真・恋姫†無双 外史 〜天の御遣い伝説(side呂布軍)〜 第四十六回 第三章B:合肥救援編E・分断!虎子の焦り
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<雪蓮、今回ばかりはダメだぞ。あのような見え見えの罠に突っ込む必要はない>

 

<ねぇ冥琳、虎穴に入らずんば虎子を得ずって母様がよく言っていたの、覚えている?>

 

 

<ああ、もちろんだ。確かに、今黄祖の首を獲るには死地に飛び込む必要もあるかもしれん。だが、強引に死地に突っ込んで、文台様の

 

二の舞になってしまっては元も子もないぞ?>

 

 

<けど、それって虎穴が私にとって死地であればの話でしょう?>

 

<??>

 

<虎穴に入らずんば虎子を得ず、しかして我は虎の子なり。虎穴は危地にあらず、我が棲宿なり。何ぞ恐るるにたるや。ってね♪>

 

<はぁ、雪蓮、お前という奴は・・・>

 

<ふふふ♪よーく見てなさい蓮華、虎の子の戦いぶりを・・・孫家の当主の戦いざまを・・・!>

 

<はい、姉様>

 

 

<孫家に仕えし兵たちよ!猛き心を持つ者たちよ!今こそ、先代孫文台の仇黄祖を討ち取り、我らが無念を晴らすとき!剣を振るえっ!

 

矢を放てっ!乾坤一擲!我らが恐怖を敵の魂魄に刻み込め!>

 

 

<おぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!>

 

 

 

―――私も、姉様のようになれるのかしら・・・。

 

 

 

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【揚州、合肥・孫策軍本陣】

 

 

孫兵「伝令です!前線の3部隊が張遼に蹴散らさ、陳武様がお討死!徐盛様も負傷され部隊は瓦解!黄蓋様が退却を判断なされました!」

 

陸遜「祭様でも張遼の勢いを止められませんでしたか〜。やはり太史慈様の敗戦が兵たちの士気に大きく影響しているのでしょうねぇ〜」

 

 

 

伝令の報告を受け、陸遜は独特の間延びした口調ながらも、真剣と分かる面持ちで思案している。

 

しかしその時・・・

 

 

 

孫権「くっ・・・やはりここは私が出るわ!孫家に仕えし勇者たちよ!猛き心を持つ者たちよ!今こそ、私に力を!」

 

孫兵「応っ!!」

 

 

 

孫権は号令と共に馬にまたがり、出陣しようと動き出した。

 

 

 

陸遜「お待ちください蓮華さまぁ〜!先ほど前線に出ないようにと約束したじゃないですか〜!蓮華さまは総大将なのですよ〜!」

 

 

孫権「今はさきほどとは状況が全然違うわ!総大将である私が前線に赴けば、張遼に対する兵たちの恐怖心もなくなって、士気も上がる

 

でしょう!?」

 

 

 

そう告げると、孫権は腰にした両刃剣を鞘から音高く抜き取った。

 

 

 

孫権「それに、孫家は代々、自らの身を危険に晒してでも部下達と共に戦うことで信頼を勝ち得てきたんじゃない!・・・姉様だったら

 

迷うことなく前線に向かっているわ」

 

 

 

最後の一言は、どこか何かに追い詰められ、焦燥感漂う雰囲気がにじみ出ていた。

 

 

 

陸遜「ですが、蓮華さまと雪華さまは違―――!」

 

孫権「みな、我が孫の牙門旗に続け!雄叫びと共に突撃せよ!」

 

孫兵「おぉおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 

 

しかし、孫権は陸遜の制止を無視し、本陣に残っているほぼ全員、

 

総勢約2万強もの兵を引き連れて本陣を飛び出し、雄叫びと共に前線へと突っ込んでいった。

 

 

 

陸遜「も〜!凌統ちゃんは遊撃部隊として動ける準備をしつつ本陣で待機!思春ちゃん!明命ちゃん!蓮華さまのこと頼みます〜!」

 

凌統「わっかりましたー☆」

 

 

 

陸遜が珍しく焦った様子で叫んだが、返って来たのは凌統のテンションの高い元気な声だけであり、

 

