欠陥異端者 by.IS 第十九話(Nightmare)
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零「ゴホッゴホッ!」

 

一夏「お、おい、本当に大丈夫かよ?」

 

ある日、零が38度以上の高熱を出して寝込んだ。

しかし、そんな高熱を出そうが、咳が出ようが制服を着ようとしている零に俺は絶句し、強引ではあるが無理やりベットに寝かせた。

 

一夏「とりあえず、寮と担任の先生に零が欠席するってこと伝えておくから。だから寝てろ」

 

零「す、すみません・・・風邪、移したら私の、ゴホッ・・・せいですね」

 

一夏「だから今、しっかり安静にするんだ。また自宅療養になっちまったら、みんな寂しがるぞ」

 

零「ハハハッ、そうですね」

 

弱々しく笑うその顔は、零が男子ということを忘れるぐらい綺麗に見えた・・・零の奴、こんなに美形だったか?

元男子だったシャルは、人懐っこい笑みなどが"どこか守ってあげたくなる雰囲気"を醸し出していたが、

零の場合、見た目は弱々しいのに心に固く強い意志を持ち、何故か誰よりも強い気がした。だけど尚更、放っておけない気持ちにさせられる

 

一夏「じゃあ、俺行くからな」

 

零「行ってらっしゃい」

 

そう手を振ってベットから俺に応えてくれた。

俺は、学校が終わったらお粥でも作ってやろうと考えながら、食堂に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セシリア「あっ、一夏さん。おはようございます」

 

シャルロット「おはよう、一夏」

 

教室に入ると、女子たちと話し込んでいたシャルとセシリアが俺に気付く。

どうやら、箒とラウラはまだ教室に来てないようだ。

箒は剣道部の朝練かな? ラウラは・・・まっ、いっか。

 

一夏「おはよう。セシリア、シャル。昨日は悪かったな、面倒なことになってさ」

 

セシリア「まぁ、少々不服ではありますが、かまいませんわよ。あの方、相当の実力者なのは認めていますから」

 

シャル「で、でも、僕たちに聞きたい事があったらいつでも言ってね」

 

一夏「おう。頼りにしてるぜ」

 

セシリア・シャルロット「・・・///」

 

一夏「ん? どうした? お前らも風邪か?」

 

だったら早く対処をしないと。

 

谷本「ちょっとぉ、織斑君。メインばっかり構わないで、私達とも絡んでよ〜!」

 

夜竹「そうよそうよ。サブキャラだって、人気しだいでメインに上がれるんだから、扱いは平等でしょう!」

 

一夏「は、はぁ・・・」

 

何言ってるのか、まったく分からん・・・

 

シャルロット「///・・・うん? 一夏、さっき「お前らも」って言ったよね? 誰か風邪引いたの?」

 

セシリア「そういえば、いつもは零さんと登校なさいますのに、今日はいませんね」

 

一夏「ああ、実はな────」

 

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【零SIDE】

 

はぁ・・・風邪を引いただけで寝込むなんて、何時以来だろう。

ほんの半年前まで、働く・・・お金を稼ぐことでしか生きる実感を得られなかった私が、今では談笑して笑い、他人に振り回されて(8割は会長)、少し・・・その、良い体験というべきなのか、悩むが・・・。

 

零(お、女の人って・・・あんなに柔らかいんだ、な・・・)

 

思い出すと腕にあの時の感覚が戻ってきて、さらに頭がぼ〜としてきた。

 

零(〜〜〜、何なんだ、このモヤモヤした気持ちは・・・)

 

 [ッ・・・]

?「ぅん・・・」

 

零「え?」

 

い、今、隣の掛け布団が動いたような・・・気のせいか?

