GF 〜The Galaxy Century〜 第二章 〜始まりの試練〜 Chapter3 |
ロゼット「ぐうっ・・・。」
直「おい、ロゼット!! しっかりしろ!!」
黒い怪人「無駄だ。 この小僧はお前に話す暇もなかろうて・・・。」
ロゼットを突き刺したままの巨大な鎌を持ち上げて不敵に笑いあげる。
逢魔「あの野郎っ!!」
その黒い怪人の言葉に激昂した逢魔がすぐさま攻撃しようとした直前に・・・。
???「ぐるわぁ!!」
逢魔「なにっ!! があっ!!」
奇妙な黒い異形の攻撃によって大きく飛ばされて木に激突する。
黒い怪人「ふん。 余計なことをしおって・・・。」
よく見ると、次々と黒い怪人の下に集まっていく。 ・・・って、そんなことより!!
直「逢魔っ!! 大丈夫か!!」
逢魔「くそが、しくじったぜ・・・痛っ。」
春「ちょっと!! 怪我しているじゃないですか!!」
直「今すぐ逢魔の治療を頼む!! 俺はあいつらを・・・・・・。」
叩き込んでやると、言おうとした途端に・・・・・・。
???「『唸れ!! ガングニルス!!』」
ドドドドドドッ!! と、途轍もない爆音を撒きちらし・・・・・・。
黒い異形A「ぎゃわああああ!!」
黒い異形B「ぐおおおおおお!!」
黒い異形達を容易く撃退しながら、黒い怪人に突貫していく少女が一人。
メリア「ロゼットを開放しなさい!!」
そして、その少女ことメリアが、なんの躊躇もなく巨銃の引き金を引き・・・。
メリア「『ゼロ・ブラスター!!』」
ドゴンッ!! と、ほぼ零距離で黒い怪人に命中したと同時にロゼットを救って俺達のところに飛んできた。
メリア「ロゼットの治療を頼みます!!」
ぶんっ!! と、ロゼットを思いっきり俺達に投げ飛ばし・・・・・・。
ロゼット「あいたたたた・・・・・・。 もうちょっと優しくしてくれないかな・・・あぐっ!!」
そんな投げ方されたらいくらなんでも傷が開くわな・・・。
逢魔「おいおい。 怪我人が言う余裕あるのかそれ・・・・・・。」
直「お前も怪我人だろうが・・・。 とりあえず、ロゼットにチェンジね。」
とりあえず、ロゼットを治療することに最優先をしておこうとしよう。
春「了解です!!」
逢魔「ひでぇ!! 怪我人に対する気遣いがなってねえだろ!!」
そういうが、お前はもうほとんど治っているから文句いうなよ。
直「そんだけ元気ならいいだろ。」
逢魔「くっそ〜。 病み上がりの奴に言うセリフかよ・・・。」
まあ、お前はダンプカーに撥ねられても死ぬタマじゃなかろうに・・・・・・。
逢魔「おい。 いくらなんでもそれは死ぬぞ俺・・・。」
人の心を読むくらいの気力があるだけマシと思え・・・。 そんなことよりも・・・・・・。
直「こいつらは一体何者なんだ?」
どうみても、異常といえるほどの不気味さしかないけど・・・。
黒い怪人「ふん。 この程度か?」
さっきの黒い怪人だって、まともに攻撃を喰らってもピンピンしてやがるし・・・・・・。
メリア「いずれ対峙することになると思いましたが・・・。」
と、メリアは巨銃を黒い軍勢に銃口を向き・・・・・・。
メリア「よく覚えておいた方がいい。 こいつらこそが、世界に災いをもたらす大いなる脅威にしてミリオンハンドレットナンバーのアークエネミー、バディレス!!」
そうか、こいつらがあのバディレス・・・。 俺達にこの戦利品を押し付けた張本人・・・。
メリア「そして!! ロゼットの仇は、この私、メリア・リネルスとこの”ヘルグレイム”!! ついでに、その他でこいつらを潰す!!」
ようやく、メリアのロストウェポンの名前を出してかっこいいことを言ったつもりだろうけど・・・・・・。
ロゼット「いやいやいや!! 僕は死んでいないからね!!」
春「ちょっと、動いちゃ駄目ですよ!! ロゼットさん!!」
逢魔「その他って、俺らはおまけか〜〜〜!!」
直「・・・・・・・・・・・・。」
というか、勝手にロゼットを殺すなよ。 あと、俺達にグッジョブするんじゃねえよ。
黒い怪人「まあ、我らがそこの小僧の仇かどうかはともかく・・・。」
若干呆れながらも、巨大な鎌を振り上げ・・・。
デモンス「我が名は、デモンス・フィールド!! 数多のバディレスを統べる”三大将軍”なり!!」
デモンス・フィールド? それに三大将軍って・・・。
(気をつけろよ。 そいつは、かなりの大物だぞ。)
ってか、今頃謎の声に言われても遅いっちゅうの・・・・・・。
デモンス「貴様らを滅するため!! 我がロストウェポン、”グラン・チェリオス”の錆となるがいい!!」
そして、その言葉と同時に俺達に襲い掛かるのであった。
■
同時刻。
アルティ「ルミからの連絡で、やっと入れるそうよ!!」
ギルド「あれ? 緊急コードの発令はどうした?」
エイガー「発令はしていたが、その途中であいつらに破壊されているな。」
すぐさま、確認すると確かに途中で途切れていた形跡がある。
スティア「・・・想定外なことになっているが、作戦を開始する!! レギュラーズ行動開始!!」
あらかじめ、用意していた転送魔方陣で試練の森にいるラゼイン達のところに転送して合流し、すぐに試練の森に潜入する。
ラゼイン「んで、ロゼット達との連絡はしたか?」
エイガー「何度もしているが、繋がらない。 そっちは?」
ユナ「駄目です。 完全に繋がりません。」
スティア「奴ら、お得意のジャミングってわけか。」
外界でも、何度も世話になっていた厄介なものだが・・・。
ギルド「アリス。 できるか?」
アリス「できないことはないけど。 これをするより急いだほうが早いよ!!」
あの様子じゃ、前よりも改良されているようだな。
ゼルファ「皆さん〜。 前方に敵が多数で、数は二百弱辺りです〜!!」
リルティ「敵はバディレスですけど〜。 その中で、ちょうど私達と同じ人数くらいの上位種がいます〜。」
よりにもよって、上位種が立ち塞がるってことは言うまでもなく時間稼ぎだろう。
スティア「なら、ギルドとアリス、エイガーとユナは敵の足止めをしていろ。 その間に俺達は先に行く。」
アリス「りょうか〜い!!」
そう言うと、アリスは自身のナノバイオを展開した直後に”見えない髪”で多数のバディレスの動きを止め・・・。
ギルト「ナイスだ、アリス。 『撥ね飛べ!! デュアル・イレイザー!!』」
それをギルドがすかさず、”複数の空間の割れ目から自身で生成した大鎌”でバディレスの首を切り飛ばした。
バディレスA「怯むな!! 迷わず反撃しろ!!」
だが、バディレス達の1.2割程度でしか始末しておらず、すかさずギルドとアリスの二人に反撃しようとするが・・・。
バディレスA「ぐおわっ!!」
バディレスB「散開しろ!!」
何体かが、突然動けなくなったところをバディレス達がすぐに後退したところを・・・。
エイガー「残念だが、ここは俺と”無翼影”の領域だ。」
エイガーが、両手に装備しているトンファーブレードとダガーが融合したような自身の腕くらいの長さを持つ翼の形をした刃で後退したバディレス達を切り刻む。
バディレスB「ぎゃあああ!!」
バディレスC「己・・・があっ!!」
その領域から運良く免れたバディレスの一部がエイガーに攻撃しようとした瞬間に
、光線みたいなものがバディレスを貫く。
ユナ「こっちもいますよ!! 『悪しき者達を貫け!! クラスト・レイ!!』」
ユナの持つ”シェルスター”と呼ばれる先端に水晶がある特殊杖で、光弾を上に打ち上げた瞬間にその光弾から複数の光線が放出されてバディレス達を貫いていく。
バディレスD「だが、これでどうだ!!」
勿論、バディレス達はやられてばかりで済むわけなく、”あらかじめ、四人の真下に潜り込んでいた部隊”を強襲させる。
ギルド「くだらない。」
アリス「こんなの朝飯前!!」
ユナ「今は、夕暮れなんですけど・・・。」
エイガー「今はそんな場合じゃないが・・・。」
が、四人はそれぞれ回避したり、すかさず攻撃したりで対応するものの・・・。
バディレスD「甘いわ!!」
その程度の不意打ちで済むわけもなく次々と四人に反撃されないように攻撃していく。
しかし、四人のいる位置に”トラップ”があることも知らずに・・・。
バディレスD「しまっ!! ぐわああああ!!」
これで、バディレスの戦力が半分くらい削り、後の四人は先程のトラップに巻き込まれていたが、”本物の四人は最初から動いていない。”
つまり、始めから全部陽動でユナの”幻術魔法で四人を有幻体として攻撃していた”隙に俺達はすんなりとあいつらの防衛網を潜り抜け・・・。
