義輝記 蒼穹の章 その二十五 |
【 司馬包囲網 の件 】
? 司隷 洛陽周辺 にて ?
ザッザッザッザッ…………
稟「初めてお目に掛かります………貴女が……かの司馬懿……ですか? 私達の策を打ち破り、風前の灯火にまで追い込んだ将は…………!」
風「………驚いちゃいましたよー!? 風達の策を強引な力技で破ったと思ったら、今度は誘いで備えを崩すなんてー! 勉強になりますけど……命のやり取りが掛かる時に学ぶのは、御免被りたいのですよー!!」
詠「ゆ、月ぇ──────!! ごめん、ごめんね!! 策を破られた上に、月まで危険な目に合わせて!!!!」 ダダダダダッ ガバッ───!!
月「え、詠ちゃん!!」
洛陽勢が誇る軍師三人……並びながら来るが………詠はお決まりの如く、心配のあまり月に抱きつき、月が目を白黒させる!
ーーーーー
稟「────貴女には、色々と尋ねたい事がありますので、大人しく捕らわれてくれませんか!! 司馬懿!!!」
風「…………稟ちゃんー! 連呼している所悪いですがー、この人は『松永久秀』さんですよー? さっき月様達の会話、盗み聞きしているくせにぃ〜?」
稟「…………………偶々、聞こえてきただけじゃないですか!! ふ、風だって聞いていたでしょう!?」
風「そもそもー、稟ちゃんが……此処まで駆けつけるだけで、息が乱れたせいじゃないですかー? 息を調えるに時間を掛けた人が、悪いんですぅ〜!」
稟「風が『威厳を醸し出すのに、息が荒いんじゃ舐められますよー?』と言ったからじゃないですか!?」
風「そんな昔の事は〜忘れましたぁー!」
ーーーーー
翠「お、おいっ! お前等本隊の軍師が来たら……誰が指揮をとるんだよぉ! 蒲公英や程遠志じゃ無理な話だぞ!! それに、このまま上手くいくかどうかも……………!」
詠「それは───大丈夫よ! 孫呉に救援に向かっていた霞達の代わりに、伊達勢が来援してくれたの!! 今は………掃討戦に入っているわ!!」
久秀「─────────!」ガクッ!
その言葉に反応して…………膝を付く久秀!
★☆☆
付近から聞こえるのは………勢いに乗る禁裏兵の声!
袁術兵は、声こそ出さぬが………顔色が悪く……明らかに疲労困憊だった。
政宗「白蓮殿の策のお陰で、敵の勢いが落ちた! 皆の者! 手柄を立てるのは今ぞぉぉ────!!」
成美「どおぉけどけどけぇ───!! 成美ちゃんのお通りだぁよぉ!!」
景綱「敵が弱まったからと言って気を抜くなぁ!! 周辺の様子にも注意しろぉ!!」
元綱「ほらほら! 勝ち戦だからこそ、気を引き締めなきゃ!! 命があってこその手柄だよ!!」
ーーーーー
白蓮は、月と詠を守るため……前に立ちはだかる!
稟は眼鏡を指一本で直し、久秀の容姿を更に詳しく見ようと近付く。
風は、何時もの通りに見えるが………久秀をつぶさに観察している。
勿論、周りは屈強の白馬義従達が囲み、翠も油断なく銀閃を久秀に向ける!
久秀「どう……………て………」
久秀が俯き加減に…………顔を下へ向け呟く!
……その声に、みなが一斉に注目する。 相手は……かの司馬懿、油断をすると何かを仕掛けてくるのか?……微塵も視線を外すものか……! そう警戒を露わにする。
すると………久秀の顔が上がり………白蓮に向いて……問いかけていた!!
久秀「どうして……どうやって、久秀の『車懸りの狂陣』を破れたの!? 洛陽の軍師共でさえ……久秀の策に気付かず的外れの事を行い、この様になったのに……なんでぇぇ! 貴女如き将に負けなくてならないのよぉぉぉ!!!」
白馬義従「このアマぁ! 白蓮様のお気に障る『普通』呼ばわりするんじゃねぇ! 『 まてまてぇ! 私の事は構わん!! 』はぁ〜、了解です…………」
未だに……自分の戦術を破られたのが認められず、怒鳴る久秀! それに反応して激昂する白馬義従を宥める白蓮。
そんな中で、風、詠、稟の軍師達が口を開き……久秀に同調の意見を述べる!
