英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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〜地下水道〜

 

「はあっ、はあっ……」

「……何とか倒せたか……」

「ふー……かなりの手応えだったね。」

「ええ……少なくても手配魔獣よりは圧倒的に上でしたね。」

「さ、さすがにもうダメかと思ったぞ……」

「フン……たかが獣ごときに後れを取ってたまるか……」

魔獣の消滅を確認したエマは息を切らせ、リィン達がそれぞれ安堵の溜息を吐いている中、ユーシスは鼻を鳴らしていつものような仏頂面で呟き

「へえ〜、君達って、結構やるじゃん!」

「正直驚いたよ……特にその僕達が持っている戦術オーブメントとは異なるオーブメント――――”ARCUS”の機能を始めて見たけど、団体戦で凄まじい能力を発揮するね。」

「それに皆、連携が完璧だったぞ!」

エステル達は感心した様子でリィン達を見つめていた。

 

「…………はは…………」

「ふふっ……」

「クスクス……」

そしてリィンとエマ、ツーヤはそれぞれ微笑み出し

「まったく……笑いごとじゃないだろう。」

リィン達の表情を見たマキアスは苦笑しながら指摘した。

 

「フン、そういう貴様こそ何をニヤついている……?」

マキアスの表情を見たユーシスは口元に笑みを浮かべて指摘し

「き、君の方こそ……!」

「やれやれ。」

ユーシスの指摘を聞いてユーシスを睨むマキアスの様子を見たフィーは口元に笑みを浮かべて呆れていた。

 

「実習の仕上げとしては上々すぎるくらいだな……」

「ええ、戦術リンクも全員でつなげられましたし……」

そしてリィンとエマがそれぞれ安堵の溜息を吐いたその時、笛の音が聞こえてきた!

 

「しまった……!」

「呆けている場合ではなかったか……!」

するとその時領邦軍が駆け付けてリィン達を包囲しようとしたが

「やれやれ……少しは空気って物を読んでから来なさいよね。」

「なっ!?」

「な、何者だ!?」

突如リィンの隣に現れたベルフェゴールに驚いた。

 

「へっ!?」

「まさかエステルやロイド達みたいに異種族と契約しているなんて……」

「………この圧倒的な魔力、あの睡魔は恐らく”魔神”だな。」

一方ベルフェゴールの姿を見たエステルとヨシュアは驚き、メティサーナは真剣な表情でベルフェゴールを見つめ

「ええっ!?ま、”魔神”!?」

メティサーナの言葉を聞いたエステルは信じられない表情でベルフェゴールを見つめた。

 

「た、隊長!新手が……!」

兵士の一人は慌てた様子で隊長に判断を仰ぎ

「ええい、狼狽えるな!数はこちらが上だ!陣形を崩さず包囲しろ!」

隊長は怒鳴って指示をした。しかし

「フフ……………」

「………………ぁ。」

目に膨大な魔力を纏わせたベルフェゴールが妖しげな微笑みを浮かべると隊長や周囲の兵士達は虚ろな目をした状態で硬直し

「こ、これは一体……!?」

「みんな、放心状態。」

「まさか……あの女の仕業か!?」

「………!」

その様子を見たマキアスは驚き、フィーは目を丸くし、ユーシスは信じられない表情でベルフェゴールを見つめ、エマは真剣な表情でベルフェゴールを見つめた。

 

「あなた達は先程、暴走した領邦軍が運用している軍用魔獣を撃破した。しかし全員が負傷してしまったため、一時的に帰投することになった。脱走者の姿は見ていないし、地下水道を通って脱走した形跡はない。」

「…………………」

ベルフェゴールの言葉を聞いた領邦軍の兵士達や隊長は無言で頷き

「……脱走した形跡もない。」

隊長が虚ろな目で呟いた後、全員詰所の方へと向かって去って行った。

 

「領邦軍の兵士達が……」

「帰って行く。」

一連の流れを見ていたツーヤは呆け、フィーは目を丸くし

「「………………」」

マキアスは口をパクパクさせ、ユーシスは絶句し

「な、何なの、今の!?」

「まさか……暗示の類いの魔術?」

エステルは驚きの表情で声を上げ、ヨシュアは真剣な表情で推測し

「――ああ、間違いない。ああいった暗示系の魔術は睡魔族の得意分野だからな。」

ヨシュアの推測にメティサーナは頷いて答えた。

 

「ま、ざっとこんなもんね。」

「ベルフェゴール……領邦軍の兵士達に一体何をやったんだ?」

兵士達が去って行った理由が気になったリィンはベルフェゴールに尋ねた。

「ああ、簡単よ。私の魔力を込めた瞳で私の周囲の敵全員を見た後催眠状態にして、兵士達の脳に私の偽の命令を送って操っただけよ。」

「あ、あんですってー!?」

「あ、操る!?」

「あんな一瞬で敵味方の判別をして、あれ程の数の兵士達に暗示をかけるなんて……」

「味方だと滅茶苦茶心強くて頼もしい存在だけど、敵に回したらとんでもなく厄介で恐ろしい存在だね。あの地下校舎での時、対峙しなくて正解だったね。」

ベルフェゴールの説明を聞いたエステルとマキアスは驚き、エマは信じられない表情でベルフェゴールを見つめ、フィーは静かに呟いた。

 

「………操られた兵達は大丈夫なのか?」

その時ある事が気になったユーシスは尋ね

「ええ。そんな強力な術はかけていないから、半日ほどで術の効果は解けるわよ。」

「そうか、ならいい。新手の追手が来ない内にさっさとバリアハートから脱出するぞ。」

ベルフェゴールの答えを聞いて頷いた後リィンに視線を向けた。

 

