真・恋姫無双 外史に降り立つ仮面ライダー
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「……流れ星?不吉ね……」

 

「……様!出立の準備が整いました!」

 

「……様?どうかなさいましたか?」

 

「今、流れ星が見えたのよ」

 

「流れ星、ですか?こんな昼間に」

 

「あまり吉兆とは思えませんね。出立を伸ばしましょうか?」

 

「吉と取るか凶と取るかは己次第でしょう。予定通り出立するわ」

 

「「御意」」

 

「さぁ、無知な悪党どもに奪われた貴重な遺産、何としても取り戻すわよ!……総員、出撃!!」

 

 

 

 

 

「………どこだ、ここ」

 

俺こと、緋霧零児は周りの変貌ぶりに驚いていた。先ほどまで舗装された道にいたのに、今俺がいるのは辺り一面荒野の世界だ。

 

「ん〜、間違いなく日本ではないな。……おそらく中国辺り、だが今の中国はこんなに空気が澄んでなかったはずだ。………そもそも光に包まれて気を失って、目が覚めたら知らない場所。どこの漫画だよ、まったく」

 

そう一人ごちる。……それ以前に一刀と水月が見当たらない。元々巻き込まれていないか、別の場所に飛ばされたか。

 

「……巻き込まれてないといいんだが……多分この世界のどっかにいるだろうな」

呟きつつ、溜息を漏らす。ここに来る前、あの少年は間違いなく『お前達』と言っていた。そしてアイツが一刀を狙っていたため一刀は確定。俺は恐らく鏡が割れる原因を作ったから。……水月は微妙だがいると考えて行動したほうがいいだろう。

 

「はてさて、どうするか……ん?何でこんなもんがここにあるんだ?」

 

俺の視界に入った物は俺が愛用していたキャリーケースだった。

 

「………ここ最近は使ってなかったはずだが…中身は……まじかよ」

 

キャリーケースに入っていたもの。それ仮面ライダー鎧武の戦極ドライバーだった。……ご丁寧にロックシードはおろか、ロックビークルにゲネシスコアまであるし。

 

「一体だれがこれを……というか使えるのか?これ」

 

試しにキャリーケースから戦極ドライバーとオレンジロックシード、を取り出してみる。手に伝わる重量はとても玩具とは思えない。

 

「……ちょっと試してみるか」

 

キャリーケースの中から桜が描かれたロックシードを取り出し、開錠する。すると、俺の手からロックシードが離れ、ロックビークル、《サクラハリケーン》へと変貌した。

 

「………本物、だな。やれやれ…どこの誰だか知らんが随分と物騒な物をくれたもんだ」

 

だがここがどんな世界かわからない以上、これほど心強い物もないだろう。

 

「さて、と。取り敢えず町を探さねぇといけねぇか……」

 

「おい、兄ちゃん。珍しいモン持ってんじゃねぇか。俺たちに譲ってくれねぇかぁ」

 

《サクラハリケーン》をロックシードに戻し、これからの方針を決めた矢先、変な奴らに絡まれた。

 

「へへっ、痛い目見たくなかったら素直に従ったほうがいいぜぇ?」

 

「………んだな」

 

右からデブ、ヒゲ、チビの三人組。実力自体は大したことはなさそうだが、問題はこいつらの持っている獲物。……真剣だ。

 

「……嫌だっていったら?」

 

「そんときゃあ死体に変わってもらうだけだよ。兄ちゃん」

 

…………とことん下衆だなこいつら。まあ((戦極ドライバー|こいつ))を試すいい機会だ。

 

「じゃ、ハッキリ答えてやるよ……寝言は寝て言え、クソども」

 

言葉と共にドライバーを腰に巻き付けつつ、オレンジロックシードを開錠する。

 

<オレンジ!!>

 

ロックシードから電子音声が流れる。……正直、戦極ドライバーがあって助かった。

 

「な!!テメェ調子乗ってんじゃねぇぞ!!」

 

ヒゲの男がなんか言っているがどうでもいい。今は好きにさせてやる。

 

オレンジロックシードをベルトに装着し、施錠する。

 

<ロック・オン!!>

 

施錠と共に、俺の頭の上に空間の裂け目が現れ、空中にオレンジの形をしたものが現れる。

 

「……変身」

 

ベルトに付いているカッティングブレードを倒し、ロックシードを切る。

 

<ソイヤッ!! オレンジアームズ!花道オン・ステージ!!>

 

再び流れる電子音声と共に、頭上からオレンジが降ってくる。そして、それが展開されると同時に、俺の体は和風の鎧に包まれていた。

 

「な、なんだ此奴!!」

 

「き、気味が悪いですぜ!!兄貴!!」

 

男達は驚いているようだ。まぁ目の前にいた人物の姿がいきなり変わったら驚くわな。

 

「さて、お前ら。…………覚悟はいいよな?」

 

仮面ライダー鎧武へと変身を遂げた俺は三人組を威圧する。

 

殺気を向けられた三人組は面白いように狼狽える。

 

「ま、出来てなくても関係ねぇけどな!!」

 

「ブホッ!!?」

 

まず、一番力が有りそうなデブに殴りかかる。デブは変な声を出しつつ、吹っ飛んでいった。

………十メートルは飛んだかな?