エイガー「というわけで、ここで足止めしておくから先に行け。」
スティア「よろしく頼む。」
そして、当の四人は俺達を行かせないために残りのバディレス達を相手に立ち塞がる形になっていたということである。
バディレスE「ぐるううううううう。」
ギルド「こりゃ、悔しがっているようだな。」
アリス「それより、もう準備はできているけどいい?」
ユナ「それじゃあ、始めましょうか。」
その言葉と同時に攻撃を開始したのであった。
ラゼイン「おい。 暢気に解説をしている場合じゃねだろ。」
スティア「まあ、そうだな。」
とまあ、一方の俺達はというと、直達のところに向けて全力疾走をしている。
とはいっても、動作はダッシュしながらのジャンプをしているだけであるが・・・。
アルティ「ねえ。 私達はルミティスに変わったほうがいいんのかな?」
ルミ「変わるのでしたら、すぐにしておきましけど。」
まあ、確かにルミティスになれば”俺達全員の時を速く”して残り数分も経たずに着くわけだが・・・。
スティア「いや。 ”あれを突破したときに頼む。”」
なんせ、休む間もなく前方に敵がガッチリと防衛網を固めているからな。
数は先程の2倍で、しかも上位種が前衛をびっしりと一列に並んで防御をしている。
あれはおそらく防御特化のゴーレムや重装甲機兵がいるだろう・・・・・・となれば・・・。
スティア「ラゼイン、あの防御を固めている奴らに向けて全力でぶっとばした後、リルティはあいつを突貫し、ゼルファは俺達の進行の援護を頼む。」
アルティ「じゃあ、私はこの空間自体を”遅くすればいいのね。”」
スティア「そうだ。 そして、ルミはお前も含んで俺とアルティを”速くしてくれ。”」
ルミ「わかった。」
ラゼイン「つまりはここで殿をしろということかリルティにゼルファ!! つまんねえところでミスするんじゃねえぞ!!」
リルティ&ゼルファ「了解〜。」
作戦を立てたところでさっそく先手を打つためにラゼインが大きく前に行き・・・。
ラゼイン「いくぞ”レイヴァント”!! 『グラン・ヴェリオン!!』」
神々しい輝きを持つ神剣で巨大な風を纏い、防御を固めている上位種のバディレス達に一閃。 それによって、予想通りに多くのバディレスの体勢が崩れ・・・。
リルティ「『アストラル!! 突貫して!!』」
これはロストウェポンではないが、ラクターからモンスターバイクともいえるくらいの大きさを持つアストラルを召喚した。
アストラルは、ドラゴンバイクと呼ばれる機械生命体で、亜空間並みの速度を出すことができる。 これを開発したのが、リルティの母親である。
もう少し説明したいところだが、ここで割愛する。 なので・・・。
アストラル「イエス!! マイレディ!!」
アストラルが態勢を崩したバディレス達を跳ね飛ばして突破したところで、バイクから人型に変形してからバディレス達の頭上へと飛翔し・・・。
アストラル「『フルバースト!!』」
アストラルのいたるところから全身武装を展開し、一斉掃射。 これによってバディレスの戦力を約3割ほど削いだ。
リルティ「アストラル戻って!!」
ゼルファ「それじゃ〜、サポートをしますね〜。」
スティア「ああ。 行くぞ!!」
アルティ&ルミ「「了解!!」」
残りの俺達はゼルファに援護されながら、バディレスの防衛が空いたところを突破する。
ゼルファ「『リファクレッド!!』」
バディレスF「ぐおおおおおおおおお!!」
多少、ゼルファの弾幕を逃れてこっちに来る奴もいるが・・・。
アルティ「『スローク!!』」
アルティの”時を遅くする能力”でこっちに来るバディレス達を遅くさせ・・・。
ルミ「『クローク!!』」
そして、ルミの能力で”俺達の時間を速く”させて一気に突破する。
バディレスF「逃がすな!! 追・・・ぐわぁ!!」
ラゼイン「させるか!!」
あとは、ラゼイン達が残りのバディレスを相手にすることでこの作戦は成立した。
ラゼイン「ここからは俺達が相手だ。」
リルティ「どなたが、この”エミリオン”の錆になりますか〜?」
ゼルファ「それとも、この”ベルジェ”の錆になります〜?」
ラゼインの持つ神剣レイヴァントと、リルティの持つリボルバーソードのエミリオン、そして、ゼルファの持つ可変式両端刃のベルジェが体勢を持ち直したバディレス達に立ち阻むことになったのだった・・・。
■
メリア「はああああああああああ!!」
物凄い怒砲を放ちながらデモンスに目掛けて正確無比に撃ちまくっているが・・・。
デモンス「ぬるいわ!!」
と、迷いなく一本間違えば爆発する巨弾を避けながら捌いていく。
デモンス「『ディア・ブロイク!!』」
メリア「その程度!! 『ガルディオン!!』」
デモンスの出す黒い瘴気みたいなものが、メリアのいる地面から一気に湧き上がり、それを察知して回避した直後に巨大な猛犬のような魔法弾で相殺した。
逢魔「ってか!! 俺達も加勢しねえと!!」
直「そうしたいけど。 メリアさんが無茶苦茶撃ちまくるせいでろくに近づけねえ・・・。」
というか、その高火力の弾をあの仮面のおっさんが捌いて範囲を更に増やしているせいで近づけないというのが最もな理由だけど・・・。
ロゼット「う〜ん。 どのみち君達じゃ、あれは無理だけどね・・・・・・。」
直「あ、やっぱそう思う?」
逢魔「うおい!! 何消極的になっているの!! 仲間のピンチでしょ!!」
まあ、それは最もだが・・・。
ドゴンっ!!
逢魔「うおっ!! 危な!!」
間一髪で避けたのはいいが、穴の空いたクレーター状がやたらでかくて深いように見えるのは気のせいだろうか・・・・・・。
直「なあ、逢魔。 仲間のピンチとは言ったが、あの状況でなんとかできるの?」
逢魔「・・・・・・無理っすね・・・これ。」
ロゼット「まあ、ほぼ手加減なしで撃っているからね・・・。」
でしょうね。 あの状況からみればそうなるわな・・・・・・。
直「ところで春? まだ治療は完了しないのか?」
春「もうちょっとだけど・・・。 その前にメリアちゃんの砲弾がこっちに来ないかビクビクしているよ〜〜〜。」
直「大丈夫だとは思うけどな・・・・・・多分。」
春「それ!! 全然大丈夫じゃないよね!!」
気持ちはわかるが我慢しろよそれくらい。 動ける俺と逢魔ですらこの滅茶苦茶な弾幕に近づけねえし・・・・・・。
デモンス「ふん!!」
メリア「っ!!」
デモンスの一閃で防ぎれずに大きく吹っ飛ばされ、その辺にあった大木に激突する。
デモンス「もう終わりか? なら止めをさすとするか。」
逢魔「おい!! 今度こそ仲間のピンチだぞ!! 助けにいかねえと!!」
直「・・・ん? いや、やめといた方がいいぞ。」
逢魔「ええっ!! そこは助けるパターンじゃないの!!」
ロゼット「いや、直君の言う通りやめといた方がいいよ。」
逢魔「あんたもですか!!」
そうは言うが逢魔よ。 俺はさっきから”不自然に光っている”ものがちらほらと見えるのだが・・・・・・。
デモンス「小娘。 最期に言い残すことはないか?」
メリア「それはあなたの方ではなくて?」
デモンス「どういうことだ?」
メリア「こういうことよ。 『アルディス・ガルバトナ!!』」
その瞬間。 不自然に光っていたものが急速に生成し、砲弾となってデモンスに襲い掛かる。
デモンス「ふんっ。」
デモンスはそれを難なく避けるものの。 その砲弾は急に方向転換してデモンスに向かってくる。
デモンス「ほお。 高火力でありながら追尾能力とは。 しかもその数はざっと数百くらいか。」
デモンスに言われて辺りを見渡すと確かに数え切れない程の大量の砲弾がそこらじゅうに漂っている。
メリア「どうかしら? いくらあなたでもこの数じゃあ、防ぎきれないわよ?」
デモンス「ふんっ。 言ってくれる。」
つまるところ、どうやら無茶苦茶に撃ちまくっていたのはこの布陣を用意するためのものであり、しかも相手に悟られずに精密にできるとは明らかに人の領域を超えている。
逢魔「とはいっても、あんだけの量を一気に生成するのは不可能なんじゃ?」
ロゼット「確かに、普通はできないけど。 彼女の能力ならそれを可能にできるんだ。 その能力こそが”バレティエイト”。 つまり、彼女の魔力やそれに関与したものなら弾丸を生成することができるし付与することもできるうえに、自由自在に操ることもできる能力だよ。」
直「なるほど、だからあの数の量が生み出せるってわけか。」
デモンス「・・・・・・成る程。 こんな芸当ができるのはお前か”B−DAT”。」
メリア「!!!」
B−DAT? コードネームかそれ?
