義輝記 蒼穹の章 その三十壱
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【 残してくれた物 の件 】

 

? 江東 雪蓮居城 にて ?

 

あれから……江東より『愛紗』、『亞莎』、『明命』の三人を連れて洛陽に戻った。  残った雪蓮達には……大半……ジト目で睨まれたが………。

 

ーーーーー

 

雪蓮「…………城に戻ったら、ふて寝してやるわよ!!」

 

蓮華「───普段と全く変わり映えがないではないですか!! 姉様! 早急に仕事をして下さい! 姉様が……もう少し……しっかりして下されば、私が付き添えれたのに!!! 」

 

小蓮「あぁ〜残念! 折角、勉強から離れられると思ったのになぁ〜! でも、颯馬もいい男ねぇ! 一刀も捨てがたいけど〜!?」

 

穏「あぁ────! 新しい軍略を知る機会があぁぁぁぁ〜!!」

 

冥琳「………穏、後で手伝え! 颯馬より新戦術の案を預かった!」

 

穏「ホントですかあぁぁー!! 嬉しいですぅぅ!!!」

 

祭「さてぇ………城に戻り、《我が息子達》の鍛錬を見てやらねばな!!」

 

思春「…………なんで、明命が選ばれる事に……?」

 

華琳「………短い間の共闘だったけど、『人越の謀将』の器……堪能させて貰ったわ。 やはり、私では適わない相手……と思うのが癪な程……自分勝手な男だった…………。 

 

自分の命を駒に変えて、策の成功率を高めようとするのは、評価しましょう! しかし、その後の後始末まで考えていないのは、軍師としても男としても、自分を落とす行為よ!! 

 

颯馬………出来れば無事でいて頂戴! 貴方の……その先がみたい! 今の漢王朝に従うのは嫌だけど、貴方がいるなら…大人しく頭を下げましょう!!」

 

ーーーーー

 

そして、去り際に………俺は冥琳へ………一つの竹簡を渡す。 

 

孫呉に襲いかかる百万の敵、そこに書いてある策を示唆しながら。 

 

冥琳「私の方も山越の襲撃がある事を掴んでいたが……まさか百万の大軍とは!! だが……その大軍勢を無傷で打ち払う事が出来るのか!?」

 

颯馬「俺の策は……実際の地形、敵の士気、天候、味方の様子は考慮してない。 ただ、『案』だけを示したんだ。 実際に周辺の様子を確認して修正して貰える『信頼できる軍師』がいて、初めて無傷での勝利が生まれる!!」

 

冥琳「───それが、私か!?」

 

颯馬「あぁ! 孫呉第一の軍師にして頼めれないから! だから……この地で孫呉の皆を勝利に導いてくれ!!」

 

冥琳「────分かった。 その信義に応えられるよう、全力を注ごう!! 穏達にも相談してやれば………必ず!!」

 

後、中身を確認して貰い、質疑が無いかと問えば……溜め息を吐かれた!?

 

冥琳「………一体どこから、この妙案が……いや愚問だな。 天の御遣い殿の知に物言いは出来ない。 …………『四面楚歌』と○○○で誤認させるか? それを行うには、水辺か沼地がある場所か良い……。 うむ! 大丈夫だ!」

 

無理やり納得させたようで悪いが、これで孫呉の地は大丈夫だ!

