【恋姫二次創作】死神の毒 万能
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これは劉協の愚行準備から、劉備勢が成都へと進軍する間の話である。

 

 

 

 

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装の一日は朝日と共に始まる。

 

皇帝劉協の呼び出しに応じ、密会後の事である。

 

劉協は洛陽の民の中で、戦える者は子供でさえ収集。

 

全員に武装を行い、何か行動を移すという報告が全土に知れ渡った。

 

もちろん裏で動く装の属する陣営、劉備勢にもである。

 

ベットからゆっくりと抜け出し、服を調える装は何を考えるわけでもなかった。

 

劉協をだました事に何ら後悔、罪悪感、恐怖感など抱かず、その反対に高揚感、幸福感、達成感も感じない。

 

それが当たり前であり、当然であった様に。

 

部屋の中は自分の主に教える教材の木管や、内政のそこそこ重要な事を書かれた木管の山積み。

 

当然無くしたりはせず、ところどころ暗号化された内容のそれは、部屋を留守にして盗まれてもなんら恐ろしくない。

 

ピンと跳ねる髪は何かを感じるように左右に揺れ、装は円形の金属を袖の中に入れる。

 

それがなんなのか、この時代の者が見ても理解できないであろう。

 

装は木で作られる扉を開け、大広間に向かう。

 

まだ誰も集っては居ないだろうが、昨日の夜に届いた報告について本日の朝に会議という形である。

 

朝日も未だ眠たそうに顔を半分出す程度の時間。

 

装は案件の整理と、主君に分かりやすく言う為に纏める事と決めた。

 

心の中は恐ろしく冷たくとも、未だ蝋燭一本程度は残っていたのかもしれなかった。

 

人間として、臣下として、部下として。

 

装は捨てきれては居なかったのかもしれない。

 

 

 

 

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装「本日の緊急収集の案件は、昨夜、斥候の者から届いた情報ですがねぇ。皇帝陛下が兵を集めているのですよ」

 

一刀「兵?何でだろう。別に今は悪い人が居るわけじゃないし、敵対している勢力も居ないはずだよな?悪い董卓も無事やっつけたし……」

 

悪漢董卓。

 

連合の勝利に終わった反董卓連合は、洛陽の惨状を見て言った。

 

ところどころ街は壊れ、裏通りには謎の矢の雨の後、民の恐怖に染まる顔。

 

連合がやってきたから民が恐怖したのもあるだろう。

 

だが、民は耳にしたのだ。

 

董卓は軍師賈駆の策によって、自分達だけ兵を連れて逃げると。

 

そして、連合軍が洛陽にやって来た時、それが意味する物は董卓の裏切り。

 

その優しさで、民から信頼と尊敬を受けた儚い少女は一瞬にして、自己中心的であり欲望に忠実で自分のためなら平気で嘘をつく屑に成り下がったのだ。

 

どれだけ信頼しても、どれだけ尊敬されても。

 

その目前に連合軍と、その耳に噂が流れるだけで民は盲目の阿呆に成り下がる。

 

故にその様子を見た連合は、董卓が完全悪だったのだと誤認した。

 

昔から董卓を知る者であってもだ。

 

知るではいけない。

 

信頼し、信用し、仲が良く、友人くらいの者でなければ、少し悪評が流れれば簡単に引っくり返る。

 

悪を打ち倒した連合は解散され、しばらくは平穏な時代が始まるものだと、誰もが思った。

 

だが、皇帝による軍事強化。

 

周囲の勢力は警戒し、軍事を強化する。

 

そしてその周囲の勢力もまた、強化。

 

全土が武を早急に手にし、いつでも戦が起きても良い様にする。

 

すると、皇帝の出陣と同時に火蓋は切って落とされる。

 

全土が強化された軍事行動によって、恐るべき大戦になるだろう。

 

だからここ、劉備勢も緊急会議の上、軍部を強化せねばならなかった。

 

装「と、言う訳で、皇帝陛下の滞在されている地、洛陽の隣に位置する僕らは非常に危険であるという事ですねぇ」

 

