義輝記 蒼穹の章 その十七
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【 二人の策謀 の件 】

 

? 荊州 鳥林 本営 にて ?

 

《 夕方近く (15時半頃) 》

 

袁兵「……荊州水軍が……壊滅いたしました!!!」

 

袁兵「『夏口』側! 四万の軍勢で対処しておりますが……隘路のため軍勢を展開する事が難しく、徐々に押されています! それに、長江より船団の援護あり、孫呉勢の勢い侮りがたく…………!!」

 

袁兵「報告! 鳥林峯の討伐隊四万……敗走!! 敵は……りょ、りょ、呂布でぇ───すぅ!! 他にも、反董卓連合で名を馳せた将が……縦横無尽に駆け回り、近くの軍勢を……恐怖に陥れています!!!」

 

袁兵「江陵側から董卓軍進撃!!! 巨大な槍を振り回し、突撃する将を阻む事が出来ず、我が軍全体が浮き足立っております!!!」

 

袁兵「ちょ、長江に『橋』が掛かり、対岸の敵軍勢が……攻めかかってきました!!! 敵軍勢………数万!!」

 

将2「何をしておる! 我々の軍勢が……遥かに多いのが分からないのか! 援軍を送れ!! 中央より援軍を送れぇ!!!」

 

袁兵「だ、駄目です!! 四方より責められ、動くのに制限が!!」

 

将2「な、なんだとぉ────!!」

 

☆☆★

 

久秀「荊州水軍は壊滅……実力なんて……噂程にもなかったようね……。 早々に袁術達と船を降りて、『鳥林』へ本営設置して正解よ。 ついでに……あの漢女達も……死んでくれればいいんだけど……」クスクス

 

順慶「違いますわ!! 颯馬様の神謀が……久秀の奸計を上回ったのですわよ!! さすがは私の颯馬様! そこに痺れる! 憧れるうぅぅぅ!!」

 

久秀「その言い方……無性に腹立たしいんだけど……? まぁ……確かに、この戦い。 かの『謀神』の戦い振りに、似ているわね?」

 

順慶「………毛利元就……ですか? まぁ……小早川より教えを受けていましぃ……当然ですわね。 あぁ〜〜! 颯馬様の凛々しい采配振り……この目で見たかったですわぁ〜〜!!」

 

久秀「……そう。 じゃあ……久秀は颯馬に負けちゃたし……この軍勢は……もう……お終いよね?」クスッ

 

順慶「フフフ………お終い? 

 

まさか……颯馬様を掌中に入れるまで、死ねませんわよ!! 

 

それに……貴女……まだ…何か考えているのでしょう? 悲壮感漂う……この軍勢の中で……その極上の『笑み』は……なんですの?」

 

久秀「そういう順慶も……あるのでしょう?」

 

順慶「ウフフフフフ───!!」

 

久秀「アッハハハハハ──!!」

 

☆★★

 

袁術軍の情勢は………劣勢に傾いていく。 

 

初めは…圧倒的な優位な誇った袁術軍に、数の劣る兵で戦わざる得なかった孫呉軍。 それが、ここまで逆転させるに至ったのは……天城颯馬による……劣勢を補うために起こした数々の策だった!

 

『弛弓の策』という迂回行動、後方を脅かす益州を内応と反乱で落とす謀略、船を焼き討ちにし、狭い場所に大軍を纏めさせた戦術! 

 

そして、完全包囲による殲滅!!

 

正に謀神『毛利元就』の戦術に酷似していた。

 

ーーーーー

 

久秀「……ここまでのようね! 

 

───伝令兵よ! 全軍に申し渡せ!!! 『司馬の策通りに』……総退却!! 『華容』に向けて……『作戦通り』総退却せよと!!!」

 

伝令兵「は、はぁ……『作戦通り』ですか?」

 

久秀「不思議なようね? 久秀の策……どんな策を指示されていたか分からないから……という理由からでしょう?」

 

伝令兵「はぁ……! 申し訳ありません! 私が指示を覚えていないばかりに……『いいのよ! 何も指示なんか……してないもの!』……はっ?」

 

久秀「そのまま……総退却の命令を出せば、味方の兵は大混乱! 孫呉に大打撃を与えられるわ! だから……『作戦通り』という言葉を付ければ、味方は我が策と信じ整然と退却し、敵は疑い進撃が遅くなる寸法よ!!」

 

伝令兵「───あっ!」

 

久秀「理解できたようね。 世に軍師を名乗る者は多いけど、真の軍師は策の仕込みが無くとも、言葉だけで発動させるものよ! 

