義輝記 蒼穹の章 その十九
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【 カンウとの死闘 その壱 の件 】

 

? 荊州 鳥林 袁術軍陣営地 にて ?

 

《 夕方遅く (18時頃) 》

 

篝火が立てられ、更なる明るさが増す中………俺を含む六人の将が……カンウに対峙する!! ……近付く度に……本能的に逃げたくなる自分を、叱咤激励して前へ進めさせる!!

 

カンウ「ワレノ復讐! 『兄者』、『益徳』ノ仇! 『呉』ニ味方スル愚カ者共!! コノ『カンウ』ガ……押シ潰シテクレン!!」

 

怒りの権化と化した……自称カンウ。 

 

『信玄殿達が……足止めの為、武を振るってくれるが……いつ、包囲が破らるか………分からない! 早く……交代せねば!!』 と焦る颯馬!

 

その時……持っていた酒壺を見つめ、素早く矢立(やたて)を取り出し……酒壺に書き加えた!!

 

ーーーーー

 

信廉「相手は……先程よりも、更に強くなった猛者! 長期戦から短期戦に変えなくてはいけません!! ですので、勝負は一回限り!! 私達が隙を作り出し、颯馬に策を実行してもらうのです!!」

 

信廉殿は、陣形と作戦を説明し……関雲長に先陣を任す!!

 

信廉「あの『関羽』が貴女の事を知れば……烈火の如く怒るでしょう! そうなれば……貴女は死ぬ可能性もある! それでも、私は貴女に託したい! 怒りで周囲が疎かになる! そこが狙い目なのですから!!」

 

愛紗「……信廉様! 託して頂き……感謝します! 天城様に……ご迷惑かけ続けてきた……この私です! 償いの一つになるのでしたら……この関雲長! 協力させて頂く所存!! お任せを!!!」

 

信廉殿は、信玄殿と違う陣形を指示する! 

 

先陣は関雲長! 左右に曹孟徳、高橋紹運。 関雲長の後ろに、山中鹿介、村上義清、楽文謙が続く! 『┰』形の陣形!!

 

信廉「これで……一直線で進み敵将と対峙! 左右に曹孟徳、紹運殿で別れて攻撃を実行! 颯馬は……その隙を突いて策を行うのです!!」

 

俺は、分かったと頷き、酒壺を後ろに回し……ユックリと振った………。

 

☆☆★

 

霞「こんのおおぉぉお! あほんだぁらぁ!!! えぇえかげぇんに!! さらせぇぇぇえ─────!! 」ゼェッ! ゼェッ!!

 

恋「…………お腹……空いた……」……ショボン

 

雪蓮「なんでぇ…! 疲れを見せないのよぉ! この筋肉の塊は〜!!!」

 

謙信「………死中に……活を見出すのみ!」グッ……!

 

星「あ、愛紗と…本当に…性格が…そっくりだ…!」

 

信長「やるで……はないか……! だが! ここからが…本気で…行くぞ!」

 

信玄「耐えるの……です! そ、颯馬が……皆が! 必ず……次の手……『 信玄殿!! お待たせしました!! 』 そ、颯馬!! 皆! 道を譲りなさい!!!」バッ!!

 

ーーーーー

 

ザッザッザッザッザッザッ………ザッ!

 

その陣形のまま……カンウに近付き……愛紗が、大音声で呼び掛ける!!

 

愛紗「聞けぇぇいい!!! 我が名は『関雲長』!! 我が主……北郷一刀を守る武人だあぁぁあ!!!」

 

カンウ「──────カ、カカカカ……カァ!!! 『関羽』ダトォオ!! ナ、ナゼェェェエ、ナゼナンダァァア──────!!!?」

 

愛紗「ふん!! どこの世界か知らぬが──この世界の関羽は私一人!! それに、私が仕えているのは………お前が憎む『孫呉』だ!!!」

 

カンウ「バッ! バカナ!! バババッ──バカナァァァ!!」

 

少しの間、髪や髭を振り回し、頭を抑えた後……元々赤かった顔が……更に色が濃くなる!! 冷艶鋸を握り直し……愛紗を眺めて吠えたてた!!

