真・恋姫†無双 巡る外史と仮面の魔神 五十三話 |
心地いい…青い空が俺の上にある。
辺りは広くて、足元を覆うほどの草が茂っていた。
「リト兄ィー!」
後ろから音々音の呼ぶ声がする。
あの子は俺に段々と近づいて、目の前で止まった。
笑って俺に話しかけてくる…本当に当たり前になって来た光景。
俺は当たり前のように音々音に触れようとする。
そして音々音に触れた瞬間―――、
死んだ。
「……ぇ…?」
血を流して…全身が血まみれになって…恨めしそうな目を俺に向けて、音々音は死んだ。
それだけじゃない…周りの草に隠れて、恋や桃香、蓮華、華琳、他にも…俺がこの世界で知り合った奴等全員が死んでいた。
動揺する俺の手と体には、真っ赤な血がついている。
「…あ……あ…あああ…!」
俺が…殺した…?俺が…おれが…オレが…オレガ…?
――――――。
「―――うわぁぁぁぁぁぁあああっっ!?」
突然布団から飛び起きる。
リトは息を切らしながら周りを見た。
…夢?
そうと解り、ほっと息をつく。
そうとう嫌な夢だったのだろう…身体中が汗でびっしょりと濡れている。
「……っ…」
余計な心配をかけないために、リトはこれを隠蔽した。
「…最近リト兄ィが変なのです」
音々音が不機嫌そうに目の前の友達に呟く。
音々音の座っている周りには鈴々、璃々、小蓮、美羽、季衣、流琉がいる。
何故彼女達がいるのかは、数日前に三国同盟一周年の祝いの為に来ているからだ。
と言っても、実際に一年は経っておらず、まだ1ヶ月ほどもあるのだが。
「お兄ちゃん、お腹が痛くなったのか?」
「違うのです。ねねが…と言うより、皆がリト兄ィの所に行っても、避けられてるような…」
「おにーちゃん、みんなのこと嫌いになっちゃったのかなぁ?」
「うーん、避けられてるねぇ…そう言えばシャオも昨日そんなことされたことが…」
「妾もお兄様の部屋に遊びに行ったのに相手をしてくれなかったのじゃ!ぷんぷんなのじゃ!」
「そーだねー。ボクも兄ちゃんに構おうとしてもうやむやにされたし」
「うん。それにご飯の時だって、なるべく皆と会わないようにしてるよ?」
うーん、と全員考え出すが、音々音は一人だけこっそりとその場を抜け出した。
―――リト兄ィに直接聞くのです!
そう思い、音々音は駆け出す。
音々音の行動に気付く者はいなかった。
「…………」
「何か考え事?」
「……………ご主人様」
「……っ!」
屋上で空を見上げていたリトは突然の来訪者に驚く。
目の前にいたのは華琳と恋。
華琳はたまたまだろうが、恋はリトを探しに来たのだろう。
リトは驚きはしたが、二人の方を見ないようにしている。
「…どうした華琳、仕事しろよ。恋も音々音と一緒になんか食ってなくていいのか?」
「…………ねね、まだ見てない」
「そうか、じゃあ探しに行けよ。ここにいてもつまらないぞ」
どこか素っ気ないリトに恋は少し戸惑う。
いつもの優しいリトはどこに行ったのか…そう感じてしまう。
一方の華琳は目を細め、少し苛立っていた。
「…無関心ね。それほど辛いのかしら」
「辛い…そうだな、嫌な事だよ。でもこれは、俺の苦し紛れだ」
「そんな苦し紛れで今を崩すつもり?情けないわね。それにあの娘達が納得すると思っているの?」
「やった後じゃそんなの関係ない」
段々と口論が激しくなるリトと華琳。
恋は会話の内容がさっぱりわからず混乱するばかり。
そんなところに、音々音がやって来た。
「リト兄ィ!ここにいたのですか!」
「っ!音々、音…」
「ちょっとお話があるのでよろしいのですか?」
一歩ずつリトに近づく音々音。
少し怒気が見えるが、あまり怖くない。
だがリトは近づくのに比例して、音々音から少し遠ざかる。
