とある傭兵と戦闘機  IS編第10話   ”その名の背負う意味”
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静かでのんびりとした初秋の部屋に携帯端末の着信音が鳴り響いた

 

 「セシリアからか・・・」

 

端末の通話ボタンをタッチして、呼び出しに応じる

 

 「もしもし?」

 

 「フィリアさん、オルコットですわ。あなた、一週間ほど休暇を取れまして?」

 

 「一週間って・・・授業はどうするのさ」

 

 「既に織斑先生にあなたの休学届けを提出しております。心配要りませんわ」

 

そしてこの身勝手さである・・・拒否権無し。強制連行

 

よくあの織斑先生から許可をもぎ取ってきたねこの人・・・というか、フィアどうしようか

 

預けるしかないよね・・・ラリーにお願いしておこう

 

 「それなら、私と共に本国へ一度いらっしゃらないかしら?」

 

本国・・・イギリスか・・・

 

 「王妃様から、あなたに会いたいと仰られましたから」

 

 「イギリスの王妃様?そんな国のトップが、一介の一般人の私に?」

 

 「ええ、よろしくて?」

 

 「・・・わかった、行くよ」

 

 「では、身支度を済ませ次第本国へ飛びますので」

 

どんだけ急ぎなのさ・・・

 

 「了解、それじゃあ明日」

 

 「わかりましたわ、それではまた」

 

通話はそこで終わり、私は一息ついて椅子にもたれかかった

 

まあ、イギリスは広いから会う事はないだろうし

 

そう自分に無理やり区切りを付けて、私はベットに体を預けて枕に顔を埋める

 

・・・ぶっちゃけ、そんな事よりフィアが心配だよぅ

 

 

 

    〜翌日〜

 

 

 「準備はよろしいですわね?」

 

滑走路、セシリアの自家用ジェット機の前で私達は荷物を持って立っていた

 

 「うん、こっちはオッケーだよ」

 

荷物をケースにまとめ、私は制服のままここにいた

 

 「それでは、参りましょう」

 

セシリアが先にタラップで機内に入り、私もそれに続く

 

 「うわ〜・・・豪華」

 

機内は狭いながらも、座席が少なく小さなホテルみたいな内装だった

 

 「好きな場所にお掛けになって」

 

 「うん・・・」

 

とりあえず空いている座席に腰を掛ける

 

座席のクッションは柔らかく、戦闘機のコックピットとは違い居住性重視の

 

リクライニング式になっており、倒すと簡単なベッドになるみたいだ

 

それから機体は地面から離れ、久しぶりに気圧の変化を感じるようになった

 

 「到着するまで時間がありますから、くつろいでいて構いませんわよ?」

 

 「あ、うん、そうさせてもらうね」

 

それから私は、ただ何も考えずに雲の中を進む機体の窓から外を眺めていた

 

 「フィリアさんのご家系ってわかります?」

 

 「家系?ごめん、私は小さい時に家を出たからあまりよく知らなんだよね・・・」

 

実際そうだったから、私はあまり実家を知らない

 

それから何でもない会話をして、私は眠りについた

 

でも他人が操縦している機体だと思うと途端に落ち着かなくなり、中々寝付けなかった

 

 

 

 

    〜セシリア視点〜

 

 

 「家系?ごめん、私は小さい時に家を出たからあまりよく知らないんだよね・・・」

 

フィリアさんはそう言って窓の外に目を向ける

 

 「(王妃様も王妃様ですわ・・・いきなり一般市民を王宮へ招待するだなんて)」

 

王妃様は私が父と母を失って途方に暮れていた時、保護してくださった恩人でもありました

 

いつも優しく笑っていらっしゃって、私を国家代表候補生に推薦してくださったのも王妃様でした

 

そんな王妃様が、少し慌てて招待するように手配された理由が私には理解ができませんでした

 

まぁ・・・フィリアさんは悪い人ではないですから大丈夫だとは思いますけど

 

 

 

 

 

    千冬視点

 