 

………久秀の『反山吹の詭計』……速やかに実行なさい!」

 

伝令兵「はっ!」

 

▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲  ▲▽▼

 

 

《 反山吹の詭計 》

 

後拾遺和歌集の古歌『七重八重 花は咲けども ……』から名付けられた策。

 

『山吹には実が成らぬ』と言われていたのに掛けて、話術(花)で策が成功した(実が成った)と表している。

 

 

▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲  ▲▽▼

 

★★★

 

? 鳥林 本営 負傷者収容所 にて ?

 

パン! パン!!

 

順慶「皆さん! 注目して下さい! 一度しか言いませんので、よく聞いて下さいまし! 聞かないと……命の保障は出来かねませんよ……?」

 

ここは……数刻前に夏口城を攻め……重軽傷を負った者達を収容した天幕。

 

火傷で呻く者、山芋を被り……全身赤くなり痒さと痛みに悶え苦しむ者、武器による負傷者等が………一斉に怯えた様子を見せて……順慶に注目した!!

 

順慶「………名誉の負傷を負った貴方達に……更なる名誉を与えて差し上げますわ!! 今すぐ、ここを引き上げて……私達に付いて来なさい!!」

 

順慶の突拍子もない命令など、何時もの事だが……今回は……無理!!

 

軽傷者なら、少し無理すれば大丈夫だが……問題は────重傷者!

 

順慶「担架を使用して連れて来るのは許可しますわ! 残るという者は……私が楽にしてあげますわよ!? ただ、強烈な痛みを味わいますが…」

 

この強烈な警告により、全負傷者は移動した。 

 

順慶の策に利用される事も知らずに……………。

 

★☆★

 

? 鳥林 本営 天幕 にて ?

 

薄暗い天幕の中、錆びた……鉄の檻が、中央に置いてあった。

 

付近には……怪しげな道具類、薬品が並ぶ。

 

その中に鎖に繋がれた……筋骨隆々の大男が両腕を上げて姿で、身動き一つせず、目を瞑り佇んでいる。 男の身体には、無数の傷が付いていたものの、見た目の異常は……何も無い。

 

カッカッカッ………! バサッ!

 

久秀「随分いい子になったのね? 久秀に罵詈雑言を吐いた者とは……とても思えないわよ? 使者殿……………いえ、○○○!!」

 

??「ーーーー!!」 ガチャン! ガチャガチャ!

 

久秀「そう……暴れたいの。 でも、もう少し待ちなさい! 貴方に投与した薬が……全身に回るのを待つのよ。 そうすれば……誰も貴方には勝てない! 例え、呂布や本多忠勝が相手になっても…………ね!!!」

 

??「 ーー?! ━━━!!!」 ガチャン! ガチガチ!!

 

久秀「そろそろ……薬が効いてきた様子。 後、記憶も少し操作して放してあげるわ! 一応、貴方の意を操る術を掛けてあるけど……それは、久秀に危害を加えないようにしただけ! 

 

────後は、その意志のまま……思う存分に暴れなさい!! 

 

服と『髭』と得物である『冷艶鋸』は、ここに用意してある!! これらを身に付け……この世界の将と颯馬に組する姫武将を抹殺し、颯馬に絶望と久秀に逆らう愚かさを──思い知らせてあげるのよ!!!」

 

 

(………ヤメテ…! ……ヒサヒデ……!)

 

 

久秀「───黙りなさい! 黙って……私の中で見ているのよ!! ……こんな、こんな!! ふざけた世界! 久秀を迷わせる颯馬! 邪魔する輩!! 

 

みんな、みんな!! 滅んでしまえばいいのよ─────!!!」

 

 

(………マ……ニゲ…テ…)

 

 

◆◇◆

 

【 強敵……出現! の件 】

 

? 鳥林 周辺の街道 にて ?

