義輝記 蒼穹の章 その二十壱
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【 策の準備 の件 】

 

? 洛陽 宮殿内周辺 にて ?

 

《 袁術軍との戦闘開始 一日前 》

 

程遠志「あのぉ〜董仲穎様? 何故………俺は、皆さんと戦う事になったんスかね? ………天城の兄貴に頼まれ『品』を届けに来ただけなんスが………」

 

月「お願いします! 程遠志様! 陛下のため、洛陽のため、皆さんのため! どうか………お力添えを………!!」ウルウル

 

程遠志「そ、そんな! お、恐れ多いスッよ!!! 我々の主である董仲穎様が俺みたいな……薄汚い野郎に頭を下げる必要なんてないっス!?」

 

月「天城様や御遣いの皆様が…それぞれ出陣して……何進将軍も……益州攻めに行かれてしまい、この有り様。 今、居てくれる将は──私達だけなんです!! 程遠志様がいらっしゃれば……どんなに心強いかと………!!」

 

程遠志「─────!!! わっっっかりましたぁぁ!!! この程遠志! 董仲穎様に───命懸けで指揮下に加わりまッス!!!」

 

ーーーーー

 

稟「『塹壕』は……どれくらい掘れましたか?」

 

禁裏兵「………はっ! 長さ二十壱丈(約500b)幅五丈(約10b)深さ五丈…となっております!」

 

稟「颯馬殿が用意された……『鉄製の農機具』が役に立っていますね! 良いでしょう! 次は『木の板』を両岸に渡るように設置して下さい!」

 

風「ですがー、気を付けて下さいね! 木の板は『二段重ねる事』! 一段目の木の板は細工をしておくのですよー! 真ん中の両端に適度に、切れ込みをいれて置く事ー! 二段目は……そのままですー!!」

 

禁裏兵「───はっ!!」

 

稟「『二段目木の板』には、板をすぐに引けるように……片方に『持ち手』を用意して下さい!! 三カ所ぐらいに付けるように!!」

 

ーーーーー

 

翠「いいかぁ! お前達!! 私達の役割は非常に重い!! この『荷車』を二頭で引いてぶつける! そして……火矢を用意して射るんだ!!」

 

蒲公英「私達も頑張らないと!! 司馬懿を私達が撃破すれば……西涼の馬一族の名は鰻登り!! そうすれば、翠お姉様の婿取りも……すぐに決まるもんねぇ!!!」

 

西涼勢『おおぉぉぉ──────!!!』

 

翠「────ば、馬鹿野郎!! この大事な戦を……なんで私の婿取りに関係させるんだぁ!! お前達も──返事をするなぁ!!!」

 

ーーーーー

 

華雄「私達は………コレを投げるのか? 普通の『太鼓』じゃないか?」

 

白蓮「…………普通の太鼓と思うと………甘いぞ…華雄! 夜中に……これが鳴りだして……エラい目にあったよ………」

 

華雄「コレがか? 誰が叩いていたんだ?」

 

白蓮「夜中に叩くもんか! 一人でに音を出すんだよ!!」

 

華雄「なっ!!」

 

白蓮「颯馬が準備していた『品』の一つのようだ。 程遠志が命じられて、

天水で作成したとか報告を受けている。 しかも、二日、三日しか持たないらしくてな? 狼煙の報告を見て、急遽作成したと言っていた………」

 

華雄「あいつ……は! よしっ! 絶対に勝つぞ!! 天城の努力を無駄にするものかぁ─────!!!」

 

ーーーーー

 

詠「『竹槍』の作成は出来てる? 『連弩』の準備も!」

 

禁裏兵「出来ています!」

 

詠「……例の『泥団子』も準備は………大丈夫?」

 

禁裏兵「だ、大丈夫…………です! 楽将軍に無断で…○○を使用して……宜しいのでしょうかぁ………!?  あぁ……染みる!!」グスグス

 

詠「今は……洛陽緊急存亡の時なのよ!! 私から説明するから…安心なさい! それにしても……白馬義従がコレをどう使用するのか気になるわね? 

 

『豪速球』だかで使うって言っていたけど………」

 

◆◇◆

 

【 程遠志の活躍 の件 】

 

? 司隷 洛陽周辺 にて ?

