とある傭兵と戦闘機(IS編第6話) 二匹の番犬 |
「今日から新学期が始まります。皆さん、今学期もがんばりましょう!!」
そんな山田先生の笑顔とテンションで、私の学園生活Uが幕を上げた
「そして、今日から特殊戦術講習教員として本学園に赴任してきて下さった先生を紹介します」
と、先生の紹介があるようで織斑先生が山田先生と場所を交代する
ここからは織斑先生の担当って事かな
「”現米軍特務戦術飛行隊所属”兼、今期から始まる追加学科である”航空戦闘訓練”
の教員を担当して下さる、ブロット・ポートマス先生だ」
教室の入り口である自動ドアがスッと開いた
そこから入ってきたのはーーー
「今日からここIS学園に赴任してきた、ブロット・ホートマスだ。
これから国を背負うかもしれない諸君らに、俺が学んだ事を伝える為に来た
呼び名は何でもいい。よろしく」
・・・なんかーーーー
「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」
そして久しぶりに聞いたよこのクラスメイト達による鼓膜破壊シャウト・・・何を言おうとしたっけ?
「男の先生!!しかもかなり若そう!!」
「イケメン!!しかもパイロット!!」
「先生!!年はいくつなんですか!?」
うわぁ・・・マシンガンのようにクラスメイト達が言葉で弾幕を張ってる
「歳は18だ。お前達とはあんまり変わらん訳だから同級生と接する感じで
同じように振舞うからよろしく」
と、何故かこちらに視線を向けてきたその人は・・・ああ、アレだね
「騒ぐな!!静かにしろ!!」
そして織斑先生と一喝が入るまで、この騒ぎは続いたのだった
ピピッ
昼休み、私は食事を終えて教室にてのんびり過ごしていたらメールが届いた
「織斑先生から・・・なになに?”今日赴任してきた教員の事だが
数ある生徒の中でお前の事に関してのみ裏で調べているようだ。気を付けろ”」
ええ〜何て厄介事の匂いプンプンさせる文章なのさ
でも、今回に限ってはそうじゃない
「あ〜また面倒な事になりそうだよ〜」
どうやって説明しようか?
「ねえねえ、あの先生凄くカッコよくなかった?」
「うんうん。なんかガチガチの筋肉男じゃなくて
何かすごく機能性のある筋肉の付き方してたよね」
「いいなぁ〜あんな彼氏がほしーな〜」
うん、いつも通り皆がわいわい騒ぎ始める
「ねえフィリア」
横から問いかけられる
いつの間にかシャロが横で何か聞きたげな顔をしていた
「フィリアってさ、”ガルム”って人知ってる?」
「・・・誰?それ」
いきなり聞いてくるからびっくりしちゃった
でも、シャロが示すその人物が誰なのかは私には判らない
「いや、僕達専用機持ちが全員でかかって負けた人だよ
その時フィリアは居なかったから知らないだろうけど」
「ん〜全員って事は六人を?すごい人が居たもんだね」
「で、その人の名前が”ガルム”っていうらしいんだ」
「ふ〜ん」
って
「私は知らないや。会った事もないし(完全に私の事じゃないですかァーーー!?)」
というか、このタイミングで質問してくるシャロは天然なのか否か
「で、その人がどうかしたの?」
「いや、フィリアはその人と戦った事ないのかなって・・・だって最近の戦闘訓練にフィリアだけ
来てないもん。織斑先生に呼ばれなかった?」
何ノ事ダカサッパリワカリマセンナ〜
「呼ばれてないよ?というか、私はしばらく留守にしてた時があるからじゃない?」
そうして何とかはぐらかしていると、携帯端末が着信音を奏で始めた
「ちょっと失礼・・・もしもし?」
「”お久しぶりね〜蒼の戦闘姫さん?”」
・・・・・・・・・・・・
「えっと・・・あの・・・誰ですか?」
知らない声色の人に私は少し戸惑った
「”え?・・・ああ、そういえば話すのは初めてね。
私は”銀の福音”専属搭乗者だった者よ”」
「って事は・・・ラリーの部下のナターシャさんですか?」
以前、ラリーと電話で話した時にそんな話をしたと思う
「ええ、その通りよ。それで、以前フォルク司令に話があった
フランスのデュノア社への調査の結果の報告よ」
・・・ホント、タイミングが完璧すぎて笑えないよ
「・・・報告お願いします」
「”結論から言えば黒・・・確かに第三世代機製作の為に大声で言えないデータ収集を行ってるわ
更に、ラファールに搭載する特殊オプション装備としてーーー」
「?」
「”V2”を基にした兵装を設計・・・既に実用段階まで仕上がっているそうよ」
ーーーーーーーッ・・・・
私の中で、時間が停止する
あの時の・・・あの赤く染まった空を思い出す
あの空をーーーあの惨劇を
また引き起こせる兵器がこの世界に存在する?