デモンス「どおりで、そんなことができるのは今となってはお前しかいないよ。 あの時は”脱走者”として奴に切り捨てられたはずだが?」
メリア「何故、それを?」
デモンス「となれば、やけに見覚えがあると思えば”A−BST”もいるではないか。 被験体いや、廃棄処分として確定されたお前らがまさかGFにいるとは思わなかったぞ。 長年刃を交えた仲だというのにこうも気づかないとはな。」
ロゼット「そりゃ、長い間ずっとリーダー中心の主力部隊に任していたからね。 ・・・よっと。」
直「立てるのか?」
ロゼット「とはいっても、まだ本調子じゃないけどね。 それに久しぶりともいえる因縁の相手をしなくてはならないけど。」
メリア「今は私達が有利。 王手をかけたのも当然。 今なら見逃してやるけどどうかしら?」
確かに、デモンスといえどもこの状況では不利なはず。
デモンス「ふっ。 何を勘違いしている?」
にも関わらず、不敵に笑うデモンス。
逢魔「おい。 何がおかしいってんだ?」
春「そうですよ。 この状況でどうにかできると思いますか?」
デモンス「・・・・・・貴様ら。 あいつから俺について教わっていないようだな。」
ロゼット「それなら、多少知っています。 あなたはバディレスの三大将軍デモンス・フィールドであり、数多くの惑星を落としたことから断罪騎士の異名を・・・。」
デモンス「いやいや。 ”そんな知識ではないのだが・・・。”」
知識ではない? だけど、思いあたるものといえば・・・・・・。
デモンス「わからないのなら、教えてやろう。 ”こういうことだ。”」
デモンスの持つグラン・チェリオスを振りかざした瞬間、さっきまで大量に布陣を敷いていた弾丸が”何事もなかったかのように消えてしまった。”
メリア「なっ!!」
逢魔「嘘だろ。 あんだけあった砲弾が一気になくなっただと?」
ロゼット「今のは、まさか無効化能力?」
デモンス「違うな。 もっと”原初に存在しているものだよ” 最も・・・・・・。」
メリア「っ!?」
デモンス「”今のお前らでは理解できないがな。”」
その言葉と同時に肉眼では捉えきれない速さでメリアを大きく切り裂いていた。
メリア「がはっ!!」
ロゼット「メリアっ!!」
逢魔「くそっ!! いつの間に!!」
デモンス「これで、一人。 さあ、残りのお前らはどうする?」
・・・・・・このままじゃ、俺達は全滅する。 だからといって瀕死状態のメリアさんをほっとけないし・・・・・・なら!!
直「ロゼットさん!! 俺は逢魔と共に援護する!! 春はメリアの治療を!!」
春「ええっ!! 私さっきからそんなんばっか〜〜〜!!」
直「つべこべいわずにさっさとやる!! これはリーダー命令だっ!!」
春「は〜い。 わかりました〜。」
春は今すぐにメリアのところにいき、治療を開始している間に俺は盾になるように移動しておく。
メリア「・・・っ!! 油断していた・・・。」
春「動かないでください!! いま治療しますから。」
ロゼット「すまない。 恩に着る。」
逢魔「いいってことよ。 さて、問題はあいつなんだけど・・・・・・。」
改めて、デモンスのほうを見るとさっきの行動から一歩も動いておらず、俺達の出方を窺うように見ている。
デモンス「・・・・・・ふむ。 みたところ、お前たち三人でいくのか?」
直「ああ。 そのつもりだ。」
デモンス「ほう・・・。 なら、どこまで耐えれるのか・・・・・・この我が試してやろう!!」
ロゼット「っ!! くるぞっ!!」
デモンスの持つ兇刃な大鎌を前に俺達はそれを迎え撃つのであった・・・・・・。
■
その頃・・・。
バディレス「ぐほぉ!!」
スティア「こんなものか・・・。」
あれから、迫り来るバディレスを倒し続けてはいるものの、さっきから数百人規模の大部隊が全く来ないのが気になる。
スティア「・・・・・・さっきから、俺達への追撃が薄すぎる。」
アルティ「確かに、私達に集中攻撃してくると思うわね。」
それはそうだが・・・・・・。 ややひっかかる事もある・・・・・・。
スティア「考えすぎかも知れんが、狙いは俺達の戦力を分断するためか?」
ルミ「う〜ん。 さすがにそれはわかりませんけど。 少なくとも追撃する敵の数から考えてありえるかも・・・・・・。」
スティア「・・・・・・・・・・・・。」
今までは執拗なまでに大軍規模のバディレス達やその傘下達と戦ってきたが、さすがにこれは異例だ。 ・・・・・・とはいえ、ここで考えても仕方はない。
スティア「とりあえず、お前達はルミティスになった後、最速の方法で一気に突破する。」
アルティ&ルミ「「了解!!」」
二人はすぐさま互いの手を繋ぎ、精神をシンクロさせながら集中する。
これは、二人が”共振融合”するための予備動作。 すぐにそれをしなかったのはこの動作でのタイムラグが致命的になるうえ、事前的にやっていないと一気に敵の集中攻撃を喰らう。 だが、訓練を重ねるうちに実戦で使えるレベルにはなったものの、相手があのバディレスなため、すぐにはできなかったのもこれが理由である。
なんせ、物理法則を平気で無視する奴らだからな・・・・・・。
アルティ&ルミ「「『ユニゾニア』」」
まあ、これを説明しているうちに二人は呪文を唱えた時に、ルミティスの姿になった。
勿論、これはアルティとルミが一つになった姿であるが、通常的には二人の精神や能力がそのまま受け継がれている。 一言でいえば、”三重人格”というわけだ。
ルミティス「では、一気にいきましょう・・・。」
スティア「ああ、頼む。」
そして、俺はルミティスによる能力で加速させてここを抜けるのであった・・・・・・。
■
同時刻。
ギルド「『レール・ライフル!!』」
俺のナノバイオで生成した近代兵器の形をした加速連射式銃で複数のバディレスを殲滅し・・・・・・。
アリス「『レール・マシンガン!!』」
そして、俺と同様に生成したサブマシンガンのようなもの二丁を合わせた弾幕で更に撃滅する。
エイガー「『ファントム・グレイブ!!』」
ユナ「『ジェイル・シーカー!!』」
俺達の弾幕から逃れたやつらは、エイガーの技で次々と落されていき、更にユナの束縛魔法で動きを封じられていく。
バディレス「『デルス・クロー!!』」
そして、最後の一体となったバディレスが一人でも道連れするために玉砕覚悟で俺達に牙を向けるが・・・・・・。
ギルド「『エクゼ・デリート』」
俺の得意とする技、つまりどんな相手にも一撃死する攻撃で相手は自分が殺されたこともわからず、一瞬で消え果てた。
エイガー「これで全部か?」
ユナ「ええ、間違いないと思います。」
アリス「途中で敵の援軍が数千ほど来たけど、どれも大したことなかったね。」
確かに、数百程度なら数分も掛からずに終わっていたが、思いもよらない援軍による奇襲でこうして時間を喰ったわけだが・・・・・・。
ギルド「少なくとも、最初から足止め目的で俺達を畳み掛けやがった。」
アリス「それじゃあ、リーダー達をすぐに追撃しなかったのも頷けるねえ。」
とはいえ、疑問に思えるのはなぜわざわざあの新人共を狙うためにあの規模できたということ。 通常、あいつらは重要なものほど軽く万や億以上の軍勢を率いていく上に上位種や傘下の連中を全体の三割以上連れて行くが、今回のこれは明らかに異例すぎるうえに、”なにより戦略が曖昧すぎる。”
エイガー「だが、ここで立ち止まっても意味はない。 すぐに追いかけるぞ!!」
ユナ「ええ。 そうしたほうが速いですね!!」
今までは、正確無比に俺達の弱点を付くことをしてきたが、今のやつらは戦うこと事態どうでもいいかのようにやっていた。 ”まるで適当に遊んでおくかのように・・・・・・。”
アリス「ギル〜。 なにしてんの? はやくいこうよ!!」
ギルド「ああ、そうだな。」
ま、私情より今の状況をどうにかするべきか・・・・・・。
そんなわけで、俺達四人は急いで追いかけるのであった・・・・・・。
■
ロゼット「『出でよ!! ユニハル!!』 『叩き割れ!! クラッシュ・レイド!!』」
ロゼットさんの召喚した異様な形をしたバトルアックスのロストウェポンで、デモンスに向けて突撃する。
デモンス「ふんっ!!」
が、デモンスに捌かれて止むを得ずに後退する。
逢魔「おらあっ!! 『天翔双牙!!』」
直「『ブレイクエッジ!!』」
続いて、俺と逢魔の連携攻撃でデモンスに仕掛ける。
デモンス「ぬるいわっ!!」
