九番目の熾天使・外伝 -蒼の物語-
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戦姫編 第三話 「遭遇」

 

 

 

Blaz達が訪れている世界には、未だ過去の事件によって癒えない傷跡が街の至る所にある。

そんな場所をBlazと鈴羽は立っており、次に何処に行くかを考えていた。

 

鈴羽「取り合えず人の住む場所はって感じだよね、この街。」

 

Blaz「そりゃな。人が営みをまた行える様にする為には、それなりの環境と場所が居る。当然金もだがな。」

 

鈴羽「そうだけど・・・まるで「其処に居るだけの人間の入れ物を作ったからいいだろ」って感じが・・・何かするんだよね・・・」

 

Blaz「・・・まぁな。」

 

 

同じような事を言った男が居た。

かつて『赤い彗星』と呼ばれた男。

Blazが生まれた世界で起こった戦い。

 

 

「入れ物だけを作れば良しとしてそれ以上の事は何もしなかった。」

 

 

人の考えは何処の世界も同じなのか。と聞かれれば、彼もBlazもYESと答えるだろう。

そして、彼がもしこの世界を見たとしたら・・・何と言っただろうか。

 

Blaz「隕石落としはご勘弁・・・っと・・・」

 

鈴羽「・・・Blaz?」

 

あそこに居た兵士達を逃がしたりするのにどれだけ苦労したと思っている・・・

と心の中で呟いていたBlaz。それはココに居るメンバーの中では彼だけが知っている事だ。

昔の事を思い出し、頭を背中側に倒したBlaz。

 

Blaz「・・・・・。」

 

鈴羽「・・・。」

 

Blaz「・・・・・あそこは・・・」

 

鈴羽「ん?あそこって・・・」

 

 

Blazの目に反対に写っていた場所。

どうやら廃墟らしいが、何か変だと感じていた。

何があるのか。個人的だったが興味があった。

だから・・・

 

 

 

Blaz「・・・行ってみっか。」

 

鈴羽「は?」

 

Blaz「さっさと乗れ鈴羽。置いてくぞ。」

 

鈴羽「えっ・・ちょまっ!?」

 

 

 

 

「・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃。

 

 

 

 

 

レイチェル「・・・・・接続失敗・・・か。」

 

月夜に照らされた庭園の中心。

其処にレイチェルは立っており、何かの魔法陣を展開していたが失敗したと言い、魔法陣を消した。

それをやや遠目の場所から使い魔のギィとナゴ、執事のヴァルケンハインが見ていた。

レイチェルが一通りやり終えるとヴァルケンハイン達が寄り、レイチェルに成否を尋ねたのだ。

 

ヴァルケン「いかがでしたか?」

 

レイチェル「駄目ね。ココからじゃアクセスは不可能みたい。」

 

ヴァルケン「矢張り法力の接続はあの世界でしか不可能・・・と言う事なのでしょうか・・・」

 

レイチェル「そうね。けど。一部の彼女達はそれを可能とした。」

 

ヴァルケン「未だに信じられませんな。あの子達が・・・」

 

レイチェル「・・・ええ。」

 

レイチェルがそう言って紅茶とフィナンシュ等の茶菓子が置かれているテーブルに向かい歩き始める。

其処に、使い魔のギィとナゴがレイチェルに近寄って何をしていたのかを尋ねたのだ。

 

ギィ「姫様ー一体何をしてたんスか?」

 

ナゴ「今もずっとアタシ達だけのけ者扱いされてるのは流石に嫌よ姫様。せめて何をしていたかだけでも教えてくれないの?」

 

レイチェル「そうね・・・・・前に言ったあの世界・・・覚えている?」

 

ナゴ「ああ。あの荒野だらけの。」

 

ギィ「何か世紀末って感じだったッス。」

 

 

レイチェル「そうね。その世界にある『システム』。其処にアクセスしようとしていた。」

 

ギィ「システムッスか?」

 

ナゴ「それって一体何なの?」

 

レイチェル「さぁ・・・其処から先は教えられないわ。」

 

ギィナゴ「「ええ〜・・・」」

 

 

ヴァルケンハインが椅子を引き、其処にレイチェルが座る。

レイチェルは置かれていたティーカップの取ってに手を置き、紅茶を一口飲む。

そして、紅茶を置くと独り言の様に話し始めたのだ。

 

レイチェル「恐らくは彼女達だけが接続方法が違う。それも二人共。」

 

ヴァルケン「二人は・・・それぞれ別の接続方法であそこにアクセスしていると?」

 

