緑の若葉が茂る大桜の下には、いつものメンバーが集まっていた。

智樹、イカロス、ニンフ、アストレア、カオス、守形、そはら、美香子、日和、オレガノ。

これだけの人数がいれば、夏休みだしバーベキューでもしたい所だが、今日はそんな日ではない。

皆が同じ方角を見つめ、静かに何かを待っている。

アストレアやカオスでさえ、大人しくしている。

しばしの静寂。それを破るように、町の広報のスピーカーから鐘の音が鳴り響く。

智樹達はゆっくりと目を閉じ、俯き気味に動かない。

鐘の音が響き渡る。何度も、何度も。

しばらくして、鐘は鳴り止んだ。

皆の目がゆっくりと開く。

彼等の心には、未だ余韻の様に鐘の音が響いている。

智樹が空を見上げた。

「平和が一番だ」

平和を求める少年は、ゆっくりと歩き出した。

今ある平和を噛み締めながら。