 

カンウ「……オ前ナド……『関羽』……ヲ名乗ルコト…許サズ!! ワレガ…オ前ノ代ワリニ…『関羽』ヲ…引キ継イデヤル!! カッカッカッ!! 

 

──────安心シテ………死ネ!!」ブゥ────ン!

 

愛紗の頭の上に……冷艶鋸の刃が振り下ろされた───! 

 

 

シュッ──! シュッン!

 

そのとき華琳、紹運が……左右から攻撃!

 

華琳「お前が───ねぇ!!」ブゥン!

 

紹運「───させん!!」シュ──!

 

ガッ! グサッ! グググッ……

 

ボッッン!! ボンッ!!

 

二人の刃が、カンウの両脇腹に当たるが……筋肉が刃の進入を拒み、少ししか入らない! そして、筋肉で……弾き飛ばす!!

 

カンウ「クハァ───────!!」─────ブン!!

 

華琳「くっ!」ザザザァ──!

 

紹運「……やるな!」ザザァ──!

 

カンウは……お構いなしに、冷艶鋸を愛紗に叩きつける!

 

シュ────ッ!   ドン!

 

青龍偃月刀を持って、受け止めてとするが……後ろから……突き飛ばされた!

 

愛紗「な、何を………!?」

 

『ボキ───ン!』 

 

鹿介「ウグゥ────!!!」

 

背後を慌てみてみれば……自分を押した鹿介が、愛紗の位置で身を翻し、冷艶鋸から避けていた。 ……ただ、完璧には避けられず、鹿介の兜に備わる鹿角が……一方だけ斬られている!

 

鹿介「ばっ、馬鹿者! 真っ正面から……受ければ…ただ事では済まぬぞ………っ!!」バタン!

 

義清「てりゃあ────!!」

 

凪「鹿介殿───! 『猛虎襲撃』!! 」

 

義清が、鹿介の倒れた後ろより槍を繰り出し、凪が、義清の肩を足で踏み、カンウの頭上より『猛虎襲撃』を仕掛ける! 

 

カンウ「ガアァァ!!」 グルグル──ッ!!

 

バシュ───ゥ!!

 

義清「うわぁ────!!」ズザァ───!

 

凪「くっ!!!」

 

しかし! カンウは、得物を回転させ───義清の槍を阻み、氣弾をも消滅させる!! 義清は弾き飛ばされ、凪は近くに降り、次の氣弾の準備をする!!

 

 

─────────

───

 

─『一瞬の空白』が──訪れる!!

 

───

─────────

 

 

そして──カンウの背後に颯馬が迫り、松明を翳す(かざす)!

 

 

颯馬(俺が出来る……機会は……これで……最初で最後! 必ず──!!) 

 

 

颯馬は、白酒を既に……口に含んでいた。(アルコール度 60〜65度)

 

口の中が熱く、頭もボンヤリしてくる!! 

 

だが……この距離なら……口に含む白酒を…松明と適度の間合いで吹きかければ……『火炎』となり、カンウに襲いかかるのだ!!

 

 

だが…………カンウは………その策を………読んでいた!!!

 

 

カンウ「………ソコマデダ………『天城颯馬』…! オカシナマネ……スレバ…コノ『将』達……命ハ無イ!!!」

 

頭に受けた衝撃の為……すぐに動けなかった鹿介、倒れ込んでいる鹿介を唖然と見る愛紗に……冷艶鋸の刃が……向けられていた!

 

その様子に、左右を攻めていた将が───叫ぶ!!

 

華琳「何をしているの!? 愛紗!!」

 

紹運「────鹿介殿!!」

 

義清「兄者!!!」

 

◆◇◆

 

【 洛陽で…… の件 】

 

? 洛陽 宮殿内 稟私室 にて ? 

