IS レギオン 7話 |
そして、両者は、激突した。
自分は、自らの口角を中心とした刺突戦法による攻撃をし、あいつの身体を貫通させる事を第一に攻撃を加えたが、あいつは、自分の腹部にある部下たちを生産する為の器官を攻撃し、破壊した。自分は、これ以上時間を掛けたくない為にあいつを押し倒し、再度口角を開き、頭頂部の角の間からの熱波長攻撃でとどめを刺そうと準備し、発射しようとした瞬間にあいつは、足部を引っ込め、勢いよく何かを噴射し、自分からすり抜けた。しかも、その反動で熱波長の照準が狂いあらぬ方向に飛ばしてしまった。そして、あいつが自分から距離を置いた瞬間、何か細長い物体を多数感知し、それが自分に向かってくると知ると、それを妨害する様に仕向けたが、何発か不意に当たってしまい、鈎爪状の器官の何本かを失ってしまった。するとあいつは、それ見た事かと火球を打ち出し、自分は、また無力しようと思ったが、完全に無力化できず、深い傷を身体中に受けた。
そして、自分は、再度短時間に熱波長を作り出し、あいつの周りに放射した。あいつは、叫び声の様な咆哮し、自分の口角を腕力で無理やり破壊した、自分は鋭い痛みと共に
「よくも、よくも、よくもおおおおお、自分は、自分はああああああ」
と声をあげずに咆哮し、怒り狂い、あいつだけは、必ず殺すと思い、問答無用に失った口角部分から熱波長を持つ鞭をあいつに向けて攻撃し、何本かをあいつに貫通させてやった。
すると、あいつに何か強烈な波長を感じた。
「これは、なんだ、何が起こった!」
と思った瞬間、あいつの腹部が開き、強烈な光と共にある言葉を聞いた,いや感じたと言って良いのだろうか、そんな不思議な感じがした。
「ガメラ」と「マナ」と
その瞬間、初めてあいつの名を聞くことになった。
だが、不思議なことはもう一つあった。それは、なぜ自分が宇宙(そら)に居たのか、そしてお前と出会った。
「一夏よ」
「なぜ、僕の名前を?」
と一夏が質問すると、自分は、
「お前(一夏)は、俺の記憶を見たはずだ、その逆もあるようにお前の記憶を自分が見た」
と答えた。
すると、一夏は納得するようにゆっくりと頷いた。そして、自分は、一夏に質問した。
「一夏よ、これから、2つの選択肢がある、これはとても大切な質問だから,必ず答えてほしい。
それでは1つ目の選択肢だが、自分は今一夏の身体と一心同体となっているが、このままいっしょになるか?もちろん、それによってメリットデメリットがある。
メリットは、一つは、お前の視覚を拡大増幅することだ、これは、あらゆる波長を認識できる。勿論直ぐに馴れるように助力する。2つ目は、自分の部下たちを生成し、自由に使えるようにできること。最後だが、自分の持っている能力と特徴を自由に発現できることだ。
デメリットは、定期的にある元素を含む物を摂取して欲しい。その元素は、この地では「珪素」と呼ばれているそうだが、もう一つは、種子を育て、宇宙(そら)に飛ばしてほしい。
2つ目の選択肢だが、自分がこの世から完全に消えてなくなることだ。これは、お前にも何ら影響のないことだ。以上だが、ゆっくりのでいいから答えてくれ」
と言葉ではないが、まるでその質問が直接脳に響いた感じが一夏には断片的に分かった。
そして、一夏は決心した。時間にしてほんの僅かだが、一夏の顔には、決断した顔があった。
「分かった。いいよ、一緒に行こう」
としっかりと自分と向き合って答えを述べた。そして、自分は、
「分かった、それでいいのだな」
と答え、最後に一夏に言った。
「一夏よ、最後に一つだけ私に名前を付けてくれないか?」
と尋ねた。すると一夏は、
「わかった」と答え、
暫く、一夏は考え込むようにしてふと、顔をあげた。
「レギオンっていうのはどうかな?」
「レギオン...どんな意味があるんだ。」
「『主は、お前の名は何かとお尋ねになるとそれは答えた。我が名は、レギオン我々は大勢いる。』って言う聖書の一節にある言葉なんだけど、その中のレギオンって軍団とかの意味があるんだ」
