超次元ゲイムネプテューヌmk2 希望と絶望のウロボロス |
幼女。
それは−−−伝説なり。
幼女。
それは−−−神秘なり。
幼女。
それは−−−刹那なり。
一つでもいい、考えてみてもらいたい。想像してもらいたい。
例えば無邪気に走り回り向日葵のような笑顔見せる姿。
見える全てに好奇心を抱きキラキラと星の様に輝かせる純真無垢な瞳。
小動物のように頼りない、しかしその弱弱しさには思わず守ってあげたくなる母性本能を擽る物。
汚れを知らず甘える猫のようなボイスに一体どれほどの破壊力があるか。
しかし、それはあまりに短い時。
大きくなれば自身の格好に気を使い始め、化粧、服、バック等に興味が沸いて沢山の金が羽を付けてどこかに消えていく。
無邪気に触れ合っていた時期も性別という概念を理解し始めると一気に距離が離れ、独り立ちを始めてしまう。
更に成長してしまえば女性同士でグループを作り騒がしく笑うようになり、多感な時期は複雑な心境を作り出して色々と難しくなってしまう。
「−−−そう、幼女とは花が咲く前の小さな蕾が見せる一時の夢」
紅い雲が世界を覆うこの目に悪いこの大地に立ちながら果ての無い空を見るフードの奥からオッドアイの双眸が映した。
その隣には恐竜のような外形をしながら全く野性的な厳格さはなく、むしろ体つきは肥満したピエロのような姿をしたマジェコンヌ四天王が一人トリック・ザ・ハードは遠い目で遠い空を見つめていた。
「残酷に流れる時間が疎ましい。この刹那が永遠に続けばいいのに−−−」
「違うぞ。トリック……」
その夢を断固否定した。
それは可笑しいのだ。否そんな時が永遠に止まるような事はあってならないのだ。
「夢は夢でなきゃいけない。幻想が現実となってしまえば、陳腐となる様に、俺達はそこにある儚い物である短いその輝きを愛し続けるんだろう−−−トリック」
「ふん、すまない。我が同士レイスよ。俺は間違っていた」
「気にすることはない。夢を見ることもまた価値のあるものだと俺はそう思っている」
手に入らないと思ってるからこそ、それを追い求める探究心。好奇心と愛情があれば人は退屈できずに生きていける。それを信じるレイスから伸ばす手にトリックは鼻で笑い力強くレイスの手を取った。その演技っぽい友情の握手を見つめるもう一つの大きな影。
「無駄にかっこいい事を言っているつもりだろうが、俺はお前達を自首させた方が子供の平和が守られるだろうと真剣に考え始めているのだが」
「ノリが悪いぜブレイブー、お前だって子供の笑顔を見るのが大好きだろう?」
「ああ好きだとも、しかしお前たちの愛情は卑猥な妄想で染まっているだろう」
レイス達が振り向くとそこには歴戦を潜り抜けたような薄汚れた白を基準にした装甲を身に纏い、子供が好きそうなアニメの合体ロボットのような姿をしたマジェコンヌ四天王が一人ブレイブ・ザ・ハードは目の前の変態二名に頭を抱えた。
この二人、好きなのだ、幼女が。
未発達の体を見ては河原で見つけた如何わしい本を見て思春期の男性が興奮するように黄色い声でハイテンションになるのだ。
その他にはギャルゲーなどをレイスが買ってきては、二人はロリボイスに身を捩じるのだ。控えめに言おうとしてもやっぱり変態という言葉が似合いすぎている。同じ職場に居る者として、ブレイブは手を出して子供に酷いトラウマを植え付ける牢獄に閉じ込めた方がいいと真剣に考えていた。
「「は、その眼に答えてやろうーーーロリコンで何が悪い!!!」」
「こいつら、どうしてド変態なのに無駄に優秀なんだろうか」
たった三年で女神のシェアの大半を奪ったのは間違いなく目の前の二人が功績が大きい。