風「ん───そうですねぇ? 風達も気にしていたんですよ! 何故、あの暴風雨のような陣を破る事が出来たのかー!?」
詠「うん! 状況は分かっているけど……そこに至る所までの過程を知りたいのよ!」
稟「白蓮殿! 私も気になります! その着想……見事としか言えません! 是非とも教えて下さい!!!」
翠「おっ? あたしも聞きたい! ………大丈夫だよ、司馬懿はあたしが監視続けるから。 変な事になる前に倒してやるよ!!」
白馬義従『我等も白蓮様の意図が、分かり兼ねております!! 白蓮様の知謀の一端………愚鈍な我々にも………お教え下さい!!』
白蓮は、急に自分に注目が集まった為………些かビクついた。
様々に事に対して…『普通』…以上の評価を受ける事が少ない白蓮は、こういう状態には慣れていない。 普段は、周りに白蓮を慕う白馬義従達が……眼付け……ゴホン……怪しい者がいないか護衛をしているのだ。
しかし、質問を受けたら答えるのが義務。 疑問文を疑問文で返すなど……学問所では習っていない!
白蓮は……多少緊張気味に……そして悲しそうに……理由を教えた。
◇◆◇
【 白蓮の策 考え中 の件 】
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《 白蓮の回想 約一刻(二時間)前 》
……………あの時、『いつものように』袁術軍を観察したんだ。
『識別の大長考』となんて呼ばれている……私の特技だが……何の事は無い。
敵の気が付いた『おかしな所』を頭の中で様々な角度で分析、後は実行の可能性、敵味方の損害、その後の処理を踏まえて……目処がついて初めて実行に移す! そんな臆病で優柔不断な戦法なんだ…………。
今回も観察をしていたら……袁術軍の反応が、どこか『おかしい』!
負傷兵が、あれだけ暴れる姿を見るのは……意外に…結構あるんだ!! 私でさえ……大怪我を負っても奮戦する奴らを……何度か……唖然として眺めていた事があったよ。
腕を半分落とされようが、足を片方斬られようが……相手を斬り殺す奴もいる。
………中には、片方の目玉に矢を食らい……その目を自分で食べて……奮戦した将もいたぞ! 流石に………アレには冷や汗ものだった…………。
───ん? いや……そいつは男だぞ? 姓は知らないが『惇兄ぃ』と呼ばれていたから……男の筈だ! どこで見た? どの軍に居た?……って言われても……かなり昔なんだよ。 一つ言えるのは………虎牢関の戦い以前の話だ。
話が逸れたな。 …………だから! その男の話は終わりだ終わり!! 私の策を破った話を聞くんじゃなかったのかよ………。 やはり……普通の私じゃ活躍も霞むのは分かるが……余りにもあからさまじゃないか!!
………まぁ……あれだけの猛将だ! 必ずどこかで出会うさ! 生きていたらな……………。
えーと……話を元に戻すぞ!! うっ、うるさいっ!! 話が進まないじゃないか!! 大体……私の話をする筈が……何で、その猛将の話になるんだ!?
でぇ……だ! そんな『個人』を見た事はあるが………『集団』は無い! 大体……そんな状態の奴らが……規則正しく動くと………思うか?
まぁ、百歩譲って動けたとしよう! だがな、かなりの負傷兵が居ただろう?
己の身体の一部が無くなったのに……なんで他の兵の強靭振りに付いてこれる………? 一兵も乱れが無いと言うのは……異常じゃないか?
それに、奴らは……足元の警戒心が殆ど無い?
自分達の味方の兵が足下に転がってきたのに、気にもせず踏み殺した。 普通の兵じゃあ……あんな残酷な行いを顔色も殆ど変えずにやるなんてな………。
………………………………
その時……思い付いた戦術があったんだ。 これならと思った! 私の隊の者なら、必ず成果を上げてくれると考えた! しかし……もし予測が………間違っていたらと考えると………白馬義従達が!!
私も白馬義従達も……颯馬の恩義の為……命を捨てる覚悟だが……出来れば生きて家族の元へ返してやりたい! 私の事など────二の次で充分なんだ!!
くっ! ……この迷いが……普通と言われる理由何だろうだよな……。
何時も決めようとする度に……情と利で……決断を悩ますんだよ。 だが……悩んだ分……後悔は……少ないのも事実。
今回も決断が長くなる………そう思っていたら……白馬義従の新人が私に言ってきたのだ!
