義輝記 蒼穹の章 その二十弐
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【 ボケとツッコミと魔王 の件 】

 

? 司隷 洛陽周辺 にて ?

 

《 洛陽 董卓軍本営 》

 

頭上より降る『紅き炎の雫』が……袁術軍の兵に降りかかる! 

 

阻止したいが……投げられる壺は『一つ』では無い。 

 

複数……最低でも二つ以上……空に浮かぶ状態。 しかも、地に着くまでには悉く(ことごとく)割られ、破片さえも凶器となりて……降り注ぐ!!

 

袁兵「───ヒッ、ヒイィィ!! 火! 火がぁ───!!」

 

袁兵「は、破片が鎧の隙間に…クソォ!! グワァ──!! 目にも!!」

 

───驚異的な命中率、矢を射る動作の素早さにより……袁術軍に『火の雨』を降らす将が居た為。 その将の名を───『董仲穎』という。

 

月「詠ちゃん!! 矢の補充──お願い!! 

 

詠「う、うん! 了解!!」 ───ドサッ!

 

月「───禁裏兵の皆さん! もう少し後ろ側に投げて下さい!! 後ろの陣が騒ぎだしています!! あのまま動かれては、次の策に不備が生じますので………少し……黙らせて──アゲナイト…ネ!!」クスッ

 

月は厳しい表情で………敵の様子を語っていたが……語る事に異様な黒い鬼氣が高まる。 気のせいか……語尾の近くで……口角が上がっている? 

 

禁裏兵『はっ! はあぁぁっい!!!』ガタガタガタガタ!

 

ーーーーー

 

《 洛陽 董卓軍本営 》

 

タタタタタッ────! ズザッ──!!

 

稟「風───ぅ! げ、現状は……どうなりました!?」

 

風「第一策は成功ですぅー!!  程遠志さんの見事な大根役者振りに、袁兵が挑発され、先頭の多数が塹壕に嵌まったようですよー! 

 

後、翠さんと蒲公英ちゃん両側からの波状火計、白馬義従さん達の後方からの援護、そして……一番の大活躍振りを示す月様の『火雨の計』! 凄いです! 堪らないです! 感動してますぅー!!」

 

稟「当然です! 私達……洛陽側最高峰の軍師が考えた策なんですから! そう簡単に破られては……会稽の恥になってしまいますよ!!!」

 

風「………風のボケが……華麗に流されてしまいました……」

 

稟「当たり前です! 波状攻撃……息が合わない、白馬義従の活躍……白蓮殿の活躍が薄い、火雨(ひぅ)の計……月様に叱られますよ? ……よくもまぁ……言葉の中に隠して、こんな事を………」

 

風「程遠志さんの大根役者は、不定しないんですねぇ──?」

 

稟「袁兵を引っ掛けた事は、高く評価しなければなりません! 彼は大根なんかじゃありませんよ?」

 

風「? じゃあ? 何で反論しないんですー?」

 

稟「……余りにも分かりやすくて……逆に呆れただけです!!」

 

風「………まぁ、そういう事にしておきますかね〜。 ではでは、次の策ですが………」

 

稟「…………………………」

  

 

◆◇◆

 

 

【 西涼勢の戦い の件 】

 

? 司隷 洛陽周辺 にて ?

 

《 洛陽 西涼勢 》

 

蒲公英「お姉様ー! もう一回、荷車を突っ込ませて──! 敵兵が退かそうと押し始めたよ!?」

 

翠「よし! じゃあ! もう一度……」

 

風「──もう少しだけ、待ってもらえませんか〜?」

 

翠「うおっ!? ──誰だっ……風!? は、背後から声を掛けんじゃねぇ!! お、驚くじゃねえかぁ!!」

 

蒲公英「にひひひ……。 こんな時に、お漏らしなんて……余裕だね! お姉様? 『 ゴンッ!! 』 痛ぁ〜い!! お姉様がぶったぁぁー!!」

 

翠「漏らしてなんかぁしてねぇぞぉ──!! 馬鹿!! ──っと……そんな事より、何で……軍師がこんなとこまで、出しゃばってるんだよぉ?」

 

風「………必要な事があれば、いつ何時何処でも現れるー! それが風なのですよー!」

 

蒲公英「お姉様の所に向かう途中で合流して、ここまで来たんだよ! なんの用までかは……聞いてないけど……」

 

風「ぐぅ────」

 