レイチェル「ええ。一人は偶発的。もう一人は、自身でその世界に足を踏み入れてしまい、そして・・・

 

 

自身では気づいてない自分の力で接続を可能とした。」

 

ヴァルケン「・・・なるほど。ですが、見た限りでは・・・」

 

レイチェル「ええ。二人は完全にあそこの力を制御していないわ。其れを知ってか、片方は接続しても力をセーブしている。もう一人は・・・逆に開放しすぎている。」

 

ヴァルケン「と言うことは・・・接続しても取り出せる力の量が?」

 

レイチェル「そうね。それが正しいわ。実際。二人の接続方法は違っていても取り出し方は同じ。」

 

ヴァルケン「取り出し方が・・・でございますか?」

 

レイチェル「そう。私達が自ら入って行こうとするのとは違い、彼女達はそうね・・・『釣り糸を垂らす』感じ・・・かしらね。」

 

ヴァルケン「・・・では取り出せる力は同じなのでは?」

 

レイチェル「そうでもないわ。まぁ其処も・・・調べないといけないけど・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

対象者は・・・『咲良・アンク・マクダウェル』。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再びBlaz達。

 

Blazと鈴羽は目指していた廃墟に到着していた。

遠くから見て余り解らなかったが、近くに来て良く解った。

廃墟ではあるが人の来た跡がある。

 

 

Blaz「・・・誰かが来た?」

 

鈴羽「かもね。けど建物自体は事件の時のままって感じだね。」

 

Blaz「だなぁ・・・さぁて・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そろそろ出てきてもいいんじゃねぇか?」

 

鈴羽「ッ?」

 

 

 

 

誰かが居た。

Blaz達が前を見ると、其処には制服姿の少女が一人立っていた。

顔はまだ少し幼い所もある。

しかし、背丈からして中高生だと言うのは解るのだ。

 

 

「何時から気ぃついてたんだよ。」

 

Blaz「ココに来てから。って言ったらどうするよ。」

 

「・・・・・ココはテメェ等の様な観光客が来る場所じゃねぇ。とっととかえんな。」

 

Blaz「嫌だ・・・って言ったら?」

 

「無理矢理にでも・・・!」

 

Blaz「上等っ・・・!」

 

鈴羽「戦うんかい!!」

 

Blaz「売られた喧嘩は買って利子つけてディアーリーズにツケるのが礼儀だ!!」

 

鈴羽「あー・・・もーいいわ・・・」

 

 

 

「・・・!」

 

Blaz「どうした?かかって来いよ。」

 

しかし、かかって来ない。

何かを抑えている様な顔で少女は立っており、その顔を見てBlazは何かを察した。

そして・・・

 

 

Blaz「・・・・・ほぉれほれ。どうしたんだよガキンチョwwまさかコワくなったとかかぁ?」

 

「っ・・・・・ち、ちがっ・・」

 

Blaz「んじゃ何で来ないんだ?」

 

「っ・・・それは・・・・・」

 

Blazは少女を挑発し始める。

少女は必死に我慢をしているのだが、それでも抑えきれないと言う顔だ。

其れを見て、Blazは軽く笑うと、ゆっくりと少女に近づいていった。

 

「・・・・・!」

 

Blaz「安心しろ。別に何もしねぇよ。」

 

「っ!?何っ・・・」

 

Blaz「行くぞ鈴羽。とっとと調べて、このガキのお仲間が来る前にズラからな。」

 

鈴羽「・・・・・はぁ・・・ま、一戦しなかったよりかはマシか・・・」

 

「ってお前もかよ!?」

 

少女を無視し、Blaz達二人はどんどんと廃墟に入っていく。

其れを見てどうするかと慌てていた少女だったが、やがて矢張り気にはなったのでBlazに突っかかったのだが・・・

 

「くっ・・・オイま・・・・・ってもう居ねえ!?」

 

いつの間にかBlaz達は其処から姿を消していたのだ。

と言うよりも先に入っており、少女もその後を追うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昔話をしよう。かつて世界が一つだった頃の話しだ。

 

 

 

人々は歌い 世界は安定をもたらしていた。

 

 

しかし。 ある時『管理者』が現れた。」

 

 

 

 

 

 

 

「その管理者は人々から言葉と言う繋ぎを破壊し 幾つ者言葉を作りました。

 

それによって人々は混乱し、やがては対立して 

 

それぞれ同じ言葉を持つ者たちと共に旅立ってしまったのです。

 