「わかった。さっきは助かったよ。ありがとう、ベルフェゴール。」

「うふふ、どういたしまして♪私はご主人様の使い魔だから当然の事をしたまでよ♪」

リィンのお礼を言われたベルフェゴールは魅惑的な笑みを浮かべてウインクをした後リィンの身体に戻った。

 

「それじゃあ、まずは北クロイツェン街道に急いで向かってもらうけど……疲れていてもう走れないって人は今すぐ申し出て。その人はあたしの友達に乗せてもらうわ。」

「の、”乗せてもらう”??」

「エステルさん、もしかして……」

エステルの提案を聞いたリィンは戸惑い、ある事に気付いたツーヤがエステルを見つめたその時

「――――永恒!!」

なんとエステルの傍に普通の狐より数倍の身体の大きさで、炎のような真っ赤な鬣を持ち、8本の尾がある狐―――サエラブが現れた!

 

「な、なななななななっ!?」

「まさか……リィンのように異種族と契約しているのか?」

突如現れたサエラブにマキアスは混乱し、ユーシスは驚きの表情でエステルを見つめ

「狐……”六異将”の”業炎の疾風”サエラブだね。」

フィーは静かな表情でサエラブを見つめた後呟いた。

 

「あれ。フィーちゃん、永恒たちの事を知っているんだ。」

「ろ、”六異将”、ですか……?」

フィーの言葉を聞いたエステルは目を丸くし、エマは戸惑いの表情で呟いた。

「今は説明している時間はないわ。―――永恒。悪いけど疲れている人達を貴方の背に乗せて走ってもらっていいかしら?」

(いいだろう。)

エステルに視線を向けられたサエラブは頷き

「え……」

「何、今の……?」

「これはまさか……」

「あ、頭に誰かの声が響いてきたぞ……!?」

「まさか……その狐か!?」

サエラブの念話を聞いたエマは呆け、フィーは首を傾げ、ある事に気付いたリィンは目を丸くしてサエラブを見つめ、マキアスは驚き、ユーシスは信じられない表情でサエラブを見つめた。

 

「―――今はそんな事を気にするより脱出が先決だ!疲弊している者はさっさと申し出ろ。時間がもったいないぞ!」

「じゃ、わたし。体力はそんなにない方だし、撤退戦に備えての体力も温存しておきたいし。」

メティサーナの言葉を聞いたフィーは申し出

「フィーの体格ならもう一人乗れるな……エマ、君も乗せてもらったらどうだ?ここまで全力で走った事や今までの戦闘の影響で長距離を走る事は難しいだろう?」

サエラブを見つめて呟いたリィンはエマに視線を向けた。

 

「ええっ!?い、いいんですか……?」

エマは驚いた後リィン達を見回し

「あたしはまだまだ余力があるので大丈夫です。」

「俺も問題ない。まあ、我らが副委員長殿はわからんがな。」

ツーヤは頷き、ユーシスは頷いた後口元に笑みを浮かべてマキアスに視線を向け

「余計なお世話だ!エマ君、遠慮なく君も乗るといい。こうなったのも僕の不注意が招いた事も原因の一つだからな。」

「……わかりました。それじゃあ失礼します。」

ユーシスに視線を向けられたマキアスは声を上げた後エマに視線を向け、エマは頷いた後フィーと共にサエラブの背に跨った。

「どうやら決まったようね。――ヨシュア。」

「ああ。――――ミントかい?今から脱出作戦を始めるから、手筈通り所定の位置に来たら合流をするよ。」

エステルに視線を向けられたヨシュアはオーブメントである人物と通信した。

 

「それじゃあ、みんな!ここから全速力でバリアハートから脱出するからね!覚悟はいいわね!?」

「脱出の際に襲い掛かってくる兵士達との戦闘はメティ達に任せて、お前達は街道に出る事に専念しろ!」

「はいっ!」

そしてエステルとメティサーナの号令にリィン達は力強く頷いた。

 

こうして……”バリアハート脱出作戦”が始まった………!

 

 

 

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お待たせしました!ここからの話はオリジナルストーリー――――”バリアハート脱出作戦篇”です!!ここからかかるBGMは零か零EVOの”守り抜く意志”か"Arrivederci!”のどちらかだと思って下さい♪なお、最後にはロイド達がガルシア率いるルバーチェの軍団を相手したようにエステル達とリィン達、使い魔総出で大勢の敵と戦う大規模戦闘もありますので楽しみにお待ちくださいwwっていうか、エステル達が戦わなくても使い魔総出でも充分軍隊に匹敵するような気がwwなんせ、魔神2柱(ベルフェゴール、カファルー)と女神一柱(フェミリンス)、最上位か上位種の異種族達ですしwwそこに加えてチート化した装備、ステータス、クラフトを持つエステル達を投入って戦力過剰すぎるww

説明
第57話
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
2017 1853 3
コメント
感想ありがとうございます エステル達がいるので、領邦軍がとんでもない被害を受けるのはわかりきったことですww(sorano)
↓被害どころか領邦軍にとっては災害じゃない?w(kanetosi)
さて・・・ショータイムの始まりですね。どれだけ被害がでるのやら(汗)(THIS)
バリアハート脱出作戦及び大規模戦闘・・・・気になりますね〜 追手達が空に舞い上がるような戦闘が思い浮かぶよ・・・ (八神 はやて)
ベルフェゴールは睡魔族としての特性を使いましたか・・・確かに得意分野でしょうけどねw(本郷 刃)
ケケケ。いいざまだな。オイッ。領邦軍はそんなものだろう。エステルたちはあいかわらずだなと。改めて、実感した。ケケケケ(Kyogo2012)
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