英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
[全1ページ]

 

街道に出たリィン達は目では確認できないくらい、バリアハート市から離れた。

 

〜北クロイツェン街道〜

 

「……今の所、追手の気配はありませんわ。どうやら撒いたようですわね。」

「……うん。何とか引き離せたみたいだ。エステル、一端休憩した方がいいんじゃないかい?」

バリアハート方面を見つめて呟いたフェミリンスとヨシュアはエステルに視線を向け

「そうね、リィン君達も疲れているようだし。」

エステルは頷いた後疲労している様子のリィン達に視線を向けた。

「みんな、一端ここで休憩だよ〜!」

ミントはリィン達を見つめて言った。

 

「はあっ……はあっ……や、やっと……休憩か……」

「ぜいっ……ぜいっ………た、助かった…………」

「ハア……ハア……もう、追ってこないとは……だらしのない奴等だ………………」

リィンとマキアスは疲労によって息を切らせ、ユーシスも疲労した様子でバリアハート方面を見つめて領邦軍が追ってこない事を確認して口元に笑みを浮かべ

「み、みなさん、大丈夫ですか!?」

リィン達の様子を見たエマは慌てた様子でサエラブから降りてリィン達を心配した。

 

「全く、男のくせにだらしのない奴等だな。この程度の距離を走ったくらいで疲れるとは。」

「メ、メティサーナさん。」

「空を飛んで楽に移動していた奴にだけは言われる筋合いはないぞ!」

「同感だ!」

呆れた表情で指摘したメティサーナの言葉を聞いたツーヤは冷や汗をかき、ユーシスはメティサーナを睨んで指摘し、ユーシスの指摘を聞いたマキアスは頷いてユーシスと共にメティサーナを睨み

(……おい。いい加減に降りろ。)

「えー、どうせならこのまま最後まで乗せて行ってよ。」

サエラブの念話を聞いたフィーは静かな口調で答えた。

 

「我儘を言ってはいけませんよ、フィーちゃん。ここまで乗せてもらえただけでも、ありがたいのですから。」

「……はーい。」

エマの言葉にフィーは不満そうな表情で答えてサエラブから降り

「ご苦労様、永恒!一端戻って!」

エステルの指示によってサエラブはエステルの身体の中に戻った。

 

「男連中は中々見所があるわね!あれだけの距離を走り切ったんだから。」

「ハハ……どうも。」

「武術訓練であれだけ走らせられたら、嫌でも体力がつきますよ……」

「むしろツーヤやお前達の方がおかしいぞ。俺達と同じ距離を走りながら領邦軍との戦闘もこなした癖に、何故疲れていない?」

エステルに感心されたリィンは苦笑し、マキアスは疲れた表情で溜息を吐き、ユーシスは呆れた表情でツーヤたちに視線を向けた。

 

「ま、君達と比べるとあたしやツーヤ達は潜り抜けた修羅場の数が圧倒的に違うから仕方ないわよ。」

「まあ、好きで修羅場を何度も経験した訳じゃないんですけどね……」

「何度か、本当に死ぬかと思うぐらいの経験もあったもんね〜。」

ユーシスの指摘に答えたエステルの話を聞いたツーヤとミントは苦笑し

(ど、どんな経験をしたのでしょうね……?)

(ちょっと気になる。)

エマは表情を引き攣らせ、フィーは興味ありげな表情でエステル達を見つめた。

 

「みんな、お疲れ様。ここまで走って喉も渇いているだろうから、よかったらどうぞ。」

その時ヨシュアが荷物から5本の何かの飲み物を取り出してリィン達に配り

「あ、ありがとうございます。ここまで全力で走って来て喉もカラカラでしたし……」

「ありがたく頂きます。」

「……礼は言っておこう。」

「ありがとうございます。」

「ありがと。」

ヨシュアに飲み物を配られたリィン達はそれぞれお礼を言って、瓶の口を蓋をあけて一気のみをした。

 

「んく………んく……プハ〜……ご馳走様です。」

「凄く美味しかったです。何だか一気に疲れが吹き飛んだ気分ですよ。」

「おかわりはないの?」

飲み薬を呑み終えたリィンはお礼を言い、マキアスは口元に笑みを浮かべて自分が飲んだ飲み物が入った瓶を見つめ、フィーは興味ありげな表情で尋ね

「蜂蜜水でしょうか……?」

「……蜂蜜水にしては甘さも絶妙で、喉ごしも悪くなく、至高の一品と言ってもおかしくない飲み物だ。一体どこでこれ程の物を手に入れた?」

エマは興味ありげな表情で瓶を見つめ、ユーシスはエステル達に尋ねた。

 

「その飲み物は”ユイチリ族”の蜜が混ざっている飲み物でメンフィル領となった事でユイドラ地方からも入荷できるようになったお蔭で、入荷したケルディックの”大市”の商人さんの一人が入荷した飲み物だから、ケルディックに行けば売っているわよ。」

「でも毎回の入荷数はそんなにないから、売り出した日は一人一本限定で売り切れが毎回起こっているらしいけどね。」

「天使であるメティも並んで購入してやったんだから、ありがたく思え!」

「それを言うなら”女神”である私もなのですが……」

エステルとミントの説明に続くように胸を張って答えたメティサーナの話を聞いたフェミリンスは呆れた表情で指摘した。

 