そんな中。 一人の巫女が管理者に復讐します。

 

天に作られし 管理者の箱舟。 それを破壊せんと何年も何十年も

 

何千年も生きて復讐しようとします。

 

 

 

しかし。その復讐は叶いませんでした。

 

それはもう一つの人と人を繋がる力と それを使い戦う者達によって防がれたからです。

 

巫女は知りました。

 

こんなに何千年も生きて復讐しようとした自分が馬鹿馬鹿しくなり。

 

やがてはその者達に後を託したのです。」

 

 

「そして。巫女は己の欠片を残し この世界から天に昇ったのだった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Blaz「空洞・・・つーよりか・・・」

 

鈴羽「こりゃ穴だね。」

 

Blaz達が立っているのは巨大な穴がある場所。

其処は下が全く見えない闇が広がっており、試しに小石を一つ落としても地面に付く音はしなかった。

其れを見て絶望などはしなかったがどうするかとBlaz達は考える。

 

Blaz「深いな。」

 

鈴羽「Blazのアンカーでどうにか下に行けないかな?」

 

Blaz「・・・。確か、俺のは・・・大体600メートルまで伸ばせたな。」

 

 

Blza達のアイテム。それは色々とあり、その中にワイヤー付きの小型クローアンカーがある。

手持ちサイズの持ち手に小型に見合わない固定力を持つアンカー部。

飛べないBlaz達にはバイク等以外で移動する方法で重宝している物だ。

 

Blaz「よっと。」

 

適当な鉄の棒にクローを投げて固定させる。

固定したのを少し引っ張って確認すると、Blazが鈴羽に相槌をする。

鈴羽はBlazの背中に乗り、しっかりと身体を離れないようにする。

そして、軍人時代の身体の覚えに従い、Blazは足を蹴って崖から下に降りていった。

 

Blaz達が降りるのと平行し、アンカーの手持ち部に内臓されたワイヤーの巻きの部分が音を立てる。

重力によって落ちるのではなく、ゆっくりとしかし速く回る。

それでも下は真っ暗な闇だった。

 

Blaz「しっかり捕まってろよ。」

 

鈴羽「うん・・・・とほほ・・修理に出してたからなぁ・・」

 

Blaz「ねーモンねだっても仕方ねぇだろ。諦めろ。」

 

鈴羽「・・・・・・はぁ・・・それにしても・・・」

 

Blaz「ああ。深いな。」

 

鈴羽「これ、アンカーので足りるかな?」

 

Blaz「足りなかったら・・・自力だ。」

 

鈴羽「落ちて死ねって言うんかい?!」

 

Blaz「大丈夫。ギャグ補正でどうにかするか、旅団の誰かを身代わりに・・・」

 

鈴羽「いや今回私達だけだって。」

 

 

 

 

すると。Blazの右腕が呻きに似た軋みと共に疼き始めた。

突然の事にBlazは驚いたが、幸いアンカーは左手で持って居た。

しかし。右が疼き、どうやって抑えるかと、出来ずにいたのだ。

 

Blaz(ぐっ・・・何だ・・・・・・『蒼』が・・・・反応している?!)

 

 

だが、反応しているのは蒼の力だけではない。

Blazの右腕に眠っているもう一つの力。

 

赤眼の魔王が、何かに反応していたのだ。

 

 

『ククククク・・・・感じる・・・感じるぞ・・・異界への扉・・・・・愚かな人間の最後の繋がりとやらを断つ者達の鼓動だぁ・・・・!』

 

 

Blaz(ルビーアイ!?テメェ・・・・一体何の事を・・・・・)

 

 

 

鈴羽「下が見えてきたよ!」

 

Blaz「ッ!」

 

 

どうやらアンカーの長さは足りたらしい。

Blazたちが降り立つと、アンカーを一旦手放す。

固定している鉄の棒が砕けない限りはワイヤーが切れると言うのは絶対にない。

その理由はいずれ話す事となる。

 

そのアンカーから離れ、鈴羽も地面に足をつける。

其処は上とは違い、何か組織の基地の様な場所だった。

 

鈴羽「・・・地下基地?」

 

Blaz「・・・かもな。ご丁寧に自動販売機もありやがる。」

 

未だに蒼の魔道書は疼いている。

この先に何があるのか。

それは自分が行かなくては成らない。

そんな使命感がいつの間にかBlazの中にあり、Blazは鈴羽と共に歩き始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど。門はそうやって開くのか。」

 