(クソッ…何で夢のことなんか…)
「―――曹操様!!」
夢の事を思いだしていたリトの耳に兵の一人の声が聞こえる。
見てみると、息をきらしているではないか。
それを見て華琳はただ事ではないと察した。
「ほ、報告します!町の中央広場に怪人が出現!現在仮面隊が対処しております!」
「何ですって!?そこはまだ天和達がまだ公演をしているはず…!」
「―――すぐに行く!…恋と音々音も来てくれ!」
「……………ん」
「了解なのです!」
一瞬苦い顔をしながらも、リトは恋と音々音を抱き上げ飛び降りる。
急いでるだけあっての近道なのだろう。
リト達は広場へ急いだ。
「姉さんこっちよ!」
「う、うん!」
戦闘員を相手にしている兵達の後ろで、天和は地和のいる場所に行く。
ステージはすでにボロボロ、あちこち建物からは火が上がっている。
「何よあいつら!ちぃ達のらいぶ滅茶苦茶にして!」
「仕方ないよ。話を聞いてくれる訳ないもん」
「そうね。早くここから逃げましょう」
そう言って人和は辺りを見渡し逃げ道を探す。
―――だが気づいていなかった。
背後に忍び寄る、異形の影に…
「はぁあああああ!」
「…………ふっ!」
クウガ・ライジングドラゴンとガオウは迫り来る神話怪人達の相手をしていた。
上空から来るイカルスを跳躍して叩き落とすクウガRD、鉄腕アトラスをものともせずに斬るガオウに死角はない。
「数が多い…音々音!この辺りの人は全員逃げたか!?」
「大体は逃げたのですが…天和達がまだ見つかって無いのです」
そう、現在のクウガRD達の目的は避難優先。
コンサートに集まった客を避難させるために戦っているのだ。
だが、台詞の通り天和達はまだ見つかっていない。
――― 一体どこに…!
焦るクウガRD…そんな彼の元にミサイルが打ち込まれる。
クウガRDは回避し、放たれた場所を見る。
そこに居たのは…
「久しぶりだなぁ、仮面ライダー」
「っ!?テメェ…!」
呉の地で追い払った狼長官だ。
以前切断した腕も元に戻っており、ダメージもないと言える。
変わっていると言えるところは、リトに対しての復讐心がひしひしと伝わってくる所だ。
「ほう。あのときとは違う害虫の姿か」
「元気そうじゃねぇか。またやられに来たのか?」
「フンッ。あの時と同じ状況ならな」
余裕そうな顔で指を鳴らす狼長官。
すると、背後から狼達が天和達を囲んでやって来た。
クウガRDは驚き、三人は怯えた表情になっている。
「…リト!」
「リトさん…!」
「天和!地和!人和!」
すぐに助けようと走り出すリトだが、狼長官が目の前に立つ。
クウガRDがギリギリ来る範囲まで近づくと、狼長官は指揮棒をクウガRDの目の前につきだした。
「おっと動くなよ?あの狼達はせっかちでな…私が止めていなければ、あの小娘共を食い散らかすぞ?」
「くっ…!」
「さぁて、あそこのワニには少々踊って貰うか」
再び指を鳴らすとガオウと音々音の周りにさらに怪人が出てくる。
二人を囲むようにしているのでガオウは音々音を守りながら戦わなければならない。
クウガRDは仮面の奥で歯を食い縛る…と、同時に狼長官に蹴られた。
装甲が薄いライジングドラゴンはパワータイプではない狼長官の攻撃でもダメージが通ってしまう。
さらに狼長官は地面に倒れたクウガRDを何度も足蹴する。
「ぐ…がぁ…!」
「はっはっは!気分がいい!どうだ?貴様はどんな気分だ?うん?」
気分がいい…まさにその通りだろう。
以前自分を侮辱して、傷をつけた相手をここまでいたぶれるなら尚更だ。
ただし、人質がいないと駄目だが。
「はっ…、人質がいないと…まともに戦えないのかよ」
「何とでも言え、私が合図さえすれば狼達がどうなるか…わかるな?」