 

ーーーーー

 

亞莎「は、初めまして! 姓は呂、名は蒙、字は子明! 真名は『亞莎』と申します! え、え〜と、よ、よろしくお願いします! 天城様! 皆様!」

 

左近「ふ〜ん。 お前さんは、武も智も合わせ持つ名将だと聞いてるぜ! 私も目指す物は文武両道だ! 双方で切磋琢磨すれば、成長も早いし刺激が出来る! 申し遅れたが……私は島左近! こちらこそ、宜しくたのむ!!」

 

亞莎「はっ、はいっっ! 宜しくお願いします!」

 

ーーーーー

 

明命「えぇっと…………前には、お世話になりました!! 姓は周、名は泰、字は幼平、真名は『明命』と言います!! 御指名頂きアレなんですが…ご、ご迷惑お掛けするやかもしれません! それでも……宜しくお願いします!」

 

義弘「きゃあぁ───! 明命が来てくれたんだぁ!! 貴女で良かったぁ〜!! ねぇ! 聞いて聞いてぇ! 洛陽に住んでいるあの猫(こ)達ね! また子猫を生んだのよぉ!! もぉお〜すっっごく可愛いの!!!!」

 

明命「本当ですかあぁぁ!! お猫さまが御出産!!! もふもふ、なでなで……しかも子猫さまを抱けるのですかぁぁぁ!? は、早く、早く参りましょう!! お猫さま!! ただいま、明命が行きますよぉぉ!!!」

 

ーーーーーー

 

愛紗「わ、私は………」

 

義輝「主の事は、良きも悪きも知っておる! 紹介は不要! ………色々とあるが、評価が上がるも下がるも……主の努力次第! しかと心得よ!!!」

 

愛紗「───────はっ!!」

 

ーーーーー

 

簡単な自己紹介を終えて、洛陽に帰還する俺達。

 

この後、三軍師の巻き込まれたり、笑顔で迎えてくれながら……後ろの黒い影が気にかかる月様と………色んな事があったが………割愛させて貰う。

 

◇◆◇

 

【 久秀からの提案 の件 】

 

? ?州 鳥巣 鳥巣砦 にて ?

 

左慈「交州から山越の軍勢百万、?、羌族連合が百万、匈奴、鮮卑連合が百万、鳥丸が五十万。 準備は……もう少し掛かるが、確実に動く!!」

 

順慶「そうですわね! 鳥丸の軍勢が此方に来援しましたら、一斉攻撃を開始しましょう!! さすれば大軍勢ですもの! 瞬く間に壊滅できますわ!!」

 

久秀「………待ちなさい! 今が有利なのは分かるわ? だけど、颯馬の情報網『忍び』は大陸随一の精度を誇る! こちらが動けば、確実に直ぐバレて、対応策を取られるのがオチよ!」

 

于吉「………ならば、久秀殿に如何様な策があるか……聞かせていただきましょう? 面白ければ採用は勿論、その指揮もお任せ致しますよ!!」

 

左慈「おいっ!!」

 

于吉「久秀殿に良き考えがあり、その策が優秀なれば、受け入れるのが当然の事。 左慈も采配を取るより、個人で戦う方が好むでしょう?」

 

左慈「……………そうだな。 お前の言う通りだ」

 

于吉「ふっ、愛する左慈の事は、何でも知っているこの私です! このような些細な事も、寝言で喋る事も一言も聞き漏らさず記録──『ドスッ!』──ガボラァ!!」 ゴロゴロ──── ガタン!!

 

左慈「────少し見直したと思えばあぁぁぁ!! てめえぇは!!!」

 

久秀「不毛な恋の行方なんか……久秀見たくないの。 飽きたから、そろそろ止めにしてくれない!?」

 

ムクリッ! シュッ─────!

 

久秀の正論が展開されると、その正論を論破すべく……大ダメージを負った筈の于吉が、疾風の如き動きで近付き、久秀に向かい、持論を言い放つ!!