すでに甘寧と周泰はその場におらず、孫権を追いかけて本陣を飛び出していた。

 

 

 

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【揚州、合肥・孫策軍次軍陣】

 

 

孫策軍次軍の総指揮を任された呂蒙は、本陣に向かった伝令よりも早くに先鋒が瓦解したという伝令を受けており、

 

ちょうど今、黄蓋軍の撤退を援護すべく動き出そうと各部隊に指揮を出しているところであった。

 

 

 

呂蒙「とにかく早く黄蓋様にこの橋をお渡りいただくために、撤退の邪魔にならないよう橋の向こうで敵とぶつかってください。まずは

 

蒋欽殿の部隊が一番にぶつかり、機を見計らって私の部隊と交代、その後同じく機を見計らって再び蒋欽殿の部隊と交代、その後は私の

 

部隊、という過程を繰り返して黄蓋様の撤退の時を稼ぎます。そして、黄蓋様の撤退が完了次第、順次私たちも撤退を装って敵を橋まで

 

おびき寄せます。そして、敵が十分に橋を渡ったその瞬間、韓当様の部隊が橋を破壊して敵を川へと突き落とし、一応打尽にします」

 

 

蒋欽「分かりました」

韓当「心得た」

 

 

 

そして呂蒙、蒋欽隊は黄蓋軍の援護のために橋を渡るべく、韓当隊は橋に工作を仕掛けるべく動き出した。

 

―――しかし・・・

 

 

 

周泰「亜莎!蓮華様を止めてください!」

 

 

 

呂蒙の耳に、ここにいるはずのない周泰の叫び声が届いた。

 

そして、その叫び声の内容を理解するよりも少し早くに、孫の牙門旗が呂蒙たちの目の前を横切った。

 

 

 

呂蒙「なっ・・・!?れ、蓮華様!?」

 

 

 

孫の牙門旗を率いた孫権は河を越え、一直線に橋へと向かい前線を目指す。

 

そして、その後ろを甘寧と周泰が、さらにその後ろから大量の兵士たちが追いかけてくる。

 

つまり、孫権は兵士たちを置き去りにして単騎突撃していることになる。

 

しかも、自身が兵を置き去りにしていることに、孫権自身気づいていない。

 

 

 

孫権「(私が・・・私がしっかりしないと・・・!)」

 

 

 

 

 

 

<いやはや、いくら虎の子といえど、孫策様に比べて孫権様はいまいち・・・>

 

<確かに、虎の子は虎とはいかぬようですな。せいぜいネコどまりかと>

 

<ははは、上手いことおっしゃいますなぁ!>

 

<まったく、もし孫策様がいらっしゃらなければ、我らは袁術や劉表に滅ぼされていたでしょうなぁ>

 

 

 

 

 

 

孫権の頭の中では、かつて、一部の文官たちの口を耳にしてしまった時のことが頭をよぎっていた。

 

 

 

孫権「(私がもっとしっかりしないと・・・私一人のせいで、孫家が侮られてしまう・・・!)」

 

 

 

 

 

 

<あの子、絶対聞いていたわね。もぅ、あんな口先だけのくだらない文官どもの言うことなんて気にしていなければいいのに>

 

<雪華、お前はあのようなことを言われたことがないから分からないだろうが、気にするなというのは無理があるぞ?>

 

<冥琳、あなたが言っても説得力が全くないわ>

 

<とにかく、そんなに心配なら直接言ってやればいいんじゃないか?>

 

<べ、別に心配なんてしてないわよ!>

 

 

 

 

 

 

そして続けざまに孫権の頭をよぎったのは、文官たちの陰口を気にしている自身のことを心配している孫策や周瑜の姿であった。

 

 

 

孫権「(これ以上、姉様に・・・みんなに心配をかけられない・・・!)」

 

 

 

孫権は様々なことで頭を埋め尽くしたまま、ひたすら前進を続けた。

 

 

 

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【揚州、合肥・前線】

 

 

張遼「おっと、ここまでやな。アンタら、追いかけっこはここでいったん終いや」

 