翠「声掛けといて、用事を伝える前に───寝るんじゃねぇ!!!」

 

風「おぉ!? 意外と正論を言われてしまい……風の立場が!?」

 

蒲公英「ねぇねぇ! ホント風さんって何の為に……ここへ来たの?」

 

風「そうでしたぁー! 荷車の攻め方を変えて、貰おうかと思いましてー!」

 

翠「変えるって?」

 

風「戦場は生き物のような物で、刻が進むに事に……様相が移り変わるんですよー! だから、私達…軍師が見極め、指示を出そうと思い此方にー!」

 

蒲公英「じゃあ、どうやって攻めるの〜?」

 

風「そうですねー? まず、あそこで焼けてる……荷車を動かすヒトデナシにぶつけますかねぇ……。 蒲公英ちゃんは……彼処(あそこ)とそこを。 大分…火勢が落ちてきましたが……そろそろ第二の策も実行しますよぉ〜!!」

 

★☆☆

 

《 袁術軍勢 》

 

袁兵1「や、止めっ──グハァッ!! ──グホッ! ゲホッ!」

 

袁兵2「お前を盾にして、この火の車を押し出せば……俺様は熱くないし、他の奴らも助かるんだよぉ! お前一人の犠牲でなぁあ………!!!」

 

袁兵3「そうだぁ! そうだぁ!」

 

翠達が行った『竹槍標準装備、藁製補強付き?の荷車』に、運悪く刺さった袁兵が一人……居た。 普通なら……刺さる筈もない竹槍が、鎧の解れに当たり……そのまま腹を貫通して……背中より生えている状態で。 

 

しかも、翠達が仕掛けた火が点き、荷車は『火車』となり……生きながらにして、地獄の有り様を味わっている! しかも……獄卒まで……すぐ近くに居るとは、思いもよらなかったが…………。

 

袁兵1「く、くそったれ共がぁ! お前達と同じような事をしていた俺が……何で……こんな目に遭い……グホッ! ゲホッ! ハッァ! ハッァー! お前等がのうのうと生きていられるんだぁ──『ガンッ!』──ゴボッアッ!!」

 

袁兵2「………わめくなよ。 お前が……そんだけ悪事を働いた報いさ! 敵兵を嗤いながら切り倒し、余裕があれば傷口を踏んで……苦しむ様を眺めていた奴じゃねえのかぁ!? 因果応報……ってもんだぁ……!!」

 

袁兵1「テ……テメェが言うんじゃねぇ!! その後、そいつの身体を調べ…金目の盗みまくり、丸裸にして放置しやがったじゃねぇかぁ!!」

 

袁兵2「力こそ正義! 良い時代になったもんよ! ……お前はなぁ、弱いから淘汰されたんだわ! ざまぁああぁ──!?」

 

『じゃあ! お前も同じだなぁ!!!』

 

袁兵1の背後より、若い女の怒鳴り声が聞こえ……頭越しに覗くと……新たな荷車が突っ込んできた!!

 

袁兵2「な、なんでえぇ────!?」

 

翠「お前が弱過ぎるからに、決まってるだろうがぁあ────!!」

 

ドン! ドン!!   

 

───── グサッ!!

 

続け様に荷車が当たり……袁兵1を貫いていた竹槍が、袁兵2をも貫いた!!

 

袁兵2「ぎゃああぁぁああ!! い、痛え────!?」

 

ふと……前を見れば……さっきまで甚振って(いたぶって)いた袁兵1の顔が、息が掛かるところまで……知らぬ間に近付いているではないか!!

 

袁兵1は、自分を見詰める袁兵2に向け……薄気味悪い笑顔を……見せた。

 

袁兵1「ニヤッ……因果応報……ザマアァアア!! ゴハアッ──!!!」ガクッ

 

恨みの一言叫びつつ……吐血を袁兵2の顔に……吐きかけ……絶命した。

 

◆◇◆

 

【 叩かずの太鼓 の件 】

 

? 魚鱗の陣後方 袁術軍本営 にて ?

 

魚鱗陣の後方に司馬懿……いや、久秀達の本隊が数百の兵に囲まれ、指揮系統を担っていた。 

 

勿論、袁術達も一緒だが……感情を見せる事は、殆ど無くなった。 黙って椅子に座らせて置けば、一日ぐらい大丈夫なまでに…………。 

 

久秀は、日陰除けの天幕を立て……伝令からの報告を受け取れば、即座に命令を発し、攻勢を掛けるよう指示する! 