 

《 同時刻 》

 

稟「……そうですか。 『詳細は、この竹簡を読めば分かる』…のですね?」

 

忍び「(コクリ)」──スッ!

 

風「相変わらず無口ですねぇー。 でも、正確な情報収集は、大変貴重ですよー! どれどれ………グゥ〜」

 

稟「竹簡を見ながら寝るなぁ!!」

 

風「おぉー! 久々のツッコミですよー!」

 

白蓮「……おっ! 颯馬や何進大将軍より連絡が届いたか!」

 

稟「白蓮殿! 連日の内政、軍務の手伝い……ありがとうございます! 遠征に次ぐ遠征で……内政が出来る者達が居なくなり、連日仕事で忙殺されていたのです! 白蓮殿のように万能な方なら、私達も大助かりですよ!!」

 

白蓮「いや! 颯馬達と行き違いになったのは……残念だが……私にも活躍の場があるのなら、寧ろ洛陽に居た方がいいな! あそこに……私が活躍できる所があるか…見当がつかん………!」

 

風「……自信を持っていいですよー! 白蓮さん! 颯馬お兄さんが戻ってくれば……影が薄くなりますけどー」クスッ

 

稟「風! 本当の事を口に出すのであれば、時と場所を弁え(わきまえ)なさいと、何度も言っているでしょう!?」

 

白蓮「……頼むから、時、場所、それと『本人の存在確認』も入れてくれ!」

 

★☆☆

 

稟「えーと、益州は……無事に、漢王朝の手に入ったようですね。 厳顔、黄忠、魏延の三人の将を配下に………ん!!」

 

白蓮「ど、どうした!? 益州の攻略に……なんか不都合が…あったのか?」

 

風「…………………」

 

稟「益州の南中で……南蛮大王『孟獲』が、反旗を翻したそうです!」

 

白蓮「そ、それは──大変だ!! 直ぐに救援に───!!」

 

風「…大丈夫ですよ〜! 『乱は起きた! しかし、既に平定……援軍は不要!』……と言うところですかー?」

 

稟「その通りです。 ………しかも、何進殿と護衛の黄忠達数十人で………」

 

白蓮「なんだそれぇ! どんな策を使えば……そんな事、実行可能なんだよぉ!! まさか……私を…おちょくってなんか…ないよなぁ!?」

 

風「おぉー!! これは……風も読めませんでしたー!!」

 

稟「何進殿が、得意の肉料理で…孟獲達の胃袋を…攻め立てたようですね…。

 

え〜と、『調味料や料理方法を替えて……七回、食事をさせて……黄忠の膝枕で籠絡した』……と。 最初は……材料を用意したのですが、直ぐに無くなってしまい…食べていない南蛮兵が…自ら材料を…差し出したそうですよ?」 

 

白蓮「……………」

 

風「………………………グゥ」

 

★★☆

 

風「次は〜風が読みますねー!」

 

白蓮「うむ!」

 

稟「………………」

 

風「…………ふむふむ。 おぉ? ………なるほど……ん! なんとぉ!!」

 

白蓮「おーい! 熱中してないで説明しろ!! 説明!!」

 

稟「私も楽しみにしてるのです! 早く、颯馬殿の策を教えて下さい!!」

 

風「……では。 孫呉の手勢は、袁術軍に……火計を仕掛けたそうです!!」

 

稟「悪くは無い考えです! 彼処は……今の時期なら『東南の風』が吹き、袁術軍の進行方向から考えれば……間違いなく成功です!」

 

風「でも、失敗したようですねー。 風が逆に吹いたそうですよー!」

 

白蓮「へっ?」

 

稟「───どういう事です!? 風が……更に変化したとでも!?」

 

風「稟ちゃん……。 驚くのは、まだ早いですよぉ? 孫呉の火計は……失敗しましたが……颯馬お兄さんは、その変則的な逆風さえ見定め、火計を成功させたそうです!!! しかも! 風にも思い着かない発想で!!!」

 

稟「風!! 見せて下さい!! 颯馬殿が、どのように策を実行したのか……私も知りたいのです!!」

 

風「嫌ですぅ〜!! 下手な軍記物を読むより、勉強になりますからー!!」

 

ドタバタ! ドタバタ!!

