるのがわかるな。

お前は……猪突猛進しそうだから…そうだなぁ、イノシシな。

 

 

 

『ちょ、何それ!?』

 

 

 

と、ケルディオと愉快な知能の低い話をしていると一匹の猫が近づいてくる。

灰色の毛並みをした普通の猫だ。

『顔に包帯が巻いてあった』こと以外は。

 

 

『お前、怪我してるのか?』

 

 

『にゃ』

 

 

しゃがみこみ僕は猫を見る。僕はこの猫を見た時、少しだけ違和感があった。

胸に何かが突っ掛っている、そんなモヤモヤした気持ちを。理解できなかった。

 

黙ったまま、数十秒目を合わせていたら、その猫はすぐにどこかへ走り去ってしまった。

うーん、ぼんやりしていてよくわからない。

僕は立ち上がって、周りの猫たちの至福の時間を邪魔しないように去ろうとした。

だが。

 

 

 

『え、お、おい…』

 

 

中に戻ろうとしたら、僕を行かせないように猫たちがいつのまにか囲んでいた。

…リンチされるのか? マジで?

恐怖の思いに浸っているとゾロゾロと、僕と猫たちの空間が狭くなっていく。

彼らは僕に向かってゆっくりと前進。僕と彼らの距離はもう目と鼻の先だ。

 

 

『みゃあ〜』

 

 

もうだめか、と諦めようとしたら甘えるような声を発し、足に引っ付く。

え?

 

 

 

『こら、マスターの足にくっつくな。お邪魔虫め!』

 

 

 

そう言ってやるなし。

というかなんか四方八方からすり寄られてるんだが…

さっきの一匹が消えてからこの猫たちが近づいてきたんだが。

 

 

 

『お前たち、飛ばされたいのか?』

 

 

 

落ち着けケルディオ、別に害はないだろうし。

好きにさせればいいさ。

と、考えていたのが甘かった。単純思考。

 

 

 

 

『あれ…これ帰れなくね?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、現在に至る。

 

 

 

 

 

 

『勇太は獣のホルモンでも持ってるんじゃない?』

 

 

 

ケルディオが念話で変なことを聞いてくる。

なんだよ獣とか…

とりあえずうるさい、と一蹴りした。

念話で突っ立ていたため、一匹の猫が僕の腰まで登ってきた。

爪が非常に発達しているため登れるのだろうが、ぜひやめてほしい。非常に引っかかれてる部分が痛いんだ。

 

 

 

「いててててっ、降りなさいドラ猫」

 

 

「にゃ!」

 

 

 

「にゃじゃねぇ、降りろ!」

 

 

 

「にゃ!」

 

 

 

猫専用の動物公園かよ…

 

すると、この猫がしていることを真似しているのか、他の猫も足に引っ付き登ろうと試みている。おいやめろ、僕の服が破れて大変なことに…!

 

 

 

「にゃあ!」

 

 

 

小学生の身体というのはまだまだ成長途中、つまりは未熟な体なのだ。こんな猫たちにあっちこっち引っ張られたり、登られたり…

 

 

 

「うわっ!」

 

 

 

足にぶつかってくる奴がいたら…

 

 

 

「いってぇ、何だし…!」

 

 

 

尻餅をついてしまい、後ろに倒れた。手をついて体育座りを崩した状態になる。

つまりは今、猫との高低差が一気に縮んだことになる。

今なら全身に飛びかかれるわけだ…

 

 

 

『にゃぁああ!!』

 

 

 

「やっぱりぃぃッ!」

 

 

 

僕が埋もれるぐらいの数の猫たちが一斉に襲い掛かった。正に地獄絵図になる瞬間…!

 

 

 

 

「んむっ!」

 

 

 

突然視界が真っ暗になる。

顔にまで飛びかかる猫がいやがった…! つ、爪痛いって…!

 

この状況は非常によくない、押し潰される…!