これもデモンスに捌かれてロゼットさんと同様に後退を余儀なくされる。
デモンス「その程度か!! ”−−−−”が聞いて呆れるわ!!」
えっ? いまなんて言った? 物凄く懐かしいやつだったような気がする・・・・・・。
逢魔「なにボケっとしてやがる!! いまは戦闘中だぞ!!」
直「っ!! そうだったな。」
まあ、いい。 今はこいつをどう撃退するかだな・・・・・・。
ロゼット「はああっ!!」
デモンス「避けるまでもないわっ!!」
ロゼット「がっ!!」
逢魔「やろっ!!」
デモンスがロゼットさんの攻撃を見切り、カウンターで吹っ飛ばしたところに、逢魔が特攻するが・・・・・・。
デモンス「貴様は、戦闘で学習せん愚か者かっ!!」
逢魔「なっ!! 消えっ!!」
デモンス「『穿て!! ゼディアスト!!』」
逢魔「がああああああっ!!」
デモンスは、逢魔に一瞥した同時に背後から黒い瘴気と共に波状攻撃をかけた。
直「逢魔!!」
デモンス「ここで消え果てろ!!」
更に、逢魔に止めをさそうとグラン・チェリオスで心臓目掛けて切り裂こうとした瞬間、突然、”なにかが止まったような感覚がし・・・。”
デモンス「!! ほおっ・・・・・・。」
直「くっ・・・。」
気が付けば、デモンスの兇刃を受け止めてはいたものの、黒い瘴気を受けきれずに幾つかの軽い傷が無数にできていた。
ロゼット「『ブレイズシューター!!』」
ロゼットさんが、すぐさまにユニエルをデモンスに向けて投げる。
デモンス「おっと・・・。」
直「逢魔!! 今のうちに!!」
逢魔「ああ、すまねえ!!」
俺と逢魔はデモンスが避けた隙に距離を取る。
ロゼット「二人とも、大丈夫ですかっ!!」
逢魔「まあ、なんとか・・・・・・。」
直「問題はない。」
とはいったものの、全身にあちこち傷が出来ているうえによく見れば血が流れているものも複数ある。 それは俺だけではなく、逢魔やロゼットさんもあちこちに重傷に近いほどの傷を負っている。
デモンス「なかなかやるようだが、所詮は付け刃程度の実力か・・・。」
しかも、状況は至って最悪。 相手は無傷なうえに疲労もしていない。 こちらはいつ倒れてもおかしくないほどの状態に陥っている。
直「・・・これまでか。」
そう思っていたものの・・・・・・。
デモンス「・・・・・・・・・・・・。」
肝心のデモンスは俺達のいる場所とは別の所を見ている。 ”まるで何かがこっちに向かっているような感じを持って・・・。”
逢魔「なんだあれ?」
その視点の先には何やらもの凄い巨大なものがこっちに向かってくる。
ロゼット「あれは・・・・・・もしかして。」
よくみると、雷の渦のようなものが段々と近づいていくうちに大きくなり・・・。 そして・・・・・・。
スティア「見つけたぞ!! デモンス!!」
デモンス「待ちくたびれたぞ!! 小僧!!」
雷の渦の中から勢いよく飛び出してきたのは、GFのリーダーことスティア・レルセルクだった・・・・・・。
■
ラゼイン「おらぁ!!」
バディレス「ぐわああああああああああ!!」
ズドン!! と、最後の一体が大きく崩れ落ちたところで一段落ついた俺はひとまず周囲を見渡す。
ラゼイン「もうこれで敵は来ないだろうな?」
ゼルファ「ええ。 敵の気配はないですよ〜。」
リルティ「こちらもですよ〜。」
ラゼイン「そうか。」
あの二人が言うのなら、これ以上の敵はいないとそう判断する。 なにせ、世界最高峰の神運保持者だからな。
ラゼイン「それじゃあ、さっさとあいつらと合流して終わらせないとな。」
と、そう思って行こうとしたときだった・・・。
リルティ「!! ラゼイン、危ない!!」
ラゼイン「うおっとっ!!」
間一髪、リルティの声のおかげでうまく避けれた・・・・・・のはいいが。
ラゼイン「どういうことだ? さっき、敵はいないはずだったんじゃ?」
???「それはこの俺がたったいま現れたからだ!!」
不気味な声と共に現れたのは、全身巨大な大鎧を纏った黒騎士だった。
ゼルファ「あなたは、ラグナ・ノインス!!」
ラグナ「ほう。 誰かと思えば”天魔神”と神運共ではないか。」
ラゼイン「ああ、まさかこんなところでお前と出くわすなんて思っていなかったぜ。」
なんせ、あいつはバディレス三大将軍の一人にして”暴虐の災禍”の異名を持つ魔神だ。 その巨大な大剣こと”グオリキス”を軽々と扱い、幾千の難攻不落と言われたものを次々と破壊し、”接触禁止種”に指定されるほどの実力者にへとなった程。
接触禁止種については、詳しく説明すると数時間くらいかかるが早い話、Sランク以下の者は絶対に相手にしてはいけないと言われるほどの超大物であり、例え条件を満たしていても、できれば相手にしたくないと思う者がいるほどである。
ちなみに、天魔神のほうはっと・・・。
ラグナ「何よそ見してんだ? ああ?」
危うく、斬られるところだった。 まあ、説明は早く済ませるけど天魔神は、天使、悪魔、神等の血を持った状態(又は特性)で誕生した特殊種族。 まあ、文字通りの意味だけれでも、要は混血というわけだ。
ラゼイン「別に? さっさと初めて来ないのかと思ってさ。」
ラグナ「舐めてんのか? てめぇの鼻っ柱をへし折ってやるからとっととかかってきな!!」
ラゼイン「上等。 いくぞお前達。」
リルティ&ゼルファ「「はいっ!!」」
■
そして、同時刻。
エイガー「まさか、お前らと対峙する事になるとはな・・・。」
???「それはどうも。 こちらとしては随分と待たされた気分だからな・・・。」
ギルド「確かにだな。 だが、お前らは”あの時、俺達の手によって落とされたんじゃないのか?”」
???「生憎だが、こっちはちゃんと生きているし、何よりもてめぇとの決着を待ち望んでいたからなぁ!!」
・・・・・・一応状況確認するが、俺達四人はバディレスを全滅させ、スティア達と合流するために向っていたところ、この二人によって分断され、トライアングルになる形になっている。
一つは、俺が今対峙している両目を覆い隠した”元同業者”が相手。 二つは、ギルドの所には銀髪をした”かつての仇敵だった奴”が相手。 そして三つは、アリスとユナは今上位級のバディレス達によって足止めされている。
両目を覆い隠し者「目的はお前らの足止めだが、そんなん知ったことか!!」
銀髪の少年「積年の恨み、今度こそ潰してやるぞ!!」
・・・・・・やれやれ、まだこいつらの名前を言えてないが仕方ない。
エイガー「どちらにしても、さっさと終わらせて合流する。」
ギルド「間に合えばいいが・・・。」
アリス「ギルド!! こちらが着くまでなんとか凌いで!!」
ユナ「エイガーさん!! こちらもなんとか間に合わせます!!」
こうしてそれぞれの思惑と信念が入り交ざった乱戦があちこち起きているのであった・・・・・・。
■
スティア「はあああああああ!! 『クロス・キューション!!』」
デモンス「『ギルギロス!!』」
スティア「っち!! なら、『プラズマバンカー!!』」
デモンス「甘いわ!! 『カイオス・ハウンド!!』」
逢魔「・・・・・・・・・・・・さっきからすげぇなこれ。」
春「というか、私達の出番ないんじゃありません?」
まあ、確かにスティアがここに現れてから既に数十分経っているのにも関わらず、さっきよりもハイペースでもう既に肉眼で捉えきれない程の実力をあのデモンス相手に奮戦している・・・・・・というのがよくわかる。
ロゼット「とはいえ、これでもう大丈夫だと思うよ。」
直「? どうしてなんだ?」
メリア「リーダーは、何度もあのデモンスと遣り合っていますから。」
・・・・・・そりゃそうよね。 そんだけすればデモンスと対等に遣り合えることができるもんな・・・・・・。 だからといって、その領域に踏み越えることについては普通に出来ない気がするが・・・・・・。
スティア「唸れっ!! 『雷龍双天拳!!』」
デモンス「撃ち砕け!! 『セグン・ダヴィラ!!』」
互いの技のぶつかり合いで激しい爆発と火花が入り乱れながらもあの二人は、死線の中で極限乱舞を繰り広げていた。
そして・・・・・・。
スティア「ぐおっ!!」
デモンス「ちいっ!!」
ついに耐え切れなくなったのか、何かの攻撃によってお互い距離を取ったスティアとデモンス。
というか、見えなさ過ぎてわからないんだけどね・・・・・・ホント。
スティア「やはり、この程度じゃやられないか・・・・・・。」
デモンス「ふん。 色々と策を弄しているようだが、まだ未熟だな小僧。」