 

白蓮「ははは……。 ──颯馬! 私が必要なら、遠慮なく呼べよ! 力が足りないかもしれんが……出来るだけ手助けしてやるからな!!」

 

◇◆◇

 

【 カンウとの死闘! その弐 の件 】

 

? 荊州 鳥林 袁術軍陣営地 にて ?

 

《 夕方遅く ( 16時半頃 ) 》

 

颯馬「ガハッ──! ペッ!! ………俺の策を…破るなんて………」

 

カンウ「『天城颯馬、表デ道化ヲ演ジ……裏デ策ヲ練ル』。 司馬懿ガ言ッテイタ!! ……考エレバ……サッキカラ……オ前ノ姿……見エヌ!! ナラバ……我ニ挑ムハ……囮! 後方……イルノガ……貴様ダァァ!!」

 

颯馬「くっ………!」

 

カンウ「我ニ油ヲ掛ケ……焼キ殺ス策カ! シカシ……油モ乾イタ! 我ガ武ヲ持テバ……火ナド点ケサセヌワ! 『策士……策ニ溺レル』……身ヲ持ッテ知レ────!!!」

 

ズシッ……!   ググッ!!

 

カンウは、二人に向けていた……冷艶鋸を構え直し、颯馬に向いた。

 

華琳「─────くっ!!」

 

信廉「───────!」

 

凪「天城様ァ────!!」

 

義清「あ、兄者!!!」

 

紹運「おのれぇ────!!!」

 

愛紗「あ──天城様……!!」ガクガク

 

華琳、信廉、紹運達は……動こうとしても……動けない!!

 

鹿介も意識は取り戻したものの、身体が自由に動かず……歯噛みする!

 

愛紗も…急ぎ向かおうとするが、カンウの殺気に押され…二の足が踏めない!

 

他の将も……疲れで動けない、護衛で外れない、自分の力不足を嘆きながら、次の行動に動けない!!!

 

カンウ「『天城颯馬』!! ─────我ガ武ノ前ニ──散レ!!!」

 

カンウは……冷艶鋸を頭上高く上げた!!

 

颯馬「!」

 

───────ポイッ!

 

颯馬は、何を考えているのか……カンウに『火の点いた松明』を投げる!

 

普通にユックリと……下手投げで…………。

 

カンウ「我ニハ効カヌト───言ッタバカリダァ──馬鹿者メ!!!」

 

バキッ───ン!! 

 

冷艶鋸で────真っ二つに───叩き斬る、カンウ!!

 

颯馬「…………あんたがな…」

 

ヒュ───────ン! トスン! 

 

───ボトッ!

 

何処からともなく……『矢』が飛んで来て……炎が点いてる松明に刺さり……そのまま、カンウの『髭』に……………!

 

ボボッ! ボボボボッ! ボオォォォ──!!

 

カンウ「ナ、ナゼ───ッ!?!?」

 

『儂しか……居るまい! 弓を使える将など……な!』

 

少し離れた場所で……多幻双弓を構える……祭の姿が………!

 

颯馬「……確かに……油は大分乾いているが……御自慢の髭にも……タップリ染み込んでいる!! オマケに……コレも……くれてやるよ!!」

 

白酒を口に含むと………プゥーと吹き出す颯馬!!

 

ボワアァァ!! ボオォォォ!!

 

カンウ「グギャアアァァ!! ア、熱ィイ!! イ、息ガアアァァ!!」

 

肌身放さず持っていた、冷艶鋸を放り出し──地面を転げ回る!!

 

カンウの顔は──炎で覆われた!! 

 

顔だけ燃えている状態だが……炎が熱を発し酸素と化合する科学反応の為、高熱による損傷、空気の希薄による呼吸困難に陥れられ、地獄の苦しみを受ける! 