 

袁兵「敵陣営発見! 鶴翼の陣形、変化無し!! このまま突進します!!」

 

順慶「この大兵力を策で潰すせるか───試してみなさいな!!」

 

袁術軍四十万! 地響きを立てて攻め上げる! 

 

ーーーーー

 

袁術軍は……この時点、狂喜していた! 

 

袁本初から指揮が司馬仲達になり、殆どの戦が勝ちを得た!! それから…弱者をいたぶる知恵も、欲望をぶちまける快感も覚え、次の戦を待ち望むように変貌した……袁術軍。 

 

孫呉討伐戦も……その勝ち戦の数に入っていた! 

 

袁術軍の兵士の皮算用には…………!! 

 

しかし、勝てるべき戦『赤壁の戦い』で、敵方『天城颯馬』の数々の策謀、孫呉の将兵の奮戦が……それらを阻み……不満が溜まるだけだった。

 

順慶が負傷兵を見捨てた時も……兵士達からの異論、反対の意見はなかった。

 

確かに順慶を恐れる為、言えない理由もある。 しかし、兵士達の大部分は、『負けた原因を作ったゴミ虫を処分した』と考えていたのだ!

 

別に、久秀が術を使った訳でもない。 順慶が脅した訳でもない。 自分達の欲望に負けた……それだけであった。

 

今回は、『四十万』対『四万』!  

 

虎牢関や赤壁のように……燃焼物が周りにあるのでない! 周りには草原も森も無いのだ! 即ち、伏兵を配置する場所も無いのだ!! 

 

こんな近くにまで接近したのに、陣形を変えるような様子も無い!

 

四万の軍勢が『 馬鹿顔下げて突っ立っているだけ 』にしか見えない。

 

袁術の兵士達が奇妙に歪みだす! 笑い? 嗤い?

 

久々の鬼畜の行為が出来る事を───喜んでいる『獣の表情』だった!!  

 

ーーーーーー

 

稟「…………来ましたね! 前衛隊!! 後ろに後退を──! 

全軍移動した後、木の板を引きなさい!!!」タッ──!

 

ダンダンダン! ダンダンダン!

 

稟が後ろに走ると…『前衛約千人』木の板を渡り…後方へと走り抜ける!

 

全員走り抜けた時に、待機していた兵達が……板を後方に引きだした!

 

ズゥ──、ズゥ──、ズゥー『ズシィ!』?

 

袁兵1「何をぉ、小細工しているんだ! 糞虫共!! 大人しく俺達に殺されろおぉぉぉ─────!!」

 

引いていた木の板に、足を乗せて邪魔する袁兵! 

 

血走った眼を向け、口元には笑みを浮かべいる。 

 

しかも、後ろにも同じ表情をした袁兵が……鬼気迫った雰囲気を纏いながら迫っていたのだ!! 

 

禁裏兵?「──────ふっ、ふはははははっ!!」

 

………急に、禁裏兵の一人が笑いだした!

 

袁兵1「────何が可笑しい!! 恐怖で精神がイカレタか? それなら早く、楽にしてやろう!!」

 

禁裏兵?「いやいや、自分達の……今の状態に気付かない哀れさに、ついつい思いっ切り笑っちゃたスよ! 間抜けな袁兵さん達!!」

 

袁兵1「何が間抜けだ! そこまで侮辱するのなら、俺が個人で相手してやるぞ!? ここまで来い!! 血祭りにしてやるぜ!! クククククッ!!」

 

禁裏兵?「オイラがかい? やだよ、そんな面倒な事。 そんな事より、自分の足元をこうやって……足を上げて、踏み下ろしてみなよ! 自分の間抜け加減が分かるスッよ? ───そうッスね……出来たら一戦交えてやるッス!」

 

袁兵1「ふん! 間抜け顔しているお前に……言われるまでもない! その細い糸目をよく見開いて……その様をみているがいい────!!」

 

袁兵は勢いよく足を上げる。 ちなみに…袁兵は八尺(184a)以上の大男!

勿論、鎧やら兜やら、オマケに楯まで装備! 

 

そんな袁兵が、踏み下ろせば…………結果は!

 

───ボキッン!!

 

袁兵1「なっ────────────!」ドーン!!

 

袁兵に並んでいた兵達も………塹壕の底へ御案内された!

 

袁兵2「な、なんだぁ!? ここは危な───!?」ボキッ!