スティア「・・・・・・なら、これはどうだ?」
と、スティアが不思議な構えを見せたその瞬間に途轍もないプレッシャーが俺達に襲い掛かってきた。
直「なっ!! これは!!」
ロゼット「ああ、これは”ドライブアーツ”といって、簡単に説明すると必殺技です。」
まあ、確かにそうだけど・・・・・・。
逢魔「なんで、平気なん?」
メリア「これを出した以上、私達を含んだ人達はまともに動けませんが、ある程度慣れれば平気です。」
春「・・・・・・マジで?」
・・・・・・一応、ちゃんと説明するが、”アーツ”と呼ばれる技は、”ノーマルアーツ”、”スーパーアーツ”、”ハイパーアーツ”、”ドライブアーツ”の4種類のアーツが存在する。
ノーマルアーツは、通常的にも使われている技で俺が使うパワーエッジとかもその一つ。 最も扱いやすく連発できる技だが、威力が少ないのでそこは手数で補わなければならない。
スーパーアーツは、ノーマルアーツより威力が高く範囲も広い技であり、一般のプレイルなら誰でも使う模範的な技であるが、タイムラグが若干あるので僅かな隙が命取りになるので、あまり調子に乗らないようにってスティアが言っていたなあこれ。
ハイパーアーツは、威力や範囲のいずれかかその両方がかなり特化しており、大抵準必殺技として使われているが、大幅なタイムラグや消耗が致命的ものがあり、一度使っただけで戦闘不能になる技が存在するため、いざという時にしか使わないのが多いものの、そのほとんどは必殺技であるドライブアーツを会得していないのが非常に多いのが特徴である。
そしてドライブアーツは、アーツの分類で最上位の技であり、通常のアーツと違って桁違いの威力を持つ。 そのドライブアーツの特徴は”創世詠唱(ジェネリア)”と呼ばれる特殊な詠唱を必要としているため、スティアが使おうとしているのがその技である。
創世詠唱を唱え始めると、”絶対領域(ロス・フェルト)”が使用者の周囲に発生し、その領域にいる者は、敵味方問わず全ての動きを止めてしまいまともに動くことができないうえに技を使うことができないが、その使用者より力量が勝っている場合は容易に動くことができる。 さらに詠唱の長さや使用者の力量次第で範囲も増えるが、それと同時に消耗もハイパーアーツとは比べ物にもならない消耗を誇っており、まともに詠唱を唱えないままでいくと自身ごと滅ぶこともある(ついでに詠唱を唱えないことや途中で途切れた場合でも放つことができるが、いずれもハイパーアーツの分類となってしまうので注意が必要)。
創世詠唱による絶対領域に対抗できるのは、創世詠唱にしかありえず、互いの絶対領域にしかまともに動くことができない。 だが、その使用者より低ければ自身の領域が相手の領域によって削られていき、威力がどんどん下がっていくのが定石であり、自身の領域を取り戻すには相手の領域を削り返していくしかない。
・・・・・・というのが、俺の知っていることであるのだが、中にはドライブアーツよりも遥かに強いアーツが存在するものの、それ自体あるのかどうかすらわからない。
スティア『我は雷の申し子。 天地を駆け抜けし者なり。』
デモンス『我が目に映るのは崩壊。 それを理解するだけで全てが崩れ落ちる。』
説明しているうちにデモンスも創世詠唱を発動しており、互いの絶対領域同士削りあって反発している。
スティア『数多の世界と死線を潜り抜け、追い求めし宿敵を撃ち滅ぼさんため幾重の試練を乗り越えてきた。』
デモンス『故に求めるものは決して崩れ落ちず理解できなき至高天なるもの。 されども見つからず存在すらもしない。』
詠唱を唱えるごとにどんどんと強く反発していき、俺達の方にも幾つかの傷が入ってくる。
直「ぐおっ!!」
逢魔「なんとかならないのかよ!!」
ロゼット「無理だ。 絶対領域内に入ったら最後、詠唱が終わるまで動くことも技を放つことができない。」
春「じゃあ、魔法とかは?」
メリア「それも駄目。 魔法は愚か、異能すらも発動しない。 それに例え彼らの領域外にいたとしても絶対領域の前ではどんなものでもダメージを与えることが出来ない。」
ロゼット「けど、彼らよりも力量が勝っていれば通常活動ができるし、異能や魔法など発動することができるし貫くことができる。 それすらもできないのなら創世詠唱を唱えて絶対領域を生み出して対抗するしかない。」
つまり、現状のままでは領域にいてもいなくても指を咥えて見ることしかできない事と変わらないじゃねえか。
スティア『天よ轟け!! 雷よ響け!! 今こそ時は来た!!』
デモンス『ならばこそ、我に仇なすものを理解し打ち滅ぼせ!!』
そして、今ここで互いの必殺技が放たれようとしていた。
スティア&デモンス『『創動(エクゼリータ)!!』』
スティア『奥義!! 天破雷響拳!!』
スティアの方は巨大で雷のような気を放出し、それをデモンス目掛けて発射する。
デモンス『デュラムヘイム・フルクード!!』
対するデモンスはグラン・チェリオスを震わせ、巨大な闇を纏ってスティアに向けて極大の一閃を放った。
その途端、激しい爆発音と共に目を閉じてしまうほどの強力な光が俺達に襲い掛かる。
直「うおっ!!」
逢魔「これじゃ、状況がわからねぇ!!」
春「彼らを護りたまえ!! 『ヴァリア・サークル!!』」
春が慌てて周囲に結界を張るが、それでも物凄い衝撃波が襲い掛かってくる。
メリア「ぐっ!! なんて衝撃!!」
ロゼット「このままじゃ、耐えられない!!」
確かに、春が出した結界に幾つものヒビが入っているのが見えている。
逢魔「暢気に心の中で実況していないでなんとかしろよ!!」
直「いや、それを俺にいわれても・・・・・・。」
っていうか、よくそんな余裕があるんだなお前は・・・。 かくいう俺もそうなんだが・・・・・・。 別にチート無双的な絶対余裕じゃないけどね一応・・・・・・。
春「もうっ!! 私の結界を強化するか重ねるかのどちらでもなんでもいいからなんとかして〜〜〜〜〜〜〜!!」
はいはい、わかったからそんな涙目で文句いうなっつうの・・・。
直「じゃあ、やろっか。」
俺がそういった途端に、春が出しているヴァリア・サークルを一斉に強化した。
さすがにチームワークいいなと思いつつ、ここでドライブアーツについてひとつ説明しておこう。
ドライブアーツには、それぞれの分類が存在しており、さっきスティアやデモンスがいっていた”創動(エクゼリータ)”がそのひとつである。
他にも、”創制(ベルセルテ)”や”創轟(リガンタル)”、”創滅(オルジエンド)”の四つが存在しており、簡単に言えば”制動轟滅”の順である。
まず、創制(ベルセルテ)は魔法や異能等の分類でウィザードやコマンダー(能力者)等がよく使うが、中には限定空間でルールを作ってしまう程の技も存在している。
続いて、創動(エクゼリータ)は、肉体面での体術もしくは武術や気功術等の分類であり、スティアやデモンスが使った技でもある。 ちなみに、先の説明でよく創制(ベルセルテ)の分類と間違われがちだが、実はそれを属性として認識しているため結果的に創動(エクゼリータ)の分類になってしまうのである。
その次に、創轟(リガンタル)であるが、これは身体強化に関するものや幻獣等を召喚する分類になっており、ほとんどが強大である分、負担も結構大きいわざでもある。
最後に創滅(オルジエンド)であるが、これは全てに問わず自滅技でもあり禁忌指定にもなっている技で、使用すれば例外もなく使用者諸共消滅してしまうが、その反面ドライブアーツの最終技でもあるので非常に強力である。
以上がドライブアーツに分類する技であるが、その技以上の分類も存在しているが現時点では誰もそこに到達したものはいないそうだ。
というわけで、説明も終わったところでそろそろあの暴威となっていた衝撃も止んだはずだけど、その先に見えたのは・・・・・・。
スティア「はぁ・・・、はぁ・・・。」
デモンス「どうした? これで終わりか?」
ほぼ、力を使い切ったせいなのか疲れているリーダーと、そこに平然としているデモンスの姿があった。
スティア「マジかよ・・・。 あの時よりも強くなっているじゃねえのか?」
デモンス「いや・・・。 ”元々封印されていたものが少し開放した”だけのこと・・・。 見ない間に強くなったな小僧・・・。」
ん・・・? 封印・・・? ・・・・・・どっかで覚えがあるような・・・・・・。
バチッ!!