 

于吉「何を言います! 今が大事なんですよ? あの『ツンツン』状態だった左慈が、とうとう『デレ』を見せ始めました! 正しく『これぞ好機! 今こそ撃って出よ!』です! ………おやっ? 膝を付いてどうしたのです!?」

 

《 ? 于吉が、左慈に痛恨の一撃(精神に)!! ♪ 》

 

《 ? 左慈が……頭を抱えながら、膝を付いた……………! ♪ 》

 

順慶「老師! 弄られる気持ちは分かりますが……話が進みませんわ! 隣の部屋でお休みになるのでしたら、私がお連れ致しますが………」

 

于吉「お待ちなさい───っ! こんな所で、まさかの『寝取られ』が発生しようとは!? 全く油断ならぬ将や外史ですよ!!!」

 

順慶「颯馬様一筋の私が───なんで他の男と!! 訂正なさい!!!」

 

ーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーーー

 

久秀「……で? 久秀を無視して、何を話していたか聞きたくも無いけど…………双方納得したのでしょうね!?」

 

于吉「────充分、私は納得しましたよ! 左慈より愛の鞭を受けたばかりですから………あぁ、この余韻に浸っていたいぃぃぃ─────!!!」

 

順慶「痛うぅぅぅ! ───濡れ衣ですわよ、老師! 悪いの于吉で、私は親切で運ぼうとしただけなのに………! 

 

何故、頭に拳を落とされなくてはならないのですか!!!」

 

左慈「話が進まん! 喧嘩両成敗だ!!!」

 

久秀「……………ふぅー、やっと……中身を話せるわね?」

 

久秀は息を吸い込み、一気に話始めた!

 

久秀「颯馬の忍びを逆に利用するの! 三百万の大軍を集結させて、何時までも動かない。 集結の情報は入るのに動かないなんて、不信に思うでしょう? 軍師は疑り深くなるから、何か策でもあるか疑う!

 

それに、軍師が疑わなくても……流言飛語で大陸中に流す。 事実は事実だから、兵の士気、民の感情は落ちるわね?」

 

順慶「ですが………三百万の大軍を数カ所に置いておけば、莫大な金と食糧が掛かりますわよ?」

 

久秀「一万辺りで周辺を彷徨かせ、残りを傀儡兵や人形で誤魔化せばいいのよ? 其処まで、忍び込み事なんて無いと思うけど………」

 

左慈「于吉! 傀儡兵は幾ら収集出来る!?」

 

于吉「三百万など余裕! ……と左慈の前では言いたいのですが。 私の術でも百万辺りが限度ですね………」

 

左慈「クックックッ!! ……………面白いじゃないか!! 

 

于吉! 俺はこの策が気に入ったぞ! 天城颯馬の策は、先の反董卓軍で見せて貰ったが、あの時は策の準備が念入りに出来たからボロが出なかった。 

 

今度は、精神的にも苦しみながらの策の捻出だ! どんな窮余の一策を披露してくれるか────楽しみじゃないかぁ!?」

 

于吉「うーん、その清々しい嗤い顔が眩しいですね! 分かりました! 私も賛成し、準備致しましょう!!」

 

 

◆◇◆

 

 

【 裏の裏は…… の件 】

 

? 洛陽 宮廷内 にて ?

 

三太夫「天城の旦那……どうも様子がおかしいだよ?」

 

颯馬「………様子がおかしい?」

 

三方からの進撃に備え様子を見張らしている『忍び』の総大将格、百地三太夫が首を傾げる。 日の本から来る前は、日常生活で不幸な事態に陥っては、俺に泣きついた奴が、こうも立派になったのかと、ふと感慨に耽た(ふけた)。

 

三太夫「あぁ……《三百万》の軍勢は集まっているんだけど、集まるだけで全然進軍を開始しないんだ! 何を企んでるだか……全然わかんねぇ!!」

 

三太夫が『これは何かあるぜ!』と疑う。 

 

俺は、来襲するであろう『西涼』と『益州』の策を作り上げ、竹簡に纏める!

 

三太夫に、軍師達を呼んで貰うように頼み、最終戦の策を纏めるように……竹簡に筆を走らす。 

 

颯馬「『袋』を大量に準備して『牛』に引かせる。 『藁』が……また欲しくなるな。 それと『小刀』も………………」

 

ドタバタドタバタ! バァーン!