 

久秀『今は洛陽側軍師の奇策で、全体が混乱しているだけ。 洛陽軍に比べ、此方の兵数はかなりの差があるのよ! 挽回など幾らでも出来るはず……!』

 

いつも慎重な久秀に珍しく……そのような考えが……頭に浮かんでいた。

 

『……………ネ!!』クスッ

 

─────ゾクッ!!

 

不意に………久秀の浮ついた心を……見透かしたが如く───冷たい『鬼氣』が背中を撫でる!

 

そして………久秀の耳元で……嘲笑が……聞こえたような気が……した……!

 

ハッとして、辺りを見渡す久秀! 

 

……しかし、誰も……久秀の傍には居ない。 

 

警備兵は……二丈(約5b)程離れ、不振人物が居ないか、目を光らしていた。

 

久秀「───な、何なの!? 一瞬…久秀を脅かす程の『闇』を感じたわ! 

 

だけど……洛陽なんかに……久秀を上回る『闇』を纏う者なんて……考えられない! ならば……気の迷い……と言う事になるけど……。 でも、あんな『鬼氣』が……久秀の迷いなんて……思えない………」

 

タタタタタッ───!!

 

順慶「───久秀!! 大変ですわ!! 前衛の中央で『焙烙玉』のような武器が現れ、今も多くの被害が進行しているみたいですの!」

 

久秀「……この時代なら、黒色火薬が発明されているけど、硝煙が世に出て無いから……炸裂なんか起きないはずよ? 火縄銃ぐらい扱った事あるんでしょう? それとも……大和の居城では、田舎過ぎて火縄銃が伝わらなかった?」

 

順慶「機会はありましたが……触るのは稀でしたわよ。 

 

だいたい火縄銃は、美貌の大敵!! 火縄を操作すれば……手は真っ黒で荒れ放題! 火縄が火皿に落ちれば、顔に火花が飛び散り……軽い火傷! 

 

確かに……威力はあり、戦には有効でしたが、颯馬様に対する愛一筋の私にとっては無用、と言うより有害!! 同じ『かやく』なら加薬飯(五目御飯)を颯馬様に召し上がって戴くように……腕を振るいますわ!!」

 

久秀「………いい加減に分からない? 颯馬は久秀専用の玩具! 貴女のモノじゃないの……。 黙らないと……傀儡にして操るわよ?」ゴゴゴゴ!

 

順慶「貴女こそ……私と颯馬の間を邪魔する天の川! いえ、三途の川ですわね? 陰気な貴女に相応しいですわ! どちらにしても……障害である事は間違いないですもの……今、ここで、決着を着けましょうか……!」ゴゴゴゴ!

 

将「司馬様! 筒井様! ───お止め下さい!! い、今ここで、お二人に仲違いされれば、我らの敗北は確実!! どうか、どうか! お怒りを鎮めて下さい!!!」

 

久秀「…………まぁ、一理あるわね。 ここは休戦しましょう? 順慶!」

 

順慶「非常〜に不満ですけど……仕方ないですわ!」

 

将「はははっ………あ、ありがと『ポポポ──ン』……と失礼を!」

 

将は……手に持っていた『太鼓の山』を、下にゆっくりと降ろす。 『ポポポン……ポポポ』と軽快な音があっちこっちで鳴り響く。

 

久秀「………それは……バチを使わずに太鼓が鳴る? もしや……」

 

久秀は怪訝な表情をして眺め……順慶は目を輝かせ、太鼓を見詰める!!

 

将「はっ、はいっ! 洛陽軍が此方に向けて、投げ込んできた物なんですが、ご覧のようにバチ無しで鳴りだしまして……。 お陰で兵の混乱が酷く、司馬様の力で何とかなるのではと思い、全部集めて此方にお持ち致しました!」

 

順慶「まぁ! 面白い!! こんな愉快な物があるなんてぇ!!」

 

───スゥ!  パチン!!

 

順慶が手を伸ばして小太鼓を一つ取ろうとする。 

 

小さい太鼓が独りで音を刻む様子は、なんとも不思議だが……風情があって心地よい。 順慶でなくとも欲しい逸品である!!

 

だか、久秀がその手を叩き………阻止した。

 

久秀「───無闇に触らない! 順慶!! これは……颯馬の『策』! 久秀の予想通りなら……迂闊に触ると大変な事になるわよ?」

 

順慶「えっ!? 颯馬様の『作』? 尚更、心して拝見しなくては!!」

 

叩かれた手をさすりつつ、わざわざ遠回りをして太鼓の山に近付く順慶。

 

タタタタタッ! ガバッ!

