【獣機特警K-9UG】ブラッドファミリーの罠!(後編)【戦闘】 |
…薄暗いスクラップ工場の中、磔にされたK-9隊の4人。
「くそっ…冗談じゃねえ、こんなとこでスクラップにされてたまるかっ…」
ジョニーは必死に吠え立てながら拘束を解こうとするが、しっかりと固定されているために外すことができない。
「駄目だわ。私たちの性能じゃ外せない…脱出するのはまずムリね…」
「そ、そんなぁ…。ああ、短い人生だったなあ…ごめんねミレイさん、あたしの宝物頼んだよ…ぐすっ…」
イシスの言葉に思わず涙するミライ。その空気を切り裂くように、クオンが吼えた!!
「諦めるな!敵に捕まったからどうだって言うんだ!!」
「でも隊長…」
「いいか、僕たちはK-9隊だ。今までどんな危険な目にあっても、乗り越えてきたじゃないか!!」
「ですが、今回の状況では脱出は…」
目に涙を溜めているイシスに、クオンは諭すように語り掛ける。
「イシスさん、今はどうやってこの危機を乗り切るかを考えるんだ。死んだあとのことを考えていいのは…死んだあとだけだよ」
と、その時である。
「ええ、全くそのとおりですわ」
クオンたちにとって聞き覚えのある声とともに入ってきた3人の影。
トリッカーズの怪盗ディア、バニー、ヴィクセンだ!
「トリッカーズ!?なぜお前たちがここに…」
クオンの言葉をさえぎり、ヴィクセンが口を開く。
「失礼ながら、あるものを頂きに参りました」
「くっ…人が動けない隙を狙って目の前で盗みとは、見損なったぜトリッカーズ!!」
と、ジョニーが悪態をついていると、ディアが切り返す。
「フフッ、本当にそう思う?」
「な、なんだとっ!?」
すっかり逆上しているジョニーを静止するクオン。
「落ち着けジョニー!!」
「しかし隊長!!」
「…トリッカーズ。僕らが動けない隙に盗みとは感心しないが…何を盗みにきたのかだけでも教えてくれるかい?」
「あら。何をって…『あたしたちの目の前にあるもの』をよ」
「何だ?何を言ってる!?」
いまだ言葉の意味がつかめていない四人に、こんどはバニーが答える。
「うーん、じゃあスペシャルヒント。あたしたちが盗もうとしてるものは4つ。『今あたしたちが話している相手』だよ」
「盗もうとしてるものは4つで…今話している相手……あっ!!?」
そのヒントを受けたミライが、何かに気づいたようだ。
「まさか…あんたたちが盗もうとしてる『あるもの』って!!」
「そう…その『まさか』よ!!」
ディアはその言葉とともに、小型の手裏剣を取り出すと、クオンたちを縛り付けている拘束具をめがけて投げつける!