 

 「どう言う事だ千冬!!何故あいつの休学届を受け取った!!」

 

 「相手は英国の政府貴族、ただの面談という名目だ

  

  それに何故お前がそこまで焦る必要がある?別に彼女が出身国に一時帰国するだけだろう?」

 

 「違う・・・違う違うそうじゃない!!」

 

 「何故そこまで貴様が狼狽するんだ?それともイギリスに何か彼女にとってマズイものでもあるのか?」

 

 「まずいどころの問題じゃないんだよ・・・ブリュンヒルデ

 

  下手をすれば、あいつは”戦争の引き金”にされるかもしれないんだ!!」

 

 「・・・どういう意味だ?」

 

織斑千冬・・・世界最強の名を背負う一人の教員は

 

その質問をした事を・・・彼女の人生最大の後悔として記憶してしまう事となった

 

 

 

 

 

   〜フィリア視点〜

 

 

 

それから何時間経ったか覚えていない

 

空港に到着したようで、私はセシリアに起こされて気がついた

 

 「フィリアさん、あなた私服は持ち合わせておりまして?」

 

 「私服?ジャージくらいしか持ってないけど」

 

それからセシリアは頭を抱えるようにしてため息を付いた

 

 「信じられませんわ!!王妃様に会いに行くのに学生の格好だなんて!!」

 

 「わー待った待った。軍服もあるから」

 

 「どちらにせよ正装ではありませんわ!!私の私服をお貸しして差し上げます」

 

それから半ば強制的に着替えをさせられ、タラップから降りる

 

 「さあ、空港の外で出迎えの車を待たせておりますの」

 

それからロビーを抜けて車に乗ってから街中を移動する

 

市街地から離れ、街は昔の面影を残した少しレトロな街並みを行く、どこか優しい雰囲気を感じた

 

一応、生まれた故郷のある国だからなのかもしれない

 

そんな事を考えながらぼーっと外を眺める

 

それから、何やら大きい壁・・・城壁っていうものだろうか

 

その門の手前で車は止まった

 

 「セシリア・オルコットですわ。用件は王妃様からの招待という名目で王宮に参りました」

 

門番の警備にセシリアが話しかける

 

 「オルコット代表候補生様ですね。既に王妃様から用件をお聞きしております」

 

端末を見ながら、警備の人がこちらを見る

 

 「それと、今回は民間人を一人招待と」

 

 「はい。それで、そちらのお嬢様が招待された方なのですね」

 

こちらに向かれて目が合った為、軽くお辞儀をする

 

 「では、こちらの生体情報登録デバイスで来賓登録させていただきますので」

 

そう言って、警備の人は何か黒いボードを持って私の方に来た 

 

 「お手を拝借させてもらいます」

 

そう言われ、私は手のひらをボードに押しつける

 

ピピッという電子音に少しビクッとして手を引っ込めてしまった

 

警備の人が少し優しい笑顔をした・・・恥ずかしいなぁもう

 

 「これで登録は完了致しました。どうぞ、王宮内へ」

 

警備の人が端末を操作すると、何重にも防護されていた門が次々に開錠されていく

 

それから完全に門が開き、その王宮内に徒歩で入る

 

 「ここが、我が母国イギリスの王宮”ハーボラー・レイラルド城ですわ」

 

内装は、やはり古い伝統的な城と呼ぶべきもので

 

所々に監視カメラや警備センサーなどの近代警備装置がある事を除いては

 

本当に昔の城に居るみたいだった

 

でも私は感動する訳でもなく、ただ感じる一つの想いがあった

 

記憶に無い場所ではあるが、私はここを知っているような気がした

 

そんな、曖昧な感じに疑問を抱きながら城内を進んでいく

 

 「ここに、王妃様はいらっしゃいますわ」

 

木製の扉の前を、警備兵が二人で護衛していた

 

 「王妃様に話は通してありますわ。扉を開けてくださいまし」

 

警備兵は敬礼を決めると、扉を開けてくれた

 