 

呆れながらも……執拗に阻止する久秀。

 

久秀「だから、颯馬の『策』だから──触らないようにと!」

 

───グイッ!

 

順慶「そんな事言って、久秀こそ颯馬様の『作』だから、気になっているのでしょう!? 狡いですわ!! こんなに沢山あるのですから、一つくらい貰っても!!」

 

───グイッ!!

 

久秀「だからぁ!! そうじゃなくて───!!」  

 

順慶「一つぐらい減っても、減ったうちにはなりませんわ!!」

 

久秀「貴女ね!! 馬鹿な事言わずに……いい加減に離しなさい!!」

 

双方が一つの太鼓を掴み取り、引っ張り合いを始める!!

 

順慶も、格闘の場合では、気を操り力を増幅させるが、今のような仲間との諍い(いさかい)のためだけで…そこまで本気を出す気など……更々ない。

 

しかし、何回も引っ張り合いを行ったため、皮が破け始め…………!

 

ギュウ〜〜〜〜!!!  ベリッ!

 

将「司馬様! 筒井様! お二人ともお手を離して下さい!! 太鼓が! 太鼓がぁぁぁ!!!」

 

────ベリッ!!!  ボトッ!

 

破けた皮の中から………蜂の巣が!!

 

…………ブ〜ン! ブ〜ン!

 

順慶「───えっ? い、嫌ぁぁぁ!! は、蜂ですわあ!!!」

 

久秀「───やはり『叩かずの太鼓』! ──ほら、早く伏せなさい!」

 

順慶「きゃあぁぁあ!!」ズデェ─ン!

 

将「うおっ! く、来るなぁ!! 『チクッ!』 痛いぃいい! 止めろ、刺すな! 刺すな!! 『チクッ!』 グワアァ!!!」バタッ!

 

……………………………

 

久秀「去ったわね……。 何をいつまでも……伏せているのよ? そんなに好きなら地面と懇ろになっても……久秀は止めないけど?」

 

順慶「な、何を好き勝手にほざくのですのか!! 貴女が急に引っ張るから私の頭に瘤が出来てしまいましたわ!!!」

 

久秀「……文句を言う前に、久秀に……礼くらい述べてもいいのよ? こんな風にならなかったのだから………」

 

順慶「────!!」

 

そこには、蜂に刺されて痙攣を起こす将の姿。 口をだらしなく開けて舌が飛び出している。 青白くなった将の顔には……大量の汗が流れている状態!!

 

衛生兵が慌て将の周りを囲み、治療を開始しているが…………。

 

久秀「蜂の毒針による中毒症状……。 この状態じゃ……助からない……ようね?」

 

順慶「どうして……颯馬様の策だと………?」

 

久秀「だって……久秀が出した『問題』の答えだったのよ?」

 

順慶「はっ………!?」

 

久秀「前に…颯馬にね……退屈紛れに三つ問題を出したの。 『灰で出来た縄』『巻き貝に糸を通す』『叩かず鳴る太鼓』…。 貴女には分かるのかしら? この謎解きの答えが………?」

 

順慶「む、無理ですわ! 灰で縄など出来ませんし、巻き貝の曲がりに曲がった穴に糸を通すのも、太鼓を叩かずして鳴らすのも……あっ!?」

 

久秀「颯馬はねぇ………全部やり遂げたわ! 灰縄、巻き貝糸通し、鳴る太鼓! 他にもね……色々出したのに全部答えられたわ! この久秀の問いをねぇ! 

 

だから、中身もわかったから……引き止めたのよ。 今……倒れられては……久秀の戦力が大幅に下がってしまうわ!!」

 

順慶「…………………」プルプルプル

 

久秀「あはははっ! どう? 颯馬の事、嫌いになったでしょう? 貴女は颯馬に殺されそうになったのよ? 恨め、憎め、罵れ!! そうして、颯馬なんか嫌いに──『素晴らしいですわぁ!!』……は?」

 

順慶「私好みの洒落た太鼓、奇抜な発想、何より……あの久秀が……私を必要とするよう認識させた卓越した慧眼!! 流石……愛しの颯馬様!! 益々……貴方様に惹かれてしまいますわぁ────!!!」

 

久秀「………………………」

 

◆◇◆

 

【 奮戦と一抹の不安 の件 】

 

? 司隷 洛陽周辺 にて ?