 

風「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!!!! 」

 

詠「………何か分かった!?」

 

稟「颯馬殿! 私達も……連絡しなければならない事が!!」

 

風「………ツッコミが無い。 どうやら、風のボケは無視されたようだ……」

 

ーーーーー

 

俺は、三軍師に三太夫の話を聞かせる。 三者三様共に『おかしい?』と言い始める。

 

 

風「まずは……維持費の問題ですねー。 百万の大軍が三カ所、別々の国が用意しているにしても……莫大になりますよー?」

 

稟「それに、生活の営みも行っているでしょうに、人手はどうなっているのでしょう! しかも、羊等を遊牧する民が、その地域に一定期間滞在するなんて出来る事でしょうか?」

 

詠「孫子兵法、作戦篇に曰わく『 故に兵は拙速なるを聞くも、いまだ巧久を睹(み)ざるなり 』! 

 

………分かりやすく言えば、鮮度命の高級食材を慌てて急いで持って行く事はあるが、完璧に準備してノンビリ運んでいるような事は見た事がない! 

 

兵はお金が掛かる金食い虫! それに、兵の士気も刻が過ぎれば下降するのみ! ……………この状態で勝負を挑むなんて、絶対ありえない!!」

 

ーーーーー

 

颯馬「じゃあ、この裏の考えは?」

 

風「うむぅ…………ぐぅー!」

 

稟「分からないなら寝るなぁ!『おぉーぅ!』 私の意見を申せば、この洛陽…いえ大陸全体に恐怖で貶めるためかと! 数百万の大軍が来襲すると噂が流れれば、人々の生活は陰り、人心も荒れます!!」

 

詠「洛陽は、アンタ達が反董卓連合、私達が洛陽攻めを防いだ実績があるため人心は比較的安堵している。 問題は、戦後間もない『孫呉』と『益州』よね?」

 

風「若しくは、三方は囮。 本隊が直接決戦のため、洛陽に乗り込んでくる恐れがありますねー!! もしくは、本隊を最後の止めと準備して、三方同時に攻め込ませて、洛陽の心を折り……それから蹂躙するって事もぉー。 

 

───そんな方策も、充分に……考えられますー!」

 

……………俺も同意見。 

 

あの久秀殿の考えだ! 隙のない俺達の陣営を破るため、弱き所から狙ってくるだろうと予測していた! 即ち『民』を…………。

 

ーーーーー

 

颯馬「それから、稟達の報告は────?」

 

稟「それが─────!!」

 

詠「『劉焉』が攫われたのよ!!」

 

風「ぐぅー!!」

 

颯馬「───────────!!」

 

◆◇◆

 

【 華琳 独立 の件 】

 

? 江東 雪蓮居城 にて ?

 

一刀「雪蓮様! 只今戻りました!」ザッ!

 

雪蓮「………堅苦しい言葉使いはいいわ! どう? 徐州は無事に収めれそう? 司馬懿の軍勢に、かなり痛め付けられたみたいだけど………」

 

桃香「それは………大丈夫です。 陶謙殿が…………後事を託していたようで……『我々の亡き後、曹孟徳様と劉玄徳殿に従え! 徐州の民の希望となろう!!』と…………」

 

冥琳「余程……人柄を買われたと見えるな……」 

 

雪蓮「では、全員の将を集めて! 今から報告と今後の展開を述べるわ!!」

 

ーーーーー

 

華琳「どうしたの? まだ仕事途中に呼び寄せて……か、一刀っ!? それに貴女達も!! ……その様子では、徐州は壊滅状態だったようね……!?」

 

桂花「はっ! 華琳さ……んの言われる通り、主要の街は破壊が著しく、何故人々が反乱を起こさないか、不思議なぐらいでした!」

 

秋蘭「残っていた民に尋ねると、陶謙殿の指示だったらしく、『無用に争わずに曹孟徳様の救援を待て!』との事。 そうすれば生き残れると、話していたようです!」 

 