直「があっ!!」
逢魔「おい!! どうした!!」
春「しっかりしてください!!」
なんだ? いきなり頭の中に電気のようなものが走って・・・・・・。
(ああ・・・・・・。 それ以上詮索すると気絶するよ?)
直「ああ・・・。 大丈夫だ。」
自称、謎の声からの忠告か・・・。 仕方ない・・・今は後にしよう・・・・・・。
デモンス「・・・・・・・・・・・・。」
スティア「どうした? なぜ襲ってこない? 今が好機のはずだが?」
デモンス「小僧・・・。 いや、スティア・レルセルクよ。」
スティア「?」
デモンス「この先の戦い・・・。 大荒れになるぞ・・・。」
スティア「どういうことだ?」
デモンス「わからぬか? それは”お前自身が知っているはずだが?”」
スティア「!?」
デモンス「まあいい・・・。 今は確認できたことで良しとしておこう。」
何が確認できたんだ? よく聞こえないが・・・。
デモンス「全軍撤退だ。 引き上げるぞ。」
そう言った途端にさっきまでうじゃうじゃいたバディレス達がどこかへと消えていく・・・・・・。
デモンス「次に会ったときには容赦なく壊すぞ・・・・・・。」
スティア「ああ、その時には必ず返り討ちにしてやる。」
デモンス「そうだな・・・。 それと・・・。」
デモンスは俺に視線を向け・・・・・・。
デモンス「おい・・・。 そこの金髪小僧・・・。 名はなんと言う?」
直「それは俺にいっているのか?」
デモンス「無論、そうだ。」
間違いはなさそうだな・・・・・・。
直「俺の名は、五十嵐 直だ!!」
デモンス「ふむ。 五十嵐 直・・・。 その身に刻んでおこう・・・・・・。 ”−−−−”なる者よ・・・・・・。」
直「!! おいっ!!」
今、なんて言ったんだ? 聞き取れね・・・・・・。
ガクンっ!!
直「!?」
(だから言ったろ、これ以上詮索すると気絶するって・・・・・・。 お前はそういう者だからな・・・・・・。 ”−−−−”であるんだし・・・・・・。)
お前もか・・・。 何だよいったい・・・。 俺は・・・な・・・に・・・者・・・な・・・んだ?
逢魔「おいっ!! 直っ!!」
春「ちょっと、大丈夫じゃないじゃないですか!!」
その言葉を最後に俺はブラックアウトをした・・・・・・。
■
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。
???「ふふっ。 大変でしたね・・・。 五十嵐 直・・・。」
直「ううっ・・・。 ここは?」
俺はさっきまで試練の間にいたはずなのに・・・・・・。
???「ぶっちゃけ言いますと、あなたの夢の中です。」
・・・・・・・・・・・・・・・。
直「へっ? 俺の夢の中?」
我ながら、情けないオウム返しをしてしまった・・・・・・。
直「っていうか、あんたはあの時の女神みたいな人!!」
???「と言いますか。 本当に女神なんですけどね私・・・。」
あっ、合っているんだ・・・。
エネリナ「あの時は、名前を名乗ることができませんでしたが・・・。 私の名はエネリナ・ヴィーシャル。 全ての”夢界”の管理を任されている観測者であり、”フェイアブル”の道を示す導き手でございます。」
夢界? 観測者? フェイアブルの道を示す導き手? 謎だらけ過ぎてわからないんだけどね・・・・・・エネリナさん?
エネリナ「ふふっ。 まあ、スピリエンスワールドならではの専門用語ですし、この機に色々と覚えて頂かないと後の”物語”に支障がでますし・・・・・・。」
直「物語? それってどういうこと?」
エネリナ「ふふっ。 それはまだ秘密です。」
と、悪戯っぽく笑みを浮かべながら、どこぞの誰かならわかるしーっていう仕草をしながら言った。 大人の女性ってこういうものなのかね・・・・・・?
エネリナ「ふふっ。 順を追って説明しますが、まず夢界とは、別名”カナン”と呼ばれていることで知られている世界であり、そこにフェイアブルと呼ばれる”世界の中心たる者”だけがこの世界に入れることができる場所です。 但し、管理者たる私の意志でなければ意味はありませんけど・・・・・・。」
直「用は、夢界という世界は全てのフェイアブルのような特別な者達にしか入れない場所ってことだろ? だけど、その世界に入るにはエネリナのような管理者の許可なしでは入ることすらもできないってことだよな?」
エネリナ「ええ、その通りですよ。 だけど、夢界の管理者は通常的に各世界に直接介入は認めておらず、非常時以外は観測者としてあなたの行く道を観察しているわけですよ。」
・・・・・・・・・・・・。
直「それって、風呂やトイレ。 プライベートなあれでも見てるって言うのか?」
エネリナ「・・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・そこはご想像にお任せします。」
なんだ? さっきの間は・・・・・・・・・?
