恋姫OROCHI(仮) 一章・参ノ弐 〜焼き討ち〜 |
双葉・幽・雫の三人は二条館を抜け出し、禁裏を目指した。
しかし二条館を出てすぐ、異変に気付いた。
北の空が赤く色付いているのだ。
「まさかっ!?」
烏丸小路を敵影に気をつけながら駆け上がる。
禁裏に近付くにつれ、パチパチと爆ぜる音が聞こえてくる。
そして……
「そ、そんな…」
音を立てて燃えているのは、禁裏の正門、建礼門だった。
それだけではない。火の回り方から見るに、四方同時に焼き打たれ、火の手は禁裏全体に渡っていた。
「い、いったい誰がこんなことを…」
双葉はそう言うが、幽と雫に見当はついていた。
こんな図ったような焼き討ちを鬼が出来るとは思えない。
それに、このような想像の斜め上を行くような所業が出来る人物など、今この京に一人しかいなかった。
「これはこれは。征夷大将軍の御妹君に、幕臣随一の切れ者。それに小寺の小倅ではないか」
哄笑を浮かべながら悠々と現れたのは、松永弾正、白百合だった。
その表情は愉悦で占められている。
「し、白百合、さん…」
この状況であの笑顔をしている白百合に、双葉は歯の根が上手く合わない。
しかし、これだけは聞かなければと、勇気を振り絞って言葉を紡ぐ。
「しゅ、主上は…主上は!いま、((何処|いずこ))に…?」
「知らぬわ。まぁ、鼠一匹外に漏らしてはおらぬから、まだ中に居るのではないか?」
「そ、そんな…」
ごうごうと燃え盛る禁裏に目を向ける。
その瞬間、門の一部が音を立てて崩れ落ちた。
「…梟殿。また大それた事を致しましたな」
幽の口調は普段のそれと変わらないが、言外に深い怒りが籠められている。
「そうです!日の本開闢以来の皇統に対してなんてことを…」
「そんなものに拘るのであれば、その辺を探せばいくらでも居ろうて。何なら((以仁王|もちひとおう))でも探したらどうじゃ?」
雫の言葉を遮るように白百合が嘯く。
「そも!何故、皇室が尊い?天照大神の詔があるからか?否っ!元々、葦原中国は大国主命のもの。国譲りなど、まやかしに過ぎぬ!!
所詮、天皇家もそれを力で奪い取っただけ。根っこは我ら武士と同じ穴の狢よ」
「そ、それは…」
神話では『国譲り』となっているが、それが天皇家にとって都合よく作られた話であることは明白だ。
そんなことは時代有数の知識人である三人は良く知っている。
「そ、それでも!皇統には連綿と受け継がれていた歴史が…」
「歴史があらば偉いか?歴史があらば、力無く、ただ権威に胡坐をかいているものを尊べと?否っ!断じて否である!!」
立ち上る炎を背に、白百合の独演は続く。
「それは幕府とて同じこと。そもそも幕府など、武士が力で勝ち取った政権に過ぎん。それを後生大事に、無力な将軍家に何故従わなければならぬ?歴史上、無能で無力な者は優れたものに駆逐されてきた。その歴史の流れに従い行動することに、何の躊躇いがあろうかっ!!?」
狂気。
内に下克上精神を秘めながらも、冷静に日の本の将来を案じていた白百合の姿は無かった。
「…して、梟殿の目的は何なのですかな?今の京を占拠して、貴殿にいったい何の利がある?」
幽が目的を尋ねる。
「目的などあらじ。私はただ、正しき歴史の流れに沿ったのみ。ここを焼いたは大仏殿の代わりよ」
何を言っているかは分からないが、彼女が狂っていることは分かった。
幽たちは、じりじりと後退姿勢をとる。
そんな様子を見て、再び白百合が口の端を上げる。
「なぁに、心配せずとも細川と足利は逃がしてやるわ」
「なっ!?」
「口惜しいが、それが正しき歴史の流れ。我はそなた等に逃げられてしまった。何処へなりとも去ぬが良い。
まぁ、その辺で鬼に喰われてしまうかもしれんが、そこまでは面倒見切れんな」
くっくっく、と含み笑う。
「この状況で我々を逃がすと?」
「あぁ。それがこの名と状況が持ちし宿命だからな。
まぁ……小寺の小倅までは逃がしてやる義理は無いが、な!」
白百合が手を挙げるのを合図に、松永衆が弓矢を斉射する。
見逃すと言った幽と雫がいることなどお構いなしだ。
「くっ!ここは退きましょう!幽殿は双葉さまを!私が退路を見極めます!」
「承知した!」「はいっ」
…………
……
雫たちは今出川通を東進し、賀茂大橋の出口に陣を敷いた。
西から来る松永勢は鴨川を渡るにはここを通らねばならず、迎え撃つ側は正面の敵を狙い打てばよい。
川を渡ろうにも、ここはちょうど賀茂川と高野川の合流地点で非常に川幅が広く、それも難しい。
鉄砲を多く装備している姫路衆で迎え撃てば、長く防戦できる場所だった。
ここに、しばしの膠着状態が生まれた。
説明 | ||
DTKです。 恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、17本目です。 当方、舞台出演の稽古中のため、少々刻みます。 以後、更新が遅れるかもしれませんが、何卒ご容赦をm(_ _)m 二条館を出た双葉たち。 その先に待ち受けたものとは… 注:なお本文は一種の表現であり、内容についてレフトだかライトな方々からの抗議・苦情の類は一切つけつけないことをお断りしておきます。 |
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コメント | ||
正宗サンさん>バサラは齧った程度なので詳しくは知らないんですよね^^; そこまで出来ているのであれば、ご自身で描いてみてはいかがでしょうか?(DTK) BASARA武将と姫武将の体格差が凄過ぎる。3で完全な魔王になっちゃた信長さんとツンデレ久遠さん。本能寺の変態こと明智光秀さんに結局何がしたいの?エーリカさん。見た目がガ○ダム、本多忠勝さん。見た目幼女な綾那さん。帝王足利義輝さんに奔放一葉さん。世紀末覇者豊臣秀吉さんに役目奪われたひよ子さん。桂じゃない半兵衛だ、竹中半兵衛さんに今孔明詩乃さんなどなど、濃過ぎますね(;^_^A(正宗サン) 戦国†恋姫と戦国BASARA4のクロス 冒頭はこんな感じです。時は室町時代末期、数多のBSR者と姫武将がいる国 日ノ本そして国を統べる帝王足利義輝 彼等を中心に描かれる新たな戦国絵巻『天政奉還は予が成した?朋輩よ?これより先は、汝等次第ぞ?』正に世は戦国創世の時代? 如何でしょうか?(正宗サン) sugerless777さん>ありがとうございます!頑張ります^^(DTK) いたさん>ありがとうございます!これから多分面白くなるので、早めに書きたいと思います^^(DTK) がんばれー!!!!(sugerless777) 史実の記憶との混濁? ますます目が離せなくなる物語! 気長にお待ちしてますので、御自分の成される事に集中して下さいね! 応援しています! (いた) |
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