 

《 洛陽 程遠志勢 》

 

程遠志「おおっ!! 前衛部隊が大分弱まってるスッね! じゃあ! 連弩で止めを刺してやるスッ! 隊列を二列に分けろスッよ!!」

 

程遠志に預けられた禁裏兵五千を、塹壕で戸惑っている袁兵に向け、二手に前後へと分けた!

 

程遠志「前列は…そのままの態勢で放てスッよ!! 後列は、連弩を高斜角で放てばいいッスよ! ……分かり易く言えば、お日様に向けるように放てば大丈夫スッ! そう! その角度を忘れずにスッね! 」

 

前列で間近の前衛部隊を倒し、後列で前衛奥の部隊に、雨の如く矢を射る!

 

袁兵「上から矢が! 盾を上に──『シュ─ン!』なっ! 前からも!?」

 

特に……前衛奥は、前と上からの同時攻撃が、偶にくるために防御が難しく、

被害が続出したという!

 

★☆☆

 

《 洛陽 西涼勢 》

 

翠「あまり近寄るなよ! そろそろ破裂するころだ!!」

 

袁術軍側面に、風の指示の下、新たな荷車をぶつけた!! 

 

今度の荷車には、竹槍が付いていない。 藁は先程の二割増し、藁の山の中に竹が数本埋もれた状態。 しかも、今度は先に火を付けて、西涼兵達が直接押しながら、突っ込んで行った!!

 

火の点いた荷車が来るため、袁兵達は大慌てで避けるが、避ける間も場所も無く……虚しくぶつかる! しかも、悲劇は……それだけではなかった!

 

パーン! パーン! パン! 

 

ビチョン!! ビチョッ! ボッ!

 

袁兵「竹から──火が飛んだ!! アチイィ───!」

 

藁の中に入った竹の中に『燃える水』が内蔵されている! そのため、竹が燃える事に中身が漏れて火勢が強まり……外に露出した竹が破裂、破裂した勢いのまま、『燃えてる状態の水』が、袁兵に飛びかかる!!!

 

それも、両側から…。 ここでも、袁兵の被害は……かなりの被害を受けた!

 

★★☆

 

《 洛陽 公孫勢 》

 

白蓮「全員! 竹槍準備!! 投擲!!!」

 

白馬義従「おらおら!」

 

白馬義従「とおりゃあ───!!」

 

白馬義従達の竹槍投げが敢行!! 自分達の背丈より少し低い五尺(約1b)ぐらいの竹槍を投げつける!!

 

袁兵「くっ! 盾で防げ!! ──な、なんだぁ!!!」

 

袁兵達が盾で防ごうと掲げると………上から『紅き炎の雫』が!!!

 

ーーーーーーー

 

《 洛陽 董卓軍本営 》

 

禁裏兵1「───投げろ! 投げるんだぁ!!」

 

クルクルッ──! ポォ─────ン!!

 

シュッ! シュッ! シュッ!

 

バキッ! バキン! ガチャン!

 

月「えーと………次は、まだですか!?」

 

禁裏兵2「馬鹿な………! これだけの人数で投げて……まだ矢を射る余裕があるのだと!? は、早く準備を!! 董仲穎様のご機嫌を損ねるな!!」

 

ーーー

 

月「詠ちゃん!! 矢の補充……早く早くっ!!」

 

詠「ま、待って月! た、体力が…………」ヨロヨロ ドサッ!

 

ーーーーーー

 

驚異的な月の活躍で、後列の部隊も被害が増える一方! しかも、白馬義従に攻めかかろうとしても、撒き菱が足下に撒かれているため、進む事が出来ない! 

 

この時点で……袁術軍の被害は……ほぼ七割近く何らかの被害を受け、数万人が戦死!! このままでは、数刻持つか……分からない状態となった!