 

 

張遼は敗走する黄蓋軍を追いかけていたが、黄蓋が橋に差し掛かったところで追撃を中止した。

 

 

 

張遼「スマンな華雄、アンタの仇とるんはもう少しお預けや・・・」

 

 

 

鳳統の策を成功させるべく、自身の感情を殺し、役目を果たそうとする張遼のこの行動からも、

 

もはや完全に冷静さを取り戻していることは明らかであった。

 

 

 

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孫兵「黄蓋様!どうやら張遼が追撃をあきらめた模様!何とか振り切れたようです!」

 

 

黄蓋「何じゃと!?いったいどういうことじゃ・・・ここにきて、連戦続きの疲れが出たか、或は伏兵を気にしておるのか・・・?だが、

 

いぜれにしても、ひとまず助かったというところかのぅ・・・」

 

 

 

張遼隊の突然の追撃断念に若干の違和感を覚えた黄蓋であったが、今は撤退して陣を立て直すのが最優先と、

 

そのまま橋を渡り、次軍との合流を図ろうとした。

 

しかしその時、黄蓋軍の目の前から何者かが一直線にこちらに向かってくるのが見えた。

 

 

 

黄蓋「ん?あれはいったい―――」

 

 

 

と思ったのもつかの間、それが孫の牙門旗を引き連れた孫権だと分かった時には、すでに孫権は黄蓋たちの真横を素通りしていた。

 

 

 

孫権「祭!あとは私がやるわ!」

 

黄蓋「け、権殿!?」

 

 

 

孫権の周りには、護衛についているはずの甘寧や周泰はおろか、配下の兵士すら一人も見当たらない。

 

つまり、旗持ちを除けば単騎で前線に突撃していることになる。

 

 

 

黄蓋「何をなさっておるのだ権殿!周りをよく見てくだされ!」

 

孫権「(・・・私が、しっかりしないと・・・)」

 

 

 

しかし、黄蓋の必死の叫びも孫権には聞こえていないようであった。

 

 

 

周泰「祭様!ひとまず亜莎たちと合流して陣を立て直してください!蓮華様は私と思春殿が!」

 

黄蓋「頼んだぞ!」

 

 

 

周泰は黄蓋に走りながら告げると、甘寧と共に橋を渡り、孫権を追った。

 

 

 

―――しかし次の瞬間・・・

 

 

 

韓当「みな、今すぐ橋から離れ――――――!!」

 

 

 

どかーーーーーーーん!!!!!

 

 

 

橋への工作を行っていたはずの韓当が慌てて戻ってきて何かしらの警告を発しようとしたその刹那、

 

橋の下から大きな爆音が鳴り響くとともに凄まじい振動が周辺を襲った。

 

そして、そのまま爆発をもろに受けた足元の橋がバラバラと崩れ落ちてしまった。

 

 

 

周泰「わっ!?」

甘寧「チッ・・・!」

 

 

 

ちょうど周泰と甘寧、そして300ほどの兵士が橋を渡り切った直後のできごとであり、

 

橋を渡っている最中だった数百名の兵士たちは次々に川へと落ちてしまった。

 

重たい鎧を身に着けた兵士たちが川などに落ちたら、そして、その川の水深が深ければ、彼らがどうなったかなど言うまでもない。

 

 

 

周泰「みなさん・・・!」

 

甘寧「振り向くな幼平、早く蓮華様を追うぞ」

 

 

 

甘寧の判断は非情ではあったが、孫権の護衛の任を命じられている以上、その判断は正しかった。

 

 

 

周泰「・・・はい!」

 

 

 

心なしか甘寧から刺すような鋭い静かな怒りを感じた周泰は、一度目を閉じ、

 

河底へ落ちていった兵士たちのことを一度胸の片隅に追いやり、覚悟を固めて駆ける足を速めた。

 

 

 

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張兵「将軍!孫の牙門旗が見えます!」

 

張遼「ホンマやな、ってことはあれが孫権やな・・・っちゅーか旗持ち離れすぎやろあれ。完全に置いてきぼりやんか・・・」

 

 

 

