とある傭兵と戦闘機(IS編第9話)鬼神ノ想イト
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   ドゴオォォン!!

 

 

 

突然、アリーナのシールドにダメージ警告が表示される

 

 「フィールド外部よりISが強制進入だと!?」

 

前のようなイレギュラーの事態だとすれば・・・アリーナに居る篠ノ乃が危険だ!!

 

 「篠ノ乃!!聞こえるか!?今すぐアリーナより退避しろ!!」

 

同時に、アリーナの光学カメラがそのISを捕捉した

 

そのISはーーーー

 

 「白式・・・一夏!!」

 

普段の一夏が持つ雰囲気を大きく逸脱した、

 

ただ破壊する為だけに剣を握る、”機械”がそこに居た

 

 「違う・・・駄目だ・・・お前がそうなってどうするんだ!!ああクソッ!!やめろ!!」

 

ポートマスが今まで以上に焦りを見せる

 

それは心の底から願っている事なのだろうか?

 

疑わざるをえないが・・・

 

 「ポートマス!!篠ノ乃を守れ!!」

 

 「あー最近のガキは全くよ!!それと人の使い方を間違ってんぞ”世界最強”」

 

 「黙れ。貴様に言われたくは無いぞ”世界最凶”」

 

ポートマスが喋っているうちにまた次なるISがアリーナに侵入する

 

そしてその機体は、アサルトライフルを白式に向けて威嚇射撃

 

 「邪魔をするな、シャル!!」

 

一夏が叫んだその先には、オレンジ色に塗装された機体が居た

 

 「うるさいよ一夏!!僕には一夏を止める義務があるんだ!!」

 

オレンジ色のラファール・・・但し、それは量産型とはまるで仕様が違う専用機

 

ラファール・リヴァイヴカスタムU・・・シャルロットとその専用機だ

 

援護射撃で弾切れになったライフルを投げ捨て、ショットガンを両手に展開して一夏と向き合った

 

 「これがフィリアが一夏に望んだ事だと思ってるの!?

 

  何でフィリアの想いが解らないの!?」

 

 「想いが何だ!!」

 

雪羅の荷電粒子砲がシャルロットに向けて放たれた

 

シャルロットはそれを物理シールドで防御、ショットガンの連射を行う

 

一夏の白式に搭載される”雪羅”の特性はエネルギーを消滅させる事のできる”絶対無効の盾”である

 

だが、それはビームやレーザー等のエネルギー単体で構成された弾丸を消滅させるものであると同時に

 

実体弾等の物理的な攻撃に対しての防御力は皆無に等しいという諸刃の剣である

 

シャルロットが搭乗するラファールは第二世代型特殊改造機

 

その兵装の多くは、今まで開発されていた通常兵器の延長線上に存在する発展・改良武装である

 

故に、エネルギー圧縮弾やインターフェイスコントロールの次世代試作兵装に比べて

 

稼働率と信頼性、汎用性等の安定性は試作兵装には無いアドバンテージを誇る

 

その性能を惜しみなく生かす為の”現存兵器としての完成形”それが第二世代型のISである

 

シャルロットのラファールリヴァイヴカスタムUは、その長所を継承し

 

尚且つそれのみを特化させている

 

その為、不安定な第三世代試作機よりも圧倒的に完成度は高く

 

実際に持つ攻撃力的にも、継続戦闘能力も第三世代試作機よりも高い

 

更にーーー

 

 「高速切替」

 

シャルロットが持つ状況判断力と反射能力が可能にしたラピッド・スイッチ

 

これにより戦闘中に武装の変更、換装を行う事ができる為

 

瞬間最大火力を維持する事を可能にした

 

 「何で邪魔をするんだ!!俺は箒を許せないんだ!!」

 

 「僕だって許せないよ!!だけどーーー」

 

懐に入った一夏の雪片弐型の攻撃をシャルロットは物理シールドで弾き

 

物理シールドの先端部分をパージした

 

 「僕はーーーー!!」

 

 炸薬装填完了  残弾数六発

 

 ”盾殺し”  作動準備完了

 

大振りの攻撃を行った一夏の腹部にシールドから突出した鋼の杭を接触させる

 

 「シールド・ピアス、バンカーストライク!!」

 

炸薬雷管にファイアリングピンが衝撃を加え

 

 ドガンッ!!