 

祭「弓隊!! 止めを刺せぇぇ!!!」

 

ヒューン! ヒュン! ヒュン! 

 

グサッ! グサッグサッ! グサッグサッ!

 

カンウ「グワワアアァァァーーーーー!!」

 

ーーーーー

 

華琳「ほらぁ!! 早く逃げるのよ!!」

 

星「何を呆けているのだ!! これ以上……恥を晒してどうする!!」

 

愛紗「──────!!」

 

ーーーーーー

 

紹運「は、早く! ば、場所を移動するぞぉ!!」

 

鹿介「ぐっ! そ、颯馬……殿………」

 

宗茂「あ、あ、姉上! 落ち着くのです!!」

 

明命「こっちです!! 早く!!!」

 

ーーーーー

 

カンウ「テ、天ハ──我ヲ──見放シタカアァァァ───!!」

 

髭と髪が焼け、火傷で顔が腫れ上がり……矢を全身に浴びても……驚愕の生命力を誇る武人……カンウ。 いや……『士仁』と元の名を記すべきか?

 

颯馬「……お前は……劉備や張飛の仇を……自分の仇を討ちたいと……言っていたな? …………『関羽』!」

 

カンウ「『兄者』ハ………『陸遜』ニ敗レ……『益徳』ハ……部下ニ殺サレタ。 我モマタ………『呉』ニ………我々ノ『桃園の誓い』ガ……守レナカッタ…! 我ノ復讐……天ハ気ニ入ラナイ……見エル! ……口惜シイゾ!!」

 

颯馬「………それなら、何故! 自分の不明を省みない! 魏も呉も……智と武を持って……対峙した! 戦場では……偶然など無い! 結果だけだ! 

 

劉備が負けたのも、張飛が討たれのも、貴方が嵌められたのも…全て…己が正しいと思い続けた『自尊心』の為であろうが!!!」

 

カンウ「────────!」

 

颯馬「もう一つ、言わせて貰おう! 貴方が、天を恨もうが…嘆こうが…そんな事は知らん!! 自分自身の天命を呪え!! それに…貴方に討たれた顔良や文醜達……将や兵達は……どこに恨みをぶつければいいんだぁ!?」

 

カンウ「…………我ハ………道半バニテ……果テタノガ……無念ダッタ……。我ノ為……兄弟ガ……死ヌノヲ……見タクナカッタ……。 ……アノ世デ……兄弟ニ詫ビルト………シヨウ………。 迷惑…スマナイ……………」

 

グッ、グッグッ ────パタッ!

 

カンウは……軽く颯馬に手を上げ……直ぐに……下へ落とした。

 

◆◇◆

 

【 勝敗決して…… の件 】

 

? 荊州 鳥林 袁術軍陣営地 にて ?

 

《 夜間 (19時頃)》

 

颯馬「祭殿! ありがとうございました! お陰で、私の策も無事成功しました! 正直……あれで分かるか……心配でしたが──流石、歴戦の将!!」

 

祭「………そのような言葉……勿体ないわ! それに、貸りなど儂の方が多いわ!! 冥琳を救い、孫呉の独立に力添えして貰い、この圧倒的な不利な戦を勝ち戦に変えた軍師にはのう!!」

 

華琳「颯馬! ……貴方、また何か……仕掛けていたの? 今度は味方を囮にして!! どんな策か……教えなければ……分かっているでしょうね?」

 

冥琳「私は……薄々予想が出来る。 『二重の策』だったのだろう?」

 

穏「私も〜その通りだと思います〜! でも、いつ連絡を取り合ったのですか〜? そんな素振りなど…………ああぁぁぁ─────!!」

 

颯馬「……ちゃんと言いましたよね? 失敗したら……祭殿に託すと……」

 

祭「あの後……酒壺を振るのでな? よーく見ると……『関羽の前、松明舞う、射って髭に送れ』と書いてあるではないか!! 儂のような目を持つ者では無いと……分からなかったわい!!」