そう言って親指を天和達に向けて指す。
表情が分からないが、怒っているのだろう…クウガRDは地面を握りしめ、狼長官を睨む。
一方の狼長官はそれが気に入らなかったのか、握っていた腕を足で折った。
「ぐ…がぁあぁぁぁぁぁぁぁッッ!!?」
「ちょ…もうやめなさいよ!」
「そうだよ!リトはなにもしてないよ!」
「黙れ。人間風情が私に指図するな」
天和達の抗議に耳を貸さない狼長官。
人和は実際に骨が折れた所を見て、顔を青くしている。
そんな中、クウガRDはその異常な治癒力で折れた腕を回復させた。
「傷をつけても治るか。…もはや貴様は怪人と言ってもいいな」
「冗談…誰がテメェらと…」
「体にダメージを与えられない…それならば精神にでもするか」
ニヤリ、とその裂けた口をさらに広げ笑う。
クウガRDは当然嫌な予感しか感じず、警戒する。
「何を…!」
「なぁに。お前の目の前であの小娘共を辱しめるだけだ。…そうだな、手足を切って狼達に純血を奪わせよう」
瞬間…嫌に頭が冷静になった。
さらに思考もクリアになり、再び思考を始める。
―――今コイツは何て言った?
「………………ぉい…」
「雌に飢えてる奴等なら、うまくいけば孕むかもなぁ」
「………おい…」
「ついでにあのワニとチビも仲間に入れてやる。ワニはともかく、チビはまだ早いが…泣き叫ぶ姿が目に浮かぶぞ」
「―――」
理性の糸が切れた…と言う生易しいものではない。
千切れたのだ…殺意を抑える理性が。
今のクウガは何も考えないし、何も理解しない。
ただ目の前のゲスをどう殺すか、その殺意と狂気に従って動く。
その結果、―――狼長官の顔の骨格がへこんだ。
「ブッ…!?」
「…ああああああああああああ!!!!」
殴る、殴る、ひたすら殴る。
敵の状態も、周りの困惑の声も聞こえない。
獣のように動くクウガの姿はいつしか黒く染まり、アメイジングマイティになる。
狼長官がうめき声を出せなくなるほど痛め付けたあと、クウガAMはさらなる変化をし始めた。
―――だが、その前にクウガAMの腹部にレーザーが放たれ、変身が解除される。
「う…ああ……くっ…そ…!」
「低俗な真似をするな狼長官。デルザーの品が落ちるぞ」
後ろから声がした。
理性が戻り、両膝をついたリトは後ろを振り替えると…そこにはデルザー軍団の最後の一人が立っていた。
どこか屈強な戦士を思わせる怪人…マシーン大元帥。
マシーン大元帥は冷静にリトを見ていた。
それと同時に、顔から出る血を気に止めず、狼長官がリトの腹部を怒りに任せて蹴る。
「グウウウ!!人間の分際で!!分際でぇええええ!!」
「ぐ…はっ…!」
それから何度も何度も恨みを晴らすように蹴り続ける。
その間にマシーン大元帥は天和達を見て((試し撃ち|・・・・))をしようとした。
「人質等要らんだろう。どれ、復活ついでにウォーミングアップといこうか」
「やめっ…!」
命をなんとも思っていないようなマシーン大元帥の無関心な言葉を聞き、リト止めさせようとするが、狼長官に邪魔をさせられ動けない。
このままでは天和達が死ぬ…それだけは避けたいのに、嫌なのに動けない。
そんな絶望を目にした…その時だった、
「ぐぅっ…!?」
〈コネクト!プリーズ!〉
「…ちょっとごめん!」
「えっ?」
銀の銃弾がマシーン大元帥の背中を捕らえ、怯ませる。
誰もが驚き天和達の周りの狼に隙ができ、天和の目の前に魔方陣が現れそこから腕が出てきた。
腕は天和の片腕を魔方陣の中に入れると、指輪をはめさせ魔法を発動させる。
〈スメル!プリーズ!〉
「「「…臭っ!?」」」
「「「キャン!?」」」
天和から物凄い異臭が漂い、天和達は思わず鼻を塞ぐ。
一方の狼達は鼻が優れているせいか、臭いを嗅ぎ気絶した。