朱里「もしも、皇帝陛下の緊急収集された兵と、董卓さんの残りの兵が一緒になって攻めてこられたらあっという間に……」

 

愛紗「それほどまでに切羽詰っているのですか……」

 

反正「何か対応をせねば、いずれ曹操や袁紹に潰されるでしょうしね」

 

一同静まり返る広間。

 

皇帝、曹操、袁紹と大勢力に囲まれる劉備勢は頭を抱える。

 

もう少し南に行けば、袁術や孫策。

 

連合軍で共に戦った者として、敵対は今の状態ではなるべく避けなければならなかった。

 

装「ハッキリ言うと、手詰まりではありますねぇ。周囲は大勢力ばかり。呂布も最近、力をつけつつあり、徐州のここはハッキリ言うとこの大陸で最も危険な場所でもありますから」

 

桃香「えっ……ここってそんなに危ない場所だったの!?」

 

安康「それはもう、戦好きと自殺志願者にはうってつけでしょうな」

 

鈴々「じゃあ、早く何とかしないとダメなのだー!!!」

 

星「その為の良い策が無いから困っているのだろう」

 

ようやく状況を飲み込む。

 

窮地である劉備勢にとって皇帝の行動は完全なる絶望。

 

周りが触発され、好戦的になってしまえば、優秀な将を多数属させ、弱小である劉備は良い餌である。

 

人物収集家の曹操などは真っ先に飛びつく可能性もあった。

 

装「ケケッ、そして、もう一点。どうやら呂布勢と袁術勢が組んでこちらに向かう準備をしているようですねぇ」

 

一刀「えーっと……つまり南から攻めてきてるって事?」

 

装「はい。しかも袁家の袁術の兵はこちらの何倍もあり、一騎当千の武将呂布も敵。袁術には孫策という爆弾があるとはいえ、まぁ潰されるでしょうねぇ。僕らが」

 

思いのほか絶望的な状況であることを知った主君の二人。

 

ようやく徐州の資源の生産、治安、軍備安定してきた中のこの事件。

 

反正「更に、呂布勢には食量も底を突きかけつつありますね」

 

愛紗「それはこちらにとって有利な事ではないのか?」

 

朱里「確かに、呂布さんの兵の士気が下がるならこちらにも有利ですが、逆に早く食料を得ようと一気に攻めてこられたら……」

 

星「抵抗する間も無く……と」

 

重い雰囲気が辺りを包む。

 

装「ちなみに、そのニ勢力からの宣戦布告は未だ無いですが、目前になったら宣戦布告をすると言うこすい策でしょうねぇ。更に、呂布勢はその旗を隠し、袁術の大軍にまぎれている。僕らにとっては希望を断ち切るような恐ろしい策です。評価に値しますよ」

 

朱里「先生!!敵を褒めてどうするんでしゅか!!」

 

袁術の策(?)を斥候の報告から見極め、言う装。

 

多分、その軍師張勲の策であろう。

 

そして劉備勢と争い士気も低く、傷ついた呂布勢も一括に呑み込んでしまおうという考えだというのも分かっていた。

 

一刀「相手の考えがわかっても、対応の仕方が分からない……か」

 

反正「申し訳ないですが、この場を乗り切る策は私はしりません」

 

反正は申し訳なさそうに首を振るが、他の文官も同様に策が出ず、一向に黙るばかり。

 

装「ちなみに、袁術の斥候を見つけて捕縛しておいたので、暫くは袁術勢の情報収集を遅らせられるでしょうね。その中に一人でも裏切る者ができれば、ねぇ?」

 

装は意地悪そうに笑う。

 

こんな弱小でこんなにも有能な武将の塊であり、強欲な袁術が直ぐ傍に居るのだ。

 

皇帝など関係無しに攻める可能性は中々高いと踏み、優秀な忍部隊を配置させていたのだった。

 

桃香「ソウさんって、実は凄かったりする?」

 

一刀「今更それに気づくの!?」

 