 

禁裏兵?と仲間のやり取りを……にやけ顔で眺めていた他の袁兵が……慌てだした!! 完全武装した兵が木の板(切り込み入り)で暴れたら……。

 

袁兵2「フオォォォ───────!!!」ドスッ!!

 

袁兵3「なんだぁ! これはぁ────!?」ドォン!!

 

全部の『塹壕』に掛かっていた橋が落ちる!! 

 

後ろに並んでいて、辛うじて塹壕に落ちなかった袁兵だが……その後ろから『先に進め!』と圧力が…………! 

 

袁兵4「ま、待てっ!! お、お、落ちるっっっう────!!」

 

袁兵5「や、やめ、止めてくれぇ──────!!」

 

ガラガラガラーーーーーーッ!!

 

ーーーーー

 

程遠志「ふぃ──! 危なかったぁス! 板が、少し強度が有りすぎッスね! さて……次の策を準備してやるスッかね────!!」

 

程遠志は、そう独り言を喋ると…次の策『竹槍投げ』と連弩の準備を始めた!

 

◆◇◆

 

【 翠、蒲公英の活躍 の件 】

 

? 司隷 洛陽周辺 にて ?

 

《 洛陽側 鶴翼の陣 後方 》

 

禁裏兵「敵兵! 板に乗り、程遠志様と対峙中!!」

 

翠「良し! 西涼勢! 荷車出発用意しろ!! ───行くぞ!!」

 

蒲公英「蒲公英達も行くよ!! 出発進行!!!」

 

西涼騎馬隊が……二頭一組で引いている物『荷車』と言うが、形は荷車には少し遠い物。 日の本の『大八車』を小さして、持ち手を後ろに向けた物に、竹槍を数本括りつけ、更に大量の藁が盛られ、紐で巻きつけてある!! 

 

それを十組ずつ五列に用意させ、左右に動きだした!!

 

ガラガラ! ガラガラ! ガラガラ!

 

『魚鱗の陣形』は先頭の隊列だけ……突破に特化させ三角形に変化、残りは方形で隊列を整え行軍!! しかも、今、先頭は進めず……停止中のため、後ろの隊列も、立ち止まっていた!!

 

翠と蒲公英の軍勢は、その左右の陣形に、この荷車を突撃させる!! 

 

ーーーーー

 

西涼兵「敵陣形…捕捉! 切り離し準備完了!」

 

翠「───やれ!!」

 

西涼兵「はっ!」

 

ーーーーー

 

蒲公英「こっちも準備……出来てるよね?」

 

西涼兵「はい! いつでも!!」

 

蒲公英「よしっ!! 発車──!!!」

 

ーーーーー

 

西涼兵が双方旗を上げ、同時に行動を起こす!!

 

ドドドドドドッーーーー!!

 

西涼兵「…………行くぞ、縄を切断!」

 

二頭の騎兵は、袁術軍の側面に荷車を間近まで引き、手前で引いていた縄を切り離し、騎兵自身は左右に分かれ離脱する!

 

ブチッ!! ゴロゴロゴロゴロ!!!

 

荷車は、鋭利な竹槍の穂先を向けたまま、袁術軍に突っ込んで行く!!

 

袁兵「く、来る、来るなあぁぁ! 来る──ギャアアァァァ!!」

 

袁兵「グヘエエェェ────!!!」

 

袁術軍は規律を守り、楯でこの攻撃を直接防ごうと試みた! 

 

しかし、この竹槍は……穂先を少し焼いて強度を高めて、更に複数結わえ付けている。 楯で防いだとしても、運が悪ければ貫かれる! それに、一本防いでも、その左右に出ている竹槍に、刺される可能性が高い!!

 

そんな攻撃を波状で連続で加える西涼軍! 袁術軍は周りが味方の兵士のため、無闇に行動もできず……防戦一方!

 

そして、その様子を見ていた詠が『赤色』の旗を上げた!!

 

翠「全軍! 火矢を準備!! 藁に放て!!!」

 

蒲公英「火矢を放てぇ────!!」

 

袁術軍の側面が紅蓮の焔が舞い踊った……………!!!

 

◇◆◇

 

【 白馬義従の活躍 の件 】

 

? 司隷 洛陽周辺 にて ?