 

★★★

 

《 洛陽 董卓軍本営 》

 

風「…………戻りました〜! 策は順調ですよ──!!」

 

稟「でも、油断大敵ですよ!! 相手は、颯馬殿でさえ苦戦させた……稀代の軍略家『司馬懿』です! もしかすると、なんらかの手を打ち、抵抗してくる可能性は大いにありますよ!!」

 

風「…………ですが、軍勢の三割近い死傷者が出て、負傷者が多数の手負いの獣が、撃ち破れるような力なんて……残っているのでしょうかねぇー?」

 

稟「………逆に手負いだからこそ、危険と考えれませんか? 私としては、まだ波乱がありそうな気がするんです!」

 

風「……将の皆さんには、注意するよう伝えておきますねー」

 

稟「………頼みましたよ! この不安、的中しなければ………」

 

 

ーーーーーーーーー

ーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

久秀の出した問題は、昔話の『姥棄山』を参考にしています。 

 

他にも幾つか出したかったのですが……分かりづらい問題が多いので止めました。 瓜二つの蛇を雌雄判別する方法とか………。

 

そんな事をやっていると、話が長くなるため、省きました。

 

そろそろ、策のネタと話のネタが尽きてきたため、更新が遅くなる? かもしれません。 ………と、書いて遅くなる事が少なかったですけど。

 

もし、遅くなりましたら……そのような事情だと。 

 

それでも、一週間に一回は投稿したいなぁと思っております。

 

また、よろしければ読んで下さい。

説明
義輝記の続編です。 よろしければ読んで下さい。
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コメント
Jack TIam様 再コメントありがとうございます! 原作では幼少から母に連れられ戦場へと書いてあったと記憶も。 月に関しては、その通りです! だから、付き合う男により性格が変わるかも? ここは颯馬の他に詠など居るから大丈夫だじゃないかなと。(いた)
確かに雪蓮は明らかに「大人の女性」なので年季も違うでしょう。実戦経験も豊富なはず。後の二人はまだ少女ですしね。月の二面性は満ち欠けする月の如しですね。太陽は恒常的に光っているが、月は自力では光らないので光と闇があるし……それって太陽になれる人物に出会えないと結局月は活躍できないってことなんじゃ(ry(Jack Tlam)
禁玉⇒金球様 再コメントありがとうございます! 皆さん、異民族や賊討伐している……はずです。 孫策は……特に……二人より年期が違いますからね。 (いた)
下積み時代も含めたら御三方共に結構凄そうですね、董卓は西の辺境でグハハ、公孫賛は北東の辺境でヒャッフー、孫策は南部で多分お母ちゃんと一緒にヒャッハー(禁玉⇒金球)
禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! 董卓は城の中に居る事多かったですし、公孫賛も参加は反董卓連合軍から。 戦場出演回数で考えれば……孫策が多いですね。 戦闘シーンは三人とも少ないですが。(いた)
連合事後処理時以来の魔王董卓の再臨か、ふと思ったんですけれども董卓、孫策、公孫賛、の陣営君主御三方で最前線で一番活躍、率直に言う所の一番直接的に殺傷しているのは誰だ?。(禁玉⇒金球)
ふかやん様 コメントありがとうございます! 実は……次回に心配された事が……。 三方ヶ原から川○島になりました………。(いた)
さて、戦は月達の有利となっているようだが…戦は生き物、いつ何が起こるか分からないから恐ろしい。この優勢に対し、ますますの慎重さを!!(ふかやん)
mokiti1976-2010様 コメントありがとうございます! 情報源は秘密と言う事で…w。 この作品の月はオセロと同じ二面性を持ってますので、完全には変わらない……予定です。 (いた)
すると颯馬は密かに匿っていたお婆さんに答えを聞いたという事か(エ。そして…月が強く黒くなってますな。もはやその闇は久秀をも軽く凌駕しそうな…。(mokiti1976-2010)
naku様 コメントありがとうございます! 蒲公英「たんぽぽも──そう思いますっ!」 翠「ば、馬鹿あぁぁ──! そ、そんな事なんか──!!」 蒲公英「〜あるよね?」 翠「///////」 ゴツン!! 蒲公英「痛〜いぃ!!」(いた)
Jack TIam様 早速のコメントありがとうございます! 偶には……こんな描写もありかなと。 鬼気迫る『闇』の持ち主は月です。 その後の影響は……別に無いですよ? 無い予定なんですが……不定しきれません。 闇の中身は、御推測の通りです。 (いた)
大魔王へぅ降臨と相成りました。確かに董卓は弓の名手ですが……月、悪ノリしたか。一大決戦なのに中身はギャグだらけな気がするのは気のせいではない筈。久秀にすら悪寒を味わわせる『闇』の持ち主は、月以外にはありえないな……それは歴史に残る魔王故の闇だったのか、はたまた恋する乙女故の闇だったのか……どっちもか。(Jack Tlam)
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