英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 |
〜マルーダ城・会議室〜
「―――それでは次にこの世界―――ディル・リフィーナにおける神々を崇める宗教団体の事に関しての説明をしますね。」
「よろしく頼む。」
「私達の世界で知られているのは”混沌の女神(アーライナ)”と”癒しの女神(イーリュン)”だけど他にもあるの?」
プリネの言葉を聞いたガイウスは頷き、アリサは尋ねた。
「ああ。その二つの宗教はほんの一部だ。」
アリサの言葉にリィンは頷き
「リィンさんの言う通りこの世界には多くの神々がいて、同時に多くの宗教団体がいるんです。まず神々を崇める宗教は”光陣営”と”闇陣営”の二つに分かれているんです。」
「”光陣営”と”闇陣営”だと……?」
ツーヤの説明を聞いたユーシスは眉を顰め
「このディル・リフィーナにおける”光”に属する神々と”闇”に属する神々は互いに対立している為、その関係でそれぞれの神々を崇める宗教、その宗教と深く繋がっている国々も完全に敵対状態なのです。時には戦争も起こったりする事もあるのです。」
「”宗教戦争”か……」
「我々の世界では”空の女神”しかいなかったから、そう言った話は聞かなかったが……」
「ま、教えとかも違うんだから当然争う事もあるでしょうね。」
エリゼの説明を聞いたマキアスとラウラは考え込み、サラ教官は冷静な様子で呟き
「要するに”西風の旅団”と”赤い星座”の対立みたいなものだね。」
「フィ、フィーちゃん。それはちょっと違う気がしますよ……」
フィーの言葉を聞いたエマは冷や汗をかいた。
「まずは光の神々についてですが……一番有名なのは”軍神”マーズテリア教団です。」
「”軍神(マーズテリア)”とはその名の通り、勇猛な戦神で、その宗教に属する騎士達は精鋭揃いで国家間の争いに介入できるほどの軍事力を持っているんです。」
「ええっ!?しゅ、宗教が国家間の争いに介入できるの!?」
「まさに”軍神”の名を持つ宗教に相応しい宗教団体と言った所か……」
プリネとツーヤの説明を聞いたエリオットは驚き、ラウラは真剣な表情で呟いた。
「基本光に属する神を崇める宗教団体は天使やエルフ族を除いた異種族―――――特に”闇夜の眷属”を忌み嫌い、その事からメンフィルは何度もマーズテリア教団と剣を交えています。」
「……という事はメンフィルは闇陣営の神を崇めているのか?」
プリネの説明を聞いてある事が気になったガイウスは尋ねた。
「いえ、メンフィルは”光と闇の共存”を謳う国。光の陣営の宗教団体も受け入れていますが……”相手が誰であろうと決して傷つけず、傷ついた者には誰であろうと癒しを奉げる事”を教義としている”癒しの女神(イーリュン)”と”交易の神”である”セーナル”以外の光陣営の宗教は領内で活動をしていません。」
「―――その件ですが……”風の女神(リィ・バルナシア)”教団がメンフィルに接触してきました。」
「え……”風の女神(リィ・バルナシア)”が?そんな話は初耳ですが……」
ツーヤの説明を捕捉したエリゼの話を聞いたプリネは目を丸くしてエリゼを見つめた。
「えっと……何なの、そのリ、リィ何とかって言う宗教は?」
「先程の話にあった光陣営に属する宗教なのか?」
話を聞いていたエリオットは戸惑い、マキアスは尋ねた。
「はい。”リィ・バルナシア”―――――同じ光陣営に属する神―――”嵐の神バリハルト”の妹神に当たる”風の女神”を崇める宗教です。」
「”嵐の神”に”風の女神”…………」
プリネの説明を聞いたガイウスは呆け
「――それでエリゼさん。今の話はどういう事ですか?”風の女神(リィ・バルナシア)”がメンフィルに接触して来た等私も初耳ですよ?」
プリネは真剣な表情でエリゼを見つめた。
「プリネ姫が知らなくても無理はありません。”風の女神(リィ・バルナシア)”教団に属する天使モナルカ様が”風の女神(リィ・バルナシア)”の使いと名乗って2日前にマルーダ城に現れたんです。――――。”風の女神(リィ・バルナシア)”教はメンフィル帝国と友好を結びたいと。」
「ええっ!?」
「まあ……!素敵なお話ですね……!」