白馬義従3「白蓮様! 僕達は貴女の為に、命を捨てて敵を壊滅させるつもりです! ですから………どうか御命令下さい! 白蓮様の知謀を! 白蓮様の武を! 白蓮様だから成せる絆の強さを!! あの者達に御披露下さい!!」
年の頃十五、六の少年が、顔を真っ赤にしながら叫ぶ! 名を『田国譲』と言ったか? 身体が細く女っぽい顔をしているが………結構機知に長け、武もなかなかの者。 私が見つけ……白馬義従に誘った。
その者が………叫ぶ! 普段大人しい者に、ここまで言わせてしまうとは………!!
見れば……他の白馬義従達が……顔をチラリチラリと見せては……笑う。 『 へっ! ウチの大将は優し過ぎて困るぜぇ! 』とでも言いたそうな顔だ。
私は、その者と白馬義従達の信頼に答えるため、決断を起こしたんだ!!
◆◇◆
【 白蓮の策 実行編 の件 】
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《 白蓮の回想 その2 》
袁術兵が『車懸りの狂陣』を更に威力を強めるため、回転を上げる!!
最早……人では無い! あれだけの大怪我を負いながら、動きが常人より早い! それが万単位で一糸乱れずに攻め寄せる。
中央の禁裏兵は潰走のため、最早壊滅状態! ただ、そこで円陣を組んで戦っている司馬懿が居るため、邪魔が出来ない。
両翼の二カ所を比べれば……西涼軍は統率も将も尋常ならぬ者! こちらを倒すには……刻が掛かる。 ならば……攻めやすい公孫軍を狙うのが最良!!
『…弱き所から攻めるように……』と命令を残した主の為、袁兵達は弱きと思う公孫軍を狙って近付いて行く…………。
ーーーーー
白蓮「……敵が近付いて来たら……行動を起こす!! 前衛に二人ずつ組め! 剣を持った者を下に伏せ、盾を持った者は敵の攻撃を防ぐんだ!!」
白馬義従の前衛……手盾を持つ物が立ち上がり、剣を持った者が……その者の股より剣を握り締めた手を出す。 利き腕により、顔は左右どちらかに出すのだが……何とも珍妙な備えである!
後衛は、万が一の為……援護として槍を持つ。 手盾役の予備の準備もしてある。
これが…………白蓮が考えた袁術軍を破る秘策。
そして…………双方が激突した!
★☆☆
袁兵「─────────!」ブーン!
白馬義従2「ぐぅ─────!」ガンッ!!
袁兵の速い打ち込みが、白馬義従に向けられる! 白馬義従も手盾で何とか遮るが───余り耐えれる回数は多くは無い!! 禁裏兵に行っていた時よりも威力も速さも上回っている!!
しかし、その打ち込みにより、一瞬動きが止まった袁兵に、足下の白馬義従が凪払う! 狙いは足首!! 特に腱を狙えば───動くのは確実に鈍くなる!
ザシュ──────! ブチィン!
何名かの剣が、見事に袁兵の足を傷つけた! 勿論狙いである腱も斬った!
一瞬痛そうな顔をするが……瞬時で平気な顔をして戻る袁兵!
…………しかし、腱を斬られた事は……徐々に袁兵の隊列を見出していく。
ーーーーーーー
袁兵は元々大怪我を負い、明日をもしれぬ命の者を久秀の暴走で……強制的に『動く傀儡』に変えた者達。 その『時点』で無くした部位は、傀儡にした際に、戦闘で支障が無い程度『調整』している。
痛覚の遮断、部位損失によるバランス調整、傷の止血など…………。
怒りで我を忘れた久秀に、そんな事が出来るかと問われかもしれない。 しかし、傀儡として重傷者を『動かして働かす』のだ。 それを怒りで忘れるような久秀では………この世界の将に敵対する事など出来ない。
そして、その後に負わされる致命傷。 当たり前だが……心臓を刺されば死ぬ。 大事な部位、腕や脚が傷ついても……調整は出来ないのだ。
本気になれば……于吉のように『死者蘇生』の術も出来るのだが……久秀には現時点では……無理。
何故なら、久秀の術の力は無尽蔵では無いから……。 己の命を削り……発揮する禁断の術。 于吉は『外史の管理者』だからこそ、万の兵を生み出し操る事が出来る。 久秀は………異世界の住人。 それだけの事…………。
今回は、乾坤一擲の一撃を仕掛ける為と『はぐれ姫武将コンビ』の相方……順慶を無事に、官渡へ脱出させてやる『恩着せがましい情け』も含んでいた。
ーーーーー
白蓮「無理は絶対にするなっ! 手盾を扱う者は交代の合図を出し替われ! 後衛の槍を持つ者は援護せよ!!」
袁兵の『車懸りの狂陣』に乱れが見える! 動きが鈍くなる奴が邪魔をして、隊列が崩れてきた!!
