英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 |
〜精霊領域・リスレドネー〜
「人間が、私(わたくし)達に何かご用ですか?」
「………!」
女性がリィン達に問いかけるとミルモが女性の前に出て自分とアリサの関係を女性に説明した。
「ミルモが気にいるなんて……珍しいお客さんね。歓迎してあげるわ、私のやり方でね。―――申し遅れました。私は、このリスレドネーを預かる王女、リザイラ。どうぞお見知り置きを。」
ミルモの登場に目を丸くした女性―――”精霊王女”リザイラは自己紹介をした後、リィン達を敵視していた。
「精霊の”王女”………」
「た、確かにそんな感じに見えるわよね……?」
「……フィニリィが纏っている同じ”風”を感じる……」
「―――”王女”を名乗るだけあって、確かに王族としての風格は備わっているようだな。”女王”を名乗るベルフェゴールとは大違いだな。」
(しっつれいね〜。私が寛容な性格じゃなかったら、今頃あの世行きよ?)
リザイラが名乗るとエマは呆け、アリサは不安そうな表情をし、ガイウスは静かな表情で呟き、ユーシスは真剣な表情でリザイラを見つめ、ユーシスの言葉を聞いたベルフェゴールは頬を膨らませた後呆れた表情でユーシスを見つめ
「あら?私達と大して変わらない大きさの身体だなんて……てっきりフィニリィみたいな方かと思っていたけど。」
「フ、フン!確かに背は負けていますけど、胸なら私が勝っていますわよ!ですから女性としての魅力なら私が上ですわ!」
リザイラと自分の身体の大きさの違いを指摘したプリネの言葉を聞いたフィニリィは鼻を鳴らした後頬を膨らませて答え
「いや、そこで自慢されても。―――リザイラ様、貴女方―――この”リスレドネー”に住む精霊達がエレボニア帝国の侵略を計画しているという話を聞きました。一体何故そのような事をお考えになっているのか、聞かせて頂いてもよろしいでしょうか?」
フィニリィの強がりにリィンは呆れた後リザイラに会釈をし、尋ねた。
「この領域の外側では、人間や魔物により、自然や精霊達が脅かされている。もはや見過ごす事など、出来はしないのよ……例え異世界の事であろうとね。」
「……という事はこの世界の人間達全てに戦争を仕掛けるのでしょうか?」
リザイラの話を聞いたプリネは真剣な表情で尋ね
「世界を維持するためには、この領域のように、我々が管理した方がいいの……ここまで辿り着いた貴女達なら、この領域を同化させている高原と隣り合っている人間達の国の自然とこの領域の自然の状態を見比べる事ができたでしょう?」
プリネの問いに答えたリザイラはリィン達を見回して問いかけた。
「そ、それは……」
「確かにこの領域の奥へ進めば進むほど、緑は深くなって精霊達も調和しているように見えましたが……」
「――”世界の維持”の為に俺達を”管理”か。伝承上の存在を統べる者が口にすれば洒落になっていないな。」
リザイラの問いかけに反論できないアリサとエマは不安そうな表情をし、ユーシスは呆れた表情でリザイラを見つめ
「―――精霊王女リザイラ様、オレ達は自然が……大地がオレ達に与えてくれる恵みを忘れたわけではありません。人間の中には自然の恵みに感謝し、自然と共に生きる人々もいます。」
ガイウスは静かな表情でリザイラに問いかけた。
「確かにこの高原に住む人間達はそのようだけれど……それはごく一部だけの話。大抵の人間達は自分達の生活の発展の為だけに日々自然を破壊し続けている。……まあ、この高原で生活をしている人間達に関しては自然と精霊と共に生き続け、自然の恵みと我々精霊に感謝し続けている事を評価し、見逃してあげるつもりです。」
「……………」
「確かに”ノルドの民”は自然と共に生きているな……」
「……だからと言って、帝国に住む者達全てに”ノルドの民”のような生活を強いる事など現実的な話ではないぞ。」
「当然”ラインフォルトグループ”は”自分達の生活の発展の為だけに日々自然を破壊し続けている人間達”になるんでしょうね……」
「アリサさん…………」