 

「デ、デブ?!テメェよくもデブを!!」

 

そう言いつつ、チビが手に持っている剣を振るってくる。……てかデブって名前かよ。

 

「死ねやクソ野郎!!」

 

振るわれた剣が俺の身体を捉える。……があっけなく剣は砕け散る。

 

「……へ?」

 

「寝てろ!!」

 

目の前で呆けるチビの腹に前蹴り、通称ヤクザキックをぶち込む。普通の状態でもきつい一撃なのに仮面ライダー状態でそんな事したら結果は一目瞭然だろう。

 

「うげぇ!!?」

 

足の裏に骨の折れる感触が伝わり、チビはその場に蹲る。

 

「デブ!チビ!!お、お前、よくも……!!」

 

「…次は、お前か……?」

 

先ほどよりも濃い殺気をぶつける。……正直性能は大体分かったから用はないんだが、向かってくるなら拒みはしない。

 

「ひっ……お、覚えてやがれ!!」

 

ヒゲはチビを抱えると、デブが吹き飛んでいった方に走って行った。……あばらが折れてるからあんな運び方したら骨が肺に刺さるが……まぁ関係ないからどうでもいいが。

 

「さて、そろそろ変身解くか………ん?」

 

変身を解こうとベルトに手を伸ばすが、遠くに土煙が上がっているのが見えたため、その手を止める。

 

「………あれ、こっちに近づいているのか…?」

 

土煙が近づいてくるにつれて、鎧を着た集団が此方へ来ているのが見えてくる。

 

「………………厄介ごとの予感がするな…」

 

そんな事呟いていたら、いつの間にか鎧の集団に囲まれていた。しかも殆どが騎馬に乗っている。

 

「おい!!そこの全身鎧の怪しい奴!!何者だ!!」

 

その騎馬の中から、赤いチャイナ服のような物を着た黒髪の女性が出てくるなり、怒鳴りつけられた。その後ろには、同じデザインの青い服を着た水色の髪の女性と、金髪の少女がおり、俺へと怪訝な目を向けている。

 

「………人の名前を聞くときはまず自分から名乗る。…………親にそう教わらなかったのか?お前」

 

「なんだと貴様〜!!」

 

「……落ち着け、姉者。…すまない、姉の非礼を詫びる。私は、姓を夏候、名を淵、字を妙才という。……そちらの名前は?」

 

「……姓は緋霧、名は零児だ。こちらこそ、無遠慮な物の言い方をした。………申し訳ない」

 

自らを夏侯淵と名乗った女性に言葉を返す。……しかし、史実では夏侯淵は男のはずだったよな?……となると黒髪は夏候惇元譲、金髪は恐らく……

 

「おい!!貴様!!謝罪をするならまず顔を見せるのが『礼儀』だろうが!!」

 

……こいつ、態々『礼儀』の部分を強調しやがった。

 

「………そう、だな。確かにその通りだ、『元譲殿』」

 

「「「ッ?!!」」」

 

俺の言葉に三人が驚いた表情を見せる。……こりゃ当たりだな、全く。

 

ベルトに手を伸ばし、ロックシードを外す。すると鎧は無くなり、この世界に来たばかりの俺と同じ状態に戻った。

「き、貴様!!妖術使いだったのか!!」

 

「……はぁ?何を言って……ああ、成程」

 

年代が正しいなら、ここは恐らく三国時代。その時代の人物からすればいきなり俺の身を包んでいた鎧が消えたら妖術にしか見えないか。

 

「何を自分ひとりで納得しているんだ!!……ええい!!離せ!!秋蘭!!」

「駄目だ、離せば緋霧を斬るつもりだろう?まだ聞くことがあるから抑えろ、姉者」

 

……会って数分も経っていないのに、夏侯淵が苦労性だということが分かった。………妹に宥められる姉ってどうなんだ?

