恋姫外史終章・いつまでも一刀第33話 |
洛陽へやってきた一刀は街で、先についていた美羽と七乃を見つけて話をしていた。
「そうか、お前達もここで公演できるまでになったんだなあ」
「うむ!」
「お嬢様が本気を出せば、こんなものですよ」
「まあ、否定はしないが・・・・・・」
「実は、先に王宮でもやる事になっておるのじゃ」
「・・・・・・何?」
美羽の一言に、一刀は眉を顰めた。
「ここのお偉いさんから、王宮で開かれる宴に出て欲しいと頼まれたんですよ」
「・・・・・・」
「どうかしたかの?」
無言の一刀に、美羽は声をかける。
「いや・・・・・・七乃、ちょっと」
「はい?」
呼ばれて近寄ってきた七乃に、一刀は耳打ちした。
「一騒動起きそうだ。美羽がいつでも逃げ出せるようにしとけよ」
「・・・・・・分かりました」
珍しく真面目な顔で七乃は答えた。
「じゃ、俺は行くわ。久々のお前達の歌、楽しみにしてるからな」
そう言って、王宮の方に向かおうとする一刀。
そんな一刀の背中に、美羽から声が掛けられた。
「のう?一刀」
「何だ?」
「お主が背負っておるのは、誰じゃ?」
美羽が指差した一刀の背中には
「むにゃむにゃ・・・・・・もう食べられないにゃ・・・・・・」
美以が寝ているにもかかわらず、しっかりとしがみついていたのだった・・・・・・
何故、美以が一刀と一緒にいるのか?
それを話すにはまず、一刀との邂逅から説明せねばなるまい。
蜀の統治をしていた時、一刀は南蛮へ行き、貂蝉の仲介を経て美以たちと顔を合わせていた。
そのとき宴が開かれたのだが、その時の食事に一刀が特大の味噌鍋を作ったのである。
かなり大味だったが、それが南蛮の者達の好みにジャストミートしたようで、一刀は彼女達とすぐに仲良くなった。
真名も貰い、互いの国にたびたび遊びに行くようにもなった。
そして、一刀が洛陽に旅立つ直前、ミケ、トラ、シャムを連れて美以がたまたま遊びに来たので、そのまま護衛として連れてきたのである(ただし、連れてきたのは美以のみで他の三人は貂蝉たちに任せてきた)
以上が、美以がここにいる理由であった。
王宮にやってきた一刀は謁見の間に通された。
帝と参列者たちが見守る中、帝の側近の一人が一刀に言った。
「帝の命により、そなたの蜀王就任を祝う席を設けた。帝のご好意、ありがたく受け取るが良い」
「・・・・・・ありがとうございます」
(こりゃあ桔梗が言ったパターンになりそうだな)
さて、どう動こうかと考え始めた一刀。
「ん?」
ふと、一刀は参列者の中に見覚えのある顔を見かけた。
(何であいつがここに?)
一刀の視線の先にいたのは、一刀と同じように呼び出され、先に到着していた華琳であった・・・・・・
謁見終了後、一刀は美以を連れて猪々子と斗詩の所にやってきた。
「何で華琳が来たのか知ってるか?」
一刀の疑問に答えたのは斗詩だった。
「今回の宴に呼ばれたかららしいですけど・・・・・・」
「ふ〜ん、で?華琳はお供を連れてきたのか?」
「ええ、春蘭さんと秋蘭さん・・・・・・」
「後、凪がいたよな?」
「・・・・・・凪?」
猪々子の一言に、一刀は何か違和感を覚えた。
「あの二人はともかく、凪も連れてきたのか?」
「おう」
「・・・・・・」
「一刀さん?」
「キナ臭いな。用心する事に越した事はないか・・・・・・おい、お前達」
「「?」」
「いくつか注意する事を言っとくから、覚えとけよ。華雄たちにも言っとかなきゃな・・・・・・」
宴会は始まった。
参加者は帝、何太后、その側近達に上位の官僚たち、一刀、美以、猪々子、斗詩、董卓陣営の面々に曹操陣営の四人、そして・・・・・・
「「追いかけて♪逃げるふりをして♪そっと、潜る、私マーメイド♪つかまえて♪好きだよと、言ってほしい〜〜♪熱い永遠の今♪きっと、きっと、未来が始まる〜〜・・・・・・」」
熱唱中の美羽と七乃である。
そんな中、一刀を排除するための謀略が巡らされていく・・・・・・
「まあ、お一つどうぞ」
「・・・・・・どうも」
酒を注がれて飲もうとする一刀だったが、
「はぐはぐ・・・・・・?兄、そのお酒変な臭いがするにゃ」
「む」
美以の言葉に杯を口につける直前で止める一刀。
「な、何をおっしゃるか・・・・・・」
一刀に酒を注いだ男が自分の杯にその酒を入れ、クイッと飲み干す。
「ぷはっ、美味い酒ですぞ?」
「・・・・・・じゃあ、俺のも飲んでみてもらえますかい?」
スイッと自分の杯を男に差し出す一刀。
「そ、それは・・・・・・」
「何を躊躇してるんで?まだ口つけてないから汚くないっすよ?」
「・・・・・・」
一刀の杯を受け取る男。
「おっと!?」
その直後、男は杯を落とし、割ってしまった。
「し、失礼!すぐに代わりを持ってこさせます!」
そう言うと、男はいそいそと席を離れていった。
「杯か・・・・・・美以」
「にゃ?」
「えらいぞ」
帝の方を見ながら、美以の頭を撫でる一刀。
宴の席にも関わらず帝の表情は暗い。
一刀の視線に気づくと、帝はあからさまに目を逸らした。
その隣の何太后に視線を向けると、冷たい視線が一刀を射抜く。
「・・・・・・ふう」
もう穏やかには済みそうにないなと、一刀はため息をついたのだった・・・・・・
どうも、アキナスです。
宴が始まり、早々に仕掛けられた一刀。
まだまだ帝陣営の攻勢は続きます。
果たして、一刀がカウンターを放つのは何時か?
では次回に・・・・・・
「デラックスボンバー!」
説明 | ||
洛陽で一刀を待っていたのは・・・・・・ | ||
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コメント | ||
美以ちゃん超優秀ww かわいいしけもみみだし、もう言うことはありませんな!(神余 雛) 一刀のカウンターは凄い(惨い)ことになりそうですからね・・・かなり楽しみですww(本郷 刃) |
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