ガチャン!! ザシュ! ブシュッ─────!
白馬義従2「ぐわぁーーーー!!」
………もう少しのところで、白馬義従に犠牲が……でた!
袁兵が……上からの攻撃と見せかけて、横撃に切り替えてきたのが原因。
白馬義従2「………ここまでか! あ、後を頼む!!」
白馬義従2……厳綱は、斬りつけた袁兵を捕まえると……袁兵の隊列に突撃して行った。 一瞬の出来事で……他の白馬義従や白蓮も止めれなかったのだ!
ーーーーー
白蓮「おいっ! 厳綱──!? 厳綱ぅ──!!!」
国譲「だ、駄目です! た、大将が離れないで下さい!!」
白馬義従4「白蓮様! 厳綱兄貴の心意気……どうか汲んでやってくだせぇ!」
ーーーーー
厳綱の狙いは……隊列の足下に入り……止めの『邪魔』をする事!!
厳綱「白蓮様や白馬義従隊に─────栄光あれ!!!」
ズザザザッーーーーー!
ただでさえ……足の傷を負う者が増え……隊列が乱れた袁兵。
そんな中………障害物が唐突に現れたら……………!!
袁兵「ーーーーーーーーー!!」
袁兵「━━━━━━━━━!」
ガッ! グラッ! ドドドドドドッーー!
傀儡の兵に……足下の警戒心などある訳がなく、勢いが付いた者が……前方の混乱に気付いたとしても、急に止まれる訳もなく………。
結果的に言えば─────大規模な『将棋倒し』が起きたのだった!
◇◆◇
【 『司馬懿』の最後 の件 】
? 司隷 洛陽周辺 にて ?
白蓮「────その直後だったよ。 孫呉から舞い戻ってきた伊達勢が救援に入り、私達の優勢へと傾いたのは…………。 後は、伊達勢に袁兵の弱点を教え、程遠志や蒲公英、白馬義従達に任せたんだ。
そして………この戦いに加勢する為の準備を行ったのさ。
それが終わって、気が付けば……月が殺されそうになっている!! 他の奴は鎧を着込んでいるから素早く動けない! 一番身軽なのは──準備が遅かった私だけだ!! 体型に合う普通の鎧が無くて………ゲフン。
と、兎に角! 私は厳綱みたいに家族を失いたくない!! だから……私は全力で阻止する為に動いたんだ!!」
白蓮の長い説明は…………終わる。 目に少し涙を溜めて………。
久秀「────得心がいったわ! そう……戦術の知識で対処せず、愚直なまでの観察眼で敵の粗探しを行い、兵の絆を持って敵を壊滅に追い込む。 怖いはねぇ〜ホント怖い………」
白馬義従「──やっと白蓮様の恐ろしさが分かった『 全く……お目出度い連中。 ………違うわよ 』────何ぃ!?」
久秀「戦略、戦術の知識では無く………観察眼と兵の絆に頼る貴女の戦術! 確かに久秀じゃあ……無理ね。 とても思い付かないわ! でも……クスクス…」
翠「てめぇ! 何が可笑しいんだ!?」
久秀「だって………ここは戦場よ? 貴女のような悠長な観察眼、思考では優秀な軍師を伴った勢力に蹂躙されるのがオチよ?
それに……大事な兵が、その都度、死んで行く。 今回は『運良く』一人だけのようだけど、大規模な戦になれば……数百、数千、果ては全軍壊滅だってあるかもしれない! そうなったら……貴女の心は耐えれるワケ?」
白蓮「………………」
久秀「たった一人でさえ、その悲しみ様。 多人数が策の為に死んだら……残った貴女はどうなるのかな? ……残念だけど……久秀に貴女の壊れる様子を見物する時間なんて残ってないのよ……ホント残念!」クスクス
久秀が面白そうに……くすくすと笑う。
そんな中………白蓮の背後より………上擦った声が聞こえた!