その頃。何処かとある場所では一人の男がキーボードを使い、何かのデータを探っていた。

何を調べていたかは解らないが、男がそれを見て不敵に笑みを浮かべたので、それは男にとっては有益と言うのは確かだった。

 

そのデータを男は何かにコピーすると、その場から去ろうとした。

しかし、歩みを止め、何処か上を見上げたのだ。

 

「・・・・・ふむ。ココに来たか。」

 

そう言うと男はその場から去るのをやめ、其処から姿を消したのだ。

誰かが必ずココに来ると予想し・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃のニューはと言うと・・・

 

響と未来に連れられてスイーツをご馳走になっていた。

そのスイーツを明るい顔で食べるニューの顔に響は母親が子供の元気に食べる姿を見るような表情で見ていたのだ。

ちなみに、未来はそんな響を見て苦笑していた。

彼女の事でもあり、それは同時に自分の懐の事でもあったのだ。

 

ニュー「もぐもぐ・・・」

 

響「かわいいなぁ・・・」

 

未来「もう響。この子の親を探すんでしょ?」

 

響「わかってるけど・・・この子のねぇ・・・」

 

ニュー「にゅ?」

 

響(未来・・・・やっぱ・・・・)

 

未来(駄目だからね。)

 

ロリコンだったのかと言いたいほどご執心な響に未来は必死に抑止をかける。

そして、懐の調査を終えたので響にその事実を伝えた。

 

未来「響・・・当分、節約だよ・・・」

 

響「え・・・どうして?」

 

未来「そろそろ懐が怪しいから・・・」

 

響「ま・・・マジッスか・・・・」

 

懐の心配をようやく理解した響。

すると、その懐の原因。そして今探すのを手伝ってあげているニューに尋ねたい事があった。

それは彼女が言ったアルトと言う人物についてだ。

何の手がかりもなしでは探しにくい。

だから、ニューに対しアルトについて尋ねた。

 

響「そういえばニューちゃん。」

 

ニュー「うにゅ?」

 

響「・・・アルトって人は、どんな人なのかな?出来れば見た目を教えて欲しいんだけど・・・」

 

ニュー「アルト?えっとねぇ・・・髪はオレンジでー・・・所々ボサボサでー・・・」

 

響「ふんふん・・・」

 

ニュー「後・・・時々鼻歌歌ってるー♪」

 

響「・・・他に・・・ある?」

 

ニュー「うんとねー・・・アルト、槍もってるよー♪」

 

響「・・・・・槍?」

 

ニュー「うにゅ。そりでー・・・いっつもBlazと模擬センってのをやってる時は歌っているよー」

 

 

 

 

 

 

 

「まさか」のワードが響の頭の中に浮かぶ。

そんな筈は無い。彼女は死んだんだ。私の所為で。私を守って。私達に託して。

なのにどうして?

何故其処まで似ているのか。

 

 

 

何故其処まで、見てもいないのに確信が持てるのか。

 

 

 

彼女が自分に対し言った、最初で最後の言葉。今もしっかりと覚えている。

 

 

 

 

「生きる事を諦めるな。」

 

 

 

 

響「・・・・・。」

 

未来「響・・?」

 

響「だってあの人は・・・」

 

 

ニュー「・・・Blazが言ってたよ。」

 

未来「っ・・・。」

 

 

ニュー「『“ありえない”なんて事は”ありえない”』って。」

 

 

その言葉を聞き、響は何かの決心をした。

確かめたい。唯その一心で。

 

響「・・・ニューちゃん。其れ食べ終わったら・・・行こう・・・その人を探しに。」

 

ニュー「・・・・にゅ♪」

 

 

 

 

そう。在り得ない。

「起こるはずが無い」と思い続けているものは何時か起こる。

非常識な事でもいつかは起こる。

例えば

 

 

 

 

 

死んだ筈の人間が再び自分達の前に姿を現そうとするなんて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

強欲な男が言った。

 

「それこそが『“ありえない”なんて事はありえない』んだ」と。

 

 

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お知らせ。

 

どうもBlazです。

唐突ですが、ACの小説は一旦更新を停止。

その後再び最初から投稿しようと思います。

理由としては実力不足と知識不足が否めなかったからです。

真に勝手ですが、これからもよろしくお願いします。

 

 

 

説明
当分此方に集中しますのでよろしくです。

イメージソング


OP3「vitalization」 戦姫絶唱シンフォギアGより
ED3「only one No.1」 アニメ:デ・ジ・キャラットOPより
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