 

華琳「私達が行ったのは……第一矢、祭の行った事が……第二矢。 はぁ〜、また一杯食わされたわぁ…………」

 

冥琳「仕方がなかろう? ……あの武人を倒すには……失敗は許されぬ。 ならば……どうするか? 最初の策が破られば……予備の策を準備すればいい。 

……いや、颯馬の事だ。 最初の策を……ワザと破らせて油断を抱かせ、次の策へと布石にしたとも…考えられる。 全く……恐ろしい男だよ、お前は…」

 

ーーーーー

 

鹿介「………ふぅ! やっと身体が自由に動ける!」ニギニギ

 

華佗「もう……大丈夫だ! 頭に受けた衝撃で、脳の機能が一時的に麻痺してしまっていたんだよ! 早めに治療ができて良かった!」

 

愛紗「鹿介様! どうして! どうして……私を庇うのですか!? あのまま私が受けて……鹿介様が攻撃すれば…このような事に……!!!」

 

信玄「──それは、私が説明しましょう! まず、あの者……本人ではありませんが……一応『関羽』と仮名を付けます。 『関羽』が申していたでしょう? 『兄』が復讐戦を起こし、『弟』が部下に殺された……と」

 

愛紗「ですが! あの者の申す事は戯言……『残念ながら……戯言では……無いのですよ!』……えっ!?」

 

信玄「私達の居た世界では……有名な大昔の戦記物です! 貴方達が全員『おのこ』で登場する、この世界とは……別の話ですが………」

 

愛紗「───────!!」

 

信玄「樊城を攻めた関羽は……陸遜、呂蒙の奸計に掛かり刑死。 劉備は…義弟のため復讐戦を行いますが、陸遜に阻まれ多くの将兵を失い、悲しみと後悔の中……病死。 張飛は……あの者が申していた通りです!」

 

その話をしていると、孫呉の当時者?も、こちらにやって来たので……短めに説明を入れる。 無論……三人とも困惑気味だった。

 

亞莎「待って下さい!! わ、私が……愛紗さんを……ですか!?」

 

蓮華「私が……孫呉を背負って……華琳達と対峙……」

 

穏「う〜ん、火計をもっと勉強しなければいけませんね〜」

 

信玄「『桃園の誓い』……強固な絆を生み出した素晴らしい物ですが、その反面……三人の運命を縛る鎖になってしまったのです。 ここまで……言えば分かりますでしょう! 貴女を失えば…残り二人が…どんな反応をするか!」

 

愛紗「─────姉上、鈴々!」

 

ーーーーー

 

鹿介「(……信廉殿、某……其処まで深く……考えていなかったのですが…。ただ、無闇やたら……命を捨てる覚悟が許せなくて…動いただけで…)」

 

信廉「(充分ではないですか! あの関羽には……命の大切さも教えておかないと……同じ事を繰り返し……結局、颯馬や私達に迷惑を掛けますよ!!)」

 

鹿介「(…………………)」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

これで……赤壁の戦いは終了ですが……久秀達は、もう一戦行う事になっています。 洛陽の稟達と………。

 

後、また……本編に関わるオマケを付けて、終了と。

 

ある漫画の影響を受け過ぎて……ちょっと本編に出すのも……。

 

また、よろしければ、読んで下さい!

 

◇◆◇ 

 

オマケ

 

【 久秀と順慶、奇妙な… の件 】

 

? 荊州 華容 華容城 にて?