田国譲「───待って下さい! 白蓮様の軍師……僕がなります! 沢山勉強して………必ず、必ず! 勝利を白蓮様に捧げ……その心痛を軽減するように頑張ります!!」
その後ろには………白馬義従隊が………勢揃いしている!
白蓮「お前達………戦は?」
田国譲「はいっ! 僕達の勝利です! 政宗様から労いの言葉を掛けられ、『功労ある白馬義従隊は下がって休んでおれ!』……と。 それで、御報告に向かうところ、この事態に遭遇して…………黙って居られなくなって……ぁぅ」
白馬義従「俺等は……死ぬ覚悟もあるが……白蓮様と生きる覚悟もある! ならば鍛えて鍛えて鍛えまくり……白蓮様に負担のならないようにすればいい! そうだろう!? ──────お前達!!!」
白馬義従「おおおぉぉ━━━━━━━━!!」
白蓮「────すまない! 心配かけてしまったようだなぁ! 私も皆の足手まといにならぬように───更なる努力を積もう! 皆で楽しめる平和な世へと──変える為に─────!!!」
『うおおおぉぉ────────!!!』
田国譲と白馬義従達から歓声が上がった!!
★☆☆
稟「…………最後の悪足掻きですか? 残念ながら………思惑を大きく外したようですよ?」
風「援軍も来てくれましたしー、観念した方がいいのでは〜?」
詠「月を殺そうとしたコイツなんて………殺しちゃた方がいいけど……情報がまだ足りない! アンタの知ってる事───全部教えてもらうわよ!?」
三人の軍師が……まだグッタリしている華雄、心配そうに看病する月を守るように囲み……その護衛に翠が傍に付く。
白蓮は……白馬義従の中で屈強な三十人で……四方を固め久秀を抑えにかかる!
しかし………久秀は……笑っていた。 こんな時に関わらず、可笑しくて可笑しくて堪らない程………笑っていた!
久秀「アーッハッハッハッハッ!! 久秀がぁ? 久秀がぁ!? ここで貴女達に捕らわれる? 本気でぇ………そう思っているの!? アーッハッハッハッハッ!!!」
全員──────唖然とする。
久秀の兵力は皆無! あの久秀の疲労の濃さは、敵対する白蓮達にも分かる程。 そして───逃げ道も────無論──────無し!!
風「あぁ! だ、誰かぁー! 誰か止めて下さいぃー!!」
日頃───物静かな風が大声で叫ぶ!!
始めは意味が分からなかった……周りの者達!
しかし…次の久秀が起こした行動で……理解したが……後の祭りだった………。
久秀「……………ふふふふふふ!!」
久秀は………懐の中から探って出した物は………小さな短剣。
日の本に伝わる『脇差し』と分かる者は………誰も居ない。
桜の花弁が舞い散る意匠がしてある、一見して豪華な物。 それを鞘から外して、久秀の胸に──────標準を定める!!
久秀「────最後の最後まで───久秀の想定を裏切る憎き者共!! 久秀はねぇ───貴女達の手に掛からない!! 久秀の最後は────久秀が決めるのよおぉぉぉ──────!!」
スッ─────! ゴフッ!
脇差しが───音も無く──久秀の胸に刃を吸い込ませる!
久秀の衣装が────豊満な胸を中心に……赤色に染まる!