流琉「『劉岱』さんも陶謙様の指示に従い、民の皆さんを守り抜いてくれたので、司馬懿さんの軋轢にも負けず、民達も………私達の救援を待ち望んでいたようでした…………!」

 

季衣「ごめんなさい……華琳様。 ボク達が不甲斐ないばかりに………」

 

華琳「そう…………。 戦の習いとはいえ、この曹孟徳を信じてくれた貴女達、散っていた将兵や民達に、迷惑をかけてしまったわ。 だけど……私は必ず立ち上がり、民を守りて我が国を建国する!!」

 

雛里「で、でぇしゅがぁ〜!? あぅ! しゅいましぇん! ひしゃいぶりに話すので、うまくぅ言葉が………『雛里ちゃん! お水!』 しゅ、朱里ちゃん……ガブゥ……うっ…ゴクッゴクッ…ゴクッ! ………あ、ありがとう!!」

 

星「ほぅ? 新しい人気取りの方法かな!? その様子なら、一刀殿も気に入るかも…………?」

 

鈴々「鈴々もぉ─────!!!」

 

雛里「星しゃん! 鈴々ちゃん! ち、違います! コホン! 華琳さんが建国出来るかどうかは、雪蓮様の采配次第! 無用な発言は入らぬ敵を作ってしまう事になります! 出来れば、信用がもう少し上げた方がよろしいか……と」

 

華琳「それは大丈夫。 一刀率いる青州兵約三十万! 元曹操軍将は、司馬懿……いえ『松永久秀』を倒す絶好の切り札! 多分、冥琳辺りが徐州の統治を私達に任せるから、そちらに入り……新たな『魏』国を建国する!!」

 

一刀「『松永久秀』!? なんであんな奴が!! しかも、筒井と繋がるなんて……。 いや! それより司馬懿は死んだと………向こうでは、聞いていたんだがぁ!?」

 

華琳「─────えっ!?」

 

★☆☆

 

祭「ほれぇっ! 軍議が始まるぞ!! 全員集まれ!!」

 

ザッザッザッザッザッザッザッ!!

 

雪蓮「既に話が入っていると思うけど……洛陽に向かい攻勢を仕掛けた司馬懿が、洛陽側に阻まれ────討ち取られたそうよ?」

 

『ザワァ───────!』

 

冥琳「鎮まれぇ! だが……颯馬からの連絡が入り『偽装工作』だと判明! 司馬懿は………『松永久秀』と元の名に戻し、『晋』を建国! 漢王朝に公然と反旗を翻した!! 我ら当然、洛陽側に付き、逆賊『晋』を討つ!!」

 

雪蓮「報告はもう一つある! 西涼、益州、そして我らのいる江東に向かい、敵軍勢が三方同時に進行する動きを見せている! 兵力は三百万! 此方にも百万の大軍が様子を伺っている!」

 

桂花「デ、デタラメだわ! この孫呉の軍勢、全部かき集めても四十万行くかどうか! それが三方同時進行………!」

 

朱里「………これだけではありませんね! 雪蓮様! 司馬懿……いえ、松永本隊の進行方向は? 恐らく洛陽を目指しているのでは……ないですか!?」

 

雪蓮「流石……朱里ね! 河北の異民族の援軍が幽州を横断し、冀州に進行したとある。 その兵力五十万! 赤壁の戦いで逃走が四十万! 洛陽の戦での損害を差し引いても………凡そ八十万から七十万!」

 

沙和「え〜とぉ……三百七十万対約七十万! 約五倍以上の兵力差なの!!」

 

真桜「えらいこっちゃ!! このまんまだとぉ、ウチら勝てるんかいな!?」

 

華琳「………そんな単純計算じゃないわよ!? 距離と地形を考えれば……場所によりけりだけど、差は十倍以上になる所も出てくる! 