 

《 夕方 (15時半頃) 》

 

星「趙子竜の槍捌き! 受けれるものなら受けてみよ!!」

 

ガガガガッ! ヒューン ガガッ!

 

袁兵「ゴボッ!」

 

袁兵「アガッ!」

 

ーーーー

 

愛紗「ハアアァァァ────!!」

 

ザッシュ! ブシュ───!

 

袁兵「グゲゴォォ────!!」

 

ーーーー

 

義清「突いても突いても、きりがないのぉ! 鹿介殿!」

 

鹿介「ですが……隘路を利用して有利に戦える利点、兵数に劣る我々にとっては……有り難いことです!!」

 

朱里「ですが……三方での攻勢目覚ましいのに、私達の軍勢だけ……ここに留まるのは……やりきれないものが……あります………。 皆さん、命懸けで奮戦しているのに………!」

 

信玄「今は……時を待ちましょう! 

 

山の如く揺るがず、林の如く気を静め、攻める間に……風の如くつぶさに弱みを調べ、火の如く強力な攻撃を与える!! 『風林火山』の要諦です!」

 

朱里「はわわわ! 孫子とは……また違う解釈! でも……わかりました! ここで慌てていても……どうしようもないですから!」

 

ーーーーー

 

 

『━━━━━━━━━!!』

 

 

 

 

星「───────!?」ガクガク

 

愛紗「な、なんなのだ!? あの雄叫びは!!!」───ガクッ!

 

ーーーー

 

────────!

 

鹿介「ぐっ!! この闘氣は───!?」

 

義清「う───ぐっ!!」

 

朱里「はわぁ─────!?」

 

信玄「しゅ……朱里! 早く! 私の背中に……隠れなさい!!」

 

☆☆★

 

 

? 鳥林峯 頂上付近 にて ?

 

《 夕方 (15時半頃) 》

 

袁術軍達は、鳥林峯の別働隊を甘く見ていた。 ただ、策を成功させる為に、その場所に居たのだと!!

 

実際は、数日の籠城に耐えれるだけの糧食、武器等を頂上まで上げ、周りに柵を造り、敵の侵入に備えて臨戦態勢を取っていたのだから!

 

ーーーーーーー

 

霞「おりゃああぁぁぁ───!! 邪魔やぁ!!」

 

ブゥゥゥ────ン!! 

 

ブシャァ! ズシャ!!

 

袁兵「ギャアアアァァァ───!」

 

袁兵「グハッ!!」

 

ーーーーー

 

恋「…………死ね!」

 

ゴッ───!!

 

袁兵「はっ────」ブンッ!!

 

袁兵「へっ──」グシャッ!!

 

ーーーー

 

 

ねね「ちんきゅう……洛陽紅キック──!!」ゴゴゴッ!

 

空を跳び、翻して跳び蹴りを放つねね! 

 

背後には、夕日に照らされる洛陽が浮かばせつつ、急速な勢いで袁兵に向かって仕掛けた!!

 

袁兵「(パシッ!)……ふん! ガキが……!」

 

ねね「こ、こらぁ! は、離せぇ! 離すのでぇ──!!」

 

…………………あえなく……捕まった。

 

 

ザシュ──! ポフッ!

 

しかし、ねねの背後より、道雪が『雷切』で敵を斬り、宗茂が救い出す!

 

 

袁兵「ゲホッ!!」 バタッ!

 

 

 

道雪「ふぅ〜! ねね殿……貴女が戦わないで下さい!!」

 

宗茂「ねね殿!! お怪我は無いですか〜!?」

 

ねね「……うぅ…申し訳ないのです。 ねねの『ちんきゅうキック』の出番がなかったので……作者に怒鳴り込んで…無理やり出してもらったのですが…」

 

紹運「鍛えてもない軍師がやるものでは────! 伏せろ!!!」

 

──紹運、異様な気配を感じ取り、皆に退避を促す!!

 

サッ! サッサッ! スッ──!

 

ーーー

 

ゴォ─────!!! 

 

そして……麓より赤いモノが高速で──飛ばされてきた!!

 

ザザザザザアアァァァーーーー!!

 

赤き鎧を着た孫呉の兵が──車輪の如く回りながら、山頂目掛けて登って行く! もちろん……自分の意志で行ける筈が無い!   