「何故またそのような唐突に……」
エリゼの説明を聞いたツーヤは驚き、セレーネは嬉しそうな表情をし、プリネは戸惑いの表情で尋ねた。
「モナルカ様のお話では光と闇が共存するメンフィルの在り方を見守ってきた”風の女神(リィ・バルナシア)”自身が考えを変えたとか。リウイ陛下がお忙しいのはその事も関係しています。」
「なるほど……”風の女神(リィ・バルナシア)”の考えはわからないけど、とにかく光と闇の共存を目指すメンフィルとすれば嬉しい申し出ですね。もしかしたら皆さんの世界にも”風の女神(リィ・バルナシア)”教が進出するかもしれませんね。」
(へえ?一体どういう風の吹き回しかしらね?兄神である”嵐の神(バリハルト)”は闇夜の眷属達に対して排他的な考えなのに。)
エリゼの説明を聞いて微笑んだ後リィン達を見回して苦笑し、ベルフェゴールは目を丸くして首を傾げていた。
「それって、新しい宗教がゼムリア大陸にでてくるって事?」
「そうなったら、世界中を騒がす事になるだろうな……」
「………………そうね。一番の問題は七耀教会がどんな反応を見せるかだけど。」
プリネの話を聞いたフィーは首を傾げ、リィンは呆け、サラ教官は真剣な表情で頷いた後呟いた。
「へ……七耀教会が?」
「どういう事だろうか?」
サラ教官の言葉が気になったアリサは呆け、ラウラは不思議そうな表情で尋ねた。
「―――考えても御覧なさいよ。宗教は信者達や国による”寄付金”で成り立っているのよ?ただでさえ異世界の宗教が進出して来た事で信者の数を減らしているのに、そこでまた新たな宗教が出てきたらどうなると思う?」
「あ……!」
「なるほどな。要は”寄付金”が減る事だな。」
サラ教官に答えを促されて何かに気付いたエマは声を上げ、ユーシスは呆れた表情で答えを口にした。
「……寄付金が減ると不味いのか?」
意味があまりわかっていないガイウスは不思議そうな表情でリィン達を見回して尋ね
「まあ、七耀教会も教会の維持は勿論福祉施設の維持などの関係で物入りだからな。信者達による寄付金が減る事は正直嫌だろうな。」
ガイウスの疑問にマキアスは静かな表情で推測した。
「確かに異世界の宗教が現れるまで七耀教会が信者を独占状態だったから、これ以上宗教が増える事はあまり歓迎したくない事でしょうね。」
「うーん、僕達がいつもお世話になっている七耀教会がお金の事を気にしているなんて、正直ショックだけど……」
「神父の方達にも生活があるからな。聖職者でありながら金の心配をするなと言う方がむしろ酷というものだな……」
複雑そうな表情で言ったアリサの言葉にラウラは不安そうな表情をしているエリオットと共に答え
(後は”星杯騎士団”がどういう反応をするか、ね。)
サラ教官は真剣な表情で考え込んでいた。
「―――それと実際”風の女神(リィ・バナルシア)”教団がゼムリア大陸に進出しましたら、”風の女神(リィ・バナルシア)”を崇める騎士団まで進出してくるかもしれませんね。」
「”騎士団”だと?」
プリネの説明を聞いたラウラは眉を顰めて尋ねた。
「ええ、これはほぼ全ての宗教に言える事なんですがそれぞれの神を崇める総本山には”神官戦士”達によって結成されている”騎士団”が存在し、世界各地に派遣されているんです。」
「”神官戦士”ですか……」
「………そうなると国家間で戦争が起こった際、”力づく”で介入して来る可能性もあるという事か……」
ツーヤの説明を聞いたエマは真剣な表情になり、ユーシスは考え込んだ。
「あれ?でも”混沌の女神(アーライナ)”も”癒しの女神(イーリュン)”もそんな存在は聞いた事がないよ?」
その時ある事に気付いたエリオットは首を傾げて尋ねた。
「戦いを否定する”癒しの女神(イーリュン)”はそのような存在は最初からいませんし、”混沌の女神(アーライナ)”はゼムリア大陸全土の”混沌の女神(アーライナ)”教の責任者であるお母様が”混沌の女神(アーライナ)”教に属する神官戦士達の”アーライナ騎士団”の進出を断っているんです。悪戯に七耀教会や他の国家を刺激する訳にもいきませんので。」
「そ、そうだったんだ……」