「へ……」

「あ、あの。今そちらの女性から信じられない言葉が聞こえてきたのですが。」

「”女神”って言ってたね。」

フェミリンスの言葉を聞いたマキアスは呆け、エマは信じられない表情で、目を丸くしているフィーと共にフェミリンスを見つめた。

「―――まさか。どこかで聞き覚えのある名前だと思っていたけど……貴女がメンフィル帝国に伝わる伝承で出てくるあの”姫神フェミリンス”なんですか!?」

その時ある事に気付いたリィンが目を見開いてフェミリンスを見つめて声を上げ

(ああ、思い出したわ……聞き覚えのある名前だと思っていたけど”姫神フェミリンス”の事だったのね……って、どうして女神が人間達と一緒に行動しているのよ!?しかもあの”姫神”が!)

リィンの言葉を聞いたベルフェゴールは頷いた後信じられない表情でフェミリンスを見つめ

「リィンさん?」

「何か知っているのか?」

リィンの様子を不思議に思ったエマは首を傾げ、ユーシスが尋ねた。

「ああ――――」

そしてリィンはエマ達に自分が知る限りの”姫神フェミリンス”の伝承を説明した。

 

「な、なななななっ!?という事はそちらの女性―――フェミリンスさんは異世界の女神なのか!?」

「あ、ありえん!一体何故それ程の存在が唯の人間である”ブレイサーロード”達と共にいるのだ!?」

「女神まで味方にしているなんて、”ブレイサーロード”って、非常識すぎ。」

「………………」

説明を聞き終えたマキアスは混乱し、ユーシスは目を見開いてフェミリンスを見つめ、フィーは呆れた表情で呟き、エマは信じられない表情で絶句してフェミリンスを見つめた。

 

「言って置くがエステルは”唯の人間”じゃないぞ。」

「なっ!?」

「ええっ!?」

メティサーナの話を聞いたリィンとエマは驚き

「メティったら、しっつれいね〜。これでも”唯の人間”よ!」

エステルは頬を膨らませてメティサーナを睨んだ。

 

「えっと……それ、本気で言ってるんですか、エステルさん。」

「今の君の状態を考えるとどう考えても”唯の人間”の枠に当てはまらないと思うのだけど……」

「同感ですわ。アストライアの魂をその身に宿し、アストライアの神剣を扱える者が”唯の人間”という枠に入る訳がありませんわ。」

「ア、アハハ………ティオちゃんやシェラお姉さん達もママの事、”人外”って言ってるもんね……」

エステルの言葉を聞いたツーヤは表情を引き攣らせ、ヨシュアとフェミリンスは呆れた表情で指摘し、二人の指摘を聞いたミントは苦笑し

(アストライアって………まさか”古神アストライア”の事!?”古神アストライア”の魂が人間に宿っていたり、アストライアの神剣を扱えるとかい、一体どうなっているのよ!?)

ある人物の名前を聞いたベルフェゴールは混乱した様子でエステルを見つめ

「ツーヤ達まで、酷いわね〜。あたしは正真正銘、”唯の人間”よ!」

エステルは頬を膨らませてツーヤ達を睨み、次々ととんでもない発言を口にするエステル達の会話を聞いていたリィン達は全員冷や汗をかいた。

 

(い、一体何者なんだ、エステルさん達って!?)

(エステルさん達って、もしかして遊撃士の中でもかなり特別な存在の方達なのではないでしょうか……?)

(間違いなくそうだろうね。)

(奴等だけでも軍隊とも渡り合えるような気がしてきたぞ……)

「(ハ、ハハ……)えっと、体力も回復してきたし、このまま一気にケルディックに向かいましょうか。」

小声でそれぞれ会話するマキアス達の様子に苦笑したリィンは提案し

「そうね。グズグズしていたら追手が来るかもしれないし、行きましょうか!」

リィンの提案にエステルは頷いた。その後リィン達はケルディック方面に早足で向かい、”ケルディック要塞”が遠目で見えるほどの位置まで近づいた。

 

 

説明
第59話
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
2238 2083 3
コメント
感想ありがとうございます 他の人達もエステルを”人外”って言ってますからエステルの主張は意味のないものですねww(sorano)
最低でもエステルとリィンは普通の人間じゃないよ^^;エステルは古神の魂を宿してるし、リィンは魔神に似た力を感じるってベルフェさんに言われてる(確か言っていた気がする)からね^^;(ジン)
まあ否定したい気持ちもわかるけどねえwエステルはそういう風に特別に見られるの嫌がってるし。だがあえて言わせてもらおう。君は最早普通の人間ではない!(kanetosi)
エステルよ・・・あなたはもう唯の人間ではない・・・あなたは女神の子孫であり作中でもあったようにあなたがその身に宿している存在があなたの意見を否定している・・・(八神 はやて)
エステル、申し訳ないがキミは只の人間ではない!(本郷 刃)
タグ
他エウシュリーキャラも登場 幻燐の姫将軍 空を仰ぎて雲高くキャラ特別出演 閃の軌跡 

soranoさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com