「レギオン、良い名だな。では一夏よ、これからよろしく頼む」
自分(レギオン)は、答えた。その言葉は、少し嬉しそうな感じがした。と一夏は思った。
そして、急に周囲が明るくなっていった。
ピッピッピッピっと規則正しい機械音のリズムを刻みながら、少しずつ、まぶたがゆっくりと開いていき、一夏の視界がぼやけながらも広がっていくのを感じていった。
「あれ、ここ何処だろう、真っ白い部屋だな」
と声を漏らすが、酸素マスクをしているので、その声が外部に漏れることはなかったが、丁度、巡回に来ていた看護師は、検査チェック用の診察表とボールペンを床に落とした音が部屋に木霊したのを一夏は聞いた。
「せ、せ、先生!特別病棟室の患者が、患者が、目を覚ましました!」
と泡を食って、院長室に飛び込んだ。すると院長は、
「落ち着きたまえ、患者が目を覚ましたのかね?他に何か変わった様子とかは無いのかね?ちゃんとした報告がほしい。もう一度、最初から報告をしてくれたまえ」
と冷静に看護師に尋ねた。すると、気持ちが落ち着かせた看護師は、もう一度しっかりとした報告の後、各方面の先生方にも報告しますと言ってから院長室を退席した。
部屋に残った院長は、部屋に備え付けの電話機ではなく、個人用のスマートフォンを取り出し、ある電話主に電話を掛けた。
「もしもし、円谷さんですが、医学(医科大学病院)の院長です。お孫さんの事ですが、いえ、特に(体調)急変したと言う事では無いのですが...落ち着いてください。最後まで話をさせてください。はい、それでは、本題の方に、お孫さんが目を覚ましました。え、よく聞こえない、ですから、お孫さんの意識が戻り、目を覚ましました。はい、それでは、お待ちしています。はい、はい、失礼します。では後程」
と言って電話を切った。
「さて、これからが大変だぞ」
と誰にも聞く人のない部屋で院長の呟きだけが静かに木霊した。
「さて、一夏君いくつか質問してもいいですか?」
「はい、良いですよ。」
一夏が病室から目を覚ましてから数日後、診察の為に診察室に呼ばれた。診察室には、一夏の他に姉の千冬と円谷家の面々も揃っていた。
「では、まず最初に今わかる範囲でいいので、どんな事があったかを教えて欲しいのですが、よろしいですか?」
「うん、分かったよ。ええっと、まずは...(この辺は、最初の出来事の方に書いてあるのでそちらの方を参照にしてください)っていう事があったんだけど...信じてもらえるかな?」
一夏が、今まであった事を話し終えた後診察室には沈黙の空気が漂った。すると、千冬が、
「一夏、そんな出鱈目いうものじゃないぞ!」
と一夏に対して怒った。すると医師が、
「まあまあ、お姉さんそんなに怒るものじゃないよ」
と宥めた後に一夏に向かってこう言った。
「一夏君、すまないが君の言っている事について、いくつか疑問に思っている事があるんだよ」
と優しく諭すように言うと、一夏が
「分かったよ!証拠を見せるよ!」
と声を荒上げて叫んだ。すると、一夏の目の色彩と髪に変化が現れた。
今まで、薄い茶色っぽい色彩だったものが、真紅に突然変わり、そして、髪の色も白銀色に近い色と髪の長さも長くなっていき、周囲を驚かせさらに、椅子を立ちあがった瞬間に倒した。
「一夏君、落ち着いて!」
「一夏、どうした!」
「一夏ちゃん、落ち着いて」
と医師、千冬、高嶺が一夏に語りかけた。茂は、すぐさま一夏に近寄り、
「大丈夫だ、心配しなくてもいいよ」
と優しく語りかけた。
しばらくして、落ち着きを取り戻した一夏の目の色彩が碧く澄んだ色に変わった後、
「御免なさい」
と頭を下げて言った。そして、
「僕に何があって、どんな風になったかを教えるよ」
と言った。
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