 

一発目の衝撃波が、白式の装甲を貫く

 

 「がっ・・・!!」

 

一発目の炸薬を装填していた薬莢が排出され、即時装填された二発目を間髪居れず打ち込む

 

三発目、四発目、五発目と立て続けに一夏の腹部を絶対防御が相殺しきれない衝撃波が貫く

 

最後の六発目、その炸薬が薬室に装填された瞬間に一呼吸置いてから

 

 「一夏みたいに、立ち止まらないから!!」

 

そう一夏に呼び掛けて、最後の一発の炸薬による爆圧が杭に伝えられ

 

 「が・・・はっ・・・」

 

一夏を地面に沈めた

 

 

 

 

何でだ・・・

 

俺は・・・間違っていたのか?

 

暗い意識の中、俺は自問自答していた

 

シャルが言っていた、フィリアの意思は何だったんだろうか

 

 「なあ、何だったんだ?フィリア」

 

答えの返ってくる事の無い質問を闇に投げかける

 

でも・・・気持ちが落ち着いてくると、俺は思い出してしまった

 

あのひんやりと冷め切った手の感触を

 

二度と感じる事のない温もりを求めたのか、俺は暗闇に手を伸ばした

 

自分でもわからない程に、何かを求めて手を伸ばした

 

 それはねーーー

 

閉ざしかけた意識にーーーふと囁きかける声があった

 

 後悔したって、悔やんだって、戻りたくても、時間が巻き戻る事は無い

 

 そこで前に進む事をやめてしまっても、辛い想いが残るだけだから

 

 だからーーー私は歩みを止めたくない。

 

 それが・・・それだけが、私が過去にできる事だから

 

その時、目の前に影が現れた

 

その影は次第に輪郭を濃くしていきーーー

 

 「だから、立ち止まらないで」

 

フィリアへと、姿を変えた

 

 「その一歩を踏み出せる人でしょ?織斑君は」

 

手を差し伸べられる

 

 「・・・ああ」

 

そしてその手を握る

 

そこで伝わってきたのはーーー前の同じ、柔かな温もりと

 

フィリアの持つ、他の人間には無いであろう唯一の優しさだった

 

 

 

 

 

 

 

 

     システム起動特例条件クリア

 

 

 

    ”Over Stratya Sistem ” Boot...

 

 

 

突然、真っ黒な夢の中の視界が黒から白に変わる

 

そして、あの場所へと・・・サイファーやシズクと話したあの場所へと

 

そして・・・その場所はいつもとは違い、薄暗く視界が悪い空間へと変貌していた

 

中央で、堂々と大きな西洋剣を地に突き立て

 

それを支えにしている・・・騎士のような格好をした女性が居た

 

 「・・・・・・」

 

何故だろうか・・・

 

ひどく懐かしい気持ちになってしまう

 

 「ーーーー」

 

でも、その言葉を聞いた瞬間ーーー

 

 

 

 

 

 「・・・・っ!!」

 

私は、現実世界にて目を覚ました

 

でも、視界は薄い白色なんだけど・・・

 

起き上がってみると、その私の顔を覆ってあったものがはらりと落ちる

 

 「・・・何これ?白い布?」

 

何でこんなもの被せてあったんだろう?