 

 

 

「みんな楽しそうだね!」

 

 

 

「そうね、見てて面白いわね。

そして実にいい気味だわ」

 

 

 

 

「羨ましい…」

 

 

 

アリサ…後で覚えてろ。格ゲーでボッコボコにしてやるからな。

すずか、だから変わってやるからさ。というかというかまずさぁ…

 

 

 

 

「誰か助けに来てくれぇぇぇえええ!!」

 

 

 

 

『にゃああああぁあああ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、ひどい目にあった…」

 

 

 

「いいじゃない、あんた。役得でしょ、こんなに猫に構えてもらって」

 

 

ま、あまり人には構ってもらえないようだけど。という現実的な余計な一言に、僕は心が折れそうです。

アリサさんマジドS。

 

 

 

「てかなんか猫の匂いが全身から匂うんだが…

顔もベトベトだし…」

 

 

 

帰り、周りの人に迷惑しそうだし…

 

 

 

「シャワーあるけど、使う?」

 

 

 

 

すずかさんマジ天使。その気遣いが本当に身に染みる。

 

 

 

「うんそれがいいよ。帰り大変そうだし」

 

 

 

「あ、着替えどうしよう…

お父さんのだとでかすぎるし…」

 

 

 

あぁ…そうだった、それに服が猫の匂いやらよだれまみれなら、せっかく体を洗っても意味がない。

 

 

 

「あんたの身長なら、すずかのも着れるんじゃない?」

 

 

 

ほう、今僕にチビだと言いたいのかい?

いい度胸だ、アリサ。格ゲーだけじゃなくてパーティゲームでもボッコボコにしてやんよ。

一人でパーティゲームをやりまくって完璧にマスターした腕を見せてやるぜ。

…え、パーティゲームって一人用じゃないの?

 

 

 

『パーティは一人でやるもんじゃないよね?

しかもやりこんでたの、一人で?』

 

 

 

え、なんだって?

今なんて言ったんだケルディオ、もう一度言ってくれないか?

よく聞こえなかったんだ。

 

 

 

『いや、だから……もういいよ。

なんか言ったら延々と聞こえないフリしそうだし』

 

 

 

 

一体なんだというんだ、全く。その思わせぶりな態度はあまりしないほうがいいぞ相棒。

 

…はいはい、と返事を受け流されたところで突然後ろから声がかかる。

 

 

 

「あ、あの…!」

 

 

 

 

 

 

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振り返ると、メイド服を着た女性。

彼女はノエルさんではなかった。 

 

 

 

「勇太様がシャワーを浴びていらっしゃる間、

その服を洗いましょうか? 私、そういうの得意なんです!」

 

 

お、おう…ずいぶん唐突だな…

鼻息を上げながら、気合を入れるメイドさん。

というかこの人誰だろう…ノエルさんとはまた違った可愛さがある。

突然何かと思えば、お転婆そうなメイドさんのようだ。子供っぽいところは否めない。自分も子供だが…

 

先ほどのノエルさんとは違って元気が余り過ぎて、空回りしそうな女性であった。

なんとなく、新人っぽいオーラがある。ここに来てこの彼女はまだそんな経ってない…?

 

と、自分の顔に困惑した表情がばれてしまったのか、突然彼女は頬を赤くして、涙目になる。

 

 

 

「あ、た、た、大変申し訳御座いません…!

自己紹介が遅れてしまいますた…!」

 

 

 

恥ずかしすぎて慌ててしまったのか、彼女は噛み噛みで必死に謝り腰から曲げて、ペコペコしている。そして涙目でこちらを伺っている。

 

やめてくれェ…なんか自分が泣かせてるみたいじゃないか…

別に怒ってないし…

 

そんな場面をなのはたちはもちろん見ていたわけで。

その見ている表情は実に複雑な顔をしていた。それやめて、あ〜あやっちゃった、みたいな顔、やめて…!

 

 

 

「自分はファリンと申します! 月村家に仕えている身で…

あ、そうじゃなくてっ!」

 

 

 

慌てすぎて自己紹介の仕方も間違えたようだ。どう言えばいいか礼儀あるのかな?

自分は思わず吹き出してしまった。

 

 

 

「あっははは、僕は五十嵐勇太、すずかたちの友達です。

服のことですが、お願いしても?」

 

 

 

「は、はい…! ありがとうございます…!」

 

 

 

感謝するのはこっちなんだけれど。

しかも頼まれたから嬉しいのか、満面の笑みに変わる。

いやはや、可愛いことよ。

 

 

 

「ふぇ…!」

 

 

 

彼女はなぜかカァッと顔を赤くして、目を反らす。え、何か口走っちゃった?