トリックの巧みな情報操作をバックにレイスが的確に相手をそのカリスマ性で次々と?み込んでいく、更にその腕っぷしはシェアの低下とギョウカイ墓場の特性上、弱体化したとしても四女神相手に圧勝するという場違い強さを誇っている。
性格も忠実であり、組織の運営と管理の中で忙しい身でありながら、お互いに剣を交える鍛練も欠かせない。故にブレイブ本人は気に入っている人物だ。幼女好きと言う点を除けば理性的で弱き者に対すれば手を伸ばす優しい心を持っていることを知っている。しかし、人は不完全であるように彼もまた目で覆い隠せない程の欠点を抱えていたのも事実であった。
「天才と何とかは紙一重というかむしろ完全に向こう岸と言う奴だ。所でレイス、例の物は?」
「心配するなトリック、俺とお前の仲だ。勿論用意したぜ」
トリックの神妙な表情にわざとらしく髪を上げたレイスはその手に持っていた幼女の姿がプリントされた紙袋からソフトを取り出しトリックに差し出す。ブレイブは黙ってウザいと心の中で愚痴った。
「これだ。『大集結☆ヒロインみんな妹で可愛いロリっ娘。私達お兄ちゃん大好き♪R-18』確かに届けたぜ」
「ふっ、まさか一週間後に発売をに控えたゲームをフラゲできるとは、ふっ手が…手が震えてきたぜ……!」
「犯罪組織の中にその製作会社で働いている奴がいてな、バグ修正したばかりのほやほやをいただいた。自家発電しすぎてオーバーロードしないようにな」
一目で可愛い少女達が沢山プリントされているパッケージだった。、それをトリックは天から授けられた物を受け取るようにこれ以上に無いぐらいの丁重な姿勢でそれを受け取った。
「(まぁ、ゲームならまだいいだろう…)」
色々と言いたいこともあるが、もし現実的にそれをやろうとすれば、例え仲間であっても問答無用で斬るつもりなブレイブは安息のため息を放つ。そんな思想を知らずレイスはもう一つ取り出した今度は先ほどと違ってかなり過激な姿の少女がパッケージを飾っていた。
「もう一つ、『公衆トイレに隠しカメラを「アウトォォォォッォォォ!!!!!」どぁぁぁ!?いきなり斬りかかるなよ!?」
「なっ、何をするのだブレイブ!?血に迷ったか!?」
息を継がぬ速さで背中に装備された火炎を纏う大剣を抜き取りそのまま、一切の迷いなくレイスの手に合ったソフト目掛けて振り下ろした。彼の大きさと大剣ではレイス事範囲に入っていたが、レイスの超人的な反射神経と身体能力によって斬られたのはソフトとまだソフトが入っていただろう幼女の姿がプリントされた袋だけだった。危なかったと冷や汗を掻きながら同時に大剣を纏う熱に溶かされたソフトの姿に唖然と口を空けるレイスにブレイブの怒りの雄叫びが響く。
「貴様らぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「なんでこんなに怒ってんの!?」
「知らぬわ!これだから頭の悪い脳筋正義は嫌いだ!!」
騎士のような構えから更に一閃、二閃。レイスとトリックに迫る。
紅い軌跡を残しながら嵐の様な剣舞に斬られたエロゲーを名残惜しそうに涙と共に捨て黒剣を具現化して、トリックは周囲に何重にも重ねられた魔法陣展開して応戦が開始された。
「貴様らは俺が斬る!明るい未来に生きる子供達の為に!!!」
レイスが渡そうとしたのもまたちょっと特殊なジャンルのエロゲーだと言う事なのを知らぬブレイブは、レイスとトリックを相手に正義の断罪を下す為にためにその赤く輝く大剣を己の正義の為に振るった。慌てる様子のレイスも負けておらずその剣閃を上手く受け流しながら、トリックも魔法陣で受け止め、逸らしながら紅き剣閃を躱していく。
その後、喧嘩の臭いを嗅ぎつけたジャッジも乱入し、それを治めるためにマジックも介入して、大混乱の四天王大合戦となり、後に発端であるレイスはギョウカイ墓場の地図を作り直す羽目になり、涙目になったのは言うまでもない。