 

《 洛陽側 鶴翼の陣 後方 》

 

白蓮「───白馬義従よ! 今こそ『天の御遣い』に力を貸す時! 策通りに行動せよ!!」

 

白馬義従「ウィィ────スッ!!」

 

鶴翼の陣形後方に潜んでいた白蓮達は………翠達が行動を起こした時に、行動を始めた! 

 

この時、白馬義従は二手に分かれ、左側に向かった白馬義従は僅かに三騎! 魚鱗の後方間近に向かう!

 

残りの白馬義従は、白蓮を先頭に……魚鱗の後方……少し間合いを開けて対峙する!! 手には弓……じゃなく、『泥団子』…………。

 

★☆☆

 

順慶「一体……何を先陣は、手間取っているのですか!?」

 

久秀「良い事を考えれば……孫呉討伐失敗の鬱憤晴らしでも…しているか。 もし、悪い事を想定すれば……策に嵌められた……か!」

 

袁兵「で、伝令! 前衛、敵の作った塹壕に落ち込み、被害多数!!」

 

袁兵「左右両側面!! 敵側の攻撃により被害多数! 奇抜な竹槍装備の車を操り、火が燃え盛ったいます!!」

 

順慶「─────!!」

 

久秀「………楯で敵の攻撃を防ぐように! 消化活動は直ぐに行いなさい! 

 

洛陽の残りの軍勢は……半分が騎兵! 歩兵主体の我らでは、分断化……即騎馬隊で蹂躙されるのがオチ!! 

 

前衛部隊には迂回しながら敵部隊を撃破するように命じるのよ!! 他の部隊は、一カ所に纏まり、防御しながら反撃を!!」

 

伝令「はっ、はいっ!」ダッ!

 

ーーーーー

 

順慶「それにしても……おかしいですわね? 直前まで……この土地の様子、洛陽軍の場所も当たりましたが……異常な所も何かを隠す所も、ありませんでしたわ!?」

 

久秀「………でも、実際にあったから嵌まったのよ! 一体どこに隠していたのか? それが、分からなければ対処も出来ない! ……塹壕? 荷車みたいな道具? どこに……この場所では隠す場所なんかどこにも………! 

 

─────あったわ!」

 

順慶「ど、どこに!? どこなんですの!?」

 

久秀「──今、貴女が見ている───洛陽軍の中よ!!!」

 

★★☆

 

《 左側方面……白馬義従別働隊 》

 

三騎の白馬義従の内、一騎が先頭に立ち……赤い色の槍を振り回して──袁兵を威嚇する!

 

白馬義従1「おらおらぁ──!! 公孫様配下白馬義従のお通りだぁ!! 道を開けいいぃぃ!!」 ブゥ──ン! ブーン!!

 

その後を二騎の白馬義従が、騎乗したまま……袋に手を入れ、恐る恐る取り出した物を持って、落とす準備を始める!!!

 

白馬義従2「よぉーし! 袋の中身をぶちまけるんだ!!」

 

白馬義従3「了解!!」

 

バラバラ! バラバラ! バラバラ!

 

白馬義従1「撒き終わったかぁ!? 終わったなら……最後にこれも……ばらまいて…………!!」

 

周辺を暴れていた先頭の白馬義従は……懐に手を入れると……片手一杯の札を取り出す!!

 

パラパラッ! パラパラッ!

 

馬上より………木刺(当時の名刺)を撒き散らす!

 

そこには……『白馬義従、参上!!』の文字が!?

 

白馬義従1「任務完了! 離脱だ!!」

 

ーーーーー

 

白蓮達に合流する為に向かう………三騎!

 

白馬義従3「わぁ……なんだか痛そうな代物ですね〜!! コレって?」

 

先程……自分の撒いた物を見つめ、感想を述べる……新人の白馬義従。 

 

白馬義従2「郭様や程様より依頼された……『撒き菱』だそうだ! これを敵陣形の後ろに撒けば、敵が踏み抜き動きが取れなくなると言う……恐るべき道具だ! しかも、『菱』なる水草を干すと出来上がるお手軽さ!! 凄いだろう!?」

 

白馬義従3「これも……御遣い様の知恵……なんですよね?」

 

白馬義従2「あぁ! 百地様から伝授されたと聞いている。 悪用されると困るから喋るなよ!? 喋ると……影が忍びが出て来て……粛正されるぞ!?」

 

白馬義従3「はははっ! まさか……」

 

シュ──────ッ   トスッ!

 

上から白馬義従3の槍に、棒手裏剣が刺さる!