 

孫兵「ギャアアアァァァーーーー!!!」

 

ドゴオオォォォ────!!

 

そのモノは、断末魔を挙げて──皆の後ろの壁面にぶつかった!!

 

ーーー

 

霞「なっ! なんやぁ──今んの!?」

 

恋「………人だった。 ……回転…してた?」

 

ねね「人が車輪の如く……飛んでいきましたぞ──!?」

 

宗茂「この世界の人は……そうやって飛ぶのですか!?!?」ワクワク

 

霞「そんなわけぇ───あるかぁぁい!!」ビシィッ!

 

宗茂「あうぅ───!」ビタンッ!

 

本家本元の神速ツッコミが、宗茂の額に入り……頭を抑えて跪く。

 

恋「………霞。 限度……大事……」

 

霞「恋に言われとぉうないわぁぁ───!!!」

 

ーーーーー

 

高橋紹運は、安否を気遣い……急いで衝突した場所に向かうが……

 

道雪「…………どうですか? ………兵は?」

 

紹運「……だめです……姉上………」

 

立花道雪は……下に見える戦場を眺め……戦慄を覚える………!

 

道雪「………麓より……数里ある此処まで……人を投げ飛ばすなんて………」

 

☆★★

 

? 江陵方面側 鳥林付近 にて ?

 

《 夕方 (15時半頃) 》

 

忠勝「まだまだ甘いでござるよ! 一人二人などと拘らずに、十人二十人で纏めて掛かってくるでござる!!」

 

ブゥゥゥン! シュッッッバァァァ───!

 

袁兵『────────!!』

 

袁兵『ーーーーーーーー!?』

 

バタバタバタバタバタバタ!!

 

昌景「いやはや……お見事! 過ぎたるものと謳われし良き働きじゃな!」

 

一存「相変わらず……すげぇ戦振りだぜ!」

 

長慶「忠勝殿! 見事な槍術! また、腕を上げられたか?」

 

忠勝「いやいや! 恋殿と付き合うと……ついつい楽しくて……刻限を忘れてしまうでござるよ!! 全力を出せる相手がいるのは……非常に嬉しいでござる!! 

 

後……恋殿のような……可愛い仕草が出来れば……もっと嬉しいでござるが………こればかりは……何ともでござるよぉ………」

 

長慶「大丈夫だ。 忠勝殿は、女の私から見ても……可愛いと思う。 恋殿は恋殿、忠勝殿は忠勝殿の可愛いさがある! そうだろう……一存!?」

 

一存「颯馬だったら……勿論! 『可愛いですよ、忠勝殿!』って言ってくれるぜ! 間違いなくな!! ……さぁて、俺も張り切って…行きますかっ!」

 

忠勝「//////////// も、もし………そうであれば……拙者……どんなに嬉しいかと…………」モジモジ モジモジ

 

昌景「うむうむ! 若者は大いに恋し悩むべ───皆! 用心せぃ!! この敵はぁ─────!?」───チャキッ!

 

長慶「……むっ!!」

 

一存「姉さん! 下がれ!! ………とんでもない奴が現れたようだ……!」

 

忠勝「……拙者も……これほど緊迫感に……差し迫った事は……今まで無かったでござるよ…………!!」

 

長慶「各部隊と颯馬に伝令を出せ!! とてつもない敵が現れたとな!」

 

伝令「はっ!!」

 

一存「全く…………これを考えた野郎………絶対……久秀の女狐だろう!! 人の恋路に……嫌な事……思い出させやがってぇーーーー!!!」

 

昌景「…そう思惑通り……易々とは……やられはせんぞ!!」

 

★★★

 

? 荊州 赤壁近辺 にて ?

 

《 夕方 (16時頃) 》

 

祭「長江の制水権は──我ら孫呉が抑えたぁ!! 

 

颯馬の仕掛けた包囲網は完成しているが、敵の数は我らより大軍! しっかりと押し包み……反撃を許すでない!!!」

 

亞莎「だ、大丈夫です! この戦は必ず勝てます!! 私達を信じて!!」

 

穏「残敵掃討は私達にお任せ下さい〜〜!!」

 

ーーー

 

? 赤壁 雪蓮本営 にて ?