 

まあいいや。ハンカチにでもしておこう・・・にしてはサイズが少し大きいけど

 

 「・・・あれ?どんな夢を見たんだっけ」

 

イマイチ、さっき見た夢の記憶を思い出せない

 

 「・・・っ!!フィリア!!」

 

シャロが何か信じられない物を見る目でこっちを見ていた

 

 「うわぁぁぁぁん!!」

 

と、いきなり抱きつかれる

 

それからしばらくして、私は自分に起きた出来事を聞いた

 

 「ふーん、そうなんだ」

 

 「軽いね・・・フィリア」

 

 「だって、こうして今シャロとおしゃべりできてるじゃん

 

  私が本当に死んでたのなら、恐らく私はこうしてここに居る事も無い」

 

そして、私は後ろで少し申し訳なさそうな顔をしてる織斑君に目を向ける

 

 「織斑君、私が言いたい事は判るよね?」

 

 「ああ。わかってる」

 

 「ならいいや。これ以上私から言う事はないや。それとシャロ」

 

 「・・・?」

 

 「ありがとう。織斑君に教えてくれて」

 

私の思いを・・・私の意志を

 

そうしているとふと、体が少し軽くなった感じがした

 

気が付けば自分の髪の色が、その色を変化させていた

 

濃い蒼色から・・・少し白を交えた空色へと

 

何だろうか?でもまあ、そんな事はいいや

 

 「ほらな、言ったとおりだろ?」

 

 「・・・そうだな」

 

あ、ドアの所に居る二人の大人を発見

 

織斑先生とポートマス変態教師・・・無駄に面倒くさい教員二人である

 

そしてそこに居る女子生徒一名・・・篠ノ乃さんに目を向けた

 

 「あのだな・・・フィリアーーー」

 

と、彼女が私に話しかけようとしたら織斑君が篠ノ乃さんの前に立った

 

 「箒ーーー」

 

 「っ!?」

 

その瞬間、私は織斑君の腰に手を回しーーー

 

 「なっ何するんだフィリア!?」

 

 「そぉい!!」

 

そのままバックドロップでベットに叩きつける

 

 「「「!?」」」

 

 「ご・・・は・・・何で・・・俺・・・・」

 

 「んーーーーなんとなく?」

 

にっこり笑顔で織斑君をダウンさせる

 

位置的に一番沈めやすい位置に居た訳だしね。正直状況的に面倒くさいだろうし

 

 「それと篠ノ乃さん、別に気にしなくていいよ」

 

 「な・・・に・・・?」

 

 「私は別に気にしてないよ。だからそんなに身構えなくていいよ」

 

 「そうは言っても・・・私はお前に怪我を負わせたんだぞ

 

  私が気にしてしまう・・・すまない」

 

そうして、頭を深々と下げてくる篠ノ乃さんなんだけど

 

 「まあ、これから貴女が持つ”力”がどういうものでどういう使い方をするのか

 

  それをしっかり考えて、しっかり自分と向き合えば自ずと答えは見えてくるんじゃないかな」

 

とにかく丸めて、この場を治める

 

 「さて、そろそろ私は戻るから・・・っと」

 

妙に足取りがおぼつかないと思ったら、お腹がすきすぎているんだ

 

少しぼーっとしてきた・・・ああ、やばいかもーーーー

 

 ボスッ

 

 「よっと、燃料切れか?相棒」

 

なんかラリーに抱え上げられた・・・うわぁ屈辱・・・

 

 「飯は大事だがお前ほど腹の容量=活動時間なのはいねぇよ」

 

 「・・・うるさい」

 

少しムッとしてラリーを睨み付ける

 

でも、ラリーなりに気を遣ってくれてるんだと思うと少し申し訳なく思って

 

 「・・・ありがとう」

 

感謝の言葉をラリーに言った

 

 「おう、じっとしてろ。まったく世話の焼ける相棒だことだ」

 

そうして、抱えられたまま部屋を出る

 

 

 

 

 

 「相変わらずの仲の良さだな・・・全く、私の心配には遠く及ばないようだ」

 

そんな二人の和やかな雰囲気を見て、ふと安堵の溜息をもらした

 

 「織斑先生、質問いいですか?」

 

デュノアがなにか不思議な顔をして私に質問をしてきた

 

 「何だ?」

 

 「えっと・・・ポートマス先生とフィリアってどんな関係なんですか?」

 

 「どんな関係も何もない。ただ”お互いを信頼し、助け合う事ができる”

 

  それ以上でもそれ以下でもない。ただあの二人の間には・・・

 