 

白馬義従3「すいません! すいません!! 絶対に言いません!!」

 

虚空に向かい……必死に謝る新人白馬義従。 

 

名前は…………まだ無い。

 

★★★

 

《 右側方面……白馬義従本隊 》

 

白蓮「いいか! 全員構え! 投げろ───!!」

 

白馬義従4「てえりゃああぁぁぁあ!!」

 

白馬義従5「『豪速球』だぁ─────!」

 

白馬義従6「………………ふん!!」

 

それぞれ、手に泥団子(一人三個まで携帯、馬に別で十個程…保管済)を持ち投げつけた!!

 

袁兵「───ふん! 矢と思えば……泥団子とは。 幼稚な武器もあったものだ『ベチョ─!』……痛くも──目が! 目が染みる!!」

 

袁兵「か、顔が───ヒリヒリと!! ──ん!? か、辛い!?!?」

 

白蓮「詠が用意してくれた『辛子水に浸した泥団子』だ!! 凪が厳選に厳選した辛子を使用した品物だからな。 特別……よく効くはずだ!!」

 

ーーーーー

 

順慶「何という様!! あの程度の泥団子! 目を瞑っても避けれますわ! 見ていなさい!!」

 

丁度……一つ、順慶に向かう泥団子があった。 延長到着地点は…順慶の顔! 順慶は──約束通り目を瞑り…横にずれた!!

 

───スッ!   

 

……グッ………グッグッグググ………   

 

しかし、横に避けた筈の順慶に泥団子の進行方向が変化! そして……

 

─────ビシャ!!

 

順慶「キャアアァァァ──!! また顔に──あの痛みがぁぁ!!!」 

 

久秀「…………お馬鹿…………」フゥ〜

 

ーーーーー

 

白馬義従4「おおぉっ!? 凄いな! 今、泥団子が曲がったぞ!?」

 

白馬義従6「『豪速球』など……最早古い! 俺は、三太夫様から投げ方を教義していただき……教わったのだ!! 手前で左右に曲がる『曲投げ』をなぁ!! 全ては白蓮様の活躍が目立つため───!!!」

 

白馬義従5「やるな! 俺も負けずに────!!」

 

こうして………袁術軍の周りの進行が止まる!

 

《 因みに……余談だが……後日、凪が厳選した辛子は、普通の辛子よりも激辛だと……民達の評判を得た! そして……後世……凪の主君が月であったため……『董氏の辛子』と言われるようになり……いつしか『董辛子』となったという説があるそうだ。 明命書房刊 『未知の辛さを求めて』より 》

 

◇◆◇

 

【 月の覚悟 の件 】

 

? 司隷 洛陽周辺 にて ?

 

《 洛陽側 鶴翼の陣 後方 》

 

バタバタ! バタバタ! 

 

華雄「華雄軍移動! 左右に分かれ、この太鼓を敵中央に投げ込め!!」

 

禁裏兵「……あ、あの……華雄将軍? この太鼓ですが……独りでに音が鳴り出しているのですが………」

 

直径三寸(約9a)の太鼓から『ポンポン』と、良い音が響く! 

 

しかし、当の兵士は掌に置いたままで、叩くような事をしていない。

 

華雄「どういう構造か、全く分からないが……天城颯馬の作り出した太鼓だ! 独りで鳴りだそうが……何ら不思議は無い! まぁ、袁術軍に被害がいくだけだ!! 私達には関係ない!! そのまま投げ込んでしまえ!!!」

 

禁裏兵「わかりました!!」

 

ーーーーー

 

ヒュ────ッ! ポトン!!

 

袁兵「な、何だぁ!? 上から太鼓が『ポンポン……ポポポポン!!』──うわあぁぁぁ────独りでに音が!!!」ポイッ!

 

袁兵「ば、馬鹿! こっちに寄越すなよっ!!」ポイッ!

 

袁兵「なんだなんだぁ!?」

 

ーーーーーー

 

《 洛陽側 鶴翼の陣 後方 》

 

漆黒の駿馬に乗り……甲冑を着用した月と、その後を馬で追う詠。 

 

後ろには、小さい壺を何個も持った禁裏兵達が……後に従う!!