プリネの口から出た予想外の話にアリサは目を丸くした。
「―――少しいいかしら?」
「ベルフェゴール?どうしたんだ?」
「今の話を聞いて少し気になっていてね……他の光陣営の神々を崇めている団体―――特に”軍神(マーズテリア)”の連中はそんな裏切り行為にどんな反応をしているのかしら?軍神(マーズテリア)の連中は闇夜の眷属(私達)や闇陣営に属している連中を毛嫌いして、機会あれば滅ぼそうとする連中よ。」
「ええっ!?」
「そ、それ程までの緊張状態に陥っているんですか……?」
ベルフェゴールの疑問を聞いたエリオットは驚き、エマは信じられない表情でプリネ達を見つめた。
「はい。ベルフェゴール様の疑問についてですが……モナルカ様のお話では”軍神(マーズテリア)”教の過去の強引なやり方は他の光陣営の神々を崇めている団体も眉を顰めており、距離を取っているそうです。」
「へえ?どうやら長年のツケが来たみたいね?――邪魔したわね。」
エリゼの説明を聞いたベルフェゴールは興味ありげな表情をした後リィンの身体に戻った。
「強引なやり方とはどういう事なのだ?」
その時ある事が気になったラウラはプリネ達に質問した。
「―――先程も説明したように”軍神(マーズテリア)”教は国家ともまともに戦えるほどの戦力を持ち、加えて独自の判断で動く宗教団体。過去紛争地帯に介入し、紛争地帯を”神殿統治領”としてマーズテリア神殿が治める事もあり、その結果”軍神(マーズテリア)教”は他の宗教団体と比べると比較できない程の勢力があるんです。」
「そ、それって……」
「―――”鉄血宰相”のやり方と同じだな。」
プリネの説明を聞いて何かを察したエリオットは不安そうな表情をし、ユーシスは目を細め
「なるほどね。確かに他の宗教団体からしたら面白くない話ね。で、その結果その軍神(マーズテリア)教とやらは孤立したようね。今の話を聞くとエレボニア帝国も他人事ではないわね……」
「そだね。もしエレボニアに未曾有の危機が訪れたらどの国や団体も助けてくれないんじゃない?宿敵のカルバードは勿論、”百日戦役”のせいで多くの被害を被ったリベールも可能性は低いし。”百日戦役”の時に仲裁した遊撃士協会は”鉄血宰相”が擁する”情報局”によって多くの支部が撤退させられたから、良い感情は持っていないだろうし。」
「………………」
「それは…………」
「フン、洒落になっていないな。」
サラ教官の話に頷いて推測したフィーの言葉を聞いたマキアスは複雑そうな表情をし、ラウラは真剣な表情になり、ユーシスは鼻を鳴らして呟いた。
”風の女神(リィ・バルナシア)”の話が出て来たからと言ってモナルカ登場の可能性は今の所ないですから、期待しないでください(汗)
説明 | ||
第144話 | ||
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コメント | ||
感想ありがとうございます 本郷 刃様 多分ほとんどのプレイヤーはバリハルトが大っ嫌いでしょうねww kanetosi様 部下のとばっちりを喰らうのトップの宿命ですからww ジン様 天使は今の所考えてないです THIS様 これももしかしたらキーアの因果操作かも?(オイッ!)(sorano) なんと・・・でも順調に共存が進んでいるのがうれしいですな。(THIS) 天使と言えばそろそろリィンの使い魔に天使が加わんないかなぁ〜個人的にはオリキャラでミカエルクラスの大天使で容姿がZ/Xのミカエルだとうれしいな^^(ジン) とばっちり多いなぁwそして暫くはディル=リフィーナの世界情勢回が続くのかね?(kanetosi) バリハルトは確かに光陣営の中でも好戦的かつ排他的ですが、妹のリィ・バルナシアはモナルカの思考のように光陣営の中でも中立よりですし、妻のヴィリナに関しては夫に制裁を与えるほど厳格ですからね・・・それとマーズテリアは軍神ですが寛容な神です、排他的なのはあくまでも現教皇一派ですね・・・マーズテリアはとばっちりを受けただけというw(本郷 刃) |
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