英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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8月25日――――

 

〜グラウンド〜

 

「さてと、お楽しみの実技テストといきましょうか。君達、準備はいいわね?」

「はい、大丈夫です。」

「いつでも行けるよ。」

「わたくしにとってはこれが初めてのテストになりますね……頑張らないと!」

サラ教官の言葉にリィンとフィーは頷き、セレーネは真剣な表情になり

「くふっ♪速攻で終わらせればいいんでしょ?簡単だね♪」

「エ、エヴリーヌお姉様……」

「お願いですから、ちゃんと連携してくださいね……?」

「……まあ、今の所は全員のARCUSと繋げても問題なかったから大丈夫だとは思うが……」

エヴリーヌの発言を聞いたプリネは冷や汗をかき、ツーヤは疲れた表情をし、レーヴェは静かな表情でエヴリーヌを見つめた。

 

「やれやれ、1年に編入しても実技(コレ)ばっかりはラクできそうにねえなあ。一応補習の名目だからバックレることもできないしよ〜。」

「先輩……そんなことしたら本気で卒業できなくなりますよ?」

「スキあらば授業は寝ちゃうし、こういう時くらいは本気を出して欲しいわよね……」

クロウが呟いた言葉を聞いたマキアスとアリサはそれぞれ呆れた表情で指摘した。

 

「ハハ、わかってるっつーの。」

「ねー、聞いた話じゃガーちゃんみたいなのを相手にするんだよね?あ〜、わくわくするなー。はやくやろうよ〜。」

「ええい、騒ぐな鬱陶しい。」

はしゃいでいるミリアムをユーシスは鬱陶しそうな表情で睨んで指摘した。

 

「フフ、3人増えたくらいで随分賑やかになったもんね。ま、確かに”戦術殻”を出してもいいんだけど……せっかく新メンバーもいることだし、今回は趣向を凝らそうかしら?」

「趣向……ですか?」

「ふむ、今日はどんな思い付きなのやら。」

「………………」

サラ教官の言葉を聞いたエマは目を丸くし、ラウラは考え込み、レーヴェは呆れた表情でサラ教官を見つめていた。

 

「フフン、思いつき上等!こういうのは柔軟にやってこそよ!―――というわけでリィン!それに新入り、クロウにミリアム、そしてエヴリーヌ!」

「は、はい!」

「おう。」

「はーい。」

「ん。」

サラ教官に名指しされた4人はそれぞれ返事をした。

 

「――あんたたち、チームね。」

「え。」

サラ教官の指示にリィンは呆けた。

 

「残りの11人は、男女に別れてそれぞれチームを組みなさい。ただし、ツーヤかプリネのどちらかは男子チームに入る事。マキアス達副委員長チームとエマ達委員長チーム、そしてリィンたち変則チーム……以上3組で模擬戦をやるわよ!」

「な、なんですかそのチーム名は……!?」

「た、確かにそうですけどそれ以前に……」

「ふむ……なかなか興味深いチームわけだな。」

サラ教官の指示を聞いたマキアスは驚き、エマは戸惑い、ガイウスは考え込んだ。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!何で俺達だけ変則チームに……!?しかも人数もどのチームよりも少ないですし!」

その時リィンが慌てた様子で反論した。

「あたしの見立てだとこの3組が実力的に拮抗してるのよね〜。男子チームも女子チームも、使う得物やそれぞれの特性から戦力的なバランスは申し分ないし、オールラウンダーのプリネとツーヤのどちらかが入ってもどちらかに傾く事なくバランスはよくなるし。リィンのチームは人数こそ少ないけど、先輩として場数を踏んだクロウとアガートラムを持つミリアムに加えて極めつけは数々の”実戦”を経験したエヴリーヌがいる。人数くらい、ちょうどいいハンデじゃないかしら?」

「なるほど……意外と理に適っているやもしれぬな。」

「むしろエヴリーヌがチームにいる時点で、”反則”に近いと思うがな。」

「お前に褒められても全然嬉しくないけど、ま、味方がどれだけ少なくてもエヴリーヌがいたら勝利は間違いないのは事実だね。」

「フン、少なくともいつもの実習の班分けよりは作為的ではないようだ。」

サラ教官の説明を聞いたラウラは納得し、呆れた表情で自分を見つめるレーヴェの意見に不愉快そうな表情をしたエヴリーヌは不敵な笑みを浮かべ、ユーシスは鼻を鳴らしてジト目でサラ教官を見つめた。

 