 

颯馬「久秀殿………。 順慶殿………『 ポン! 』──?」クルッ

 

雪蓮「どうしたの? こ〜んなぁ『いい女』が居るのに、他の女の事を考えていたなんて? しかも……敵将なのに?」

 

颯馬「…………二人が……あのような行動を起こしたのは、俺のせいではないか……って考えていたんだ……。 俺が……自分の都合で……二人を連れていけなかった。 泣きながら……せがまれたのに………!!」

 

雪蓮「へぇ〜? あの将が颯馬に断らて……『はい、そうですかぁ〜』て同行するのを諦めたの? あはははははっ! 傑作じゃない!!」

 

颯馬「おいっ! 雪蓮!!」

 

雪蓮「──颯馬! 勘違いしないで!! 貴方には貴方の譲れない……大事な理由があったから…断った。 そうでしょう?」

 

颯馬「…………」コクリ

 

雪蓮「………同行を拒否されたから? 相手に事情があるなんて当然の事! 相手が無理というなら……此方から譲歩しなさいよ!! 

 

『雪蓮……お前が譲る事など…私は知らん…』 ──外野は黙ってなさい!!

 

それで駄目なら、納得いくまで問いただしなさい! 死に物狂いで付いて行きなさいよ!! ……泣きながら諦めるなら……颯馬を好きになんか…なるな!! 逆恨みだなんて……馬鹿馬鹿しいったらありゃしない!!

 

………私はね! そんな悲劇の主人公みたいに、泣いて諦める中途半端な覚悟なんて──────大嫌いなの!!」

 

冥琳「だがな………恋した女は皆……一途で臆病で頑固なのさ。 

 

相手の理由など……頭では理解している! 『どうして無理なのか?』なんて………百も承知! 立ち去る者の……見せぬ悲しみさえな。

 

しかし……心が……従わないのだ。 納得しないし……我慢も出来ない。

 

『恋』と言う病が……人を狂わせるのだ……」

 

雪蓮「だけど、冥琳。 泣き寝入りするより、追いかけてって……相手にくっ付く事ぐらいしなきゃ……恋なんて成就できないものよ?」

 

??「そのとおり!!」

 

──ザッ、ザッ、ザッ

 

信長「好きなおのこが居るのなら、力尽くで勝ち取れ! 妥協など無用!! 諦めて身を焦がすなど……ただの『うつけ』よ!!」

 

雪蓮「うんうん!! そうよね! そうですよねぇ!」

 

冥琳「口調は荒いが、何故か……納得出来るな?」

 

信長「だが……主にも渡さんぞぉ!! 雪蓮!!」

 

雪蓮「ふふ〜ん! 私の方が一歩先行ってるもんねぇ〜〜颯馬?」

 

信長「何ぃ〜!? どういう事だ、颯馬よ!!!」

 

颯馬「え? い、いや…そのぉ……」

 

伝令「で、伝令──! た、大変ですぅぅぅ!!」

 

颯馬「どうした!?」

 

伝令「敵軍交戦中、急に『長い髭を生やした赤ら顔』の大男が現れ……本多様達と激しく対戦!! 苦戦しております!! し、至急援軍を───!!」

 

一同『ーーーーーーーー!!!!』

 

☆★★

 

? 江陵方面側 鳥林付近 にて ?

 

忠勝「フゥー、フゥー、フゥー!! とおおりゃぁぁ────!!」

 

??「ガアアァァァーーーーーー!!!」

 

ガキィ──ン! ガキィ───ン!!

 

ドガアァァ────!!

 

忠勝「うわあぁぁぁ─────!!」

 

一存「鬼十河を嘗めるな!!」

 

長慶「覚悟!!」

 

昌景「でええぇぇいいいぃぃ!!」

 

キン! ギン! ガッ!!

 

??「……ワガ……ヤイバヲクラエ!!」

 

ブゥ───────ン!

 

一存「うわぁ──っ!!」

 

長慶「うぐっ!!」

 

昌景「がほっ!!」

 

ドスッ…… ドスッ…… ドスッ……

 

カンウ「ワガナハ『カンウ』!! 『カン ウンチョウ』ダァァァ!!」

 

 

◆◇◆

 

【 混沌とする結末 の件 】

 

? 赤壁 久秀本船 にて ?