張遼の言う通り、唯一なんとかついて行っていた旗持ち達も、ついに力及ばす減速していき、孫権は完全に単騎になってしまっていた。

 

 

 

張遼「けど、ホンマに総大将が単騎で突撃してくるとか、雛里に聞いたときは嘘やろって思ったけど、一刀以上のアホがおってんなぁ」

 

 

 

つまり、鳳統は孫家の当主が代々総大将ながら前線に出陣してくることと、

 

孫権自身非凡な母親や姉に対して劣等感を抱いていることから、今回多少の無茶をするだろうと読み、

 

孫権が前線に単騎で突撃してくる可能性が高いと結論付けていたのである。

 

 

 

張遼「まぁええわ。ななも上手いこと橋を落としたみたいやし、分断も成功や!もう囮役は終いやで!あとはウチらが仕上げるだけや!

 

こっからは全軍突撃!また暴れまくってええで!さっさと大将の首獲って、曹操の援軍なんて胸糞悪い肩書からおさらばや!!」

 

 

張兵「応っ!!!」

 

 

 

そして、張遼隊は孫権を討ち取るべく、馬足を速めたのだが、

 

張遼が孫権を目視できる距離まで近づいたその時、張遼の目の色が変わった。

 

 

 

張遼「な・・・そ、孫堅・・・やと・・・!?アンタ、まだくたばっとらんかったんかいっ!!よくも華雄を殺しよったなっ!!!」

 

 

 

張遼は遠目に見た孫権の姿が、かつて虎牢関で見た孫堅に似ていたためか、或は、先ほどまで黄蓋と戦っていたため、

 

孫堅の姿が頭に浮かんでいたせいか、孫権を孫堅と思い込んでしまったようである。

 

そして、張遼は単騎で一気に孫権の目の前に躍り出ると、手にした飛龍偃月刀を、孫権の首目掛けて思いきり凪いだ。

 

 

 

孫権「ぅぐっ―――!?きゃっ!!」

 

 

 

突然ギアを上げて襲い掛かってきた張遼の攻撃をかろうじて防いだ孫権であったが、

 

その勢いを殺すことができず、カキンッという金属同士ぶつかる音と共に吹き飛ばされ落馬してしまう。

 

 

 

張遼「あァ!?・・・なんや別人かいな。けどよー似とるわ。さすがは娘っちゅーわけか。けどまぁ、実力は天と地ほどの差があるみたい

 

やけどな」

 

 

 

あまりの手ごたえのなさに拍子抜けした張遼であったが、改めて間近で孫権の姿を確認し、

 

自身の早とちりであったことに気づいて納得した。

 

 

 

孫権「く・・・おのれ・・・!」

 

 

張遼「せやけど、アンタが総大将でよかったわ。ホンマはこれからどーやって総大将を橋のこっち側に誘き出すか苦労せなアカンところ

 

やってんけど、アンタは自分からこっちに出張って来よったし、橋も落ちた。もう逃げ場はあらへんし、助けも来−へん。後はアンタの

 

首獲ってこの戦いも終いや」

 

 

 

張遼は孫権につまらないものを見るような冷たい視線を浴びせながら告げると、再び飛龍偃月刀を振りかぶった。

 

この戦いに終止符を打つために。

 

 

 

張遼「ほなら、おしゃべりはここまでや。あの世で母親によろしゅー言っといてくれや!!」

 

孫権「――――――ッ!!」

 

 

 

落馬の衝撃から剣を落としてしまっていた孫権は、張遼の攻撃を防ぐすべもなく、

 

目を閉じ、自身の愚行を悔いる暇もなく、その最後の時を迎えようとしていた。

 

 

 

―――しかしその時・・・

 

 

 

――――――リンッ・・・

 

 

 

この戦場にあまりにも不似合いな、透き通った美しい鈴の音が張遼の頭の中で響き渡った。

 

 

 

張遼(―――ッ?・・・鈴の音・・・やと・・・?)

