魔法使いの大家族 第10話:食事
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いつも通りの食事のはずが少しだけ秋にとっては違和感があった

春樹に夏希に冬貴に桜に菊利、そこまでは違和感は無かったのだが

あまりにも違和感のある光景を目の当たりにして秋は凍り付いている

 

「伊邪那岐さんは剣術の達人なのですね?」

 

生徒会長が雁間家の食卓にいる時点で疑問なのだがその隣には伊邪那岐という秋の召喚者

違和感しかないと秋は思っていた

 

「いえいえ、私はそんな者ではありません

ただ、秋君のお世話をしているだけですよ」

 

「あれ?秋君の召喚者では・・・?」

 

「ギクッ!」

 

声に出した伊邪那岐を見て秋はため息を吐いた

桜だけはそのやりとりを聞いていて手を組んでうんうんと首を振っている

菊利は春樹の手伝いでキッチンに冬貴は夏希とゲームで対戦している

それもあって三人だけが机という壁を隔てて会話をしていた

 

「それにしても秋君ってすごい人だったのね

なんか私なんてちっぽけな魔法使いだなって思わされちゃう」

 

真理亜の目から感じ取れる興味の視線を秋は受けられずにはいなかった

伊邪那岐はそんな事は居ず知らず、まるでお見合いに来ているかの様にノリノリになっていた

秋の耳元に伊邪那美のいら立ちの声が聞こえるのが分かる

召喚者と主は召喚されていなくても会話をする事が出来る

しかし、それは声を出すものでは無く、召喚者と主が心で会話するといったおのものだ

召喚者の話に耳を傾けたりした場合にのみ聞こえるのだが伊邪那美の今の苛立ちは傾けずとも秋の心の中に響いていた

 

「ゴホンゴホン!伊邪那岐」

 

「はっ!」

 

我を忘れていたのだろう、伊邪那岐は秋に話しかけられてまるで目が覚めた時の様にハッとしていた

 

「そのなんだ

私は秋を凄い魔法使いだと思っている

本来、いるべきではないところにいるのではないかと思ったり、憤りを感じる事もある

それは私だけではなく、秋の召喚者全員が一概に思っていることなのだ

貴方も相当の使い手と見えるが如何せん、秋よりも魔力を感じられない」

 

まるで食ってかかるように真理亜を馬鹿にしている態度の伊邪那岐、秋を含めて全員が頭を抱えている

啖呵としも見て取れる伊邪那岐の台詞を真理亜は笑って受け流した

 

「でも秋君と伊邪那岐さんの性格はある意味、正反対ではありませんか?」

 

「そんな事はないぞ!

私と秋のコンビはいつも素晴らしい連携がとれていると思う!」

 

秋が話す前に真理亜に向かって誇らしげに胸を張って堂々と話す伊邪那岐、秋は頭が痛くなったのかテレビに向かって歩き出して

テレビの近くまで来ると下の段の引き戸をおもむろに開く、するとそこから頭痛薬を取り出して春樹から水を受け取り一気に飲み干した

そんな秋が眼中にいないのか伊邪那岐は嬉しそうに真理亜と話している

 

「伊邪那岐が珍しく、人を選ぶことをせずに話しているね」

 

秋がキッチン近くのバーカウンターの様になっている机の近くの椅子に腰かけていると春樹が話しかけた

 

「そうだね

春兄と話すときぐらいではないけど初対面であれだけ伊邪那岐が人を相手に話すなんて珍しすぎて寒気がする」

 

春樹は全員分のパスタとサラダを盛り付けながら、秋に向かって話しかけている

表情こそ見えないものの今の春樹はこの場を楽しんでいる事を秋は感じ取っていた

 

「彼女の人柄の良さもあるかもしれないね

伊邪那岐はいい人と悪い人の区別が見るだけで分かるほどの慧眼の持ち主だからね

流石、優秀過ぎる召喚者と言ったところだろうね」

 

そう言うと盛り付けが終わったのか春樹は自分のエプロンで両手を拭くと、菊利と桜を呼び、料理を零さないように運ぶようにと指示をすると今度は調理器具の洗い物を始めた

多少安定感はないものの菊利と桜は容量よく手伝えている

そんな2人を見てからか真理亜も春樹の料理を運ぶのを手伝い始めた

男性陣はというとコップや机の準備をして料理をそれぞれがいつも座る位置に空の食器と料理が綺麗に盛り付けられた食器が並べられる

縦長の机で春樹を中心に右側四席には夏希、秋、伊邪那岐、冬貴、左側三席には真理亜、桜、菊利

 

「今日のお昼ご飯は洋風仕上げにしたボロネーゼでーす

それとサラダには春野菜をたくさん使ってます!

僕の名前が春樹だからじゃないよ!?今の季節が春だから春野菜ね!」

 

一同、そんな事は理解していたがあえて何も言わずに春樹の話を受け流した

 

「すっ・・・素敵な洒落ですね」

 

真理亜も若干、春樹の話を聞いて苦笑いを浮かべている

 

「それじゃあ皆、手を合わせて」

 

春樹の号令とともにその場の全員が手を合わせる

真理亜の家ではその習慣が無いのか少しだけ戸惑っているが夏希が目を一度、ウインクでアイコンタクトをすると真理亜も手を合わせる

秋はそれを薄目で見ながら内心モヤモヤしていた

合掌を終えて全員が各々の食器に手を伸ばすと普段の雁間家の食卓に一人足された状態で食事が始まった

 

説明
今回は生徒会長と雁間家の話です!
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食事 家族 生徒会長 主人公無双・・・? 魔法使い 性格の良い兄達 だらしのない主人公 

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