 

 [ッ・・・]

 

いや、気のせいじゃない。絶対動いた・・・。

 

零「・・・」

 

私はその布団から目を離さない。

すると、徐々にもっこりと盛り上がる掛け布団。どうやら中にいる"何か"が起き上がったようだ。

その盛り上がりがどんどん膨れ上がり、その高さは1メートルを越えると、するする布団が重力で剥がれていく。

 

零[ゴクッ]

 

被る布団で鼻までを隠し、いつでも行動を起こせるように身構える。

そして、盛り上がった布団から出てきたのは────

 

ラウラ「・・・」

 

零「は?」

 

ラウラ・ボーデヴィッヒ、その人だった。しかも全裸・・・またかよ。

時々、一夏さんの寝込みを襲うラウラさんを目撃するところを見た事がある。

その度に「服を着ろ!」という一夏さんの声に起こされ、篠ノ之さんの「この不埒者ぉ!」で起こされ、その後のどたばたでも起こされ・・・。

だけど、未だにラウラさんがここにいるのは何故だろう・・・。まさか─────

 

ラウラ「無視、された・・・」

 

そう呟くと膝から崩れ落ちるラウラさん。

 

ラウラ「私は・・・私、は・・・・・・ううぅ」

 

げっ、泣き始めた・・・。

お尻の方をこちらに向けていて、かなり焦っていたが、あんなに打ちのめされているラウラさんを見たら、そんな気が吹き飛ぶ。

 

ラウラ「うわぁああああん!!」

 

零(ちょ、ちょっとラウラさん?・・・あっ、ヤバい。咳き込みそう)

 「んっ・・・んっ、んっ・・・ゴホァ!」

 

ラウラ「はっ!? い、いたのか!?」

 

我慢できず吐き出された咳で、ラウラさんが私の存在に気付く。

 

零「あっ、いや何も見てないので────[ガシッ]ぐへぇ!?」

 

ラウラ「私はどうすればいい!?」

 

裸のラウラさんに胸倉を掴まれ、上半身をベットから引き剥がされる。

裸を見た事について殴られると思っていたが、どうやら一夏さんに放置されていることに対して、相当なダメージを受けたようだ。

 

ラウラ「クラリッサが言っていたのだ! 夫婦というのは"アサガケ"というものを行うものだと!」

 

それ、色々と間違っている・・・。

 

ラウラ「だから、隙あらば朝に襲撃して、嫁にとって良い訓練になるようにと・・・!」

 

あなたの解釈も間違っている・・・。

 

ラウラ「しかしっ! 今回は完璧に無視されてしまった! いや、私がタイミングを見計らい起きれば良かったのだが、何分、アイツの隣はその・・・落ち着いて、つい本気で寝入ってしまう。それに良い匂いもするし・・・・」

 

だんだんとノロケになってきたぞ・・・。

 

ラウラ「なぁ、心の友よ! 私はこれからアイツとどう接すればいいのだ!?」

 

心の、友・・・かなり責任重大なポジションに立たされてしまった。

ってか───

 

零「いや、普通に接すればいいのでは?」

 

何度も何度も同じ事をされて、何度も何度も同じ反応される事は少ない。

必ず免疫が出来て、冷静な判断力が身につくようになる・・・それがどうして"無視"という選択になったのかは分からないが、少なくても一夏さんに限って"これからずっと無視"はありえないだろう。

私は、それを説明すると、ラウラさんは徐々に冷静さを取り戻していく。

 

ラウラ「そうか・・・零が言うのであれば間違いはないな。よし・・・!」

 

小さくガッツポーズを取って気合いを入れる。どうやら、生気は取り戻したようだ。

 

ラウラ「そういえば、どうしてまだここにいる? 既に学校が始まっているはずだが────まさか、風邪か?」

 

零「うん、まぁ」

 

「そうか」と短く答えたラウラさんは、「少し待ってろ」と言って、部屋を出ていき、ものの20秒ぐらいで戻ってきた。

・・・女の人としかいないといっても、よく廊下を裸で出ていける・・・。

 

ラウラ「これを飲めば、すぐに治るはずだ」

 

と、渡されたのはカプセル型の薬。

赤と白のカプセルで、見た目は薬局で売られているような代物だった。

だけど、ラウラさんは軍人。これって一般人の私が飲んで平気なのだろうか?