「計画としては、ラファール・リヴァイヴカスタムUの特殊兵装装備枠に隠され
”最後の切り札”として存在させるつもりらしいの。通称、”ラファール・アライブ”
(疾風の生存)」
その最後の切り札が、どういう状況下で必要になるのかは私には判らない
でも、少なくとも通常じゃ絶対に必要ないものだ
反則云々の問題じゃない・・・それは、”絶対に使用される事のあってはならない”兵器だ
「・・・・シャロ」
「何?」
「シャロのリヴァイヴの同型機って何機生産されてるの?」
「カスタムUの事?僕が知ってる限りこの一機だけだと思うよ。ワンオフ機だから」
「・・・・・・・・わかった」
再び電話を取って通話を始める
「情報ありがとうございます。ラリーにもよろしく言っておいて下さい」
「ええ、わかったわ。それじゃあね」
電話を切り、そして少し考える
「どうしたの?フィリア」
「・・・何でもないよ。福音の事覚えてる?」
「銀の福音の事?もしかして・・・・」
「今の電話の人、あの時の搭乗者さんなんだって」
「・・・思うんだけど、フィリアって何者なの?」
何者ってねぇ・・・
「ただの一般の生徒だよ?」
「いや、フィリアが一般の生徒だとしたら私の周りには化け物しか居なくなっちゃうから・・・」
「あのさ、私は化け物じゃないからね?」
「だって、あの夏の”福音”を止めたのもフィリアだもん・・・あの時の戦闘は、少なくとも
僕達一組の専用機持ちが行える戦闘じゃないもん」
「それでも、私は”化け物”なんかじゃない」
「解ってる。そういえばフィリアって写真撮られた事ある?」
写真を撮られた事か・・・
「前にシャロ達と一緒に買い物にいったよね?」
「うん」
「あの時、あの服買った時に写真を勝手に撮られた気がする」
と、シャロが雑誌を一つ、私の目の前に置く
表紙に写っていたのはーーーー
ドゴォッ!!
額をを机に打ち付ける
「!?ふぃ、フィリアどうしたの!?」
私が・・・しかもあの服着た時の私が・・・
後姿だけど、堂々と表紙を飾っていた
「恥ずかしいよぅ・・・・」
「・・・(フィリアってたまに凄く子供っぽくなる時があるよね)」
そうして机に突っ伏していると、クラスメイト達が気が付いたのか
私の机の周りに集まり始める
「あれ?デュノアさん”フレイガールズ”購読者?」
「今回の表紙の人って凄くオーラあるよね・・・後姿だけで雰囲気が涼やかだし」
「ええっと何々・・・”街中に現れた青空の少女”・・・確かにそんなイメージだね」
「透明感ある蒼い長髪に白いワンピースが映えるね。真っ白のロイヤルシルクだから
シンプルな割に高級感もふんわり匂うわ・・・紛う事なきお嬢様って感じ」
・・・・・・・・・・ぐりぐり
「フィリア!?そんなに頭押し付けたら机が壊れちゃうって!!」
穴があったら入りたいとは正にこの事だと思う
こんな感じで、今日の昼休みは過ぎていった
昼間の授業は通常授業なので、特に特徴もなくいつも通りの授業風景を見ながら
私にとっての暇な時間は過ぎていった
「フィリア、夕食はどうするんだ?」
放課後、教科書やノートを整理していると織斑君が夕食の誘いに来た
「う〜ん、ごめん。私はいいや」
「おお、そうか。そんじゃまた今度な」
断った理由は・・・フィアが待ってるからね
最近フィアと一緒に居る事が多すぎる気がせんでもないんだけどね
「さて、そろそろ頃合だと思うんだけど・・・」
「フェイリールドって奴は居るか?」
朝紹介された先生が、なんとまぁご丁寧に指名までして
「はい。何でしょうか?」
「飯、一緒にどうだ?」
「お断りします(ニッコリ」
笑顔★でお断り
「そうか。あ、織斑いい所に居たな。飯一緒にどうだ?」
「あ、いいですよ」
そうして二人が去って行く
さて、それじゃあ部屋に戻ろうかね
「・・・麻耶、あの教員の事をどう思う?」
「私は普通に・・・かっこいいと思いますよ?」
「いや、そういう事じゃなくてだな。歳不相応の肝の据わり方をしていた
それに、フェイリールドに関して色々嗅ぎ回ってるようだ・・・」
先程職員室での紹介を終えた後、成績やら戦闘データなどの集計の際に
必要以上に彼女のデータを求めたのも不自然だった
「そういえば、さっきホートマス先生がフェイリールドさんの家に向かいましたよ」
!?
