小説11 |
ふと今思い出した。思えば京都に行く前に、京都に行くために必要だからと澄が、出会い系で知り合った男と都内で待ち合わせをして、新宿の某デパートで14万円の手押し専用ローラー付荷物ケースを買ってもらった時も似たような話を男から聞かされたのだった。
「14万の荷物ケースを買ってあげて御礼にホテル行ったけど奴隷プレーをやらされて首輪をつけられてホテルの部屋中ハイハイをさせられて顔を打たれたり体を蹴られたよ」そうアッサリと言いのけた男の顔は面長でやや馬面だけど羽賀健二風の二枚目だ。報われない女王と奴隷男の関係だったけど彼は彼なりに彼女のことを心から気に入って一時的にせよ、それなり愛情を持っていたのだろう。
そして、澄は、紛れもなくサドプレー大好きな女王様タイプだった。長く付き合うには相当の忍耐力を要するし、ノーマルの人も付き合う期間が長くなるほど次第にマゾっ毛を帯びてきて、気づけば立派なマゾ男に変貌を遂げて行くのは時間の問題だった。女王専用コスプレ、鞭、首輪、スパンキング、SM専用ロープなどSMプレーに必要な小道具は全て持っていた。
また、男と澄の関係をもっと分かりやすく表現すると、見返りを求めない至純の愛、そんな夢の泡のような大人になったらそう簡単には味わえないメルヘンの香り高い、崇高な愛の姿をそこに垣間見ることができる。そんな表現が相応しいだろう。
男はただの一度も見返りを請求せず、澄と二度と会うこともないと分かっていても、欲しいと強請られるまま高額の手押しタイプの荷物ケースをプレゼントして、奴隷として忠誠を誓わされたまま、二度と帰らぬ人となったのだ。それは実際の死ではなく、単に交際上の突然のプッツンだった。つまり、その後男は澄と二度と会えなくなったのだった。また、男の方から執拗に交際の再会を求めることもなかったようだ。
何故なら、その後すぐに澄は友人と二人で京都に旅立ったのだから、当分二人は、会えるはずもなかったのだ。
男は澄と二人きりになると遠慮して関係を持たないのか、それとも関係を持とうとしてももてないのか、その狭間でかなり揉めたり悩んだりの葛藤に苦しむ連中が殆どだった様に思う。また、見た目がとてもキュートで甘いマスクの澄は、当然男心を捉えて離さないタイプだったので、澄に一目ぼれして我を忘れ関係を持つ前にかなりの高額をプレゼントするけれど一度ホテルに行ってその本性を知ると、そこで真っ二つに運命が分かれていた。また会いたいというか、そのまま辞退するかの二つの道の選択肢が残されていた。
説明 | ||
過去の体験談を元にアレンジして小説らしきものを書いてみました。ちょっとした、たしなみと教養のためでもあります。>< | ||
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