管理者からの御遣い 魏√14 |
反董卓連合が解散して、暫くの時がたった。
予想通り、董卓の消えた後漢王朝に諸侯同士の小競り合いを抑える力はなかった。
そんな中、曹操軍は盗賊団や野党などを討伐に出るという日々が続いた。
一刀「・・・・・なんだ、これ」
庭の中央に巨大なオブジェ。
沙和「あーっ!一刀さんなの!」
真桜「おー。一刀はんやん。どうしたん?」
一刀「何かに使うのか?それ」
一刀はそれを指す。
沙和「一刀さーん!真桜ちゃんが酷いのー!」
一刀「酷い?・・・・・・凪、説明してくれ」
真桜「ちょっ!なんでウチやのうて凪に聞くん!」
一刀「・・・・・どうせ、言わないだろう」
凪「いえ、特に酷い事は」
沙和「えー!凪ちゃんも酷いって言ってたのー!」
凪「酷くはあるが、理由も分かる、と言ったんだ」
一刀「で、なんなんだ」
沙和「真桜ちゃん、これが何か教えてくれないのー」
一刀「なるほど・・・・・・しかし、こんな巨大なもの華琳達が何を言うのか」
桂花「言わないわよ。私の指示で作らせているのだから。華琳さまにも許可はいただいているわ」
桂花が現れて言う。
一刀「そうか。しかしこれ、部品の一部分なんだよな」
桂花「ええ。そうよ」
一刀「・・・・・・門から出せるのか?」
「「あっ・・・・・・・」」
桂花と真桜の声が重なった。
一刀「はぁ・・・・・」
桂花「もう軍議も時間よ!さっさと行くわよ!」
一刀「なんで、逆ギレしてんだよ・・・・・・凪、後はまかせるな」
華琳「・・・・・・呂布が見つかった?」
桂花「あの戦いの後、南方の小さな城に落ち延び、そのに拠点を構える事にしたようです」
卓上に広げられた地図に置かれた碁石が示すは、ここから南西の城。
周囲に巨大な勢力はなく、無法地帯な場所。
華琳「なるはどね・・・・・。秋蘭、呂布が逃亡したとき、何名か武将が同行していたわね」
秋蘭「陳宮らが呂布と行動を共にしていると言う情報が届いています。・・・・恐らくですが、まだ一緒にいるでしょう」
桂花「どうしますか?呂布が本気になれば、こちらはかなりの損害を被る事になりますが・・・・・」
その言葉に、誰しもが息を呑んだ。
華琳「・・・・・今は、放っておきましょう」
春蘭「何ですと!」
桂花「華琳さま、それは危険すぎます」
華琳「・・・・・霞。呂布は、王の器に足る人物かしら?」
霞「・・・・・正直、分からん」
春蘭「・・・・・どういう意味だ?かつての味方がからって・・・・・」
霞「そうやない。・・・・・・・恋が何を考えとるか、分からんのや。秋蘭、流琉、アンタらなら分かるやろ」
秋蘭「・・・・・うむ。それは確かに」
流琉「えっと、武将っていうよりは、野生の熊や虎を相手にしてるのと同じ感じです」
霞「・・・・・・相手にしたことあるんかい」
流琉「え?季衣はあるっていてましたけど・・・・・ないんですか?」
一刀「・・・・・そんな場面、滅多にないぞ」
霞「・・・・ま、そういうこっちゃ」
春蘭「だから、どういう意味だ!」
一刀「・・・・・・もう少し、勉強しておけ。こっちから手を出さねば襲わないと言う事か?」
霞「せや。軍師の陳宮はそこそこ切れ者やけど、まだまだお子ちゃま。華雄は・・・・・」
霞が言葉を切った瞬間、一斉に春蘭の方を見る。
春蘭「ど、どうしてこちらを見るのだ・・・・・・!」
一刀「・・・・・・自覚がないのか」
華琳「そういうこと。あの辺りは治安も悪いし、南蛮の動きにも気を配る必要があるわ。暫くは動かないでしょう。ただ、監視だけは十分にしておくように」
桂花「華琳さまがそうおっしゃるなら・・・・・」
華琳「それに今はもっと警戒すべき相手がいるわ。一刀、情報は集まってる?」
一刀「あぁ。先日の袁紹、公孫賛の戦いだが・・・・・予想通りに袁紹。公孫賛だが、徐州の劉備の所に落ち延びた様だ」
華琳「それで、袁紹の動きは?」