 「お久しぶりです、王妃様」

 

 「あらセシリアちゃん、お久しぶりね!!」

 

中からセシリアと王妃様の話し声が聞こえる

 

私は呼ばれるまで扉の外で待っていた

 

 「それで・・・その方は?」

 

 「はい、お連れして参りましたので。入ってください」

 

む、お呼ばれみたいだ

 

扉を抜けて、部屋に入る

 

部屋は思ったより狭く、豪華ではなく意外に質素だった

 

必要最低限の庶務用の棚や机、別段高価ではなさそうな物ばかりだった

 

 「こちらがフィリアさんです・・・?」

 

セシリアの向こうに居る人、恐らく王妃様と思しき人は、何故か私をじぃっと見てきた

 

 「・・・本当に・・・フィーお姉様なのですか・・・?」

 

その人はそう呟いた・・・フィー・・・か

 

頭の中で記憶の入った引き出しを探り、思い出す

 

 「・・・クルク」

 

小さい頃、父についていく前に一緒にいた従姉妹を

 

私の目の前に居る人物は、輝く銀色の髪を惜しげもなく窓から照る日差しに輝かせていた

 

 「っ!?やっぱり!!フィーお姉さまなのですね!!」

 

いきなり抱きつかれる

 

 「生きてた・・・生きておられたのですね!!」

 

 「・・・生きてるけど・・・そんな実感しないよ」

 

十年ぶり(私の感覚)の再会に思考が置き去りにされる

 

当たり前だーーーそんなの

 

 「え、え?えぇ!?」

 

状況に全くついて来れてないセシリアがあたふたしている

 

 「それで、何でクルクが王妃に?」

 

とりあえず真っ先に思った疑問をぶつける

 

 「それはですね、フィーお姉さまが突然居なくなったからなのです」

 

 「・・・・・・・・」

 

 「フィーお姉さまは・・・第一位皇位継承者だったのです」 

 

 「・・・やっぱり・・・そう・・・なんだ」

 

従姉妹であるクルクの発言が、私の頭の思考回路を一瞬で硬化させる

 

 「フィーお姉さまは、知らされる直前に失踪されましたからご存知ないのも無理はありません」 

 

クルクは真面目な表情で、それを続ける

 

 「私も聞かされた時は何が何だか分からないまま王宮へ連れていかれました

 

  そこで聞かされた事は、お姉さまと私が”皇族のしきたり”によって国王夫妻と共に一般民として

 

  十年を街で過ごしていたという事でした」

 

私はただ呆然と説明を聞いていた

 

思考回路が停止した頭で、現実から逃げる道を探すのに必死だった

 

しかし、逃げ道になるものは出てこなかった

 

その時の私は・・・驚く程に空っぽだった

 

真っ白、どれだけ悩もうが私に逃げる道は無かった

 

お父さんの言っていた事との関連性、共通性

 

私はそれを認めたくないあまりに、向こう側で感情の暴走を起こした

 

忘れておきたかった

 

思い出したくなかった

 

あの時のお父さんの話を

 

 「私はお姉さまの側近として共に暮らし、来るべき時にはお姉さまを傍で支えるという役目がありました

 

  しかし、皇女であるお姉さまは国王と共に姿を消し

 

  国王婦人であるおば様も、行方はわからないとおっしゃられました。

 

  第一位皇位継承者が失踪した事によって、第二位皇位継承者である私が代理を務める事によって

 

  今、現在に至る訳であります」

 

 「・・・・・・」

 

説明を聞いても・・・理解したくなかった

 

しきたり?第一位皇位継承者?