  ・・・二人が背負ってしまったその名を超える繋がりがある。それだけだ」

 

 「???」

 

疑問符を浮かべているデュノアを尻目に私は篠ノ乃に話しかけた

 

 「篠ノ乃、お前がした事は”人殺し”未遂だ。あれはフェイリールドだからこそ

 

  ”死ななかった”と言う事だ。お前は”助けられた”という事を絶対に忘れるな」

 

気絶した一夏を担いで扉に向かう

 

 「それとデュノア」

 

 「は、はい・・・」

 

 「この馬鹿を止めてくれた事を感謝する」

 

そう言い残して、部屋を後にした 

 

 「全く・・・世話の焼ける兄を持ったものだな、あいつも」

 

口走った所で、はっと口を塞いでしまった

 

何故だろうか・・・いつの間にか私の心の懐に入られていた

 

見透かされているかのように・・・かといってそれをあまり表に出さない気遣いをしている

 

・・・それが彼女の本質なのかは解らないが、

 

少なくとも、フェイリールドは仮面を被っていない

 

それだけは痛烈に感じていた

 

ただ、気が付くとあいつは私の傍に居る

 

まるで、最初からそこに居たのかのようにだ

 

 

 

 

 

 「・・・・すぅ・・・・」

 

・・・こいつ俺を揺り篭扱いかよ

 

人が割と本気で心配してたのに、何だこの超自由なお嬢様は・・・

 

 「・・・まあ、悪い気は無いがな」

 

この相棒は・・・また何かを守ろうとして自分を犠牲にしようとした

 

   ”自己犠牲”

 

こいつの本質はそこにある

 

こいつは・・・心の何処かで”自分が死ぬ”事を望んでいる

 

贖罪を求めているんだ・・・

 

自分という命が、何人の仲間を犠牲にして存在しているものなのかを知っているあいつは

 

心のどこかで自分自身の力に絶望しているんだ

 

それでも、こいつは前に進んでいる

 

俺とは違い、世界を”作り直す”のではなく”変革させる”選択をした

 

それは・・・この年端もいかない娘が背負える程小さなものではない

 

多くの命を守ると同時に、自分の心を壊しかねない諸刃の選択だった

 

 

 

   実際、こいつは既に”人として壊れてしまっている”のだから

 

 

 

そんなポートマスの・・・ラリー・フォルクの瞳に悲しみの灯が再び宿る

 

それを見た者は居ないが・・・草木に止まっている烏達が一斉に飛び去った

 

まるで、ーーー彼から逃げるかのように

 

  

 

 

 

-2ページ-

 

 

 

  どうも、作者です

 

  相変わらず駄文と中二文申し訳ないです

 

  さて、ええ加減本編戻りたいと思います

 

  次回、よくわからん突発的なネタ回(仮)です

 

  意見感想募集中

 

  よろしくお願いします〜★  

 

 

 

 

 

 

 

    

説明
派手に頭に来た鬼神の相棒である妖精・・・ポートマスはその力を以って”暴力”という力を捻じ伏せる強力な剣を振り下ろす
そして、主人公が居る部屋に到着して状況を把握した二人の生徒は・・・
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コメント
銀ユリアさん>  ラリー「中の人的には怒りに飲まれるなとか言ってたような(メメタァ」    作者「角割れ的な?(メメメタァ」   ※この後作者と妖精は可能性にデストローイされました(雪下 夾矢)
ガルムさん>その辺の説明は追々本編にて解説されていきます・・・お待ちあれ〜    (雪下 夾矢)
怒りに身を任せた一夏。何もできずシャルに鎮圧されるの巻wどんなにひどいことをされても許すフィリア。過去の反動なんだろうな・・・(銀ユリヤ)
よくわからんがフィリアが生きてるならそれでいいや(←オイ) そのうちラリーのISの説明とかなぜ乗れるのかとか説明されるのかな? まあSWで魔法力発現させてストライカー使ってたけどw(ガルム)
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軍事 戦闘機 傭兵 タイムスリップ クロスオーバー エースコンバット インフィニット・ストラトス 

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