エネリナ「次に、フェイアブルのことですが、この種には複数存在しておりまして・・・。」
フェイアブル、”フェイネブル”。 そして、”フェイエブル”の三つが存在しておりますの。
直「・・・・・・それ。 俺の脳内で言うことか?」
エネリナ「ええ。 これを”フェイタルシリーズ”と呼ばれていますのよ。」
フェイタルシリーズか・・・・・・。 ますますややこしい専門用語って奴がどんどん来るな・・・・・・。
エネリナ「ふふっ、仕方がありませんの。 では最初に、フェイアブルは世界の中心たる存在であり、世界の行く末を決める者でございます。」
つまり、わかりやすく言えば主人公みたいな奴ってわけか・・・。
直「・・・・・・ってことは、ここにいる時点で俺はフェイアブルって奴なのか?」
エネリナ「ふふっ、そうなりますね・・・。」
成る程ね・・・。 どおりで、俺しか来れないわけだ・・・・・・。
エネリナ「ちなみに、あなたのよく知る人達もここに訪れていますよ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
直「まさかとは思うが、リーダーなのか?」
エネリナ「ええ、あなたの知るスティア・レルセルクとラゼイン・レルフォリア。 そして、ギル・バラードにエイガー・アルマリックの四人ですよ。 他にもいますが、そこは割愛です。」
・・・・・・予想以上にいた。
エネリナ「後、そのことを聞いても無駄ですので、その時の記憶が無く・・・・・・。」
直「故に、それが”夢界であるからこその由縁”って奴だろ?」
エネリナ「あら? さすがに感づいちゃいましたか・・・・・・。」
直「まあ、こんだけヒントを言えばなあ・・・・・・。」
さすがに、嫌でもわかるしな・・・・・・。
エネリナ「ふふっ。 そこは心の中で言うものではありませんよ?」
直「そりゃ、そうか。」
エネリナ「次に説明しますが、フェイネブルは言わば”あなた自身の運命の相手”であり、率直にいえばあなたと共に行く存在でもあり、もしくは対峙することになるであろうという存在でもあります。」
ぶっちゃけいえば、恋愛ゲームに出てくるヒロインのような存在であり、主人公と結ばれる存在であれば、対峙することになる存在でもあるということか・・・・・・。
エネリナ「ちなみに、これはフェイアブルだけにあらず、全ての人種それぞれに必ず存在しますのでどうぞご注意ください。」
直「つまり、俺などを含んだプレイル全てにフェイネブルが存在しているというのか?」
エネリナ「ええ、必然に存在していますが、だからといってご自身で見つけなければ意味を成さないので、この世界の掟故に・・・・・・。」
生粋の実力主義である世界だからこそ自分自身で手に入れなければ意味がないということか・・・・・・。
エネリナ「ええ、その通りでございます。 よくご存知ですね。」
直「えっ? あれっ?」
おかしいな・・・。 俺、ここの知らないはずなのに・・・・・・。
エネリナ「ふふっ。 その様子じゃ、まだまだのようですね。」
直「えっ? 何か言った?」
エネリナ「いえいえ。 最後にフェイエブルですが、これは”キーマンと呼ばれる存在つまりVIPともいえる人物の総称”ということですね。」
直「つまり、ゲームでいう重要人物を指していて、そいつなしではイベントが進まないってことだよな?」
エネリナ「ええ、その通りですよ。 それと、事象改変について先に説明しないといけませんね。」
事象改変? どういうことそれ?
エネリナ「軽くいえば、”Advanced Generation Event System” 略して”AGES(エイジズ)”と呼ばれるシステムでございます。」
直「それが、なぜ事象改変になるの?」
エネリナ「もうお気づきでしょうけど、各世界に存在する物語の通りに進んでいることについては問題ないのですが、それに反するものだとAGESが発生してしまい、どうしてもその選択をする前の状態に戻ってしまいます。」
直「成る程。 それを選ばなければ事象改変は起こらないわけだな。」
エネリナ「ええ、そうですけど。 ただ、”どんな運命であっても受け入れなければならない事態になりますけどね。”」
それって、どういう意味・・・?
エネリナ「言葉通りの意味ですよ。 いずれわかると思いますけどね・・・・・・ふふっ。」
直「なんだか、すんごい意味深だなおい・・・・・・。」
実際どおなるのかわからないが、これについて以上聞かないほうがいいような気がした。
エネリナ「ええ。 そのほうがあなたのためですよ。 ・・・・・・っと、そろそろ時間ですか。」
直「!?」
また、この感覚かよ!! そういえば、聞いていないことがあるんだった!!
直「なあ!! ”−−−−”っていったい・・・・・・。」
くそっ!! これ以上聞け・・・な・・・。
エネリナ「ふふっ。 それについてはあなた自身で見つけてください。 では、御機嫌よう・・・ふふっ。」
その言葉を最後に俺は夢の世界から浮上した・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。
■
直「んっ・・・・・・。」
気がついたときには、既に夜であったが、何やらわいわいと賑やかな騒ぎが聞こえてくる。
葉尾里「あ、気がつきました?」
そして、目を開けたときには葉尾里が目の前にいることを認識した。 おそらく、俺なんかのために看病してくれたであろう。
直「・・・・・・・・・・・・。」
・・・・・・それはいいのだが、その瞬間に硬直もとい思考がフリーズした。 なぜなら、俺は葉尾里の膝を枕代わりにしていたことに認識したからだ・・・・・・。
・・・・・・この場合、そう気づいたと言えばいいのかようわからんが、何気に気持ちいいなこの膝枕・・・・・・。
葉尾里「?? どうしました?」
直「んっ? ああ、悪い直ぐに起こすから。」
これは早めに起きたほうがいいと思って無理やり起こした・・・・・・のが誤りだった。
葉尾里「ちょっと、きゃあ!!」
自分が病み上がりなせいか起き上がる途中で思わずバランスを崩してしまい、そのまま葉尾里にダイブすることになり・・・・・・。
アルティ「葉尾里〜。 あの馬鹿、目覚めた・・・・・・の?」
直「げえっ!?」
関羽と、言いたいくらいなほどにどう見ても俺が葉尾里を押し倒しているような格好になっているのをアルティに見られてしまい・・・。
アルティ「・・・・・・・・・・・・。」
直「・・・・・・あの、アルティさん?」
うわあ、この後の結果が怖いほどにアルティさんの顔がひくひくとしている。
アルティ「人が心配して見舞いにきて早々、何やっているのよあんたは!!」
直「ですよ・・・ぎゃああああああああああああああああ!!」
ねの言葉すらも言わせてもらえずに物凄いお仕置きされる結果になった・・・。
直「いたたたた・・・・・・。 もうちょい加減できないのかアルティさん?」
その後、なんとか意識を取り戻した俺は、いまだに不機嫌MAXのアルティさんと同行しているのであるが・・・・・・。
アルティ「あ・ん・た・が・悪い!!」
直「すんません・・・・・・。」
と、さっきからこの会話ばかりしか繰り返していないのだ。 これで何回目になるのやら・・・・・・。
アルティ「そもそも、あんた。 いくら葉尾里がかわいいからって彼氏持ちに手を出すのってどういう了見なの!!」
直「・・・・・・へい?」
彼氏持ち? っていうか怒っているのってそっち?
アルティ「・・・・・・何気に雰囲気で察するけど。 うちのメンバーは恋人が割りと多いのよ。」
直「マジで? 始めて聞くけど・・・・・・。」
と、なればどのくらい・・・・・・。
アルティ「現時点で知っているのは、7組くらいでそのうちレギュラーズがほとんどというか全員だけど、ガーディアンズのほうは2、3組くらいかな?」
直「・・・・・・・・・・・・。」
なんというか、ある意味大半なんだなそれ・・・・・・。
アルティ「・・・・・・何よ、その言いたそうな顔は?」
直「アルティ・・・。 実は喋りたがり・・・?」
アルティ「だからといって、見ず知らずの他人にほいほい喋るかーーーーーー!!」
直「ぐほぉ!!」
見事な正拳突きだな・・・おい。 おかげで、物凄い痛えじゃねえかこの野郎って、突っ込みたいほどくそ痛いぜ、ちっきしょう・・・・・・。
直「って・・・いうか・・・葉尾里の・・・彼氏って?」
アルティ「・・・・・・よく喋る気力があるわね。 私の鉄拳喰らっておいて・・・。」
そりゃ、気になったら聞くもんでしょう普通。 でないとなんか眠れん・・・・・・。
アルティ「あんたって、実はそっち系の人?」
直「なんでそうなる・・・。 というか、お前がいったんじゃねえか・・・。 それくらいの権利はあると思うけど・・・。」
そっち系って、なんのだよ。 言っておくが断じて違う!! これははっきり言えるけど、まだ腹が痛いねえ・・・・・・。
アルティ「何故か上から目線に言われているような気がするけど、まあいいわ。 あなたも知っているでしょう? そのうちの何組かは・・・。」