 

・・・頭の中をぐるぐる回る感覚が私に目眩を誘発させる

 

 「・・・お母さんは?」

 

 「おば様は今は街で隠居なさってます」

 

 「そう・・・。クルク、お願いがあるんだけど」

 

 「はい、何でしょうかフィーお姉さま」

 

 「私は・・・死んだとお母さんに伝えれる?」

 

 「・・・え・・・どうしてですか!?」

 

 「私はもう死んだの、六年・・・いや、三十六年前に」

 

そう、クルクが知っている私は”死んだ”

 

六年前に家を出てから、父に付いて行った時に私は捨ててしまったのだ

 

幸せと言うべき生活を・・・人生を

 

 「私は・・・アメリカ空軍第6航空師団第66飛行隊一番機パイロット

 

  クルクが知るその人はもうこの世には存在しない」

 

 「そんな・・・何を言ってるんですお姉さま!?」

 

 「その人は私が”殺した”」

 

皇位継承者なんてどうでもいい

 

私は・・・私だから

 

今ある私が、本当の”私”だから

 

 「だから・・・始めまして王妃様。私の名はフィリア・フェイリールドと申します」

 

 「納得がいきませんお姉さま、どうしてそこまで変わられたのですか!?何が変えたのですか!?」

 

 「人が変わるのに理由はありません。王妃様にお会いできて光栄でした、それでは」

 

最後まで他人行儀で私は部屋を逃げるように出る

 

 「衛兵さん、ご苦労様です」

 

外に居る兵士にお辞儀をして、来た道を戻る

 

途中でストラティアを使ってセキュリティセンサーにダミーコードを流しつつ

 

生体反応をチェックしながら走った

 

そして、屋根が消えて青い空が広がる広場に出た

 

 「”サイファー”、行くよ」

 

もう一人の自分を呼び出して、空高く上昇する

 

もう二度とここに戻ってくる事は無い

 

そのまま私は翼を広げ、狭い籠の中から逃げ出した

 

行く宛てなんかなくていい

 

あんな狭い所にだけは・・・居たくなかった

 

翼を奪われるのがーーー嫌だった

 

 

 

 

 「王妃様・・・一体何が・・・」

 

 「セシリアちゃん・・・前に話した通り、私は第一皇族妃であって本当の女王ではないの」

 

 「それと・・・フィリアさんと何の関係がーーー」

 

 「フィーお姉さま・・・彼女の本当の名前は・・・フィレイア・ヴィリタニィ・リーファフロイス

 

  本来、私が座るこの席に御据えにならなければならない御人なのよ」

 

 「・・・・・・え?」

 

 「騎士の血族・・・”ヴァルキリー”の末裔

 

  あらゆる敵を下し、そして自ら民を背負う意識を忘れない”英雄”の眷属

 

  私は・・・それを補佐する従姉妹なだけなの」

 

スラスラと回答を述べる王妃様の顔は真剣そのもの

 

でも、考えてみてもおかしな話ではなくって?

 

だって、従姉妹だとしても、歳が離れすぎていません?

 

私と同い年くらいなのに・・・一体何がどうなっていますの?

 

とにかく、真実を確かめないといけませんわ・・・

 

 

 

 

走って、走って

 

途中で市街地に対目視モードで降り立ち

 

籠から飛び出した私は、逃げるように人ごみを掻き分けて走って

 

そうして、いつの間にか私は名も知らぬ広場に出ていた

 

 「ああ・・・何をやってるんだろう・・・私」

 

噴水の横にあるベンチに腰を下ろして、頭を抱える

 

結局、私は何のためにここに生きてるんだろう?

 

また、自問自答を始める自分の心に押さえをかける

 

 「・・・・・・」

 

そうして、腰を上げてまた歩みを始める

 

どこに行くのか?

 

そんなもの、どうでもよかった

 

そうして、私は交差点で立ち止まった

 

俯いて信号が変わるのを待っていると、正面の道路向かい側で親子が手を繋いでいた

 

何か言い争って、歩道の信号が青に変わると共に子供が親から手を振りほどいて道路に飛び出した

 

しかし、その少女に向かって突き進んで来る車があった

 

車道側の信号は赤、信号を無視した車が飛び出した少女に向かって一直線に突き進む

 

 「ーーーーー!!」

 

言葉が出るより先に、私の体が動いていた

 

早くーーー速くーーー動けーーー!!