 

 

 

「はぁ、これだから女たらしは…」

 

 

 

「にゃはは…

でもそこが勇太くんらしいね」

 

 

 

「うふふ、確かに」

 

 

 

なのは達はなのは達で話が盛り上がっているようだ。向こうでまだガールズトークを続けているようだ。

 

 

 

『盛り上がってるのかどうかは疑問…』

 

 

 

おいおい相棒、あまりガールズトークを聞いちゃいかんぞ。

紳士たるものだ。

 

 

 

とりあえずファリンさんにシャワーはどこにあるかを尋ねた。

 

 

 

「はい、ご案内致します!」

 

 

 

この人は元気が取り柄の頑張り屋さんのようだ。

うん、本当に頑張ってほしいものだ。

僕は早く身体のベトベトした気持ち悪さを取り払うために、なのはたちのほうを振り返ることなく、ファリンさんに付いていった。

 

 

中庭につながる部屋を出て、これまた広い廊下を二人で歩いている。

このまま無言でもいいが、彼女の気を和らげる為にも話をすることにした。

 

 

 

「そういえば、なのはやアリサとも初対面じゃないんですか?」

 

 

 

「いえ…なのは様とアリサお嬢様とは以前から会っております」

 

 

 

「え、そうだったんですか?」

 

 

 

いつ会ったし…

まぁ確かに誘いを何回か断ってたし。

男女の差というか、女の子の家に男が上がるというのはあまり自分論では頂けない。

小学生が情操教育というのを語るのは年齢が若すぎると思うが、五十嵐勇太の中身は…

 

これ以上考えるといろいろ悩むことになりそうなのでもうやめておく。とりあえず察してほしい。

 

 

 

「勇太様は一緒に遊ばないのですか?」

 

 

 

「あぁいや、そういうわけじゃないんですけど…」

 

 

 

「ふふ…

やっぱり男の子は恥ずかしいですよね」

 

 

 

「え?」

 

 

 

「あ、ああいや…! 過ぎたこと言って申し訳ありません…」

 

 

 

ファリンさんは僕にお辞儀をして謝る。精一杯の謝罪、この人謝ってばっかやな…

またなんか罪悪感に襲われる…

 

 

 

「いいですよ、むしろその通りなんですよね。

第一こうして綺麗な女性と話してるのも緊張しますし…」

 

 

 

「そうなんですか!?

し、しかも綺麗って…言われたこと…」

 

 

 

彼女は目を見開いて顔を上げる。そしてまたかを紅潮させては下に俯いてモジモジさせている。

 

 

 

「全然緊張してるように見えないです…」

 

 

 

「いやいや、めっちゃ緊張しますよ。

それこそ全校集会でステージに立って何か話すぐらいとか、ゲームでのラスボス前のドキドキ感とか…「うふふ…」え?」

 

 

ファリンさんは僕の話に笑っている。

その笑い方が何とも上品で口を手で押さえて慎ましくしている。

僕はその美しい仕草に見とれて、僕とは違う世界にいる人だと悟った。

 

 

 

「すいません。何だかその例え、なんだかわかりづらいです」

 

 

 

「す、すいません」

 

 

 

ファリンさんは僕の例えのわかりづらさに苦笑した。だがそこには彼女のニコニコとした表情が見えた。今まで見たことない、とても楽しそうな。

 

 

そんな雑談をしていたら、あっという間に浴場(あまりの広さに風呂場とは言えない)到着してしまった。

もうちょっと話していたかったなぁと、少しだけ心もとないことを思うのであった。

 

 

 

「勇太様のおかげで、私元気でいられそうです…! 本当にありがとうございました!」

 

彼女は深々とお辞儀をする。今度のお辞儀は謝罪ではなく謝礼であった。

嬉しそうにお礼を言うのでこちらも嬉しくなってくる。

 

 

「あぁいえいえ、大したことないですって」

 

 

ちょっとした高揚感に浸りながら、ちょっとした謙遜。やっぱりこういう時のかっこいい男はまた言う言葉が違うのかなぁ…

トーク力ないなぁ、あまり人と話すことはなかったわけだし。

 

 

 

『コニミュケーション能力が足りないんじゃない?』

 

 

 

『コミュニケーションな』

 

 

 

間違えやすいよな、その言葉。

案外周りに無意識に使ってると周りに笑われるから気を付けた方がいい。恥ずかしいし。

特にエレベーターとエスカレーターを間違えた時とか。

 

 

 

「それに敬語なんて、しっかりしてますし…」

 

 

 

しっかりしてる、それこそ初めて言われた気がする…

そして、彼女は核心めいたことを告げる。

 

 

―――何だか私、同じ年齢の人と話してるみたいです!