直「ラゼインさんとゼルファさんとリルティさんで一組で、ロゼットとメリアもそうなんだろ?」
アルティ「ええ、そうよ。 よく知っているわね。」
直「あのいちゃつきようをみれば誰でもわかるけどな嫌というほどに・・・・・・。」
アルティ「まあ、それは同感・・・・・・。」
俺が向いた視線の向こうにロゼットとメリアがなにやら食べさせ合いっこをしているが、どちらかといえば、メリアが一方的にロゼットに食べさせているというのが一番強いけど・・・。
直「ああ、でも。 レギャラーズ全員ってことは、お前も誰かと付き合っているってことだろ?」
アルティ「・・・・・・いつの間にか、お前呼ばわりされているのが何気に癪に障るけど・・・・・・、それについては黙秘権を行使します・・・・・・。」
・・・・・・本当に何気に淡々と言っているようには見えるけど、こっち見てないだろ。 後、絶対顔赤いだろ、感覚でわかるぞ。
直「っていうか、黙秘権って今もあるとは思わなかったな・・・・・・。」
それはともかく、どうしようかなと思っているうちに、なにかノイズのようなものが頭の中に入ってきた・・・・・・はは〜ん、そういうことか・・・・・・。
直「う〜ん。 ・・・・・・さてはお・・・ごぉ!!」
容赦ない回し蹴り。 まあ、防いだからいいけど・・・・・・。
アルティ「はは〜ん。 雰囲気でわかったから、何気にぶっ殺そう・・・・・・。」
直「そんな無茶苦茶な・・・・・・。」
っていうか、事の発端はお前だろうに・・・後、顔が恐い・・・・・・。
アルティ「レッツ、お仕置きタイ〜ム♪」
直「それは、御免被ります。」
俺は即座に全力疾走で脱兎した。 後、随分といい忘れていたが、現在俺達がいるのは試練の森ではなく、ベゼルク村である。 その村で、わいわいと賑わっているがおそらくは俺達ヴェイグレントズが初の試練を乗り越えたことを祝っての宴なのだろう。
なぜ知っているのかって、そりゃあ・・・・・・。
アルティ「こら、そこっ!! 待ちなさい!! でないと、千切りにするわよ!!」
直「どのみち、地獄を喰らうから無理〜〜〜〜!!」
いかにも、怒髪衝天のあいつがそりゃあ、べらべらと教えてくれたからね。 他者からすれば、ちょろいとか言われそうなものだが・・・・・・。
アルティ「はあぁ!! 『クロイク・リピード!!』」
直「へっ? どわぁ!!」
何が起きたのかよくわからんが、アルティの力らしきものに引き寄せられたというよりも”巻き戻されたような感覚”に襲われ、気がつけばアルティがすぐさま躊躇なく剣を振り下ろす寸前に慌てて避けたのはいいが・・・・・・。
アルティ「そこぉ!! 避けるな!!」
直「無茶言うな!! 死ぬだろ!! うおっ!!」
アルティ「ならいっそ死になさいっ!!」
直「絶対御免被るわ〜〜〜〜〜!!」
さっきから、意味のわからない巻き戻される感覚を味わいながら必死の逃亡劇を繰り返すことになった・・・・・・。
■
黄金の神皇「んで、現在この意味のわからんじゃれあいでもしているというわけか・・・・・・。」
エネリナ「はい。 そうなりますね・・・ふふっ。」
今、俺達がいるのは夢界であるが、アナザービジョンと呼ばれるもので直達を覗いているものの、さっきから物凄いアクロバティックな事をしてやがるが、気のせいということにしておこう・・・・・・。
アーク・ゼロ「本当に好きだな、そういうの・・・・・・。」
黄金の神皇「ああ、何せ暇な上にまだ真名すらも名乗れん状況だからな・・・・・・。」
アーク・ゼロ「それは同感だな。」
エネリナ「なら、いっそ。 ここで名乗ったほうがいいじゃないですか?」
ラスト&ゼロ「「断る!!」」
冗談じゃない。 ここで名乗ったら後々、面倒臭いことに・・・・・・。
アーク・ゼロ「いや、むしろちょうどいいから次のところでどさくさに紛れて行こうっと・・・・・・。」
黄金の神皇「んじゃ、俺は派手に登場してから名乗っておこう・・・・・・。」
エネリナ「・・・・・・・・・・・・。」
アーク・ゼロ「なんという機転の早さとか思っているだろ・・・・・・。」
黄金の神皇「というか、元々俺達そういう性分なんで・・・・・・。」
エネリナ「ええ、わかっていますけど。 相変わらず、びっくりしますね・・・ふふっ。 ”まるで親子みたいに・・・・・・。”」
アーク・ゼロ「というか、俺達”Y因子保持者全員がそうだと思うけど?”」
黄金の神皇「いうな。 ネタバレになる。」
全くこんな序盤でネタバレなんぞしたら後々もっと面倒な事に・・・・・・。
???「というか、僕らも名乗らせてよ〜〜〜。」
???「私も〜〜〜。」
???「・・・・・・俺も。」
なりかけているわなこの馬鹿どものおかげで・・・・・・。
黄金の神皇「ああ、もう!! お前らは大人しくお留守番だ!!」
???「「「ええ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」」」
エネリナ「ふふっ。 では、次の物語に幕が上がらんことを・・・・・・。」
こらこら、勝手に決めるなよ・・・・・・。
とにかく、この状況を沈めるのに数十分掛かったのであった・・・・・・。
■
逢魔「よ〜う、直〜!! お前〜、すんごい活躍をしたんだってな〜〜!!」
春「見てましたよ〜〜〜!! 村の人達も大絶賛でしたよ〜〜〜!!」
直「・・・・・・ああ、そのおかげでどうでもいいほどに体力を消耗したからな・・・・・・。」
いや、もう疲れたよ・・・。 本当にマジで・・・・・・。
あの痛快な逃亡劇から開放された俺は、現在助けもせずに傍観してやがった馬鹿二人との食事をしている最中である。
勿論、場所は先程と変わらずベゼルク村の中央広場である。
直「ていうか、さっきから酒臭いぞ貴様ら・・・・・・。」
逢魔「失礼な〜〜〜。 俺は酒臭くねえぞ〜〜〜。 うぃ〜〜〜。」
春「そうですよ〜〜〜。 酔ってなんかいませんよ〜〜〜。 ・・・・・・ヒック。」
・・・・・・説得力皆無すぎだろうに・・・・・・。
直「ったく、あんな事があったっていうのに、よく飲んでられるなお前ら・・・・・・。」
逢魔「ええ〜〜〜。 いいじゃんかそんなものなんて過ぎちゃうのにね〜〜〜。」
春「ほんとですよ〜〜〜。 逆に言えば、同じことが来ちゃうかもですけど〜〜〜。」
逢魔「だな〜〜〜。」
春「ですね〜〜〜。」
逢魔&春「「ガッハッハッハッハッハ〜〜〜〜〜。」」
直「・・・・・・・・・・・・・・・。」
救いようのないアホ二人な事で・・・・・・。
試練の森で、知恵と勇気、そして力の試練を乗り越えた矢先にあの仮面の男もといデモンスが現れ、スティア達が来るまでに応戦しても全く歯が立たなかった・・・・・・。
おそらく、これから先デモンスと同格かそれ以上の敵が来てもおかしくはないだろう・・・・・・。
となれば、そういう奴らが来ても対応できるように・・・・・・。
直「明日から鍛えるぞお前ら・・・・・・って、寝てやがるし・・・・・・。」
逢魔「ぐご〜〜〜。」
春「すやすや〜〜。」
・・・・・・マジで、大丈夫なんだろうかこんなチームで・・・・・・。
スティア「ん? なんだ、こんなところにいたのか直?」
直「あ、リーダー・・・・・・。」
スティア「大方、察しはするが大変だなお前は・・・・・・。」
直「昔ながらの腐れ縁ですからね・・・・・・。」
まあ、今に始まったことじゃねえし・・・・・・。
スティア「あらかじめ言っておくが、別に敬語は使わなくてもいいぞ。 うちは軍の組織じゃないし社会のそれじゃないからな・・・・・・。」
直「それはわかっているんですけどね・・・。 前いた世界でどうしても取れなくて・・・・・・。」
いきなり敬語使うなって言われても早々できないからな・・・・・・。
スティア「ま、お前がどんな口調を言おうが別に構わないが、あまり硬すぎるなよ。 それと、ほれ。」
直「っと。 何ですかこれ? バッジ?」
よく見ると、GFの紋章らしきものが刻まれている・・・・・・ということは。
スティア「あのごたごたのせいでろくに渡せなかったが、改めて試練突破おめでとう。 今日から正式にGFのメンバーの証としてそのバッジをくれてやる。 後、そこで寝込んでいる二人にも渡しといてくれ。」
直「でも、俺達・・・元の世界に帰ったらそれの意味がないんじゃ・・・・・・。」
スティア「まあ、そうかも知れんがそれでも認めた証として受け取ってくれ。 これが俺とお前の・・・・・・。」
スティアは、自分の拳を俺に突き出し・・・・・・。
スティア「最初の繋がりだ。」
直「・・・・・・ああ、そうだな。」
俺も拳を出し、互いの拳が当たるような感じで友情の証の誓いをするのであった・・・・・・。
Chapter3 第二章 END
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第六弾の作品です。 長らく、仕事のせいでろくに休みが取れない状況になってしまいました。 後、無断で修正しますんでご了承してください。 | ||
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