―――何が起こっている…
マシーン大元帥がそう思った時、荒れた町から一人の男が歩いてきた。
この大陸では見ることのない純白に輝く服を着、手形の意匠がついたベルトを付けた青年を見て、リトはそれが誰なのか…そして何故ここにいるのか理解する。
「お前は……そうか、やっとか」
傷を塞ぎ、なんとか立ち上がるが思わずふらついてしまった。
だが青年はリトを支えると青年は心配し出す。
「大丈夫か!?えっと…平沢」
「リトでいい。助っ人になったんだな、種馬」
「あんたまでそれを言うか!?」
「冗談だ。俺も一刀って呼ぶから」
軽く弄ったがこれは面白い。
リトは彼…北郷一刀と名前を呼び会うと、彼のつけているベルトと色違いのベルトを装着した。
マシーン大元帥は訝しげな顔をし、一刀に問う。
「何だ貴様は…」
「北郷一刀。元学生兼天の御使い兼…」
二人は指輪をはめ、隣に並ぶ。
そして目の前の敵に宣言をした。
「仮面ライダーだ!」
「やかましいけど我慢しろよ?」
〈シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!〉
〈シャバドゥビタッチヘンシーン…!シャバドゥビタッチヘンシーン…!〉
「「変身!」」
〈フレイム!プリーズ! ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー!〉
〈チェンジ!ナウ!〉
それぞれ赤と黄金の魔方陣を通り抜けた時には二人の姿はなかった。
あったのは…
希望の魔法使いと絶望の魔王。
「仮面ライダーウィザード。さぁ、ショータイムだ!」
「仮面ライダーソーサラー。…とりあえず死んどけ」
はい、XXXです。
たぶん読者の皆さんが思っていることは、いつものどうしたんだ?だと思います。
その疑問にお答えするのなら、現在一刀が出演してるからですね。
と言うわけで、一刀が出てる間は私一人でやります。
・リトの悪夢
これは後先…てか二話後に意味が分かるはずですね。
と言うより前から若干フラグは立ってたんですけども。
てか悪夢ですね、悪夢。自分の親しい人を自分で殺して。しかも殺した時の記憶が無いところとか。
・女子会ならぬロリ会
これはあんまり意味無いです。
強いて言うなら、ロリコンの目の保養になるかな…?
・狼長官この野郎
まんまです。
強いて言うなら、台詞が…ね?
ちょっと表現があれかなーとか思ったけど…ね?
あと、自分で書いて一言言いたい。
狼長官コロス
・種馬登場
自分、文章力無いからかっこよくできないんですよ。
だからリトとの会話もギャグ混じりで…
でもダブル魔法ライダーはできた!やったね!
とゆーわけで次回予告。
現れた北郷一刀=仮面ライダーウィザードとソーサラーの共闘!
当然あいつらもここに来てて…
そして戦闘後、リトが…!?
五四話 “それが例え…”
俺、このままの方がいいのかも…ΟωΟノシ再見
説明 | ||
三巡編 我慢しろよ |
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コメント | ||
nakuさん 一刀「…やっぱ俺ってそんな存在…orz」リト「ドンマイ。別の外史でまともな扱いだといいな」(XXX) ↓@歌wwAそれは一刀の台詞がしっくり来るっすねw(XXX) nakuさん 超あってる…いや、マジで合ってる!(XXX) 刃さん XXX「イエス!フリーダム!アンダースタンド?」リト「はいどーん」←ビックバンパンチ(XXX) 弄られないから?(後書きの最後)(黒鉄 刃) |
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