 

ラウラ「安心しろ。誰が飲んでも大丈夫だ。飲んだ後は少し気分がハイになるらしいが、生活上では問題ないだろう」

 

零「そ、そうですか・・・」

 

手に取ったカプセルは、何の変哲もないものだが、無意識にこれを服用することを抵抗している・・・気がする。

しかし、せっかくの厚意を無駄に出来るわけが無く、私はラウラさんが持ってきてくれた水と一緒に胃に流し込んだ。

 

零「・・・」

 

ラウラ「何ともないだろ?」

 

零「え、ええ」

 

「安静にしろよ」と短く伝えたラウラさんは、そのまま室を出ていく・・・やっぱり裸のままだ。

 

ラウラ「きょ、教官!?」

 

千冬「何をしているこの馬鹿者っ!」

 

廊下から"バッシィン!"と銃声と並ぶ音が響く。

私は、少し悩んだ末に聞かなかったことにして、眠ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「ゴホッゴホッ! ゴホァッ!!」

 

あ、あれ? 何か、さっきより酷くなってないか・・・?

 

零「あ、あの薬か? あの薬が原因なのか?」

 

時刻は12時半。学校では丁度、お昼休みだろう。

今なら電話で助けを呼べる・・・あっ、

 

零(携帯電話、持ってなかった・・・)

 

いつも会社側から支給される携帯電話を利用していたため、自分名義の携帯電話を持った事が無かった。

持ってたとしても連絡を取る相手なんていなかったから、苦労は無かったのだ。

 

零「ゴホッゴホッ!」

 (死にそう・・・)

 

大袈裟だと思われるかもしれないが、ガチで死にそうだった。

頭はぼ〜とし、意識がだんだん遠のいていく。頭痛や関節痛が一層強くなって、さっさと意識を手放したいほどだ。

 

零(寝たいのに、痛くて寝れない・・・動きたいのに、だるくて動けない・・・)

 

まるで生き地獄だ。

吐き気も催し、もう首元まで胃液が上がってきている感覚がある。

 

  [ガチャ]

楯無「お見舞いに来たわよ〜!」

 

げっ! このタイミングで会長かよ・・・。

 

楯無「って、本当に苦しそうじゃない!?」

 

私の姿を見るなり、慌てた様子ですぐさま寮室を出て、洗面器、体を拭くための布巾、食堂から取ってきたスポーツドリンクなどを抱えて1分で準備してきた。

てっきり疲れる羽目になるかと思っていたが、予想外に献身的に私の世話をしてくれる。

 

楯無「はい、これ咥えて」

 

体温計を咥え、額に貼られた冷えピタを取り換えられる。そして、バケツに水を入れて布巾を絞る

その動きをまじかで見ていて、あまりにもの手際の良さに驚いた。

 

[ピピピピピピピッ]

 

楯無「うっわ! 40度近い・・・大丈夫? 何かしてほしい事ある?」

 

私の顔を覗き込むその表情は、いつもの悪戯を企む小悪魔的なものではなく、本当に心配してくれるお姉さんのようだった。

とりあえず、洗面器の方へ指をさすと、すぐさま洗面器が渡され、私は会長に見えないよう体を横に向ける。

会長がいる前だが、私は必死に洗面器を構えてえずる。すると、会長は優しく背中を擦ってくれた。

 

零「おぇ・・・はぁ、はぁ」

 

楯無「焦らず、ゆっくり、ゆっくり」

 

出すものを出して、洗面器を会長が回収。

そこまでしてくれるか・・・と有難さと申し訳なさが混同した気持ちになる。

会長が寮室に備えられた洗面所で作業している中、眠気が襲ってきた。

 

零(お礼、言わないと・・・)

 「・・・zzz」

 

楯無「────ん? 寝ちゃった?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「んんぅ・・・」

 

本音「おきた〜?」

 

既に、空が夕日で橙に染まる頃に目を覚ますと、私の顔を覗き込む布仏さんがいた。

・・・『ひやぁ!?』・・・

 

零[ボフッッ!]