◇
ギョウカイ墓場。
そこは煉獄というシステムである。死した魂が地獄に落されるか、天国に召されるか重要で人の立ち入らぬ禁忌の地。神聖で邪悪なゲイムギョウ界では無くてはならないそこには裁判待ちの穢れた魂がモンスター化することが多い。そのモンスターは世間を騒がしている【汚染化】より更に進行が進んでいる。その理由としては地獄、つまり冥獄界に近い場所でありその影響を受けやすいのだ。本来であるのならこの地を守護するモンスターが駆除するのだが、増えるモンスターを倒す所かそれらを隷属化する者達の手によって、この地は完全に魔境と化していた。
「幼女サイコーー!!!」
稲妻を纏う紅い雲の下で喜びに満ちた叫声が木霊する。
黄色の装甲に恐竜に似た姿をした姿、その正体はマジュコンヌ四天王の一柱、トリック・ザ・ハードである。
「気持ちが分からなくもないが、もうちょっと静かにな?お前の声で幼女の美声が穢れてしまうだろうが」
「むっ、すまんすまん」
何気に酷い事をいっているのはレイスだ。しかし気にせずトリックはそれに視線を戻した。
彼らの目の前には液晶ディスプレイがあり、そこからは年頃10歳未満少女が冴えない男性に抱きついているCGが映し出されていた。場面下に表示されている枠の中には流れるように表示されている文字と同時にそれを読み上げる様に声が発せられる。
『お兄ちゃん♪』
「うぉぉぉ!俺も幼女に抱きつかれたい!お兄ちゃん発言されたい!ペロペロしたい!!」
まるでカメレオンのように長く伸びた舌が餓えた獣のように唾液が満ちるそれをレイスは触れた瞬間、蒸発させる見えない炎の膜を張っている。
さて、自分の欲望に素直なのはいいが、その領域は犯罪めいていると常識人なら思うかもしれないが、この場には二人しかいなくレイスはうんうんと深く同情するように頷く。この二人、見ての通りロリコンだ。
「俺は見て愛す側だな。確かに自分色に染めたい時もあるが強くやり過ぎると壊れるからな」
「ふむ、確かにそれも一理あるだろう……が、壊れないように調整するのもまた一興」
天然だからこその輝きが良いんだと言いたかったが、これを言うと返し言葉にまた返してしまい好きな物同士だからこその衝突が発生してしまう。ここがギョウカイ墓場でなければ容赦なく譲れない所での議論が飛び掛かっていたところであったが、昨日の四天王大合戦の所為でマジックの目が非常に厳しい。その目を盗んでプレイしているので、レイスとトリックはいつばれるか分からないスリルを味わいながら、自爆だけはしないようにお互いを意識しているがあまり意味をしていないように見せてしまう。
『ねぇ、今日はパパもママもいないから一緒に寝ようよー?」
『僕は勉強中なんだ。期末テストも近いし、今日は勘弁してくれ』
そうしている間にも話しは進み。寝間着姿の幼女が上向けなってベットに倒れ込むCGがディスプレイに映りだされた。
なんと、寝間着は上しか着ておらず誘惑するような足組から微かに露出している白い下着を血眼となって息荒く見つめる変態二名。
「被りたいなトリック」
「同感だ。レイス、ぺろぺろしたいお」
最早口調が安定していないトリック。
無成熟な体が放つ禁断の妖艶の魅力に頭をやられたようだ。レイスも食い入るように見つめながらロリボイスを楽しんでいたが話が進むにつれて、目を細くしてトリックに視線を持っていく。それに気づいたトリックは速く進めろとした目つきでレイスを睨む。
「貴様の嫌いな【機密事項です☆】であったり【ブッピガン!】ではないぞ。それをやろうとすると貴様は嫌がるからな」
「いや、……その他にも苦手なジャンルが…」
嫌な記憶が頭痛と共に蘇って顔色が悪くなる。