 

 

 

そのようなことを思いながら、張遼はほんの一瞬逸れた孫権への意識を戻し、

 

その死体を視認しようとしたが、張遼の目に映ったのは自身の血の海に沈む孫権の姿ではなく、

 

幅広の曲刀で張遼の攻撃を防ぎ、刺すような鋭い眼光を浴びせている一人の女性の姿であった。

 

 

 

甘寧「・・・貴様、調子に乗りすぎだ」

 

孫権「思春!」

 

 

 

そして、張遼が甘寧の存在を認識したのとほぼ同時に、周泰が孫権を抱えて張遼から距離をとった。

 

 

 

周泰「蓮華様、ご無事ですか!?」

 

孫権「明命!」

 

 

 

さらに、甘寧と周泰に遅れる形で、橋の崩壊に巻き込まれずに橋を渡り切っていた300人ほどの兵士たちが走ってくる。

 

 

 

甘寧「幼平!兵を連れて蓮華様を先に本陣へお返ししろ!ここは私がやる!」

 

 

 

甘寧は張遼の攻撃を受け止め、押し合ったまま周泰の方を見ずに言った。

 

 

 

周泰「思春殿・・・御武運を!」

 

 

 

甘寧の言葉に、周泰はほんの一瞬だけ止まったが、それもほんの一瞬のこと。

 

すぐに追いついてきた300人の兵士を引き連れて、孫権と共に戦線を離脱した。

 

 

 

張遼「チッ、さすがに幹部連中全員を分断するんは無理やったか。せやけど、数万いる兵のうちのほとんど分断できてるし御の字やろ!

 

ほんならアンタら、先にアイツら追いや!ウチはコイツ潰したらすぐ行く!」

 

 

張兵「はっ!」

 

 

 

張遼の命令を受け、約700弱もの張遼隊の兵士たちは、すぐさま周泰たちを追いかけ始めた。

 

今、この場に残っているのは張遼と甘寧の二人だけである。

 

 

 

張遼「さてと、ほんで、アンタにウチを止められるんかいな?」

 

甘寧「ほざくな、貴様はここで潰す。甘興覇、これより修羅の道に突入する」

 

 

 

馬上からニヤリとした不敵な笑みで見下ろす張遼と、地上で鋭いまなざしから一切表情を崩さない甘寧。

 

お互いが最初にぶつかった状態のまままだ一度も動いていない。

 

両者つばぜり合いの状態から一歩も譲らない。

 

かに思われたがしかしその刹那、事態は突然に動いた。

 

 

 

――――――リンッ・・・

 

 

 

張遼(―――また鈴の―――ッ!?)

 

 

 

再び澄んだ鈴の音が張遼の脳内に響き渡ったかと思うと、張遼の目の前から甘寧は消えていた。

 

しかし、そのように認識できたのもほんの刹那の出来事。

 

張遼の力の受け手が消え、バランスを崩して前につんのめりそうになった張遼の死角、ちょうど背後の馬の背中に甘寧は立っていた。

 

 

 

張遼「――――――ッ!!??」

 

甘寧「鈴の音は・・・・・・黄泉路を誘う道しるべと思え!」

 

 

 

そのように告げると同時に、甘寧は張遼の首をはねる形で一閃横薙ぎに刀を振るった。

 

バランスを崩しているところへの死角からの攻撃。

 

甘寧の攻撃は回避不可能であった。

 

しかし、張遼はとっさにそのまま流れに逆らわず、前転するような形で馬から飛び降り、かろうじて甘寧の攻撃をかわした。

 

甘寧の持つ幅広の曲刀『鈴音』には鈴がついており、振るうごとに鈴が鳴るようになっている。

 

つまり、甘寧が言うように、本来鈴の音が聞こえたら、甘寧の技量をもってすれば死を意味するのだが、

 

ここを避けるあたりさすが張遼というべきか。

 

 

 

張遼「なるほど、ちょっと気合い入れなアカンみたいやなぁ!!」

 

 

 

張遼はさらに不敵な笑みを一層強めると、今まで以上の溢れんばかりの闘気を滲ませ、

 

刺殺できそうな鋭い眼光で甘寧を見据えると、一気に地を蹴って甘寧に斬りかかった。

 

 

 

【第四十六回 第三章B:合肥救援編E・分断!虎子の焦り 終】

 

 

 

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あとがき

 

 

第四十六回終了しましたがいかがだったでしょうか?