 

 

 

 

 

一瞬ドキッとした。

ときめいたのではない、確かにファリンさんは顔は整ってるし美人であるけれど。

 

 

そういうのではなく、胸に何か鋭いものが刺さったような感覚だった。

その言葉も、誰もが惚れる微笑みも。

不意打ちすぎた。

おぉ怖い怖い。冷汗が出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

一般においてある風呂は、シャワーがついていて、鏡があり、成人が一人、二人入れるぐらいの大きさの風呂が付いている。入れなくもないけれど。

 

だがしかし、この豪邸はそんな常識は通用しない。

先ほども言ったが、『浴場』であるからして風呂場ではない。

そう、広いのだ。泳げるぐらいに。

まずはこの場をツッコミたい、銭湯かよ!

 

 

 

ファリンさんとは、脱衣場で脱いだ服を渡した。彼女はなぜか赤くなっていたが。

子供の裸を見ても別に何とも思わないと思うだろうが、彼女は実にウブだった。違うな、もっと綺麗な言い方に変えよう、純情乙女であると。

 

 

そして彼女はこの後のことを説明した。

 

『洗ってもまだ服は乾かないと思うので、浴場を出ますと右に曲がると、テレビや卓球などくつろげる場所がありますのでごゆっくりどうぞ』

 

 

ごゆっくり、と言われてもな…

というか本当に銭湯じゃねぇか。

そしてどうせ一人で入れるんだし、ケルディオも外に出て入るかと尋ねたが…「僕はいいよ、お湯は苦手だし。水浴びのほうがいいや」

 

とのこと。

シャワーで冷水も出せるぞ、と言ったら自分から勝手に出てきて、僕より先に浴場に入って行った。

勝手に出るなし…

 

 

中はやっぱり銭湯じゃないか、という作りだった。

もう真似して作ったでしょ、和風っぽいのがすずかの親はお好みなのかしら?

作りはここだけ異様だ。西洋の中に和が一つ。

 

 

 

「ふぅ…」

 

 

 

猫にベトベトされた身体(やらしい)を洗うために、シャワーは一通り浴びたものの、何か物足りないと感じた。

そりゃあ目の前には巨大な浴槽が広がっているのだから。

ちゃんとお湯加減も出来ていていつでも入れるようになっている。

 

 

 

「よし入ろう」

 

 

 

即決断。

まだファリンさんは服を洗って乾かしている途中だろうし、あまり早く入ってもいいことないだろう。

 

 

ちゃぽん、と音を立てて湯に浸かる。

超気持ちいい…

この自家用銭湯の湯には何か健康の効果があるのだろうか。

 

 

ちなみにケルディオはというと、僕の出した冷水のシャワーで水浴びを楽しんでいた。出しっぱなしだけれど、怒られないかな…

だが、久しぶりに外に出たケルディオは目一杯楽しんでいてはしゃいでるように見えた。

いや、あれははしゃいでるな絶対。

 

あまりの喜んでいる様子に自分も口元が緩む。

…そういや、自分はこんなに笑っていたか?

いや、まず感情を見せていたどうか…

うーん…

自分にとって大したことのない話をしていると突然、ケルディオが動きを止めた。

 

 

 

「……!」

 

 

 

魔力反応をこの近くで確認した。直感とか曖昧なのではなく。

あぁそうそう、話していなかった。自分はこの一週間、少しだけ魔法の特訓もしていた。

ユーノに言われたことは、一応魔力の素質はあるらしい。

高町道場での特訓以外に合間合間を縫って感知するぐらいは覚えた。

なのはには全然劣るが。

 

 

僕の魔力の云々についてはいずれわかる。

今は…

 

 

 

「勇太ッ…!」

 

 

 

声がでかい、万が一誰かに聞こえたらどうする。立ち上がって、ケルディオの近くに寄る。

 

このバカでかい魔力は…

わかってる…

 

 

 

「ジュエルシードだ」

 

 

 

気を引き締める。今日はすずかやアリサたちが近くにいる。どうにかして食い止めないと…

守って見せる。

 

 

 

―――行くぞ、ケルディオ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
勇太たちはジュエルシードのことを知り、ユーノに手を貸すことになった彼らは、今日は休息。
すずかの家へ向かう約束だった。そこで休めるも束の間、新たな事件に巻き込まれることになる。




お久しぶりです、淡泊な挨拶ですが…
いやぁ大変だった、三次元!


死ぬかと思ったとです。


※ 四話の内容を修正しました。



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