 

昨日の一件が頭をよぎって、首から頭の先まで真っ赤になる。

 

本音「わわっ!? あたまから湯気が・・・!」

 

そうか、頭から湯気が・・・どおりで意識が朦朧としてくるわけだ。

 

零[ガクッ]

 

本音「れ、れいちん?────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楯無「随分とせこいやり方ね。事故を装って純粋な子を傷つけるなんて」

 

違う、あれは本当に不可抗力で・・・。

 

一夏「同じ男として情けないぜ」

 

だ、だから・・・

 

箒「不埒者」

 

セシリア「最低ですわね」

 

鈴音「ゴミ以下ね」

 

シャルロット「ゴミと言うか・・・塵?」

 

ラウラ「塵に失礼だろ」

 

真耶「教育的指導です!」

 

千冬「安心しろ。私が塵も残らず、貴様の愚行を葬ってやろう・・・もちろん、貴様自身の存在もな」

 

いや、だからですね・・・

 

簪「あなたなんか、消えた方が世の中のため」

 

ッ!?

 

?「そう、消えなさい」

 

な、何だ? 誰?

 

?「あなたの需要はもうない」

 

?「欠陥品は正規品の踏み台」

 

?「破棄されるべき」

 

何で・・・何でなんだよ!

さっきから聞いていれば、他人に需要だとか、破棄だとか・・・そんなのお前らに言われたくない!

 

?「・・・でも、踏み台は踏み台」

 

踏み、台・・・?

 

?「私しかあなたの価値を知らない。だから、他の人からは捨てられちゃうの」

 

く、来るな・・・近づくなっ!

 

?「あなたが欲しい───」

 

 

 

 

 

 

零「うぁああああああぁっ!?!?」

 

一夏「おおっ!? ど、どうした!?」

 

零「いち、かさん・・・あれ? 布仏さんは?」

 

一夏「布仏さん?」

 

零「一夏さんと同じクラスの・・・ほら、ぼけ〜っとした」

 

一夏「ああぁ、のほほんさんか。それなら、俺が戻ってきた時に入れ替わりで帰ったぞ」

 

零「そう・・・」

 

せめて、あの時の事をしっかりと謝りたかったのだが・・・

 

一夏「で、どんな悪夢を見たんだ? 寝汗も酷いぞ」

 

零「・・・何だろう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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スコール「・・・見つけたわ」

 

高級なドレスで身を包むスコールの眼前にあるのは円柱のカプセル。

スコールがいる場所は、どこかの地下施設みたいで、そのカプセル以外に発光する物質は無い。

 

スコール「随分と大層な場所に保管されているのね。ドーム一つ分かしら?」

 

ヒールがカンッ、カンッと高い音を鳴らし、スコールはカプセルの中に存在するものを目視した。

カプセル内には冷気がたちこめていてよく見えないが、"人型"であることは間違いない。

 

兵士「・・・」

 

スコール「あら、一人? 舐められたものね」

 

カプセルに備えられたコントロールパネルに触れようとすると、暗闇の向こうから全身迷彩柄の軍人が武器も持たず出現する。

スコールはISを展開しないまま、軍人と対峙する。

防具ヘルメットを被っているため、軍人の口元から上は見えない。

すると、スコールのインカムから通信が入る。

 

マーム『任務、完了』

 

スコール「お疲れ様。こっちももうすぐ終わるわ。すぐに帰還しなさい」

 

マーム『了解』

 

スコール「という事だから、すぐに終わらせてもらうわッ」

 

ダッと駆け出したスコールの右足が、軍人の顎部に綺麗に決まる。

 