「麻耶、少し気になる。私は見回りに行くとしよう」
「私はあの先生についての裏を取ってみます」
「なら、そちらは任せた」
「了解しました」
〜約十分前〜
ピンポーン
新居である家のインターホンが来客を告げる
「はい、どちら様ですか?」
そのインターホンの画面に表示されてるのは、今日配属になった新しい先生だった
「ホートマスだ。少し話しをいいか?」
「いいですよ。鍵は開いてます、どうぞお入りください」
とりあえず家に上がってもらおう
名目上、この先生は私が知る人物とは別人っていう存在だろうけど
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
玄関で、向かい合った私と先生
・・・私は、どういう言葉を言えばいいんだろう
恐らく、この人物は立場を捨ててここに来たんだと思う
・・・だったら、そうだよね
意を決して、私はその先生に言った
「・・・おかえりなさい。”Pixy”」
目の前の相棒に、”私は元気にしてたよ”と、笑顔で表現する
「・・・ああ、ただいま。”Cipher”」
やっぱりね・・・
「あっ!!お父さん!!」
「「ブフォァ!?」」
そういえば、フィアにあんな事言ったせいで
ラリーがパパになってたんだった・・・なんか、嫌だなぁ・・・
「・・・・・」
「・・・・・」
互いに沈黙、そしてまた笑い合う
それから、私達はリビングにてお茶を飲みながら
積もった話を吐き出していた
「というか、若返ったままなんだね」
「おう・・・そのせいで顔写真認証が通らなくてよ二週間程基地を逃げ回ってたぜ」
「生体情報識別は効かなかったの?」
「その為のバイナルコードを探してたんだよ。あの時ナターシャが居なかったら俺今頃
刑務所あたり入ってたんじゃないか?」
というか、サラッと基地って狭い籠の中を二週間逃げ回ったって凄いからね!?
「流石は”片羽を失っても帰還してきた”妖精さんだね」
「おう、そんなに褒めるなよ。照れるじゃねーか」
「よし、そんなラリーにご褒美。フィア、パパプッシュ」
「ぱぱ〜」
ブ ス ッ
ラリーの膝の上に座っていたフィアが体を捻ってその手の小さなVサインで
ラリーの両目を正確にぶち抜いた
「ぬあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
そもそもバイナルコードを携帯してなかったラリーの自業自得だね
しかも確実に再発行をナターシャさん使ってるし・・・
すみませんナターシャさん下僕が迷惑をかけました
目を押えて転がっているラリーを端末で撮影し
謝罪コメントも載せてすぐにナターシャさんに送信した
「ぐぉぉぉぉぉおぉぉぉ目があぁぁぁぁぁ・・・・」
「だから面白すぎるから止めてよ」
「畜生・・・お前わざとやりやがったなぁ・・・」
と、言いながらもやっぱりラリーはフィアを可愛がっていた・・・片羽の妖精ドM疑惑浮上也
ピンポーン
「あ、またお客さんだ。ちょっと待ってて」
とりあえずインターホン画面を見て来客を確認する
「私だ」
あ、はい、また嫌なタイミングですよ先生
「何用ですか?」
「とりあえず上がらせろ。話はそれからだ」
「玄関開いてますからどうぞ〜」
玄関に行ってお出迎え〜
「フェイリールド。この靴は誰の物だ?」
早速、面倒な質問だ・・・
「・・・・えっと、ポートマス先生のものです」
「ほう、彼を呼んでもらえるか?」
・・・よし、面白く呼んでみよう
「わかりました。ポートマス先生、織斑先生が呼んでるよ〜」
「?・・・!?」
驚く織斑先生を、更に呼ばれてきたラリーがまたいけなかった
「おお、何だブリュンヒルデか。どうかしたのか?」
「こんばんわ。せんせ〜」
フィアを抱えていたのだ・・・ああ、このバカはホント・・・
「・・・貴様が何故その子を抱いている」