 

そう力強く願った

 

あの、小さな命を助ける為に

 

私の体が、感覚的に軽くなった

 

 「ーーーー間に合って!!」

 

地面を蹴り付け、少女の元まで一気に到達する

 

思いっきり抱きしめ、そして目の前に迫る車に背を向ける

 

 ドンッ!!

 

 「ーーーーぐうっ!!」

 

ぶつかる鈍い衝撃がモロに私の体を貫く

 

ミシミシと、体の基部が軋む音が聞こえる

 

道路に転がり、そして近くの露店に私は突っ込んだ

 

不幸か幸いか、その露店は布地の店だったおかげで並べられた布などがクッションになってくれていた

 

 「・・・・っ!!」

 

腕の中にある少女は、怯えた様子で涙を浮かべながら私を見ていた

 

 「ケガは・・・ないね・・・?」

 

 「(コクコクっ)」

 

少女は一生懸命首を縦に振った

 

 「そう・・・よかっ・・・た・・・」

 

心配させないように、笑顔を少女に向ける

 

そして、そのまま私は意識を失った

 

 

 

 

 

 「おい!!人が車にはねられたぞ!!」

 

 「誰かレスキュー呼んで来い!!警察も!!」

 

 「はねられた人は!?」

 

 「意識が無い!!頭にケガも負ってる・・・急いで医者に!!」

 

 

 

 

 〜王室執務室〜

 

 

 

 「・・・まだ、まだ見つからないの!?」

 

 「市内の警官を総動員して捜索しております。今しばらくお待ちを・・・」

 

 「待てないわ!!セシリアちゃん!!国家軍事力使用権限を行使します。

 

  特殊戦術兵器”インフィニット・ストラトス”ブルー・ティアーズの使用を許可

 

  現時刻より、フィレイア皇妃の捜索を!!」

 

 「了解!!」

 

テラスに飛び出してブルー・ティアーズを緊急展開させる

 

 「セシリア・オルコット ブルー・ティアーズ 参りますわ!!」

 

空に上がり、そうして広域マップを展開

 

 「(フィリアさんは零式を待機モードで所持しているはず・・・

 

  それならコアネットワークの相互位置特定機能で特定できますわね)」

 

マップが切り替わり、別のワールドマップの検索画面が出てくる

 

 「ターゲット”打鉄零式 改”検索開始」

 

フィリアさんの機体を検索する・・・が

 

 ピーッ

 

と、マップにエラーが出てくる

 

 「その機体はコアリンクネットワークに登録されていません・・・どういう事ですの?」

 

コアリンクが駄目なら電話番号をと思いつく

 

それから彼女の携帯電話の管理ナンバーを検索して位置を特定した

 

 「クロードストリート第二交差点・・・近いですわね」

 

反応があった場所を目指して飛行する

 

もちろん、ISでの市街地飛行は条約によって制限されているので対目視ステルスモードで飛行する

 

その場所は、露店が並ぶ庶民の商店街の入り口

 

普段は観光客などで賑わう場所だが、そこは警察によって封鎖されていた

 

近くに降り立ち、そして現場に到着して警官に話しかける

 

 「なにかあったんですの?」

 

 「交通事故ですよ。信号無視した車にはねられそうになった子供を庇った少女がはねられました」

 

 「そうなんですの・・・教えていただいてありがとうございますわ」

 

軽くお辞儀をしてフィリアに電話をかける

 

 ピピピッ  ピピピッ

 

音はかなり近く、そしてーーー

 

黄色い線が張られているその向こうーーー警官が透明な袋に入れている画面の割れた携帯端末から

 

着信音は発せられていた

 

 「退いて下さい!!」

 

警官を潜り抜け、そして袋の中の携帯端末を確認する

 

間違いなく、それはフィリアの持っていた端末だった

 

 「君!!勝手に封鎖線を越えたら駄目だろーーー」

 