 

《 赤壁の戦い直後…次の日の夜 (20時半頃) 》

 

久秀「あ〜ぁ、残念! 折角……孫呉を蹂躙して阿鼻叫喚の舞台を現出させ、颯馬に見せ付けて……あげるつもりだったのに。 江陵は抑えられたから、襄陽を経由して、冀州の?へ戻るしかないわね………」

 

順慶「ふふふふっ……! 颯馬様……颯馬様……颯馬様あぁぁあ! 実に…スガスガしい気分ですわよ!! 正に……最高に『ハイィィイ!』ってものですわぁ!!!」

 

久秀「……? 順慶、貴女……ここに着いて、一日居なかったわね? どこへ行っていたの………?」

 

順慶「当然、敵状視察ですわ! そ・れ・と・颯馬様の勇姿を拝見しに…!」

 

久秀「そっちが……目的じゃないの? ……で? 結果は分かりきってるけど……どうなったか……聞かして頂戴!」

 

順慶「一回目は……忠勝達が対戦……三好姉弟も居ましたわね。 ですが、圧倒的な武で……忠勝達の無様な負けでしたわ……」フゥ…

 

久秀「そのように改造したもの。 勝ってもらわなくては……久秀の腕を疑われしまうわ。 でも、長慶、一存達が居たの? 残念……這いつくばって悔しがる仕草を見たかったわ!」

 

順慶「二回目は、信玄達と……この世界の将達、私と対峙した趙子竜も参戦し対峙。 手強かった相手でしたけど……カンウは勝てましたわ!」

 

久秀「……後で詳しい事、教えなさい! そして、肝心な事は……」

 

順慶「そう! そうですわぁ!! 颯馬様の策が凄くて……………」

 

ーー 『……一刻後』 ーー

 

順慶「「まさか」って感じでしたが……グッときましたわ!!」

 

久秀「その台詞……これで五回目。 必要な事は分かったから…もういいわよ!! 久秀も忙しいから────!」

 

順慶「私がまだ──言い足りないのですわ!!」

 

久秀「いい加減になさい!!!」ダッ!

 

順慶「お待ちなさい!! 貴女ぐらいしか……颯馬様の凄さと格好良さ、優しさを自慢して分かる方は居ないのですからぁぁ────!!!」

 

久秀「だから──久秀に話を聞け……と? でも──お断りよ!!」

 

バタン! バタン!!  ドタバタ!! 

 

 

ーーーーー

 

ゼエェ〜〜! ゼエェ〜〜!! 

 

久秀「な、なんで……久秀が……こんなに……疲れなきゃ…ならないの!?」

 

順慶「素直に! 私の話を! 聞かないからですわ!!」キッパリ

 

久秀「あのねぇ───! ハッ! ……見て……いるの?」

 

順慶「───────!?」

 

久秀「───見ているの……と聞いているのよ!! 百地三太夫ッ!!」

 

ガタン! 

 

三太夫『……よく分かったな。 優れた猟師は、空気の振動で獲物の動きを知ると言うが……その類(たぐい)か? 松永久秀!!』

 

久秀「ふん! 答える義理など無い!! 順慶! ───捕らえなさい!!」

 

順慶「言われなくても!!」グッ………

 

三太夫『はははっ! そいつは無理 無理 無理! 筒井の姐さんの後を追ってきた俺だぜ!? ついでに……これは《置き土産》だ!!』

 

ボトッ! ボトボトッ!!

 

久秀「なっ────!! 油虫!!!」

 

順慶「キャアァァァアア────!! 蛙、毛虫、百足、井守!!」

 

三太夫『百地流忍術《虫獣遁の術》だ! ちょっとした意趣返しに……食らいやがれぇぇ───!』

 

ーーーーー

 

こうして……赤壁の戦いは終わりへと向かい、三太夫は…事の顛末を颯馬に報告! 久秀、順慶は…騒ぎながら兵士に駆除を命じる!!