 

壺の口には……一寸程の布が飛び出ている。 壺の中身が『黒き水』と知れば、用途はどのような物か予想は付いた。

 

ーーーーー

 

詠「月………本当にいいのね?」

 

月「……詠ちゃん、私の覚悟は定まてる! 速やかに…策の実行を!!」

 

詠「………わかったわ! 開始せよ!!」

 

禁裏兵「はっ!!」

 

ーーーーー

 

禁裏兵達が…火の付いた壺をクルクル回しながら……袁術軍の頭上に投げる!

 

月は……愛用の弓を持ち、狙いを定めた。

 

月「(天城様! ………私は守られてばかりの……女ではありません! 共に生きて行くため……私も人の命を背負う覚悟を──決めます!!!)」

 

ヒュ───────ン!  ガチャン!!!

 

ボッ! ボッ! ボッ!

 

『黒き水』が入った壺は、月の矢で破壊されて飛散した! 

 

そして……『黒き水』に……炎が宿り……袁術軍に……襲いかかった!!

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

来週忙しくなる予定ですので、投稿いたします。

 

白馬義従3は、次回出すか分かりませんから、名前応募しても無理ですからね。 一応……念のため。

 

急いで作り上げたので、誤字脱字とかありましたら、ご報告お願いします。

 

また、よろしければ読んで下さい。

 

説明
義輝記の続編です。 よろしければ読んで下さい!
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コメント
馬超に関しては、その慧眼恐るべし……ですね。 多分……予測通りです。 不定の言葉が見つかりません!(いた)
禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! 本来は規律を定め命令に従う兵が望ましいのですが……久秀達には後の世など考えていません。 目的は颯馬の奪還?のみですから。 勝手に士気上げて攻めてくれるのは楽ですが。(いた)
馬超のお婿の話がありますがよくある慣用句の様な台詞に「おしめが取れたら〜してやるよ」というのがあります、つまり翠はかなりの確率で独身ではないかと、またはかなりの確率で特殊嗜好の人間にしか娶られないかと。(禁玉⇒金球)
袁術兵達は実に人間らしいじゃないかと思いますね、欲の塊と言うと聞こえが悪いのでしょうがそれなしの人間などいない訳ですから鍛えられ戦禍をくぐり士気旺盛で正に理想の兵士とも言えます、惜しむらくは恐れがない=驕った結果が恐ろしい失敗を招いたことですね(禁玉⇒金球)
天龍焔様 コメントありがとうございます! どちらかと言いますと……『董』辛子の裁きですね。 (いた)
mokiti1976-2010様 コメントありがとうございます! 『董』辛子は書いてる時の思い付き、明命書房は……とある漫画からです。 ……多分ご存知ですね。 翠は……本人の意志が、まだ固まってないようで……。 (いた)
『董』辛子に『明命』書房…とても面白い。そして翠のお婿さんが早く決まる事を願っておきます。(mokiti1976-2010)
ふかやん様 コメントありがとうございます! 山縣昌景の言葉に重なりまりすね。 何時でも初陣の如く気を引き締めよ!……と。 今回の袁兵は勝ち戦に溺れた『強すぎる兵』……そのため弱点も無様に出てしまったようです。   (いた)
戦に望むのであれば常に初陣を飾るがごとく気を引き締めねばならない。己が欲望のままに動く…それは戦場に立つ兵にはあってはならぬ事と知れ!!(ふかやん)
考えれば……その通りですね。 認めるところは認めて手を貸してくれる集団です。 そういえば益州にも居るんですよね……萌え応援団。 合わさると……ネタ……じゃなく争いが。 どうなる事か。 (いた)
naku様 コメントありがとうございます! 白馬義従の活躍は……次回も続きます! 投げ方の先生は……本当は一刀にしようと思ってましたが状況が状況でしたので変えました。 『カーブ』とか『フォーク』とか野球用語使用できたのに………。(いた)
Jack TIam様 コメントありがとうございます! 一日暇見つけては書いた物ですので……正直……不安で不安で。 お褒めの言葉は何より有り難いです。 月に甲冑着せたのは…他のゲームのキャラが着ていたもので。 弓は史実で記述があったからです。 (いた)
熱さとネタ性が両立されている……これはすごい!奇策の連続で大軍を打ち破るその様は圧巻ですね!相手が獣だったから通用した部分もあったでしょうが……しかし、月に甲冑を着せ、弓を取らせるとは……流石作者様。燃えポイントを見事に押さえていらっしゃる。(Jack Tlam)
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