 「セシリア・オルコット英国代表候補生です。緊急事態につき説明を省略

 

  現状の事故の被害者は何処ですの?」

 

 「現在、市内の緊急病院に救急搬送中。状態は意識不明の重体、全身を強く打ち付けておりました」

 

 「っ!!病院は!?」

 

 「オークトレア国立病院です」

 

 「判りました・・・協力を感謝します」

 

敬礼をして、すぐに王室に連絡を取る

 

 「オルコットです・・・」

 

 「セシリアちゃん!?フィー御姉様の行方がわかったのね!?」

 

 「はい・・・」

 

 「・・・どうかしたの?」

 

 「クロードストリート第二交差点で人身事故が発生しており、子供を庇う形で少女がはねられ

 

  子供は無事。しかし少女は意識不明の重体で救急搬送されております」

 

 「その事故なら今テレビで放送されているわ。それとフィー御姉様と何の関係があるの?」

 

 「その被害者の持ち物が・・・フィレイア皇女の持つ携帯端末でした・・・」

 

 「ーーーー!!」

 

声にならない声が聞こえて、そしてガタンガタンという音が聞こえてきた

 

 「王妃様!?」

 

 「ーーーオルコット代表候補生、王妃様がお倒れになった。回復次第追って連絡する」

 

電話が切れると同時に、私は歩き出した

 

頭で状況を整理する

 

先程聞いた話によれば

 

この国では、40年前より統治者が”皇位代理”が勤めている

 

理由は、皇子が自ら戦地へと赴いた事

 

そして、唯一の子女である皇位後継者もと共に連れて

 

 ”国を守らなくてはならない者が、国を守っている者を知らないのは愚の骨頂だ”

 

確かに、それには一理ありますわ

 

しかし、自らの使命を捨てて戦地へ赴き

 

そして命を落としてしまうのはそれこそ愚の骨頂

 

皇子の御子女様は行方知れず

 

戦火に巻き込まれて死亡したという推論が何よりも有力だった

 

その御子女様が、フィリアさん

 

フィレイア・ヴィリタニィ・リーファフロイス第一皇女

 

驚くべきは、その年齢

 

生年月日から逆算しても40代のはずなのに

 

彼女は・・・私と同い年の姿

 

そして、クルク皇妃と敬語なしのそのままの会話をする辺り

 

本人で間違いはない

 

一体、何が起こっていたのですの?

 

とにかく、当の本人に話を聞かなくてはならないですね

 

オークトレア国立病院へ

 

 

 

 

 

 

 

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  どーも、作者です

 

  急ぎ足で書きました・・・さて、もう完全に妄想の世界に入りましたね

 

  ここから物語りは加速していきます

 

  意見感想募集中・・・駄文への文句も募集してます(自虐

 

  それと、一身上の都合により次回から執筆自体が不定期になるかもしれません

 

  その点はご容赦くださいますよう、お願いいたします

 

  と、言う訳でよろしくお願いします

 

 

  

 

 

  

 

 

 

 

説明
セシリアからの一つの着信・・・そしてそれを機に物語は大きく進み始める事をまだ知らない一人のパイロットは
その返事をして、故国である国に飛ぶ事となった
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コメント
なんか最近のフィリアさんが不遇な気がします。あと少しで羽を折られた鷲になってしまいそうで怖いです。(クラックス)
銀ユリアさん>コメントありがとうございます。円卓は地形的に言えばだいたい世界地図(リアルな方)のオーストリア、ベルグル付近を更地と山脈で構成させております・・・まあだいたいあの辺と思ってください(ゴリ押し(雪下 夾矢)
更新乙です。フィリアやっぱイギリス王族の血筋だったか・・・確かにイギリスの第一王位継承者が円卓の鬼神なんて知れたら戦争の火種になれかねないな。そう言えば『円卓』って地形的にはどのあたりでしたっけ?(銀ユリヤ)
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軍事 戦闘機 タイムスリップ クロスオーバー エースコンバット インフィニット・ストラトス 

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