すると拘束具はとたんに壊れ、クオンたちははれて自由の身となった。
「まさか、キミたちが盗もうとしていたものって…」
「そう、ラミナ警察署所属のロボット4体…つまりあなたたちのこと。…正確には、あなたたちが抱いていた『不安と絶望』を盗んだのよ。たった今、ね」
「不安と絶望だって!?形のないものまで盗んじまうなんて…信じられねえ、化け物かよ!?」
「化け物じゃないわ、トリッカーズよ。…このままライバルを殺されちゃったら面白くないもの。それだけよ」
「さ、あたしたちに捕まって!このまま敵さんのいる場所まで乗り込むよ!!」
「だけど、キミたちじゃ数が…」
と、言っていたあとから怪盗ルプス、怪盗ラピヌがやってきた。
「遅れてすまん、ディア!」
「遅い!あんたたち何してたのよ!!」
「夕日がきれいだったから、ついルプスと二人で魅入っちゃったのよね!」
「そうそうw」
「このバカップルが…いいからとっととそこにいるロボット4体を目的の場所まで運びなさーい!!」
かくて、トリッカーズの手によってクオンたち4人はスレイのいる場所まで運ばれていくことになった。
「でも、運ぶったってどうする気なの?」
「ふふん、トリッカーズのジャンプを甘くみちゃいけないよ!そーれ!!」
「う、うわぁっ!?」
なんと大胆なことだろう!トリッカーズの5人は、K-9隊の4人を抱えたまま大きくジャンプした。
「すごい…本当にすごいや、トリッカーズって…」
「このあたりね…スレイさんたちにお届けモノってことで…K-9隊のみんな、悪いけどここで手を離すわよ」
「え、ちょっ…た、隊長、こいつらあたしらを放り落とす気ですよ!?」
慌てふためくミライに、クオンは声をかける。
「心配要らないって。これぐらいの高さから落ちたって壊れやしないよ」
「そうよミライ、私たちはロボットなのよ?ちょっとやそっとじゃ怪我はしないんだから我慢なさい」
「い、イシスさん…。んー、まぁ言われてみればそうか…」
「お前、すっかり忘れてただろ。ロボットのクセに」
と、漫才を繰り広げる4人のもとに、ディアが声をかける。
「じゃあみんな、この辺で離すわよ。後はあなたたちに任せるわ」
「ああ、準備OKだ。感謝するよトリッカーズ!!」
ディアたちが手を離すと、重力に従って自由落下していくK-9隊の身体。
やがて4人はいっせいに身構えると、詰所のガラスを破りスレイの元へ向かう!!
さぁ、慌てたのはブラッドファミリーだ。
とっくに亡き者にしたはずのK-9隊が突如空中から飛び込んできたのだからムリもない話だ。
「げっ!?バカな、テメーら、どうやって…」
「スレイ、どうやらすっかり忘れてたようだな…僕らはトリッカーズに助けられたのさ!」
「くそっ!おいテメーら、こいつらをぶっ壊せ!こうなったらここで解体してやる!!」
モンドの指示で、ギャングスターが飛び掛ろうとしたときだった。
「ぎゃっ!」
「ぐわっ!!」
ある者はバレーボール型のショック弾を喰らい、またある者は飛び込んできた少女のトンファーを喰らい倒れていく。
「ソラ!ベルタ!!」
ギャングスターを打ち据えたのは煌月空とベルタ・カシイ・アインリヒト。
「隊長の救難シグナルが出てたので、何事かと思いましたよ!」
「えへへ、あたしたちだけじゃないよ!」
そのソラとベルタに襲い掛かろうとした別のギャングスターも、突如出てきた二つの影に打ち据えられ、倒れていく!!
「ソウ!それにタツヤも!!」
二つの影の正体は三沢颯と宮之陣竜矢だった。
「へへ、見事なチームプレイでしたねソウ先輩!」
「タツヤもだいぶ上達してきたじゃないか。でもまだ油断は禁物だぞ!」
「はい!!」
レーザーソードを構える二人に、痺れを切らせたモンドが飛び掛る!!
「てめえら…何なんだよぉぉぉっ!!!」
「来るぞ!」
「おうっ!!」
ソウとタツヤが身構えたそのとき、一条の閃光がモンドの肩をかすめる!!
「ぎゃあっ!ち、ちくしょう、修理したばっかりだってのにィっ!!」
モンドの右肩は外装が焼け、むき出しになった内部メカが火花を上げていた。
「もう、ソウ先輩ばっかりずるいですよ。わたしもいるってこと忘れないでくださいw」
「いやあ、ごめんごめんw」
そう、モンドの肩を撃ったのはナタリア・天神・フタロイミツィ。
緊急連絡を受けて、残りのメンバーも駆けつけ、K-9隊は9人全員がここにそろったのだった!