 

「………すまないわね、私の部下が迷惑をかけて…」

 

後ろに控えていた金髪の少女が俺の方に来て、謝罪してきた。

 

「いや……少々行き過ぎかも知れないが、あれが普通だろう。実際、俺も目の前で全身鎧がいたらあんな態度をとりそうだしな」

 

「そうかしら?………さて、本題に移るわ。……貴方、何者?」

 

「俺が何者、ねぇ……」

 

金髪の少女から向けられる疑惑の目線。………さて、何と答えるべきか。因みに、夏侯淵と夏候惇はこの少女が出てきたのを確認したのか、取っ組み合いをやめて、此方を見ていた。夏候惇からは殺気のおまけ付きだ。

 

「なに?答えられないの?………なら、私は貴方を賊と判断するけど?」

 

迷っているほんの少しの間に首に突き付けられる鎌の刃。………鎌って使いにくい武器使っているな、こいつ。

 

「まぁ待て。………取り敢えず今言えるのは、俺はこの国の人間じゃあないってことぐらいだな。……詳しく話してもいいんだが、あんたもそこまで暇じゃないだろう?」

 

目の前の少女が俺の想像道理の人物と見込んで、最低限の現状だけ話す。

 

「…………確かにそうね、その通りだわ。それで、話は変わるけどこの辺で妙な三人組を見なかった?」

 

「三人組………ああ、見たぞ。というかさっき鎧武(あれ)に変身していたのはそいつらに絡まれていたからだな」

 

「なんですって!?そいつら一体どうしたの!!?」

 

「うぉおお!!?お、おい離せ!!あっちのほうに逃げて行ったよ!!」

 

少女が急に血相を変えて掴みかかってきた。頭を揺すられながら三人組が逃げて行った方角を指差す。

 

「春蘭!!秋蘭!!急いで部隊を向かわせなさい!!」

 

「「御意!!」」

少女は手を離したかと思うと、此方の様子を見ていた二人に鋭く指示を飛ばす。………あいつら捕まえといたほうがよかったのか?

 

「………たかが三人に随分と必死だな、あんた」

 

「え……?ああ、そうね。本来なら歯牙にもかけないのだけれど、そいつらが盗んだものがものだから……ね」

 

「…………家宝でも盗まれたのか?」

 

「違うわよ。………《太平要術の書》という妖術書よ」

 

「………………それを俺に言って良かったのか?」

 

なんかさらっと重大なことを言われたんだが。

 

「あら、どうせ貴方には先程の鎧や、貴方の国について話してもらうのだからどうという事は無いでしょう?……私を騙していた、というのならその首を貰うだけだしね」

 

………さらっと恐ろしいことを言うな此奴は。……まぁこのくらい出来ないと《覇王》とは名乗らないか。

 

「おお怖い怖い……ま、最低限期待を裏切らないようにしますよ。『孟徳殿』」

 

「ッ!!?……まぁいいわ。それについても後でしっかり説明してもらうとしましょう。……春蘭!秋蘭!これより陳留へ戻るぞ!!」

 

「「御意!!」」

 

金髪の少女、《曹操孟徳》の号令により、周りにいた兵士達は即座に準備を整えていった。

 

「……優秀だな」

 

「当然でしょう?春蘭と秋蘭が鍛え上げた兵なのだから」

 

曹操が慎ましやかな胸を張って自慢げに答えている。正直これがあの曹孟徳とは信じたくない。

 

「………で?貴方馬には乗れるの?乗れないなら秋蘭の後ろにでも乗せてあげるけど?」

 

曹操は小馬鹿にしたような笑みをこちらに向けてくる。……こいつ。

 

「いや、いいよ。俺にも移動手段はある」

 

足元にほったらかしにしていたキャリーケースから、再び《サクラハリケーン》のロックシードを取り出し、開錠する。再び俺の手からロックシードが離れ、《サクラハリケーン》へと変貌する。

 

「な……!!?」

 

予想外のことだったのか、曹操が口を大きく開けて、驚いている。周りの兵士も同様だ。

 

「………ノーヘル運転になるが、まぁ大丈夫だろ」

 

ここには警察なんかいない。敢えて気を付けるなら転倒するのだけは気を付けないといけないな。

 

《サクラハリケーン》にまたがり、ハンドル部分に手を置く。

 

「………さて、俺は準備できたが?」

 

「え?……ええ、大丈夫そうね……秋蘭?」

 

「は……皆、準備は完了しております」

 

「よろしい。総員、陳留へ帰還する!!」

 

 

 

 

 

 

 

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後書き

 

どうも、作者の北河静です。

まず最初に謝辞を。序章の一話と二話ですが、ちょっとだけ改変しました。まぁ後書き部分の説明を変えただけですが、一応ここに記しておきます。魏ルートメインで書くため、あとの二人は殆ど出てこないかな〜と思います。頑張って出せるようにはしますけどね。

それでわ

 

説明
第一話 零児覇王と相対す
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コメント
まひろさん>感想ありがとうございます。一応修正しました(北河静)
|・・)) って書き方が微妙に判りづらい表現になってる気がします(まひろ)
劉邦征棟さん>ありがとうございます!!ペースは遅いですが少しづづ進めさせて頂きます!(北河静)
連載頑張って下さい。(劉邦柾棟)
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