リザイラの説明を聞いたガイウスは目を伏せ、リィンは複雑そうな表情で呟き、ユーシスは重々しい様子を纏って呟き、複雑そうな表情になったアリサをエマは心配そうな表情で見つめた。
「…………!」
一方ミルモはリザイラに必死に何かを訴えかけ
「あら、貴女は反対なのね……貴女の言う事は聞いてあげたいけれど……私は、長きに渡り人間達の行いを見続けてきた……もはや改善の兆しがないと感じたからこそ、こうやって立ち上がったの。世界の全てを緑に染め上げて……我々、精霊の支配による安定を目指して……」
ミルモの訴えに残念そうな表情をしたリザイラはすぐに重々しい様子を纏って答えた。
「全ての人間が自然の恵みを忘れた愚か者と言う訳ではありませんわ。中には精霊を含めた全ての種族との共存を目指す人間もいますわ。」
「あら……どこか懐かしい気配がすると思ったら、貴女だったのね、フィニリィ。……どうやら以前と比べると力は増したようだけど……私と同じ精霊を統べる者でありながら、人間の肩を持つというの?確か私の記憶では貴女は人間達を”野蛮”と称して忌み嫌っていたと思うのだけれど?」
フィニリィに問いかけられたリザイラはフィニリィをよく見て目を丸くした後静かな笑みを浮かべて尋ね
「確かにウィルは人間だけど、他の人間とは少し違うというか、かなりおかしいというか……いえ、それ以前に今は”神格者”ですから、人間ではないような……?ああもう!とにかく!こうして人間達が精霊や自然の嘆きを知る事ができたのですから、少しは猶予を与えたらどうですの!?」
尋ねられたフィニリィは戸惑いの表情で答えた後、すぐに話を誤魔化してリザイラを睨んだ。
「そう、面白いわね……」
フィニリィの様子をリザイラは笑みを浮かべて見つめていた。
「ま、そこの精霊の言う事に同意した訳じゃないけど、人間達に戦争を仕掛けるのは幾ら何でもやりすぎだと思うわよ?」
「ベルフェゴール。」
その時ベルフェゴールがリィンの傍に現れ、その事にリィンは目を丸くした。
「睡魔……いえ、この圧倒的な魔力は”魔神”ですか。貴女は”魔神”でありながら人間の肩を持つというの?」
ベルフェゴールの登場に一瞬驚いたリザイラはすぐに気を取り直して静かに問いかけた。
「ええ。確かに人間は欲が多い愚かな生き物だけれど……同時に自分達の過ちを認め、改善する事ができる生き物よ。」
「ベルフェゴール………」
「確かにその通りですね……」
ベルフェゴールの答えを聞いたリィンとプリネは静かな笑みを浮かべ
(い、意外。まさかベルフェゴールの口からあんな言葉が出てくるなんて……)
(奴があんな言葉を口にすると凄まじい違和感を感じるな……)
(ア、アハハ……)
驚いている様子のアリサとユーシスの小声を聞いたエマは苦笑していた。
一方リザイラは興味ありげな表情でリィンを観察していた。
「え、えっと……」
リザイラに観察されたリィンは戸惑い
「人間でありながら、人間でない気配を放っている……精霊どころか魔神を味方につけた人間など、これまでに出会った事もなかった……改善の兆しすら見えなかったのに、動き出した途端に変化があるなんて、人間はなんて運のいい生き物なのかしら……ミルモやフィニリィ達に感謝することね。此度は、人間の代表として、貴方達に命運を託すことにします。」
リザイラは静かな笑みを浮かべて答えた。
「え……」
「じゃ、じゃあ……!」
「人間界への侵略を止めて頂けるのですか……?」
リザイラの答えを聞いたリィンは呆け、アリサとプリネは明るい表情をしたが
「―――1つだけ試練を与えましょう。人間が自然と生きていく為に必要なのは、それを続けて行く為の意志……力なきものは、再び道を違えてしまう……貴方達のその決意に溢れた光が、力強く輝き続ける事を、私に示して頂きます。」
「へ……」
「そ、それってもしかして……」
「まさか……!」
リザイラの答えを聞いたリィンは呆け、ある事を察したアリサは不安そうな表情をし、プリネは真剣な表情でリザイラを見つめた。
するとリザイラは穏やかな表情を浮かべながら全身に膨大な魔力を纏った!