 

《 夕方 (16時頃) 》

 

その頃……船内を彷徨く……漢女達!

 

貂蝉「せっっっかく、私達から会いに来たのに、船内に誰も居ないなんて……失礼しちゃうわぁぁん!!」

 

卑弥呼「止めんかぁ貂蝉! 『おのこの惹かれる姿─その壱! 仕事に打ち込む後ろ姿』を眺める最高の機会ではないか!! 漢女道極意 『負の感情に飲み込まれるな! 好機と捉えよ!』を忘れたかぁぁ!!!」

 

貂蝉「───! 私とした事がぁぁぁ!! 月ちゃんに『おば様』と呼ばれて、慢心してしまったよぉぉねぇぇぇん!!!」

 

卑弥呼「………悟ればよい! 漢女道とは…先人達の汗と涙と筋肉で編み出されてきた道! こう語る儂でさえ……まだ未熟! ダーリンの顔を見つめるだけで、鳩胸がトクントクンと止まらないのだぁぁぁ!!」

 

貂蝉「卑弥呼でさえ……そんな態度になるなんてぇぇぇ………! 二人して更なる漢女道を磨き上げ、更なる高見を求めましょう!!」

 

卑弥呼「うむ!! ────! 貂蝉!?」

 

貂蝉「………卑弥呼も感じた!? 得体の知れない『おのこ』の気配を感じとったわぁぁん!!」

 

卑弥呼「───いかん! もしか……すると、ダーリンの危機かもしれん! 先に行くぞ!!」

 

貂蝉「ごめんなさいぃぃ! 私は颯馬ちゃんに頼まれた仕事を……華麗に往々しく優雅に成し遂げてから向かうわよぉぉん!」

 

卑弥呼「ふっ! あの『おのこ』からの願いであれば……仕方あるまい!! それまで、ダーリン共々……優しく守ってやるわぁぁぁ!!」 

 

ドッ────ン!!  

 

貂蝉「一体……どこに居るのかしらぁぁん!? 袁術ちゃん達……?」

 

☆☆★

 

? 鳥林から葫蘆谷へ抜ける街道 にて ?

 

《 夕方 (16時頃) 》

 

久秀達は……総退却の伝令を放った後、袁術等も連れて赤壁を逃れつつ『華容』へと向かった!

 

久秀「さて……戦場中央に『関羽』が現れたら……どんなモノでしょうね?」

 

順慶「……この世界に『関羽』が居るのに……わざわざ正史の『関羽』に偽装させるなんて……手が込んだ事を………!?」

 

久秀「結構自信作よ? 正史の関羽に似ていたし、呉に不満を持ち合わせていた………。 久秀と出会ったのは……天命みたいなものだもの!」

 

順慶「───そのまま、ソレに乗り換えてくれれば……私は、とても助かりますわぁ? 今からでも遅くは…………」

 

久秀「何を馬鹿言っているの……? アレは使い捨ての玩具! 颯馬は愛用の玩具! 幾ら天命でも……価値までは違うわよ!」

 

ーーーーーーーー

 

孫兵「でえりゃああぁぁぁ!!!」

 

孫兵「孫呉の敵めぇぇぇ!!!」

 

順慶「そこを退きなさい!!」ドゴッ!

 

孫呉兵「ガハッ!」

 

久秀「久秀の邪魔をするなんて……永久に無理よ!!」シュン!

 

董兵「グヘッ!!」

 

久秀「この人数じゃ……にっちもさっちもいかないわね? 順慶! 道を作りなさい!!」

 

順慶「私は、貴女の小間使いではありませんわ! でも、このままでは行軍に支障を来して………進めませんわね? 仕方ありませんわ」

 

孫呉兵「死ねぇーーーーーー!!」

 

順慶「知ってます? 安直な台詞を吐く者が……早く死にますのよぉ!!」

 

パシィ! スルゥ〜!

 

孫呉兵の頭上より斬られる刀を受け流し、その兵の頭を持つ!!

 

孫呉兵「あへっ?」 ガシッ!

 

グルグルーーグルグルグル────!!

 

順慶「食らいなさい! 『人手裏剣』!!」

 

孫呉兵「グオオォォーーーーーー!!!」

 

順慶は片手で、孫兵を腕全体で振り回し……投げた!!