「どこかの誰かさんが面倒事を押し付けられてるってこと以外はね。」

「アハハ、確かに。」

「”その役目”は今までの事を考えると決まっているようなものだしね……」

「???どういう事でしょうか?」

ジト目でリィンを見つめるアリサの意見を聞いたツーヤとプリネは苦笑し、理由がわからないセレーネは首を傾げた。

 

「ん、誰のことー?」

「そんな気の毒なやつがこの中にいるんだなー。」

「キャハッ、そいつってご愁傷様だね♪」

首を傾げたミリアムの言葉にクロウは棒読みで答え、エヴリーヌは口元に笑みを浮かべ

「……ああもうわかりました!この際、腹をくくります!」

3人の言葉を聞いて冷や汗をかいたリィンは自棄になって答えた。

 

「フフ、そうと決まればさっそく始めましょうか。まずは――――」

その後リィン達は2チームと戦い、それぞれ協力して勝利した。

 

「うん、ざっとこんな所ね。最後の模擬戦もなかなかアツかったわね〜。」

「人数のハンデがありながら善戦した方だな。」

サラ教官の言葉を聞いたレーヴェは静かに呟き

「はあ、いい勝負だったんだが……」

「あはは……一瞬の隙であそこまで押し切られるなんてね。」

「さすが双子の姉妹ね……二人のコンビネーションに私まで押し切られるなんて。」

最後の模擬戦で敗北したマキアスは溜息を吐き、エリオットとプリネは苦笑していた。

 

「ふふ、さすがはラウラとフィー、竜の姉妹のツーヤとセレーネってところかしら。」

「フン、戦闘だけなら、2年生たちを入れても上位に食い込むだろうな。」

アリサとユーシスは4人を見つめて称賛した。

 

「ふふ、今回のはアリサとエマのサポートがあってこそだろう。」

「うん、わたしたちだけじゃあそこまでできなかったはず。」

「ええ。でなければあたしとセレーネだけでプリネさんに勝てませんでしたよ。」

「はい。わたくし達がプリネさんとまともに戦えたのはお二人の援護のお蔭です。」

称賛された4人はそれぞれ謙遜した様子で答え

「ふふ、そう言ってもらえると。」

4人の言葉を聞いたエマは微笑み

「とにかくみんな、よく頑張ったというところか。

ガイウスは静かな笑みを浮かべた。

 

「それにしてもリィンたち変則チームはやっぱりキモだったわね〜。2戦とも勝利を収めるなんてなかなかやるじゃないの。」

「はは、やっぱり先輩達の力が大きいと思いますけど。」

「エヴリーヌが手伝ってあげたんだから当然の結果だね。」

サラ教官の称賛にリィンは苦笑し、エヴリーヌは当然と言った様子で受け取り

「いやー、お前もなかなかのモンだったと思うけど。」

「うんうん、ボクも見直しちゃったかなー。」

クロウとミリアムは感心した様子でリィンを見つめた。

 

「――やれやれ、相変わらず突拍子もない模擬戦を……」

するとその時ナイトハルト教官が近づいてきた。

 

「あ……」

「ナイトハルト教官?」

予想外の人物の登場にアリサとリィンは目を丸くした。

 

「あら、実戦でも連戦なんて珍しくないのでは?実力が拮抗する相手にどう対処するかも兵法のひとつでしょう?」

「それに複数の対人戦は軍の鍛錬でも採用していると思うが?」

「……まあ、否定はしないが。」

サラ教官とレーヴェの指摘にナイトハルト教官は反論せず、静かな表情で頷いた。

 

「えっと、どうしてナイトハルト教官が?」

「ま、まさかこのまま教官と模擬戦なんて言うんじゃ……」

「あはは、違う違う。次の”特別実習”は、前々回の帝都と同じくちょっと変則的でね〜。彼も段取りに関わっているから、こうして来てもらったの。」

「変則的、ですか……?」

「なにやら思わせぶりだな。」

「ま、ちょうどいいからこのまま実習地の発表と行きましょうか。」

そしてサラ教官はリィン達に実習地のメンバー表を配った。

 

 

 

 

説明
第164話
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コメント
感想ありがとうございます 本郷 刃様 まあ、エヴリーヌで全員撃破可能でしょうしねww THIS様 閃Uもそうなるんじゃないですかww(sorano)
 リィン・・・今回は当りだと思うぞWWしかしもう、伝統になりつつあるリィンに押し付けWW(THIS)
プリネとツーヤよりもエヴリーヌの方が強いですからね、人数的にも少ない方が確かにリィンチームは安定していますね(本郷 刃)
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