 

このままでは───完全な包囲殲滅!!!」

 

『サァ─────────!』

 

一刀「誰が……誰が──そんな事させるか! 俺達に出来る事は、何かないのか!?」

 

桃香「私も同じだよ、一刀さん! 雪蓮様! 戦闘とか不得意だけど……そんな私にも……手助け出来るような事は!!」

 

華琳「冥琳………。 貴女、颯馬と新戦術の話をしていたようね? もしかして、この事の対策じゃなかったの?」

 

冥琳「何故………そう思う?」

 

華琳「………ふふふっ。 見くびられては困るわ? 二人で『颯馬の連絡』が司馬懿の生死と『もう一つある』と言われた。 つまり、三百万の軍勢発見の情報元は、洛陽の天城颯馬。 

 

そう考えれば………あの颯馬が、対策を練らないわけないじゃない! 三方に全て撃退の策を張り巡らせ、『松永久秀』を討ちに動く!! その一方を、孫呉に任された。 そう考えれば、辻褄が合うのよ?」

 

冥琳「………で、もし、それが正しければ、華琳! いや、曹孟徳よ! 貴女はどう動く!?」

 

華琳「───今こそ孫呉を離れ徐州に向かい、『曹孟徳の軍』とし独立した軍事行動を持って、松永に対抗する!」 

 

穏「今までの借りを残したままですか〜? それに、糧食等は〜どうするのです〜? 孫呉に貸しがあったままでは、離れるのは無理ですよ〜?」

 

華琳「…………松永は七十万近い軍勢を持つとはいえ、天に背き、地を汚し、人を余りにも傷つけ過ぎた! 『天』を冠する颯馬が策を発動したとなれば、三百万の軍勢と言えど必ずや撃退し、これを好機と──逆賊『松永久秀』を討とうと動き出すはず! 

 

しかし、洛陽の軍勢も……先の戦で傷付き倒れる者は多数!! 

 

この窮地、我々が手助けすれば………天の御遣いを救い、共に戦った友軍として、孫呉の名は───大陸全体に馳せる事になろう! 

 

食糧は、先の褒美の前倒しでも良し! 一時に貸し渡したとするのであれば、功成り名遂げた時にでも、倍に返せるものと確信している!!」

 

雪蓮「…………だって。 蓮華は……何か言いたい事ある?」

 

蓮華「私は……何も言えません。 あの司馬懿の軍略の前には、負け戦しか浮かびませんから。    

 

────ですが、信じています。 

 

颯馬が、この危機を覆してくれる事を! そして、我が孫呉の将が! 華琳達が! 各々の力を発揮して、『晋』を破ってくれる事を!!」

 

冥琳「蓮華様、臣下を信用して使うのも王の役目。 しかし、あんまり信用し過ぎて、己の仕事まで預けるような考えは、お止め下さい!」

 

雪蓮「うんうん! そうなったら最悪よねぇ!」

 

冥琳「ジィ────────!」

 

穏「穏は、賛成ですよ〜! 双頭の龍として、制約ある動きの大軍より、二匹の昇龍として別行動を双方で起こせば、勝率も上がります〜! そ・れ・に、こーんな面白い策〜! 孫呉だけで独占したいですぅぅ!」ウフフフッ!

 

華琳「ちょっと! それは聞き捨てなれないわ!! そんな面白い策なら教えなさい! 今、直ぐに────!」

 

秋蘭「華琳様! 軍議の最中です! あ、姉者! ボォーとしてないで華琳様を止めてくれぇ!!」

 

春蘭「わ、わかった!!」

 

ーーー

 

冥琳「やれやれ……余計な事を。 雪蓮、私も穏の意見に賛成したい! 理由は……『分かっているから、いいわよ!』 ……そうか」

 

雪蓮「冥琳が私達の事、何時も考えているの知ってるから。 さぁて! 早く伝えて、この騒動終わらせましょう!?」

 

冥琳「はははっ! 全くだ!!」

 

────こうして、華琳達は徐州に向け……進軍の準備を開始する。

 

天の意志、地の営み、人の想いが交わりつつ、最後の舞台が幕を開けようとしていた。

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

これにて、最終章に入ろかと思います。

 

下のオマケは、ボツになった文章の一部。

 

作者が、何を考えているか伺える?かもしれません。

 

また、宜しければ読んで下さい。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

【 華琳 独立 の件より 】

 

 

 

?没案件 その一?

