英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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〜ノルド高原〜

 

「わわっ……キミたち、結構すごいなぁ。うんうん。これなら大丈夫そうかな?」

自分の降伏宣言を聞いたリィン達が武器を収めるとミリアムは驚いた様子でリィン達を見つめ、何度も頷いて独り言を呟いた。

「くっ……小娘……いい加減にしてもらおうか!」

「二つの軍事施設への攻撃……やっぱり貴女の仕業なの!?」

ミリアムの言葉を聞いたユーシスは敗北したにも関わらずふざけた態度を取っているミリアムに怒りを感じたのかアリサと共にミリアムを睨んだ。

 

「だ、だから違うってば〜!ああもう、何て説明すればわかってくれるんだろ……」

自分を警戒するリィン達の様子を見たミリアムは慌てた様子で答えた後疲れた表情で肩を落とした。

「―――だったら話せる範囲まででも構わない。君が知っている情報を教えてくれ。」

「俺達の力が必要と言ったな?この地の平穏を取り戻せるのならいくらでも力を貸そう。だから―――どうか話して欲しい。」

そしてガイウスはリィンと共にミリアムに近づいて真剣な表情でミリアムを見つめた。

 

「…………………………」

ガイウスの言葉を聞いたミリアムは考え込み

「リィン、ガイウス……」

「フン……甘いとは思うが。」

「フウ……そのお人好しさ、ウィルに似ていますわね。」

「アハハ……それを言ったらセリカもそうだよ〜。」

「まあ、確かに奴も”神殺し”の癖にお人好しな所があるからな……」

アリサは驚き、ユーシスはフィニリィは呆れ、苦笑するペルルの言葉にアムドシアスは呆れた表情で頷いた。

 

「―――えっと、ミリアムさんと言いましたか。とにかく時間がありません。私達にどんな事を手伝って欲しいんでしょうか?」

「ふふっ……―――手伝って欲しいのは監視塔と共和国軍の基地を砲撃した連中……数名くらいの武装集団の拘束だよ。」

「…………っ!?」

「な、なんですって!?」

エマの質問に口元に笑みを浮かべて答えたミリアムの話を聞いたガイウスとアリサは驚いた。

 

「あの迫撃砲を見たでしょ?同じ物が、共和国軍の基地から少し離れた場所に隠してあったんだ。ま、同じ連中が仕掛けたんだろうね。」

「ちょ、ちょっと待て……」

「その武装集団というのは一体どういう……?」

予想外の犯人の正体にユーシスは戸惑い、エマはミリアムに答えを促した。

 

「詳しくは知らないけど……猟兵崩れっぽいから、高額なミラで雇われただけなんじゃないかな〜?ま、これからそのあたりを確かめに行こうと思ったんだけど。」

「待ってくれ……!……という事は……」

「そいつらがどこに居るのか君は知っているのか……!?」

ミリアムの話の様子からミリアムが犯人の居場所を知っているように感じたリィンとガイウスは驚きの表情でミリアムを見つめた。

 

「うん、高原の北の方だよ。どう、手伝ってくれるなら案内してあげるんだけど?」

「……………………」

ミリアムに尋ねられたリィン達は少しの間黙り込み、そして事件解決の為にミリアムと協力する事が近道と悟って自己紹介をした。

「―――わかった。とりあえず協力させてもらう。トールズ士官学院・Z組、リィン・シュバルツァーだ。」

「ガイウス・ウォーゼル。」

「アリサ・ラインフォルトよ。一応よろしくね。」

「エマ・ミルスティンです。よろしく、ミリアムちゃん。」

「ボクはペルル!よろしくね!」

「―――”精霊女王”フィニリィですわ。」

「芸術を愛する魔神、アムドシアスだ。」

「ユーシス・アルバレアだ。オーロックス砦の侵入についても色々と話してもらいたいものだが?」

「あ、あはは……ボクたちに気付いてたんだ。それはそれ、これはこれでいったんオネガイシマス。」

ユーシスの問いかけに驚いたミリアムは苦笑しながら答えを誤魔化した。

 

「フン……調子のいい。」

「ふふっ、まあまあ。」

「えへへ、とにかくよろしく!それじゃあ早速だけど高原の北に向かっちゃおうか?」

「ああ、だがその前にいったん集落に寄らせてくれ。」

「そうね……通信器で門にも状況を説明したいし。」

「よし、とにかく出発しよう。って、君の方は”彼”に乗って行くのか?」

ミリアムと共に出発しようとしたリィンだったがミリアムの移動手段が気になり、アガートラムに視線を向けて尋ねた。

 

「んー、そうだねぇ。とりあえず、せっかくだしキミの後ろに乗せてもらおっかな?」

「え。」

「ガーちゃん。」

「―――――」

ミリアムの指示によってアガートラムはその場から消えた。

 

「えっ!?」

「き、消えた……!?」

「……しかも今の消え方は……」

「ほらほら、出発するんでしょ?それじゃあ武装集団を捕えるためにレッツ・ゴー!」

その後ミリアムを加えたリィン達は急いで集落に向かい、長老の住居にある通信器でゼクス中将に調査の結果を説明した。

 

同日、12:00――――

 

〜ノルドの集落〜

 

「―――では、その武装集団は高原北側に潜伏しているのだな?」

「ええ、間違いないそうです。」

「これから自分達が出向いて押さえるつもりだ。」

「くっ……この状況では仕方ないか。――了解した。15:00までの行動を許可する!くれぐれも気を付けるのだぞ!」

通信器からは学生のリィン達に任せる自分達の不甲斐なさを悔しがるゼクス中将の声が聞こえた後、リィン達の行動の許可と心配する言葉聞こえた。

「はい……!」

「そちらの方はどうかよろしくお願いします……!」

そしてリィン達はゼクス中将との通信を終えた。

 

「猟兵崩れの武装集団か……」

「猟兵……噂には聞いた事があるが。」

ゼクス中将へのリィン達の報告を聞いていたラカンと長老は重々しい様子を纏って呟き

「ふむ、厄介な連中が入り込んでいたようじゃな。」

グエンは真剣な表情で考え込んでいた。

 

「―――ですがどうかオレたちに任せてください。」

「この地での戦争……必ずや食い止めてみせます!」

「……決意は固そうじゃな。」

「ふむ……ワシの方はこの通信器でARCUSの導力波を拾えるようにしておこう。何かあったら連絡してくるといい。」

「お祖父様……助かります!」

「風と女神の導きを。くれぐれも気を付けるがいい。」

その後リィン達はミリアムが推測している武装集団が潜伏している場所――――”石切り場”へ馬を急がせた。

 

 

説明
第89話
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コメント
感想ありがとうございます 本郷 刃様 そうなんですよね〜(sorano)
確かにセリカはあれでいてお人好しでしたね(本郷 刃)
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