一刀「青州などにも足を伸ばしているから、河北四州は殆どが袁紹の勢力下に入ってしまった。北は無理として、後は南へ下るのみ・・・・・・次に狙ってくるとすれば・・・・華琳、袁紹はどんな人物なんだ」
華琳「麗羽は派手好きでね。大きな宝箱と小さい宝箱を出されたら、迷わず大きな宝箱を選ぶ相手よ」
流琉「領地の大きな我々が狙われると言う事ですか?」
華琳「そうよ。国境の各城には、万全の警戒で当たるように通達しなさい。・・・・・それから河南の袁術の動きはどうなってる?」
桂花「特に大きな動きは見られません。我々や劉備の国境を偵察する兵は散見されませんが・・・・・その程度です」
華琳「あれも相当な俗物だけれど・・・・・動かないというのも気味が悪いわね」
袁紹「おーほっほっほ!これで河北四州はこのわたくしのものですわ!白蓮さんの泣きっ面が目に浮かぶようですわ!」
文醜「おめでとうございます!麗羽様!」
顔良「これで覇業の第一歩を踏み出せましたね!」
袁紹「当然ですわ!あの董卓とかいうのがいなくなった今、この大陸を統一するのはこのわたくしですわ!」
顔良「それで、次は劉備さんですか?公孫賛さんもそちらに逃げたみたいですけど・・・・・」
文醜「・・・・・は?」
袁紹「・・・・・は?」
顔良「え?」
袁紹「何を言ってますの、この娘は」
顔良「え?じゃあ、北ですか」
文醜「おいおい・・・・・なにノリの悪い事を言ってるんだよ、斗詩」
袁紹「次に泣かしてあげるのは、華琳さんに決まってますわ」
顔良「ええええええっ!?そんな、無茶ですよー!」
袁紹軍は平常運転だった。
非常招集が掛けられたのは、あの会議から数日と満たない日のことだった。
一刀「はぁ、まったく。・・・・・もう動いたか」
華琳「馬鹿は決断が早すぎるのが厄介ね。敵の情報は」
秋蘭「旗印は袁、文、顔。敵の主力は全て揃っているようです。その数、およそ三万・・・・・報告によれば、敵の動きは極めて遅く、奇襲などは考えていない様子。むしろ、こちらに自らの勢力を誇示したいだけという印象を受けたそうです」
華琳「バカの麗羽らしい行動ね」
春蘭「それで報告のあった城に兵はどのくらいいるのだ?」
秋蘭「ああ。城におよそ七百といったところだ」
春蘭「ななひゃく!」
桂花「一番手薄な所を突かれたわね・・・・・」
春蘭「そんなもの、手も足も出んではないか!篭城したところで一日と持たんぞ!」
華琳「桂花、今すぐ動かせる兵士はどのくらいいる?」
桂花「いくらなんでも相手の動きが速すぎます。半日以内に二千、もう半日で季衣たちが戻ってくる予定ですから何とかに二万は・・・・・」
華琳「少ないわね。親衛隊を加えればどうなる?」
一刀「それらを加えても五千」
華琳「・・・・・七千か。それでも心許ないわね」
秋蘭「華琳さま、それが・・・・・兵の増援は不要だと」
桂花「なんですって!?」
春蘭「馬鹿な。みすみす死ぬ気か。その指揮官は!」
一刀「・・・・・・ふっ。なるほど」
華琳「一刀。どうしたの」
一刀「増援はいらない。確かにそうだな」
春蘭「一体なんだと言うのだ!」
桂花「はっきり言いなさいよ!」
一刀「やれやれ・・・・・桂花は軍師だろ。理解してくれ。・・・・・華琳。袁紹の性格をもう一度振り返ってみてくれ。華琳は言ったな袁紹は宝箱は大きいほうを取ると」
華琳「ええ」
一刀「・・・・・七百しかいない城。そして、俺たちがいる場所。・・・・・どちらが大きな宝だ?」
華琳「そういうことね。いいわ、増援は送らない。秋蘭、城の指揮官は何というの?」
秋蘭「程cと郭嘉の二名です」
華琳「なら、その二人には袁紹たちが去った後、こちらに来るように伝えなさい」
秋蘭「御意」
???「曹操さまから返事が来たわよ。増援は送らない代わりに、後で城に来いと」
???「はーい。わかりましたー」