久秀の小さい口から………一筋の血が流れ落ちた……………。
漢王朝、袁本初を翻弄し続け、曹孟徳を破り、孫呉に大打撃を与え………あの天城颯馬と智を争い、互角以上の成果を挙げた天下の奇才『司馬懿』が………歴史上で消えた瞬間であった…………………。
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
少々……話に詰まった為……他のサイトの電子小説読んでいましたら……ハマりました。 『義輝伝〜幕府再興物語』…………凄い良かった…………。
『無敵な姉さんが実は変態的なブラコンでした』も……書き方参考というより笑い転げてました。 是非続きを読みたいところです。
もう少し……丁寧に書ければ……いいなぁ………と思うんですが……ふぅ。
そんな事やっていたら………前作の閲覧数が伸びって来てびっくり。
白蓮の活躍する話って少ないのかな………と思っている次第です。
本文でもありましたが………司馬懿は……こうして消える事になりました。
ちなみに久秀の容貌は……戦極姫四と同じですよ〜。
ここだけ断言しておきますね。
また、よろしければ読んで下さい。
説明 | ||
義輝記の続編です。 今回も、あの将が活躍してくれます? よろしければ読んで下さい。 白馬義従の名前が二人決まりました。 |
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コメント | ||
禁玉⇒金球様 再コメントありがとうございます! いえいえ……それは全然全く構いません。 先を読まれれる事あれば……変更すればいいだけです。 ただ、どうしても二人だけの姿しか浮かばないんですよね………。(いた) ↓すみませんいらん事書いたかもです、田国譲の視線の先にある墓石に公孫賛の名が刻まれていても…いいのですよ?短命でしたからねぇ(禁玉⇒金球) 禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! 十年後の話……ヤバッ! 当たってるw 墓参りの話を入れようとしたんですが……まぁ……未定です。 白馬義従達から熱烈なかわいがりを受けるのは間違いないでしょう。 取りあえず……女装して付き合えと。(いた) あっ風いたのか…すまんw。なんでしょうこのケンさんとチエコさんを彷彿とさせる白馬義従は。十年後に田国譲は厳綱の後継いで若頭として白蓮を支えるかそれとも白蓮との墓参りをしているか…取り敢えず新入りがいきなり出張った以上は他の兄貴分からヤキが入りそうな。(禁玉⇒金球) Jack TIam様 コメントありがとうございます! その通りですね。 斉孫子兵法曰わく『積は故に積ならしめ、疏は故に疏ならしむ』……無理して不自然になってはいけないの意味。 人の備わっている物を捨てた時点で敗北は決定だったのです。(いた) 机上の冷たい計算も必要だが、そこには確実に熱量を持った血が流れていることを忘れては、机に向かった者は人ではなくなってしまう……確かに、戦意を失わず、統率の乱れない軍隊は強いかもしれない。ですが、それは互いに信頼して強固に結びつくことで生まれる力を捨てた強さ。人は人であるからこそ強いのですよね。(Jack Tlam) ふかやん様 コメントありがとうございます! 白蓮の軍勢は正に『信頼』あっての勝利でした。 久秀の軍も強力でしたが………柔軟性が無い為敗北の憂き目に合う事に。『烏合の衆』と言われても弁解はできませんね。(いた) まさに『信頼』と言う武器があってこその勝利、と言えるものよ。幾ら兵法や軍略に長けていようと…兵士達との『信頼』を勝ち得ない軍など『烏合の衆』でしかないという事が証明されたな。(ふかやん) mokiti1976-2010様 コメントありがとうございます! えーと……久秀は………ネタバレになりますが………出てきます。 戦極姫知ってる人だけに分かる……違和感を文章に残しましたので、気付く人が何人かいるかな………と。(いた) あら、久秀死んじゃった…でもせめてその直前に封印された方の久秀の意識が覚醒するとかを希望。(mokiti1976-2010) ご存知かと思いますが……某漫画の『 疑問文には、疑問文で答えろと、学校で教えているのか?』をアレンジしてみました。 名前を付けたのに……壮烈な死に様になっちゃいました。 兄貴っぽいですが……一発キャラです。(いた) naku様 コメントありがとうございます! 田国譲……男の娘キャラにしようかまだ悩み中です。 十年後の後日談……おまけで入れようと思ったら、爽やかな好青年しか浮かばない! だから中途半端です。 ……白蓮の活躍振りは、ご指摘の通りで……間違いないと言えば間違いないんですよね。(いた) h995様 コメントと情報 ありがとうございます! 作者も知る限りですと……曹彰に仕えた時に敵伏兵に襲われて、車を利用した障害物で円陣組んで撃退したそうです。 実は演技にも表現だけあって……孔明の北伐が起きた時に、守備で向かうような記述があるそうです。(いた) 田国譲。……正史にしか出てきませんが、実はあの司馬懿をして老齢による引退を思い留まる様に説得したという超の付く逸材で、劉備が一度配下や友軍という形で行動を共にしながらも逃してしまった三人の英傑(後の二人は太史慈と陳羣)の一人でもあります。そして、史実では公孫?に冷遇されているので、その違いが今回の活躍を生んだのかもしれませんね。(h995) |
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