 

後日……順慶が久秀に、長話を迫るのを目撃した兵士が居て、皆に喋ったと言う。 そのため、兵士の間には……『絡む順慶、拒む仲達を走らす』……と噂するようになったと。

 

説明
義輝記の続編です。 よろしければ読んで下さい。
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コメント
禁玉⇒金球様 誠実なコメントありがとうございます! 十人十色、思う事は多々あると思います。 どのような生き様が良いとは結論出せませんし、出せる人なんていないと思います。 作者としては……同情に傾くんですけどね。 ですが、樊城の戦いには……関羽に疑問が付いてします。 (いた)
真面目なコメもしよう、目標、誓い、希望、表現は多々あれどもそれらを為す事が出来るのは極稀に極一部しか出来ないものなのです、弱肉強食にあってはそのような事柄や無念は言い訳か美談という名の飯ネタにしかならない最後まで生き延び立っている者こそが理なのです(私見)(禁玉⇒金球)
ふかやん様 コメントありがとうございます! 確かに中国では関羽=関帝で人気が高く祀られています。 確か裏切った二人の像があり手枷足枷を付け、参拝者に鞭で打たれると聞いております。 その無念さも作者もいくらか分かりますので、カンウの配役を……この人物に振ってます。 『士仁』……正式名は……これが正しいそうです。(いた)
私としては関羽の方に好感が持てますね…確かに彼の独善が原因で命を落としたのは道理と言えば道理なのですが、それでも誓い半ばに倒れざるを得なかった関羽の無念の方が同情できます。それに中国本土においてはこの事に対して呂蒙の方が徹底的に貶められているそうだとか…。(ふかやん)
naku様 再コメントありがとうございます! ………流石に…やりませんよ? とんでもない話になりそうで………。(いた)
naku様 コメントありがとうございます! 自分達の『意識』と組織としての『役割』が……噛み合わなくなった結果とか考えちゃいます。 孟獲達は…ゴネましたが…何進の肉料理のお陰で離反する事はないでしょうね。(いた)
mokiti1976-2010様 コメントありがとうございます! 丁度……mokiti1976-2010様の作品に被りそうな展開になりましたので…『報告』と言う形に仕上げました。 ……ご迷惑をお掛けします。 それと……あの術を、桂花に頭から落とせと? それとも教授をと? どちらにしても……被害拡大になりそうな気が……。 (いた)
南蛮の方は…まあ、あのキャラでしたらあっさり終わった方が楽しそうですね。そして…三太夫の最後の虫獣遁の術は是非今度桂花さんにも一つ。(mokiti1976-2010)
禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! 流石に……それをやると、漢王朝が一夜で離反と内乱が起きて……終わりになっちゃいます! (いた)
これも……ここならではの計略です。 『敵を知り己を知れば……』のそのままです。 こんな戦は南蛮だけですね……。 次回は……三方ヶ原をモデルにした戦いを行おうかなと考えています。 稚拙な文で恐縮ですが……次回もお楽しみ下さい。 (いた)
Jack TIam様 コメントありがとうございます! 三兄弟の末路を考えていた結果が……作者なりに出た結果がこうなりました。 三兄弟の亡くなった歳は、大体五十代から六十代。 愛紗達より、歳と辛苦を重ねた者達でもこのような決断を犯してしまう。 仰るように、まだ十代の三人なら……更正も成長も期待できるかと。 (いた)
なんだ肉きり包丁駆使して「猫鍋」を期待していたのに平和的解決か、戦場に赴きしたけども被害皆無で戦わずに勝てばそれが上善なのは理解してますが。(禁玉⇒金球)
ああ、何進は例の計を実行したわけですね…なんか嬉々として肉切り包丁を振るう何進の姿が幻視できました。そりゃ三大欲求に忠実な南蛮勢にはそれが一番効果的でしょう…トドメに紫苑の膝枕とくればなぁ。実に平和的解決で好ましいです。まあ、相手が相手でしたからね…(Jack Tlam)
散々艱難辛苦を味わってきた史実の三兄弟ですらそれですからね……ここの三姉妹もそれなりに苦しんだけど、その程度。生きる意味を他者に委ねてしまっているから、その「他者」を失った時、或いは失いかねない時…途端に過剰反応するんでしょうね。ここの愛紗みたいに……気持ちはわかるが、その弱さを克服できなければ、いずれは……(Jack Tlam)
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戦極姫 真・恋姫†無双 

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