織斑先生が殺気を漲らせている・・・あ、これは本気で誤解してますね・・・
「詳しい話はリビングでして下さい。玄関じゃ落ち着かないでしょ?」
とりあえず玄関口で殺し合いされるのは本意ではないので、リビングにご案内〜
状況★説明なう
「ほう?貴様のような若者が米軍総司令官?最近の若い連中はそうして見栄を張るんだな」
「堅いな、流石は世界最強。お頭の硬度もダイヤモンドクラスと来たか。輝きは無いがな」
ああ〜も〜織斑先生の額に血管マークとラリーの顔にウザさが出てる〜
というか、二人とも殺気立ちすぎだよ・・・
「・・・こわい」
フィアがラリーの膝の上で少しだけ怯えていた・・・うん
ダンッ!!
「「!?」」
机を叩き、そして二人に命令する
「子供のような喧嘩は”やめなさい”二度は言いませんよ」
「「・・・・はい」」
うん、物わかりがいいのはいい事です
というか・・・なんか気持ちの温度が違う
前もそうだったんだけど。私の心には大きく二つの”性格がある
一つは通常、いつも通りの私”ブルーライン”
もう片方は、私が身の危険を感じた時に勝手に切り替わる”フレイムライン”
ブルーラインが平常とするのなら、フレイムラインが臨界だ
だけど、私にはもう一つの性格があるらしい
それがどういう時に表面上に上がってくるかはまだ判らないけど
確実に、それは私の中に存在している
「さて、とりあえずラリー。これからどうするの?」
「まあアレだ。ナターシャに連絡入れてみろ。それで駄目なら俺は諦める」
「・・・判った。そうさせてもらおう」
よし、話は纏まったね
それから織斑先生を見送る為に玄関口に移動する
「・・・それで、いつまでフィアをだっこしてるつもり?」
「いや、こんな感じでよ」
と、ラリーの首に抱きついているフィアを見る
ラリーの襟元をぎゅっと握って寝息を立てていた
これじゃ確かに降ろせないね・・・
というか、あの状況下で眠る事ができるフィアは将来BIGになりそうだ・・・
「起こさないようにしてね。というか、それなら泊まっていきなよ」
「そうさせてもらうか。娘もそれを望んでるみたいだしな」
フィアの背中をぽふぽふしながらラリーはいつも通りの笑顔を見せた
「娘って言わないでよ気持ち悪い」
「そうなったのは九割がたお前の自業自得だからな」
廊下で話しながら進んでいく
「それでは、また明日な」
「また明日」
「気をつけてくださいね〜」
織斑先生を送り出し、そして私達もまたリビングへと戻っていった
それから結局、ラリーはこのまま家に居座る事となって
再び、私の日常が・・・私達の民間人としての生活が幕を上げた
どうも、作者です
ラリー「作者!?月一投稿のはずじゃ・・・」
作者「はっはっはっは・・・トリックだよ(大嘘」
そんな感じで作者にしては珍しい短期間投稿です
意見感想募集中★
よろしくお願いします
超どうでもいいオマケ
ヤマト2199を見た感想
友人「スターシャとナターシャって似てるよな・・・年増の所とか」
作者「お前第三艦橋配属決定な。慈悲は無い」
作者の感想
作者「スゲェ!!第三艦橋ほぼ無傷じゃねーか!!」
友人「いやそこじゃねーだろ!?」
第三艦橋はロマンの塊。はっきりわかんだね(意味不明)
説明 | ||
二学期が始まり、新たなる学園生活の幕開けに心躍る・・・訳でもない主人公は、またしても厄介事を抱えてしまうハメに・・・ | ||
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コメント | ||
フィリアとライリーが仲良くしている所を一夏が見て嫉妬・・・あるあ・・・ねーよ(銀ユリヤ) | ||
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