 

穏「穏は、賛成ですよ〜! 双頭の龍として、制約ある動きの大軍より、二匹の昇龍として別行動を双方で起こせば、勝率も上がります〜! そ・れ・に、こーんな面白い策〜! 孫呉だけで独占したいですぅぅ!」ウフフフッ!

 

華琳「ちょっと! それは聞き捨てなれないわ!! そんな面白い策なら教えなさい! 今、直ぐに────!」

 

秋蘭「華琳様! 軍議の最中です! あ、姉者! ボォーとしてないで華琳様を止めてくれぇ!!」

 

春蘭「わ、わかった!!」

 

★☆☆

 

華琳「くっ! 私の馬鹿! 馬鹿ぁ!! 穏の持ってる竹簡を奪うつもりが……穏の胸を揉んで、虜になってしまうなんてぇぇぇ!!! だけど、この柔らかさ、大きさ、感度! まだまだ──揉ませなさぁぁぁあい!!」

 

穏「アァ〜ン! 策の竹簡を、し、死守したんですけどぉ〜! ア〜ンッ! か、身体の疼きが止まりましぇ〜〜ん! や、止めてくださぁぁい!!」

 

華琳「嫌よ嫌よも好きの内ぃ〜!」

 

冥琳「────思春!」

 

思春「はっ!」

 

ーーーーーー

 

桂花「おのれぇ!! 巨乳死すべし!! 死すべし!!」

 

朱里「桂花さんを応援したいけど、あの構図を八百一に使えないかな……」

 

雛里「し、司馬懿さんと桂花さんとか…………」

 

朱里「───! それ採用!!」

 

桂花「アンタ達………!!」

 

『ヒィ────────!!!』

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

?没案 その二?

 

 

華琳「ちょっと! それは聞き捨てなれないわ!! そんな面白い策なら教えなさい! 今、直ぐに────!」

 

秋蘭「華琳様! 軍議の最中です! あ、姉者! ボォーとしてないで華琳様を止めてくれぇ!!」

 

春蘭「わ、わかった!!」

 

★☆☆

 

春蘭「か、華琳様! ぐ、軍議で御座る! 軍議で御座るうぅぅぅ!!」

 

華琳「放しなさい!! って、春蘭! 貴女……何を言ってるの!?」

 

春蘭「一刀が、『天の国』で君主を止める場合、このように声を掛けて、羽交い締めで止めるのだと………」

 

秋蘭「姉者! それは姉者が聞いた『天の国』に伝わる雲上人同士の争い制止法だろう! そのような事は……『天の国』でしかやらん! ここでやるのは無意味だ!」

 

春蘭「だが! 格好いいではないかっ! 武器を持つ華琳様を、私がこうやって捕まえて抑える! まさしく忠義の武人ではないか!!」

 

華琳「………春蘭。 いい加減離してくれる? 貴女の無駄に大きいソレが、私の頭を抑えつけて………く、首が………痛いのよぉ!!!」

 

説明
義輝記の続編です。 よろしければ読んで下さい。
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コメント
naku様 コメントありがとうございます! 暇を見ては小説の続きを書いております。 三百万……ムチャクチャな人数ですが、原作であったので採用しましたが……。 色々できますが外史の敵ゆえ目的地へまっしぐらです。 風はどうなるか? 皆さんのコメント次第で変わります。 (いた)
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