一刀はほぼ毎日の授業に、ちょくちょく装の有能さに気付いていた。

 

分かりやすい例えを用いる授業に、多大な量の仕事の処理と把握。

 

兵の管理に金子の管理。

 

流石は朱里の師匠的位置であり、皇帝陛下の教師役である。

 

まさに人外であり、たった一度の人生では得られるとは思えない豊富な知識を保有していた。

 

装「しかし、今回の戦、好機でもありますねぇ」

 

愛紗「む、どういう意味ですかな?」

 

装「ここで、呂布をこちらに入れれたならば、大勢力と同等とは言いませんが、多少の威嚇は出来るでしょうねぇ。そして、その間に孫策が独立してくれたならば、袁術は崩壊。何事も無ければ南へと避難が可能でしょうねぇ」

 

一騎当千の将呂布。

 

そして、その軍師陳宮。

 

その両名を仲間に入れたのならば、劉備勢は一気に大勢力の下のほうではあるが、入ることが出来るだろう。

 

星「だが、袁術の兵は膨大なのでしょう?流石に我々でも徐州の兵だけでは……」

 

装「そういうと思っていました。どうぞー」

 

白蓮「ど、どもー……」

 

扉を少し開け頭だけ出す公孫讃。

 

広間の一同は驚く。

 

反正と安康と装を除いて。

 

桃香「白蓮ちゃん!?」

 

装「袁紹に叩き潰されたそうです。朝方、多数の兵を引き連れてきたのですよ」

 

白蓮「うっ……たしかにそうだけど、もう少し言い方を……」

 

星「なるほど、白蓮殿の兵を休憩させて、協力してもらうと」

 

星がなるほどなるほどと頷く。

 

董卓を滅ぼした袁紹。

 

彼女はそれに満足せず、有り余る力で公孫讃を滅ぼしたのだった。

 

こうして北の大体は曹操、袁紹、帝の三竦み。

 

そこのやや南中心に劉備勢。

 

この三つのどれにも接していた。

 

装「では、白蓮殿の兵が回復次第、なるべく引きつけた後に出陣。武官の皆さんには是非呂布を捕縛して頂きたい」

 

一刀「みんな頼む!!」

 

装の声に続き、一刀は頭を下げた。

 

愛紗「任せてくだされ、今後我々に必要ならば、必ずやってのけましょう」

 

鈴々「任せておくのだー!!」

 

星「ソウ殿と主の頼み、達成して見せましょうぞ」

 

安康「御意に」

 

武官の四人は頷く。

 

朱里「白蓮さんの兵隊さん達の怪我の手当てや、効率の良い休憩法を早速行いましょう」

 

白蓮「頼む。歩き疲れで皆クタクタだからな。でも、助けてもらえるのならしっかり働こう」

 

桃香「まっかせて♪今度は私達が白蓮ちゃんを助けちゃうよ!!」

 

こうして、成都入り以前の戦。

 

袁術・呂布対劉備の戦が始まったのだった。

 

 

 

 

 

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袁術「七乃ー!!蜂蜜水が飲みたいのじゃー!!」

 

張勲「今日はもう五杯目ですよ、お腹壊しちゃいますよ?」

 

袁術「う……じゃあ我慢するのじゃ」

 

張勲「偉いですよー美羽様。じゃあちゃちゃっと劉備をやっつけて、勝利の蜂蜜水に酔いしれましょうか」

 

袁術「うむ!!良いぞ!!」

 

張勲「ふふふ、宣戦布告もギリギリになったら行いますし、呂布さん達には旗を隠させた。もう直ぐ帰ってくるであろう斥候の情報で、劉備をけちょんけちょんにしてやりましょー!!」

 

袁術「弱小の勢力の癖に徐州なんて勿体無いのじゃ!!」

 

張勲「そうだそうだー!!」

 

 

説明
装さんは意外と優しい!?
実は皇帝を操ったのも劉備の為かも!?
北の曹操と袁紹を食い止める為に!?
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