兵士「・・・」

 

スコール「頑丈ね」

 

だが、首だけ回るだけでダメージを受けている様子はない。

スコールはそのまま回し蹴りの容量で、また顎をかかとで蹴りつける。しかし、やっぱり兵士はその場から一歩も動かない。

 

スコール(薄気味悪い)

 

一度、後退すると、今度は兵士がゆっくりと歩み寄ってきた。

隙が有り過ぎて、スコールも迂闊に動けない。

 

スコール(さて、どうやって戦闘不能にしようかしら・・・)

 

正直、一発目の蹴りでKOを取れると確信していた。

しかし、こうまで頑丈な相手なら取れる手段は・・・と、スコールは不服そうにドレスの胸元から拳銃を取り出す。

そして容赦なく、兵士の足を射撃した。

 

兵士[ガクッ・・・むくっ]

 

一回、膝をついたが再び起き上がる。

そこにまた銃弾が命中。計16発の銃弾が脚に命中したが、一向に歩行をやめない。

 

スコール(・・・なるほどね。そういう事か)

 

カプセルを一瞥して笑みを作ったスコールは、兵士と同じく歩き出す。

距離が三メートル、二メートル、一メートルと近づくと、兵士に足払いを決めて床に転がした。

 

スコール「ふんっ!」

 

兵士の足、腕、股関節、背骨に腰骨を踏みつけて粉砕すると、兵士は糸の切れた人形のように動かなくなった。

スコールは兵士のヘルメットを外して、顔を覗き込む・・・そこにあったのは、白目を剥いた男の顔だった。すでに死んでいる。

 

[プシュー!]

 

スコール「・・・本命のご登場ね」

 

突如、カプセルが開き、中から先ほどの人型が現れた。

長い白髪をなびかせている人型は全裸だった。背は150p近くあり、ほっそりとした体型でとても綺麗な白い肌をしている。

だが、異様なのは少女の"眼"だった。

白目も黒目もない・・・全てが蒼。宝石のように輝くそれは、まるでサワァイアのようだ。

 

スコール(綺麗ね・・・)

 

?「・・・ッ」

 

スコール「うっ?!」

 

少女の眼がカッと輝くと、その眼に魅了されていたスコールに異変が起きる。

 

スコール(な、何かが・・・、わたしの、中に・・・!!)

「くぅぅ・・・!」

 

?「・・・」

 

スコール(これ、が・・・『アイリス』の力・・・これが"ファクター"。まさか、こんな簡単にやられるなんて・・・でも、対策はある!)

 

何とか意識を繋ぎ止めていたスコールは、膝を折った状態から特殊弾を込めた小型拳銃を取り出し、銃口を少女に向けて────

 

束「だめだな〜! そんなおいたしちゃ〜さ〜!」

 

?「っ!?」

 

スコール「篠ノ、之・・・束?」

 

スコールの背後から現れた束は、拳銃を奪い、スコールが振り向く前に蹴り飛ばした。

 

スコール「うぐっ!」

 

束「この子は、私が連れて帰るんだから。さっ、行こっ!」

 

?「っ?・・・???」

 

何だか分からないまま束に連れ出される少女は、おぼつかない足取りで束に引っ張られていく。

どうやら、少女は目が見えていないようだ。

 

スコール「・・・」

 

一人残されたスコールは、立ち上がってドレスについた埃を払う。

 

スコール「ふぅ・・・・・・オータム? 迎えに来てくれないかしら。うん・・・そう、ロシアの地下基地にいるわ。無力化してあるから正面から入ってきなさい・・・」

 

オータムに通信を入れたスコールは大きくため息をつく。

しかし、これは作戦失敗の落胆ではない。

 

スコール「形はどうであれ、"あれ"をここから出せたわ・・・これで脅威が一つ減った」

 

「ふふふっ」と不敵な笑みを浮かべて、オータムが来るまでずっと笑っていた・・・。

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