「クッ……!」
「や、やっぱりそういう事なのね……!」
「フン、俺達の実力を示せという事か…………面白いっ!俺達の力、とくと思い知るがいいっ!」
リザイラの様子から自分達に戦いを仕掛けると悟ったリィンは唇を噛みしめ、アリサは不安そうな表情をし、ユーシスは不敵な笑みを浮かべてそれぞれ武器を構え
「気を付けてください……!相手は伝承上の存在である精霊を統べる存在です……!」
「風よ……女神よ……オレ達に勝利の加護を……!」
「こうなる事はある程度は予想していました。相手は”精霊王女”。最初から本気で行かせてもらいます!ハアッ!!」
エマはリィン達に警告し、ガイウスは祈り、プリネは決意の表情でその身に秘められる力を解放して黒髪と琥珀の瞳の姿になってそれぞれ武器を構え
「さすがにご主人様達だけじゃキツイ相手と思うから、手伝ってあげるわ……!」
「…………!」
「フフ、”昇格”した事で得たこの私の力、思い知るがいいですわ!」
ベルフェゴールは口元に笑みを浮かべ、ミルモは決意の表情で、フィニリィは勝ち誇った笑みを浮かべてそれぞれ戦いの構えをした!
「―――確かに人間は道を間違えることもあります。だけどいずれその過ちに気付く人達がいる……俺達はそれを信じています!」
リィンは仲間達を代表するように決意の表情でリザイラを見つめ
「ならば、その意志の力を示してください……王女たるこの私の力を見くびることのないよう、命を賭して、挑んでくださいませ。――――さあ、私に”人の可能性”を見せてください……!」
「おおっ!」
そしてリザイラの自分達に向けた言葉に力強く頷いたリィン達はリザイラとの戦闘を開始した!
今ここに!自然と精霊に”人の可能性”を示す”試練”が始まった……!
という訳で予想していたと思いますが、次回リザイラ戦ですwwなお、リザイラ戦のBGMは天秤の”放たれた閃光、それは古の”か”戦女神 MEMORIA arr.ver”、碧の”Unfathomed Force”のどれかで戦闘BGMに変わるのはリザイラが穏やかな表情を浮かべながら全身から膨大な魔力を纏った!からで、リザイラ戦の戦場はアリアンロードやカンパネルラのように戦場は異空間に変わると思って下さい♪
説明 | ||
外伝〜人と精霊王女の邂逅〜(後篇) | ||
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コメント | ||
感想ありがとうございます 本郷 刃様 いやいやセリカ達とも戦えるんですからわかりませんよ さすらいのハリマエ様 まあ、確かに条件が思いっきり面倒ですよねぇ。唯その代わり仲間にした時のレベルを見て噴きましたがww ジン様 まだ露見しません。早すぎますし(sorano) 次回遂にリィンのあの力がみんなに露見するのかね?あとはどんな大災害バトルになるのか楽しみですね^^ 次回の更新も楽しみに待っているので頑張ってください応援してます。(ジン) 実際この人仲間にしたら結構使えたよ・・・道のりは果てしなくめんどくさかったけど(黄昏☆ハリマエ) いや、ベルフェゴールだけで勝つでしょ・・・(本郷 刃) |
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