 

孫兵「ゴアアァァァ─────!!」

 

孫兵達「グケェ!」 「ゴバァ!!」 

 

ドカッ! ベキッ!

 

ーーーーーーーーー

 

久秀「それって……于吉が熱心に読んでいた書物の技?」

 

順慶「えぇ! 老師が于吉より回収したと言ってましたわ! 何でも……描かれている『おのこ』達の筋肉に萌えるとほざいていたそうで……」

 

久秀「───于吉らしいじゃない? あぁ……それで『無敵の翁』の技が使えるのね? 順慶を壊す楽しみが増えたわ………」

 

順慶「………他にも会得した技はありますわ! だけど、光栄に思いなさい!! その技は、久秀……貴女を最初の相手にしてあげますから!!」

 

久秀「久秀を相手に出来ると考えるあたり……技の程度が知れるわねぇ……」

 

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

関羽をどう扱おうかな………と考えていたら……こうなりました。

 

ちょうど、捕獲した人材もいましたしね。

 

また、宜しければ読んで下さい。

 

説明
義輝記の続編です。 よろしければ読んで下さい!
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コメント
禁玉⇒金球様 再コメントありがとうございます! ねね「次は……ねねがぁ! ちんきゅうきっ……!」ガシィ! 恋「………いい加減にする!」  ……度々失礼しました。 議論も難しい物です。ありがとうございます。 この戦乱の原因は……半分はそうですね。 半分は颯馬達を巻き込んだ貂蝉となります。 (いた)
髭の長い赤ら顔の大男…「閻魔大王様ーーー!!」。↓戦の原因についての議論でもあるので構わないですよ戦乱の原因は……天の御遣い?(禁玉⇒金球)
禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! 霞「そんなワケあるかぁ……!」モガモガ 恋「………こっち」  ……失礼しました。 サンタは……さて置きまして。 戦場でのシリアスも頑張って書こうと思うんですが……何故か…こんな話に。 う〜ん。   (いた)
髭の長い赤ら顔の大男…?まさかそんな馬鹿な!!あり得ないなぜ彼がここに居るのだ!!「サンタクロース!!」。恋の話か戦場に在ってしかも現在形で殺し合っているのになんと女子力と殺伐さがなんとも云えないが…強者の特権よ。(禁玉⇒金球)
mokiti1976-2010様 コメントありがとうございます! やはり……対決させないと……ですよね〜。 武力の差があり過ぎて……どうしようかな……と。(いた)
じゃあ、とりあえず次は『関羽VSカンウ』で。結末は…颯馬が勝ちさえすれば後はどちらでも(エ。(mokiti1976-2010)
雪風様 コメントありがとうございます! ここで出てくるカンウは、人工的?に作らた者ですので、正史とは関係ございませんww。 薬物投与、術による身体能力向上、調教による服従とてんこ盛り! ただし、短期ですので……支障も………(いた)
「父上、孫呉への恨みをぶつけるときです」by関平(正史)・「将軍、今度こそお供しますぞ」by王甫(正史)(雪風)
呂布だぁ!……は狙って、山田ぁ!…は原作の台詞を聞いた覚えがあったので入れました。 気に入っていただき良かったです! 『カンウ』も無双より台詞を幾つかいれたんですが……合わないので幾つか削除。 チンキュウキックはアソコを狙うと官宦が増えますので狙いません。  (いた)
naku様 コメントありがとうございます! 有能ですので左慈と于吉の出番があまりない物語です。 颯馬を得る為だけに天下も目指しますが……手に入れたら入れたで……全員バッドエンド確定です!(いた)
ふかやん様 コメントありがとうございます! ほんの数行のやり取りなんですが……気付いていただくとは。 喋っていたのは久秀の良心です。 そんな物あるのかと言われると困りますが……葛藤している表現を入れたかったので。 どこまで出てくるかは…まだ未定です。(いた)
これは…っ!颯馬、急いで久秀の元に馳せ参じろ!!今の彼女は邪悪に染まった『久秀』が貴君が愛おしく思っていた頃の『善の久秀』が心中に押し込められている!!お前が駆け付けて呼びかければ…もしかすれば彼女を救えるかもしれんのだ!!!(ふかやん)
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