そんなレイスの調子に心配することなく、トリックは目の前のエロゲーに夢中で急かしてくる。
心の中でため息を放ちながら嫌な汗がにじみ出る指で文章を進ませると選択肢が表示された。
『しょうがないな、と毛布を掛ける』
と
『少し少しだけ……』
隣の変態は俺もこんなに風に誘われたいと叫んでいるが、レイスは悟ったようにここは近づかない選択をしようと心に決める。その選択が愚かだったことに気づくのは遅かった。
「さぁ、貴様も紳士(自称)を名乗るのなら既に答えは決まっている筈だ」
耳元で囁かれる悪魔にしてはあまりに薄汚れた誘惑。というか、口から零れていく涎が生理的に忌諱されるレベルだ。レイスでなければ悲鳴と共に逃げられても可笑しくない。
「あー……うん」
記憶の中で蘇ったのは月が隠れた闇夜の中で妖美に笑い、本能を擽るような淫声で体の動きを封じながら跨り踊る黒い女性。レイスは元気なく生気なく答えると『しょうがないな、と毛布を掛ける』に合わせクリックする。
『まったく、いつになっても手間のかかる妹だな』
と、ディスプレイの中で主人公は立ち上がり毛布を掛けようとする。
その選択にトリックは目を開いて、レイスに見るとそこで漸くレイスの顔色が悪い事に気づき、もしやとプレイ中のソフトのジャンルを見る。
「まさか……!」
「……リアルにされるとな……アハハは」
虚ろな目で力なく笑うレイスにトリックは嫌な記憶が蘇りカタカタと歯を鳴らし、プレイ中のパソコンを力の限り殴った。
「−−−童貞では無かったのか!?」
「そこかよ!?」
「仲間だと思っているのに酷い……酷いぞレイスゥゥゥ!!!」
「お前一回、枯れる程【ピーー】されろ!!」
「幼女ならどんなプレイを受けて立つ!!」
「童貞が吼えるな!!」
「少しイケメン面をしているからって、調子に乗るな!!」
「テメェ、真っ暗闇で動き完全に捕縛された状態で徹夜で絞られてみろ!その朝、親友が何も言わず赤飯を出してきて、ベット自分で洗う?大きいゴミ箱用意しようか?って物凄く遠慮がちな目で言われて見ろ!!因みに赤飯は美味しかった!」
「惚気か貴様ぁぁぁ!!!」
買い言葉は売り言葉に。殴られ宙を舞ったパソコンが地面に落ち修復不可能なまでに壊れた最後に映したのは幼女は主人公を押し倒している場面だった。既に臨戦態勢に突入し距離を空けた二人に行き場のない怒りをぶつける様にパソコンが踏みつぶされた。激しいスパーク音と焦がれたケーブルの独特な臭い、なにより周囲の温度が一気に下がっていく死臭に二人の動きが時間を停止された党に止まる。
「……楽しそうではないか」
冷たくもその声音には明確な殺気と炎の様な怒りが込められている。
((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル とお互い目を合わせ滝のように汗を掻きながら、そして絶対零度の冷気が身体を硬直させる。逃げ場ないここは既に逃走を許さない領域に囚われていた。
「その会話の内容じーっーくーりー聞きたいなぁ?」
錆びた機械のようにギギギギと頭部を反転そこには
「なぁ?トリックそしてレイス」
一言で言おう
−−−−−−鬼がいた。
マジック・ザ・ハードが去った後。
プラネテューヌで今流行りの映画。
ネプ神家の一族、その有名なシーンである湖の水死体の如く地面に半殺しの二人が突き刺された。
騒がしく、荒々しく、危険極まりない場所であるが、
今日もギョウカイ墓場は平和である。
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ギャク回というなのマジェコンヌ側の短編二話 | ||
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