神次元の外れ者(45) |
『((疾風|カゼ))の軍勢』デバッカ視点
【ラステイション付近・森林】
ピィィィッ………
デバッカ
「……!」
今の甲高い風切り音…手練れの弓使いか。
ここら辺は今ランクA以下は立ち入り禁止になっている筈だし、女神さまはお休み…
人神メンバー21人に弓使いは一人もいないし偽神はこの森に住み着いてる奴らしかいない…
来るとしたらランクS…若しくは唯一行かなかったクリエか?
もしクリエだったら一体ここに何の用だ?全然心当たりがないんだが…(※A.((迷子|デバッカ))捜し)
…まあいいか、どっちにしろ首を突っ込むべきじゃないだろうし。
俺は気にせずそのまま森の奥へ奥へと進んでいった
【ラステイション付近・森林深部】
だいぶ深くまで行ったようだ…静かだし、暗いし…木の密度が半端ないし
怪我もあるし息を潜めて気配を避けて進んではみたけど…今思えば完治してから行けば良かったかも
いやけど治してる間にふと忘れてしまいそうだし……
………カサ
デバッカ
「……【誰だ】」
一瞬の物音と同時に視線を感じた。
これまで遭遇しなかったここで物音がして、尚且つ今まで気付かなかったとなると相当な実力…
獣にしてはあの視線は意味を持っている感じであり、人間にしては気配遮断の精度が高すぎる。
かといって偽神のままでは先ず到達するのはほぼ不可能。つまり今の物音、視線の主は……
デバッカ
「神獣……」
偽神の上…完全にモンスターと化してしまった存在であり、尚且つ神の力を持つ存在
稀に人間の心をある程度保ったままの存在もいるようだが…今回はどれ位残っているんだ?
どうやら神獣は気配を消したままだ…「当ててみろ」という事なのだろうか
いつ襲ってくるか分からないし、このまま進むのは危険…
だが気配を感じない以上打つ手が……いや…ある
【風】…空気の流れを感じるんだ、クラトスのように。
ブァサッ
俺はコートと長袖Tシャツ、更に手袋を脱ぎ捨てて上半身ランニング一枚の状態になり、瞳を閉じる
肌で空気の流れを感じ、そこから周囲を把握する。
俺を見切ったあの((神獣|ブジン))を思い出せ、見切る時のアイツはどんな感じだった。
手に剣を握ったまま腕の力を抜け、深呼吸、限りなくフリーな状態に…
そこから木々を、葉の一つ一つを、地形を、全てを把握しろ
意識の集中、心に余裕を、頭に平静を…………
デバッカ
「……見つけた」
ピュッ
空気の流れから息をする動く物体を感知し、そこに向けて剣を投げ付ける
ドッッ…ドシャァッ
動く物体は剣が刺さり、上から(恐らく枝から)転げ落ちた
俺は音が鳴った所に駆け寄り、物体が何だったのかを確認する
そこにいたのは腕が異常に発達、硬質化した猿人型の神獣だった。
先程俺が投げた剣は、右肩に刺さっており、痛そうに押さえている。
神獣(猿人)
「…見事」
そう神獣が言い、剣を引き抜き差し出した
そこに戦う意思は感じられない…どうやら俺は試されたようだ。けど何のために?
神獣(猿人)
「…我らが主、クラトスを打ち倒した者よ、我は主よりのお告げを聞き、其の前に立つ」
デバッカ
「クラトス…あの竜型の神獣の…?」
神獣(猿人)
「いかにも…我らはその従者であり崇拝者、そして代弁者である」
ガサッ…ガサササッ
神獣の後ろから物音がした。しかも音からして大勢【いる】
目を凝らして見てみると…そこには目の前の猿人型と全く同じ個体が何十体もいた。
普通神獣は種族が同じでも一体一体見た目や能力などは違う筈…ここまで全く同じ姿が数十体もいるなんて信じられなかった
待てよ…まさか((我ら|・・))って……既に俺は、コイツ等に見られていたのか!!
神獣(猿人)
「気付かれたか戦士よ…そう、我らは一つの群にして個、同じ志を持つ同志……スパルタン」
俺の前にいるのは一体一体の姿形が同じ神獣の群体…否、軍隊だった。
彼らは一人の戦士に憧れ、付き従い、そして崇めていた。
あの神獣たちの姿はその心の体現そのもの…同じ志が産んだ奇跡そのものだった。
スパルタン(1)
「歓迎しよう、亡き主の友よ…そして導こう…そなたが探し求めるものの元へ……」
目の前のスパルタンが指で道を指し示して歩き出す…どうやら案内してくれるようだ。
色々聞きたい事があるし、歩きながら聞いてみるか。
そして俺は、大勢の神獣に導かれ、森の奥へ奥へと進んでいった。
…俺の記憶…生前の痕跡があるとされる所へ…
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深夜テンションで書き上げました 短く綺麗にまとめられればなぁ…… |
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