 

なんだか霞が悪役感半端ないですね 笑

 

そして雛里ちゃんの策である大将と本隊の分断は無事成功しました。

 

大将が最前線に出張るという孫家独自の特性と、孫権の性格をうまく利用した策だったわけですが、

 

それにしても蓮華を単騎にしてしまうなんて思春ならありえなさそうだけどなぁなどと思いつつも、

 

例によってご都合主義のゴリ押しでやらせていただきました 汗

 

いや、雛里ちゃんの謎パワーということにしときましょう、、、

 

 

ちなみに名前だけモブとか言いながらしゃべっちゃってますが、一応みんな女性です。今後の登場予定は完全未定です。

 

なので姿とか全然イメージないですが(と言いつつ凌統はちゃっかりキャラ付けされてますが、、、)、

 

穏や亜莎の呼び方でなんとなく年の感じとかはイメージできると思います。

 

 

さて、次回はようやく第三章も大詰めです!はたして蓮華は本陣に無事帰還できるのか?張遼と甘寧の決着は?

 

 

それではまた次回お会いしましょう!

 

 

 

今更ながら爆弾ってあまりにもチートだなぁと感じる今日この頃です。

 

説明
みなさんどうもお久しぶりです!初めましてな方はどうも初めまして!

今回は分断です。雛里ちゃんの策の第二段階が発動します!

はたして虎の子の運命やいかに、、、!


それでは我が拙稿の極み、とくと御覧あれ・・・


※第三十七回 第三章A:臥竜鳳雛捜索編@・結成!臥竜鳳雛捜索隊<http://www.tinami.com/view/678395>


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コメント
>くつろぎすと様  ホントちんきゅー分が足りない・・・本編後の拠点まで足りない・・・もはや成都で一人頑張ってるであろう姿を想像するしか・・・くぅ・・・T¬T(sts)
>あか様  ご期待くださいな!(sts)
雛里んの読みは凄いな、もはや予知レベルだよぉ!ちんきゅー分が…足りないな……(;゚Д゚)ゴフッ(くつろぎすと)
今後も霞の活躍に期待!!(あか)
>D8様  雪蓮と比べられるのは酷ですが、兄弟姉妹はどうしても比べられるものなんですよね。自分の配下を見捨て主君を助けに行く非情さもまた強さです。(sts)
完全に雪蓮との劣等感に焦っておりますな。冷静さを完全に欠いた結果ですかね。主君のため単騎で川を渡った思春、明命は立派です。トップがやられたら国の終わりですからねぇ・・・。(D8)
>神木ヒカリ様  斬られてもおかしくない状況ですが、その展開だけは避けたいものです 汗(sts)
>Jack Tlam様  今回の失態をどのように受け止めるか次第で、今後の蓮華のありようが決まるでしょう(sts)
>nao様  並び賞されることはあっても比べられるのは少ないですからね。個人的に恋姫なら霞の方が強そうかなぁって感じですけど(根拠全くないですけどね 汗)(sts)
>naku様  甘寧といえば、鉄球振り回しながら城壁登っての一番乗りとか、100騎での夜襲を無傷で成功とか、あと料理人殺害とかですかね。思春と違ってかなりオープンなやんちゃっぷりなのは元海賊だからでしょうか(sts)
このままの勢いで、思春も連華も切っちゃいましょう。(神木ヒカリ)
軍人として当然の行動をする甘寧と張遼の姿は立派。孫権は……なんだかんだで蓮華も史実孫権の晩年に到達しそうなヤバイ要素持ってるよね。というか原作でもここまでしないでしょうに……はっきりいって馬鹿のやる行動。思春が間に合ってなかったら首落ちてた……この失態がますます彼女を追い詰めるでしょうね。そしてまた暴走すると。(Jack Tlam)
蓮華が焦りすぎでなぁ〜諭す一刀がいないから仕方ないのか、霞と思春はどっちが強いんだろうか?(nao)
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