「スレイ、どうやら一番大事なことを忘れていたみたいね。K-9隊は私たちだけじゃないってことをね」
と、イシスが強い調子でスレイに言い放つ。
「くそっ!どこまでもコケにしやがって…」
「それはこっちの台詞よ!」
「今までよくもさんざん弄んでくれたな!」
イシスとジョニーが吼えた直後、クオンはスレイたちにじりじりと詰め寄りながら睨み付ける!
「スレイ・ブラッド、それにモンド・ユーベル以下ブラッドファミリー…我々K-9隊への公務執行妨害、拉致監禁および殺人未遂の容疑で現行犯逮捕だ!おとなしくお縄につけ!!」
「フン、オレ様たちがそう簡単に捕まってたまるかってんだ!!おい野郎ども、計画変更だ!撤収するぞ!!」
「待て!ここまでの仕打ちをしておいて逃げようってのか!!」
「バーカ、そんなの関係あるかよ。どうせテメーらはここで死ぬんだからなァ!!」
と、スレイは去り際に何かを投げ込み、そのままモンドと手下を引き連れて逃げ去っていってしまった!!
イシスはその物体を見て、何かを感じ取ったようだ。
「…た、大変です隊長!今、分析してみたのですが…スレイがここに投げ込んだのは、超高性能爆弾です!!」
「なんだって!?」
「威力はこの工場全体を破壊できるほど…。爆発は…さ、30秒後です!!」
「くそっ!やつらどこまでも卑怯なヤツだ!!」
「せ、先輩…」
こぶしを握り締めるソウの肩に捕まり、不安な表情を浮かべるナタリア。
「ああ、今度こそ死んじゃうんすね…短かったなああたしの人生…」
と、何かを悟ったようなミライ。
誰もが絶望しかけたその時である!
「まったく、あいつらもホント仕事増やしてくれるわよね」
「トリッカーズ!?」
「盗む物が増えちまっただろうが…なあラピヌ?」
「ホントよね。さっき4体盗んだのが今度は9体とか…5体も増えちゃ世話ないわよねルプスw」
「しかし、今度はいくらなんでも…」
「大丈夫。トリッカーズに不可能なんて文字はないのです!」
「ほらほら!みんな捕まって!振り落とされちゃうよ!!」
今度はK-9隊全員を抱えて飛び立つトリッカーズ。
その直後に時限爆弾は炸裂、工場は瞬間的に火の海と化したのだった。
「…なんか、今回はトリッカーズに助けられてばっかりだったな…」
燃え盛る工場を見つめながら、ジョニーがつぶやく。
「それにしても、私たちにここまでするなんて…ブラッドファミリーはどこまでひどいヤツなのかしら…」
「とにかく、こんな事件があった以上、我々も今まで以上に気を引き締めていかなきゃな…みんな、油断するなよ!」
「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」
危うく、ブラッドファミリーの卑劣な罠に落ちるところだったK-9隊は、トリッカーズの助けもあってどうにか危機を免れることができた。
この戦いでわかったことはただひとつ。ブラッドファミリーは、またいつ彼らの前に牙を向いてくるかもわからない。
そう、今回の事件で、K-9隊の戦いも今までのようにはいかない状況になってきたのである。
さあ、本当の戦いはこれからだ。油断するな!われらのK-9隊!!
説明 | ||
いよいよ後編。 ブラッドファミリーも油断ならない相手になってきたぞ! ま、負けるなK-9隊!! ■出演 K-9隊およびトリッカーズのみなさん スレイ:http://www.tinami.com/view/553585 モンド:http://www.tinami.com/view/554565 |
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コメント | ||
ただならぬ雰囲気のいまだかつてない戦い!果たして勝利はどっちだ!?(古淵工機@スマホ) トリッカーズはとんでもないものを盗んでいった、クオンたちの不安と絶望を! そして全員揃ったK-9隊の前に敵はない!! ブラッドファミリーよそこをどけ!14人が通る!!(Ν) |
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